鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

スクリーンで観た映画を振り返る2023(実写映画)

いよいよ大晦日、2023年も今日で終わります。

さて、アニメ映画に続いて、今年1年間にスクリーンで観た実写映画を、印象が強かった順に振り返ってみたいと思います。

◎少女は卒業しない

直木賞作家・朝井リョウの連作短編小説「少女は卒業しない」を原作に、卒業式の前日と当日の2日間の、卒業を迎える4人の女子高生のそれぞれの想いを描いた群像劇。わずか2日の間の4人の心の動きを、自然な会話、表情で丁寧に描いています。最初は4人のエピソードが、入れ替わりながら並行して淡々と描かれていきますが、中盤のある一言を境にするように、段々とそれらが一つに収斂していきます。この物語の展開、脚本の構成は見事で、苦いけれども瑞々しい、青春の一コマを鮮やかに浮かび上がらせる監督の力量を感じました。(2月23日(木)公開)

◎消せない記憶


2009年函館港イルミナシオン映画祭受賞シナリオ「記憶代理人」 を映画化した作品で、若年性認知症で記憶が失われていく舞台俳優の男性と、その男性の恋人になった路上ミュージシャンの女性の恋を描いた物語。うまく作られたストーリーを丁寧に描いたいい作品でした。美しい映像、心に沁みる音楽も印象的。俳優陣も、優衣役の桃果をはじめ、若手俳優の瑞々しい演技がとても印象的でした。(3月31日(金)公開)

◎バカ塗りの娘

青森の伝統工芸・津軽塗を題材に、不器用な女性が津軽塗職人の父との暮らしの中で自身の進む道を見いだしていく姿を描いた作品。自分の道を見いだせなかった主人公が津軽塗を継いでいくことを決めるまでを描く、シンプルなストーリーですが、四季の津軽の風景も美しく、津軽塗の工程の丁寧な描写も印象的で、心に沁みる良質な作品でした。物語に変化を付けるためにユーモラスなシーンを挿入する、ありがちな演出がないのも、心を乱されずに落ち着いて観ることができて、個人的にはとても良かった。主役の堀田真由の空気感、佇まいも、作品の雰囲気にぴったりで、自信なさげで内気な性格だが、実は頑固で芯が強い主人公を良く演じていました。(9月1日(金)公開)

◎アンダーカレント

2004年から2005年にかけて「月刊アフタヌーン」に連載された豊田徹也の同名コミックを原作に実写映画化された作品で、夫が突然失踪してしまった銭湯の女主人が、銭湯に働きたいとやってきた謎の男との不思議な共同生活を送る中で、夫の知られざる事実を知り、自分の心の底に沈めていた想いにも気づいていく過程を描いた作品。143分とかなり時間が長めの作品ですが、最後まで引きつけられ、心にじわっと響く作品でした。全体を通して重苦しい雰囲気が漂っているので、快く思わない人もいるだろうと思いますが、誰でも、程度の差はあれ持っているであろう心の底の闇、自分でも目を背けているような暗部があることに、改めて気づかされ、考えさせられるところがありました。(10月6日(金)公開)

◎あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。


高校3年生の女の子が、突然、78年前の終戦直前にタイムリープし、特攻隊員となった男性に初めての恋をする、という切ない恋愛物語。当時の時代の雰囲気もきちんと再現され、敗色濃厚な戦局の中で、自らを犠牲にしても少しでもそれに抗おうとする特攻隊員たちの思い、そして、辛い別れを甘受せざるを得ない周囲の人々の心情が心を打つ作品でした。恋愛映画を期待して観に来た若い人たち先の大戦について知ってもらい、理解を深めてもらうきっかけになるのであれば、ひとつの良い試みではないだろうか、とも思いました。(12月8日(金)公開)

◎石岡タロー


茨城県石岡市の小学校で飼われ、石岡駅に17年間に通い続けたタローという実在の犬の物語を実写映画化した作品。BGMがちょっとうるさく感じられてもったいない場面もありましたが、心にじんわりと沁みる、涙がこぼれる物語でした。フィクションであれば、こんなうまくできた話はないと感じたのだろうと思うほど、感動的なお話でした。劇的な展開はなく、淡々とタローの姿を描いているところは、かえってタローの一途な思いが感じられ、涙腺が緩みました。(10月20日(金)公開)

◎キリエのうた

岩井俊二の原作・脚本・監督によるオリジナルストーリーで、石巻、大阪、帯広、東京を舞台に、歌うことでしか“声”を出せない住所不定の女性路上ミュージシャン、行方のわからなくなった婚約者を捜す青年、傷ついた人々に寄り添う女性小学校教師、過去と名前を捨てて路上ミュージシャンのマネージャーとなる謎めいた女性の4人を中心に、それぞれの出逢いと別れを描いた作品。本編178分という時間の長さを感じさせない素晴らしい作品でした。最初は、それぞれ接点が分からないままそれぞれのエピソードが描かれるが、意外なところで4人の人生が絡まっていることが次第に明らかになってく展開は見事です。そして、アイナ・ジ・エンドの素晴らしい歌声も特筆もの。この説得力ある歌唱がなければ、この作品は成り立たなかったのではないでしょうか。(10月13日(金)公開)

◎アナログ

ビートたけしの同名小説を原作に実写映画化した作品で、デザイナーの男性と携帯を持たない謎めいた女性のラブストーリー。メールやSNSなど、スマホで連絡を取り合うのが当たり前になっている時代に、連絡先を交換せずに毎週木曜日の夕方に喫茶店で会う、というある意味で古風な設定が、逆に新鮮に感じられ、優しく心に響きました。最初は奇異な設定だと思いましたが、そうなった事情をうかがわせる要素も描かれ、序盤で感じた抱いた違和感は、観進めていくうちに消えていきました。ヒロインを演じた波瑠の清楚さを感じさせる佇まいもとても魅力的でした。(10月6日(金)公開)

◎世界の終わりから


事故で両親を亡くし、自身も生きる希望を失いかけている女子高生が、世界を救う使命を託され、戸惑いながらも世界を救うために奔走する姿を描いた作品。独特の世界観が際立った、作家性の濃い作品でした。現実の世界、そして夢で見る世界のいずれも、救いのない閉塞感に満ちていますが、自分を認め、自分を救うことが、世界を救うことにもつながるというメッセージを強く感じました。135分とちょっと長めの時間の映画ですが、時間の長さを感じさせられることなく、最後まで引きつけられました。(4月7日(金)公開)

◎とべない風船

広島県だけで100名以上が亡くなり、1万4,000戸以上の住宅に被害をもたらした平成30年7月豪雨をテーマに、家族を土砂崩れで失った男と夢だった仕事に挫折した女の交流を描いた作品。心に沁みるいい映画でした。経緯はそれぞれ違いますが、心に傷を負った男女が、互いの交流の中で再生していく姿が、瀬戸内海の美しい風景の中に描かれていました。主演の東出昌大も、寡黙で、ある意味泥臭い役を好演していましたし、三浦透子の佇まいも良かったと思います。(1月6日(金)公開)

◎世界のはしっこ、ちいさな教室

未来に明かりを灯そうとする3人の先生と、学びに目覚めた子どもたちを描いたフランスのドキュメンタリー映画。それぞれ、厳しい環境に置かれながら、子どもたちの将来を思い、学ぶことの重要さを伝えようとする先生たちの姿が心を打つドキュメンタリーでした。(7月21日(金)公開)

◎人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした


SDN48の元メンバーで作家として活躍する大木亜希子が自身の体験に基づいて執筆した同名小説を実写映画化した作品。自分が思い描く理想の姿と現実とのギャップで苦しんで行き詰った女性が、あまり干渉せずに、温かい目で自分を優しく、柔らかく包んでくれる男性との同居生活を通して、再生していく姿がうまく描かれていました。主人公を演じた深川麻衣と男性役の井浦新も、ともにいい空気感を醸し出していて秀演でした。(11月3日(金)公開)

◎あつい胸さわぎ

乳がんと恋愛をテーマに、揺れ動く母娘の切実な想いを描いた、舞台「あつい胸さわぎ」を原作に実写映画化した作品。初恋に胸を躍らせる中で突然降りかかった乳がんに混乱する娘、久々の恋に胸をときめかせる一方で、娘を案じる母。親子のそれぞれの心情、そして葛藤と和解を、ユーモラスな描写も交えながら、繊細に描いており、優しい余韻が残る作品でした。娘役の吉田美月喜は印象的で、母親役の常盤貴子も、バリバリの関西弁のオバチャンっぷりが、これまで観てきた彼女のイメージとかなり違いましたが、いい味を出していました。(1月27日(金)公開)

◎658km、陽子の旅

夢を追って実家を飛び出したものの、夢破れて家にひきこもりフリーターをしている42歳独身の女性が、疎遠になっていた父親の死の知らせを受け、故郷のある青森県弘前へ向けて東京からヒッチハイクの旅をする姿を描いたロードムービー。父の死を知り、その出棺までに実家の弘前に帰ろうとヒッチハイクをする中で、目を逸らしていた父との関係、夢破れてずっと逃げて生きてきた自分と向き合っていく姿が心に迫る作品でした。(7月28日(金)公開)

◎君は放課後インソムニア

オジロマコトさんの同名コミックを原作に実写映画化された作品で、石川県七尾市を舞台に、ともに不眠症の女子高校生と男子高校生が学校の使われていない天文台で偶然出会い、距離を縮めていく青春ストーリー。壁にぶつかりながらも真っすぐに向かっていく高校生の姿が清々しく、心地よい余韻の残る作品でした。主人公を演じた森七菜の演技が印象に残りました。七尾市をはじめ能登半島の美しい風景もいい空気感を醸し出していました。(6月23日(金)公開)

◎この小さな手

原作:郷田マモラ、作画:吉田浩による同名コミックを原作に実写映画化された作品で、娘に無関心で育児を妻に丸投げしていたイラストレーターの主人公が、妻の突然の入院により児童養護施設に保護されてしまった娘を取り戻そうとする中で、親であることの責任や、喜びを知っていく物語。演出などより効果的にできる余地があったように思いましたが、親としての責任など、いろいろ考えさせられる作品で、最後のハッピーエンドに救われるような思いがしました。(4月8日(土)公開)

◎MY (K)NIGHT マイ・ナイト


EXILE HIRO が企画プロデュースを務めた、夜の横浜を舞台に、デートセラピストたちが一夜限りの恋人役を務めつつさまざまな悩みを抱える3人の女性の心を癒やしていくオリジナルドラマ。3人のデートセラピストと客であるそれぞれの女性の物語が、最初は同じホテルのレストランで始まり、枝分かれして交錯しながら描かれ、最後に合流するというのは、なかなかうまい構成で、ある意味で行き詰っていた女性の心を解きほぐして、前に進めるよう送り出してあげる、ちょっといい話で、心地よい余韻が残りました。(12月1日(金)公開)

◎高野豆腐店の春


尾道の一角に店を構える豆腐店を舞台に、愚直で職人気質の父と、明るく気立てのいい娘・春の人生を描いたオリジナル・ストーリー。愚直で職人気質の父と明るく気立てのいい娘の間の心の動きを、ユーモラスなシーンも交えながら優しいまなざしで描き、心温まる作品でした。ユーモラスなシーンは、ベタな寸劇風で、個人的には正視するのが辛すぎて耐えられませんでしたが、そうしたシーンが減った後半の展開は、滋味深く、心に沁みるものがありました。単純に父娘関係を描くのかと思いきや、被爆などの要素も重層的に描かれているのも、物語に深みを加えていたと思います。なお、冒頭の尾道の風景を重ねていくシーンを観て、個人的には、小津安二郎へのオマージュを感じました。(8月18日(金)公開)

◎ほつれる

冷め切った夫婦生活の中、曖昧な関係を続けてきた恋人が目の前で死に、揺れる心を抱えた女性の姿を描いた作品。登場人物に共感はできませんでしたが、映画としてはうまく構成されている作品だと思いました。率直にいえば、ここまで関係が冷え切っているのなら、子どももいないのだし、早く別れればいいのに、という思いが最初からくすぶっていて、そういう意味では、主人公が家を出て行く、という結末もハッピーエンドのように映りました。主人公を演じた門脇麦の演技も良かった。(9月8日(金)公開)

◎劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ

地下アイドルと推し活を描いた平尾アウリさんの同名コミックを原作に、実写映画化した作品。推しに打ち込む人たち、そしてそれも支えに活動する地下アイドルの姿が、よく知らない人にも入りやすく描かれ、期待以上にいい作品でした。推し活の実際の姿よりは、おそらくはいくぶんソフィスケートされているのだろうと思いますが、熱狂的に推し活をする人たちの心情が、共感はできなかったものの、理解できたような気がしました。主人公が熱狂的に推している地下アイドル役の伊礼姫奈がとても印象的でした。(5月12日(金)公開)

◎放課後アングラーライフ

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  • 十味(とーみ),まるぴ,森ふた葉,平井珠生
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第26回スニーカー大賞優秀賞を受賞した井上かえるさんの「女子高生の放課後アングラーライフ」を原作に実写映画化した作品だそうで、友人関係をうまく築けず、自分の殻に閉じこもっていたひとりの転校生が、仲間たちと真剣に向き合うことで自分とも向き合い、未来に向けて一歩踏み出すまでを描いた物語。ストーリーの展開としては、起承転結がしっかりとした青春映画ですが、いじめで受けたトラウマのリアルな描写と、ゆるく、優しい時間が流れる釣りの描写とが交錯して、いじめで傷ついた主人公の心の再生が描かれ、心地よい余韻が残りました。(4月29日(土)公開)

◎はざまに生きる、春

発達障害を持つ画家の男性と雑誌編集者の女性との恋愛を描いた作品。発達障害アスペルガー症候群)を虚飾なく描いた佳作で、私自身は感動、感涙とまでは感じ入りませんでしたが、心が洗われるような物語でした。何より、アスペルガー症候群の有名画家を演じた宮沢氷魚の演技は素晴らしかった。(5月26日(金)公開)

◎17歳は止まらない

農業高校で畜産を学ぶ高校2年生の女子高生の、止まらない恋の疾走(暴走?)と成長を描いた物語。主人公のツンとデレの振れ幅が大きく、突き抜けた暴走っぷりが印象的ですが、動物たちの生と死のシーンが挿入され、命をいただく尊さ、という要素も織り込まれて、突き抜けた恋の暴走っぷりがうまい具合に中和されて、バランスの良い作品に仕上がっていました。(8月4日(金)公開)

◎オレンジ・ランプ


若年性認知症と診断されながら、会社勤務を続けつつ、相談窓口の活動や自身の経験を語る講演などを行っている丹野智文さんの実話を基に、39歳で若年性認知症と診断された夫とその妻の姿を描いた作品。細部の演出には泣かせにくるようなところもあって、興ざめに感じる部分もありましたが、全体としては、突然の若年性認知症の診断という、青天の霹靂のような出来事に直面し、悩み、苦しみながらも、前に進んでいく夫婦の姿が心を打つ作品でした。(6月30日(金)公開)

◎いちばん逢いたいひと

白血病と骨髄移植」をテーマに、白血病を乗り越えた少女と、そのドナーになった男の人生を描いた作品。耐え難い困難に直面して挫折しながらも、会いたい人への想いを原動力に、前に進もうとする姿を描き、心に響きました。ところどころ挿入されているユーモラスなシーンでの、クサさを感じる安っぽい演出は残念で、そうした描写は抑えて、もっと淡々と描いた方が、より深く刺さる作品になったのではないかという気がしました。(2月24日(金)公開)

◎ぬけろ、メビウス!!

24歳にして大学受験に挑戦する女性の姿を描いたオリジナルの青春ドラマ。前半から中盤にかけて、王子様のような男性に出会って胸ときめく主人公が夢中になっていく姿は、いずれ破滅が訪れることが予想できるだけに、見続けていくのが辛いところがありましたが、後半、これまで歩んできたレールから抜け出そうと、再び受験に向き合っていく姿は、胸に響きました。主役の坂ノ上茜の雰囲気はいいと思いましたし、母親役の藤田朋子も好演でした。(2月3日(金)公開)

◎アイスクリームフィーバー

川上未映子さんの短編集「愛の夢とか」(講談社文庫)に収録されている『アイスクリーム熱』を原案に映画化した、若い4人の女性の思いが交錯する姿を描いたラブストーリー。隅を丸く切り取ったようなほぼ正方形の画面サイズ、ところどころに挿入されるポップな映像や音楽が挿入しながら、女性たちの物語が優しく描かれていました。オシャレな演出が鼻につく人もいそうですが、伏線の張り方けとその回収は見事で、心に深く響くような感じではありませんが、独特な空気感を楽しみながら観ることができました。(7月14日(金)公開)

◎さいはて

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  • 北澤響、中島歩
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偶然出会った、それぞれ喪失と空虚感を抱く男女の逃避行を描いた作品。長回しが多く、ゆったりしたテンポで、希望を失った2人の逃避行を描き、独特の空気感を感じさせる作品でした。主人公を演じた北澤響の、少女らしさも残した、まっすぐな女性が印象的でした。(5月6日(土)公開)

◎1秒先の彼

2020年製作の台湾映画「1秒先の彼女」(チェン・ユーシュン監督)を基に、舞台を京都に移してリメイクしたラブストーリー。前半は主人公の男性の視点から物語が描かれ、後半は女性の視点に変わって、答え合わせのように同じ時間軸の物語が描かれます。個人的には、前半のドタバタ劇風のユーモラスな部分は、正視することに耐えられず、辛かったですが、前半でユーモラスな小ネタを含めて仕掛けられた伏線が後半で見事に回収されていく展開は見事で、最後の爽やかでホッとする終わり方も良かったです。清原果耶の雰囲気や演技も良かった。(7月7日(金)公開)

◎水は海に向かって流れる

田島列島さんの同名コミックスを原作に実写映画化した作品で、曲者たちが暮らすシェアハウスを舞台に、過去のある出来事から「恋愛しない」と宣言する26歳OLが、シェアハウスに暮らすことになった男子高校生との交流によって変わっていく物語。ストーリー自体はいい展開で、ほど良い余韻の残る作品でした。正直に書くと、男子高校生役の大西利空の演技はだいぶがっかりで、そこが違えばかなり作品の印象が違ったのではないかという気がしました。主役の広瀬すずや、同級生の女子高校生役の當真あみ、脇を固めるベテラン俳優陣も良かったので、もったいない感じがしました。(6月9日(金)公開)

◎わたしの幸せな結婚

顎木あくみの同名のライトノベルを原作に実写映画化した作品で、継母や義理の妹に虐げられてきた女性が、冷酷と噂される名家の当主の婚約者となり、愛されていくようになる姿を描いた恋愛ドラマ。原作を読んでいたこともあって、清霞役の目黒連、美世役の今田美桜、五道役の前田旺志郎など、主要登場人物の佇まいや所作に感じる違和感が最後まで消えませんでしたが、思ったよりもいい作品に仕上がっていました。建物や街並みなど、大正時代を思わせる背景描写も見事でした。(3月17日(金)公開)

◎そして僕は途方に暮れる

些細なきっかけから、恋人や親友、家族などあらゆる人間関係を断ち切って逃げ出していく青年の逃避行を描いた作品。前半は、見事なクズ男っぷりに、不快さのあまり途中で席を立とうかと思わずにはいられないくらいでした。後半になって、父と再会を果たしたあたりからは、少しずつ面白い展開になってきて、最後もちょっと意表を突いたエンディングでしたが、観終わっても前半の不快感が拭い切れない後味が残ったのはマイナス印象でした。(1月13日(金)公開)

 

以上のとおり、ほとんどが邦画、合わせて32の作品を観たことになります。映画情報サイトの口コミなどを見て、自分に合わなそうな作品は避けて観てきたので、大ハズレという作品はなく、いい作品が多かったように思います。

来年も印象に残る作品に出会えることを期待しています。