鷺の停車場

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安藤ゆき「町田くんの世界」を読む

家族に薦められて、安藤ゆきのマンガ「町田くんの世界」を読んでみました。

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町田くんの世界 コミック 全7巻セット

町田くんの世界 コミック 全7巻セット

 

6/7(金)から実写化された映画が公開されている本作品、その映画に興味津々の家族がSNSで映画関連の何かのキャンペーンに応募したら、見事に当選して原作マンガの単行本全7巻セットが送られてきたのでした。こんなのが本当に当たることもあるんですね。

もとは、2015年から3年ほど、月刊誌の別冊マーガレットに連載されていた作品のようで、全27話。単行本では、基本的に各巻に4話を収載。第3巻のみ、本編3話と短編「愛、ある生活」が収載されています。

不器用で勉強も運動も苦手だけど、人間を愛し、本人は無意識ながらに、人の心に手を差し伸べて心を温める振舞いで人の心をつかみ、愛される町田一(はじめ)の、家族や友人など周囲の人たちとの日常を描いた作品。

少女マンガを読む機会はめったにありませんが、自分の中でなんとなく抱いている少女マンガのイメージとはいい意味で違っていて、違和感なく読めました。

町田くんは、5人兄弟の長男で高校2年生。私立中に通う妹ニコ、小学生の弟ミツオ、さらに幼稚園児の妹しおり、弟けーご、の4人の弟妹がいて、さらに第2巻の第5話では弟の六郎も生まれます。パワフルだけど朗らかな母親、生物学者で世界中を飛び回っている父親の8人という今では稀な大家族。これだけ兄弟が多ければ、ケンカが絶えないのが普通の現実だと思うので、こんなに穏やかで神対応をする高校生に育つというのは、ある種のファンタジー。そのフワッとした空気感の中で描かれる心温まる物語は、現実感はやや希薄なのですが、おそらく、逆にそうであるからこそ、心にスッと沁みてくる感じがしました。

町田くんの運命の人となるクラスメイトの猪原奈々は、頭はいいけど、仮面夫婦の両親との関係は希薄で、中学時代にクラスメイトからシカトされた経験から、人が嫌いと公言し、よく授業をサボっていたが、自分を気にかけてくれる町田くんが気になるようになり、ナンパに付いていこうとするところを心配して止めに入ってくれた町田くんに恋をする。

自分はモテないと思い込んでそれに気付かない鈍い町田くんとのズレのいじらしさは、少女マンガらしいところかもしれません。しかし、父親の助言からその想いに気付き、やがて町田くんも猪原さんに恋するようになって告白、2人は正式に恋人としてお付き合いするようになって、猪原さんが町田くんの家族からも温かく迎え入れられるところで、物語は終わります。

劇的な展開を避けて、じわじわと気持ちを高めていくのは、うまい展開だと思いました。

主人公の男の子が、暗い過去から周囲と距離を置く女の子に手を差し伸べて恋愛関係になっていき、さらに周囲の人の心を温かく融かしていく、という流れは、設定やテイストは全く違うのではありますが、たまたま今読み進めている、「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」に始まる鴨志田一ライトノベル青春ブタ野郎」シリーズとも共通してるところ。

もともと家族のお目当てだった実写映画の方は、うまく都合が付かずまだ行けてません。そろそろ上映終了モードに入ってきた感じもあるので、近いうちに行かないとスクリーンでは観れないかもしれません。これだけのボリュームだと、そのまま映像化するとなると30分アニメ番組の1クール(12話前後)でも足りないだろうと思いますが、映画は120分くらいのようなので、控えめに見ても時間的にはその半分あるかどうか。と考えると、おじいさんや魔女とのエピソードなどはカットされているのだろうなあ、と想像したりします。ビジュアルの相違や、映画化の際のアレンジがどう映るかも不安なところ。まだ映画を見ていないうちに言うのもなんですが、映像化するならテレビアニメでじっくり見たい気もします。