鷺の停車場

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映画「おかあさんの被爆ピアノ」

少し前になりますが、映画「おかあさんの被爆ピアノ」(8月8日(土)公開)を観に行きました。

少し気になっていた作品で、映画情報サイトでの実際に観た人の評価も高いようだったので、行ってみることにしました。

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来たのは新宿のK's cinema(ケイズシネマ)。都内の上映館はここだけ、関東でも他には横浜と土浦の各1館のみという小規模な上映です。

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この日の上映スケジュール。

スクリーンのある3階ロビーに着くと、チケット売場に10人ちょっとの行列ができていました。

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ロビーには本作をはじめ、上映作品の展示がありました。

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スクリーンは84席、ここも1席ずつ間隔を開けて座る方式ですが、指定席ではなく自由席でした。世間的には平日の午前ですが、お客さんは30人ほどは入っていました。

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監督・脚本の五藤利弘が、テレビで取材したことをきっかけに、被爆ピアノにまつわる実話から着想を得て制作したオリジナル映画。

 

公式サイトのストーリーによれば、

 

『昭和20年8月6日に広島で被爆したピアノを持ち主から託された調律師・矢川光則(佐野史郎)。彼自身も被爆二世。
爆心地から3キロ以内で被爆したピアノは被爆ピアノと呼ばれる。
矢川は、現在数台の被爆ピアノを託され修理。調律して、それを自ら運転する4トントラックに載せて全国を回る。
東京で生まれた江口菜々子(武藤十夢)は大学で幼児教育を学び幼稚園教師を目指しているものの将来について漠然としている。
被爆ピアノの一台を母・久美子(森口瑤子)が寄贈していたことを知った菜々子は、被爆ピアノコンサートに行き、矢川と出会う。
矢川を通して被爆ピアノ、広島のことを考えるようになり、祖母のことを知るうちに自身のルーツを探していく。
母・久美子はどうして広島から出て行ったのか?
祖母・千恵子が菜々子に伝えたかったこととは?
調律師・矢川がなぜ被爆ピアノを伝える活動をしているのか?
菜々子はルーツを辿り、被爆ピアノの活動を辿りながら次第に何かを見つけていく…』

 

というあらすじ。

上記の主要キャストのほか、菜々子の父・江口公平役が宮川一朗太、祖母の井原千恵子役が小池澄子/南壽あさ子(回想シーン)、劇中に出てくる被爆ピアノによるコンサートの司会者役が大桃美代子、菜々子の親友・菊池咲役が中山佳子などの俳優陣。

 

物語としてはいい話ではあるのですが、映画としては今一つというのが率直な感想。映画情報サイトで総じて高い評価だったために、期待し過ぎたのかもしれませんが、個人的には期待外れでした。

被爆者やその子孫の労苦から、広島を離れ、子にも広島と関わらせまいとする母・久美子と、自分のルーツを探して広島のことを知ろうとする娘・菜々子が対立するが、被爆ピアノを修理・調律してコンサートを開く矢口との交流を通じて、和解していくまでを描いているのですが、冒頭の菜々子が被爆ピアノに興味を持って矢口と接するシーンで引っ掛かりを感じて、ボタンの掛け違いのようになったのかもしれません。ストーリーが進むにつれ、広報啓発ビデオを見てわざとらしい展開と思うのと同種の違和感が少しずつ積み重なっていく感じがありました。

おそらく、このあたりにあまり引っ掛からずに観られれば、だいぶ印象の異なる作品になるのだろうと思います。個人的にはちょっと残念でした。