だいぶ久しぶりに「さよならの朝に約束の花をかざろう」(2018年2月24日(土)公開)を観ました。
公開5周年を記念して、2月23日(木・祝)から3月2日(木)までの8日間、全国76館で再上映が行われています。
この作品を観たのは、公開当初の上映館での上映はほとんど終わっていた2018年のGWの頃、キネマ旬報シアターで観たのが初めてでした。心に強く響く作品で、1週間ほどの間に3回も続けて通った記憶がありますが、その年の秋ごろにレンタルDVDで観て以降は、観る機会がありませんでした。今回、再上映されると知って、どうしても再びスクリーンで観たくなりました。
来たのはMOVIX亀有。平日の夜とあって、ロビーの人は少なめでした。
この日の上映スケジュールの一部。既に上映が終わった分も含めると、25作品・26種類の上映が行われていました。
上映は225+2席のシアター6。お客さんは40人ほどでした。
5年前の公開時にもらったチラシ。
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」、「心が叫びたがってるんだ。」などで脚本を務めた岡田麿里が初めて監督を務めたオリジナル作品で、脚本は同じく岡田麿里、その他の主要スタッフは、副監督:篠原俊哉、キャラクター原案:吉田明彦、キャラクターデザイン・総作画監督:石井百合子、アニメーション制作:P.A.WORKSなど。
上のチラシや公式サイトで紹介されているストーリーによれば、
縦糸は流れ行く月日。横糸は人のなりわい。
人里離れた土地に住み、ヒビオルと呼ばれる布に日々の出来事を織り込みながら静かに暮らすイオルフの民。
10代半ばで外見の成長が止まり数百年の寿命を持つ彼らは、“別れの一族”と呼ばれ、生ける伝説とされていた。
両親のいないイオルフの少女マキアは、仲間に囲まれた穏やかな日々を過ごしながらも、どこかで“ひとりぼっち”を感じていた。
そんな彼らの日々は、一瞬で崩れ去る。イオルフの長寿の血を求め、レナトと呼ばれる古の獣に跨りメザーテ軍が攻め込んできたのだ。
絶望と混乱の中、イオルフ一番の美女レイリアはメザーテに連れさられ、マキアが密かに想いを寄せる少年クリムは行方不明に。
マキアはなんとか逃げ出したが、仲間も帰る場所も失ってしまう……。
虚ろな心で暗い森をさまようマキア。そこで呼び寄せられるように出会ったのは、親を亡くしたばかりの“ひとりぼっち”の赤ん坊だった。
少年へと成長していくエリアル。時が経っても少女のままのマキア。同じ季節に、異なる時の流れ。変化する時代の中で、色合いを変えていく二人の絆――。
ひとりぼっちがひとりぼっちと出会い紡ぎ出される、かけがえのない時間の物語。
・・・というあらすじ。
公式サイトで紹介されている主要登場人物・キャストは、次のとおりです。
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マキア【石見 舞菜香】:数百年の寿命を持つイオルフの少女。おとなしく見えるが芯は強い。イオルフがメザーテ軍の襲撃を受けた時、そこから偶然逃れ出て、赤ん坊のエリアルを拾う。以後、エリアルの母であろうと心に決めて、エリアルを育てていく。
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エリアル【入野 自由/櫻井 優輝(幼少期)】:マキアが助けた人間の子供。流れ者の集落が賊に襲われ、エリアルだけが生き延びていた。
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レイリア【茅野 愛衣】:マキアの友達のイオルフの少女。マキアとは対照的にはつらつとした性格。メザーテ王の命令によりイゾルに捕えられてしまう。
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クリム【梶 裕貴】:マキアの友達のイオルフの少年。レイリアと恋心を抱きあっていた。
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ラシーヌ【沢城 みゆき】:イオルフの長老として種族を束ねている。マキアに「イオルフの外に出たら人を愛してはいけない」と説く。
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ミド【佐藤 利奈】:エリアルと出会ったばかりのマキアが迷い込んだ、ヘルム農場の女主人。女手ひとつで、二人の息子を育てている。
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ラング【細谷 佳正】:ミドの息子。幼いエリアルの兄貴分として一緒に過ごす。
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ディタ【日笠 陽子】:エリアルたちの幼馴染。
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メドメル【久野 美咲】:メザーテの姫。
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イゾル【杉田 智和】:メザーテの軍人。王の命でイオルフに侵攻し、レイリアを連れ去る。
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バロウ【平田 広明】:仕入れたヒビオルを各地で売るために旅をしている。
ネタバレになりますが、以前のブログの記事で書いた、より詳しいあらすじを再掲すると、次のような感じです。
10代後半の若い容姿のまま数百年も生き、ヒビオルと呼ばれる布を織って暮らすイオルフの一族の15歳の娘マキア(石見舞菜香)は、親を亡くし、長老のラシーヌ(沢城みゆき)のもとで暮らしている。独りぼっちを悲しむマキアに、もし外の世界に出ることがあったら、人を愛してはいけない、本当の一人になってしまう、と教え諭すラシーヌ。
同世代のレイリア(芽野愛衣)、クリム(梶裕貴)とは友達で、秘かにクリムに想いを抱いていたが、ある夜、2人が恋仲であることを知ってしまう。その時、イゾル(杉田智和)率いるメザーテ軍が空飛ぶ古の獣レナトに乗って来襲するが、レナトのうちの1頭が病気で正気を失って暴れ出す。レナトにからまったヒビオルに巻き込まれたマキアはレナトに外の世界に連れていかれてしまう。
森の中で意識を取り戻したマキアは、遠くからかすかに赤ちゃんの泣き声がするのに気付き、盗賊に襲撃され亡くなった母親に守られた赤ちゃんに出会う。運命的な出会いを感じたマキアは、赤ちゃんを助け出し、ミド(佐藤利奈)の家に迷い込む。ミドは、女手ひとつでラングとデオルの2人の息子を育てながら農場を営んでいるが、マキアを優しく受け入れ、マキアはエリアルと名付けた赤ちゃんとミドの家で暮らすことになる。
数年が経ったある日、マキアはレイリアがメザーテの王子と結婚することを知り、エリアルを連れてメザーテの都に向かう。その船の中で、マキアはレイリア救出を狙うクリムと再会し、行動を共にする。結婚パレードの最中に救出作成を結構したクリムたちは、いったんはレイリアを救出することに成功するが、レイリアは王子との子どもを身籠っていることをマキアに伝え、「もうクリムには会えない」と救出を拒み、嫁いでいく。
さらに数年が経ち、マキアとエリアル(入野自由)は、製鉄で栄える街にいた。マキアたちは、マキアが働く酒場に客としてやってきたラング(細谷佳正)と再会する。ラングはメザーテの軍で隊長となっていたのだ。ラングはマキアに農場に戻って一緒に暮らそうと告白するが、マキアはエリアルのことだけを考えていたいと断る。一方、成長してマキアに複雑な感情を抱くようになったエリアルは、ラングにメザーテの軍に入る口添えを頼み、マキアのもとを去る。
さらに時が経ち、クリムは周辺の国を焚き付けてメザーテと戦わせ、混乱に乗じてレイリアを救おうとする。クリムに捕らえられていたマキアはクリムと共にメザーテの王宮に向かうが、その途中、産気づいた女性の苦しみの声が遠くでするのに気付く。そのもとに向かうと、その女性はエリアルの妻ディタ(日笠陽子)だった。マキアは苦しむディタを励まし、その出産を見届ける。
その時、エリアルは、メザーテ軍の一兵士として来襲する敵軍と戦って負傷する。エリアルが意識を取り戻すと、そこにはマキアがいた。マキアはエリアルにディタの赤ちゃんが生まれことを伝え、引き止めようとするエリアルのもとを去る。
一方、王宮に侵入したクリムは、レイリアと再会するものの、自分が生んだ子メドメル(久野美咲)に会いたいと一心に願うレイリアに絶望し、一緒に死のうと絨毯に火を放つが、そこに掛け付けたイゾルによって銃撃され、命を落とす。マキアはレイリアを救出し、イオルフの地に戻る。
それから長い年月が過ぎ、マキアはかつてミドたちと暮らした家に年老いたエリアルを訪ねる。エリアルは、戦争の後、ラングの助力もあって、この家で暮らしてきたが、その命も終わりを迎えようとしていたのだ。手を握ってそれまでの人生をねぎらうマキアに、エリアルは感謝の気持ちを伝え、亡くなる。
マキアはエリアルとの日々を回想し、号泣するが、エリアルを愛して良かったと思うのだった。(ここまで)
改めて観ても、やはり感動的な作品。最初は、主人公のマキアをはじめ、ビジュアルや声にやや違和感もあるのですが、次第に引き込まれ、涙なしには観られませんでした。美しい映像も印象的です。上映終了後、スクリーンの照明が付くと、涙を拭っている人が数多くいらっしゃいました。中には、誇張ではなく本当にタオルで涙を拭いている方もいました。再びスクリーンで観ることができて、本当に良かったです。
なお、入場者特典でポストカードをいただきました。公開4周年時に公式SNSで掲載されたキャラクターデザインの石井百合子さん描きおろしのイラストだそうです。
先に書いたとおり、この上映は3月2日(木)で終了する予定です。再びスクリーンで観ることができる貴重な機会だと思うので、気になる方はぜひ足を運んでほしいと思います。