鷺の停車場

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劇場アニメ「大雪海のカイナ ほしのけんじゃ」

仕事が休みの日の夕方、TOHOシネマズ流山おおたかの森に行きました。


この日は世間的には平日ということもあり、16時過ぎのロビーにお客さんはまばらでした。


この日の残りの上映スケジュール。既に上映が終わった回も含めると、この日は計25作品・28種類の上映が行われていました。


観るのは「大雪海のカイナ ほしのけんじゃ」(10月13日(金)公開)。全国81館と中規模での公開です。


(チラシの表裏)


(その前に配布されていた別バージョンのチラシ)

2023年1月から3月までの2023年冬クールにTOKYO MXなどで放送されたオリジナルテレビアニメ「大雪海のカイナ」の劇場版で、主なスタッフは、原作:弐瓶勉東亜重工)、監督:安藤裕章、シリーズ構成:村井さだゆき、脚本:村井さだゆき・山田哲弥、キャラクターデザイン:福士亮平・小谷杏子、アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズなど。

 

公式サイトのイントロダクションによれば、

 

文明が衰退し雪海ゆきうみに沈んだ惑星。
人類は巨木「軌道樹」から広がる世界でかろうじて暮らしていた。文字が読める少年・カイナと雪海の王女・リリハは、水源となる「大軌道樹」へと向かうが、そこにあったのはビョウザン率いる独裁国家・プラナトだった。
「建設者」と呼ばれる兵器を自在に操り、人類のためとして大軌道樹の破壊をもくろむビョウザン。
そして、失われた「文字」を読み解き、滅びゆく世界の謎に迫るカイナとリリハ。
終末世界を舞台に展開する、ポスト・アポカリプスファンタジー超大作!

 

・・・という作品。

 

主な登場人物は、

  • カイナ【細谷佳正】:天膜の村で暮らしている少年。雪海にも人がいると感じている。リリハを送り届けるため、一緒に天膜の村からアトランドに下りる。

  • リリハ【高橋李依】:大雪海の国、アトランドの王女。賢者を求めて天膜を目指し、カイナと出会う。

  • ヤオナ【村瀬歩】:リリハの弟。機転がきく、やんちゃな少年。

  • オリノガ【小西克幸】:アトランドに忠を尽くす親衛隊長。

  • アメロテ【坂本真綾】:黒い鎧を身に纏った、謎多きバルギアの士官。

  • ンガポージ【杉田智和】:したたかなアメロテの副官。

  • ハレソラ【堀内賢雄】:アトランドの厳格な王。リリハとヤオナの父親。

  • ムルノタ【大原さやか】:ハレソラの家臣。

  • ノゼ【熊谷健太郎】:バルギアの下層で暮らす盗賊団のリーダーの少年。

  • チル【諸星すみれ】:ノゼの妹。リリハのペンダントを盗んだ。

  • ビョウザン【花江夏樹】:「建設者」を自在に操り、「大軌道樹」に構える独裁国家・プラナトを率いる。人類のためとして大軌道樹の破壊をもくろむ。

  • ビョウザンの母親【桑島法子】:プラナトを支配する息子・ビョウザンに異を唱え、プラナトの旧市街に幽閉されている。

というあたり。

 

テレビアニメシリーズは、放映時に全話録画していたのですが、その時には、キャラクターデザインや画調がピンと来なかったので、録画したのみで見ずじまいになっていました。劇場版が公開されるということで、ざっと駆け足で視聴してから、劇場版を観に行きました。

実際に観てみると、映像の美しさと迫力、弛みのない展開に引き付けられ、最後まで面白く観ることができました。ラストはほとんどの謎が解明されて大団円を迎えるので、消化不良感も残らず、満足できる仕上がりでした。作品のテーマ的には、自然との共生という点で、「風の谷のナウシカ」などと共通するところを感じました。

 

ここから先はネタバレになりますが、備忘を兼ねて、より詳しいあらすじを記してみます。

 

舞台は、文字などの高度な文明が失われ、地表を覆った「大雪海」から逃れて、各地にそびえ立ち水が得られる「軌道樹」と呼ばれる巨樹の下に街を作って人々が生活する世界。
徐々に各地の軌道樹は枯れ始め、各地で貴重な水を求めて戦争が起きていた。軌道樹の上にある天膜の村で育ったカイナは、賢者を求めて天膜にやってきた軌道樹の麓にある小国・アトランド王国の王女リリハと出会い、リリハを送り届けるために大雪海の国・アトランドに下りる。そこに、賢者が遺した巨大なロボット型の兵器「建設者」を所持する侵略国家バルギアが侵攻してくるが、カイナは天膜の村の長老から授けられた「樹皮削り」と呼ばれる賢者の遺物の兵器で建設者を撃破し、それを操縦していたバルギアの提督ハンダーギルは、アトランドの親衛隊長オリノガの狙撃に倒れる。提督を失ったバルギアは降伏し、アトランドは降伏を受け入れてバルギアの国民を保護する。

 

というところまでが、テレビアニメシリーズの大まかなあらすじ。劇場版は、それに続くストーリーを描いています。

 

バルギアとの戦いに勝ったアトランド。カイナと一緒に天膜の村で暮らしていた人々は救出されてアトランドに下りてくる。カイナ、リリハ、ヤオナたちは、水不足を克服するため、賢者の残した地図を基に、水源がある大軌道樹に向けて船を出すことになり、アメロテの指揮するバルギアの兵士たちが操縦する船に乗って出発する。道中、バルギアの兵士たちはアトランドに対する不満をアメロテに漏らし、アメロテはその心情を受け入れた上で自分に従うよう命ずる。

大軌道樹に向かう難関と予想されていた大海溝にやってくると、巨大な壁のような海面が立ち塞がっていた。アトランドは大海溝の下側にあったのだ。判断を迫られたリリハは、獣がその海面を登っていくのを見て、進むことを決断するが、あまりの傾斜に船を浮かせるために必要な大浮遊棒を固定していたロープが切れてしまい、バルギアの兵士たちは窮地に陥る。しかし、アトランドの親衛隊長オリノガが率先してそれを助けたことで、乗員たちは一丸となってそれを乗り越え、大海溝を登り切ることに成功する。

しかし、大海溝を登り切って間もなく、高度な攻撃能力を持つ船に攻撃される。カイナとリリハはその際の衝撃で雪海に落下してしまい、何とか一命を取りとめて漂流する船の残骸につかまるが、残りの乗員たちは乗っていた船とともに拿捕されてどこかへ連れていかれる。

船の残骸の上に残されたカイナとリリハは、拿捕された者たちを救出しようと考え、船の残骸をイカダのように操って大軌道樹のすぐ手前にあるプラナトの城に到着する。潜入した2人は、最高指導者のビョウザンがアメロテを付き従えて労働者の代表たちの前に姿を現し、大軌道樹を切断してこの世界を救う事業を進めるために「権限者の服」を手にすることを宣言するのを目撃する。隠れているのを気付かれた2人は逃げて一度は逃れるが、アメロテによって捕らえられ、カイナは地下に送られ、リリハはビョウザンの前に連れていかれる。

ビョウザンは、プラナトに遺されている賢者たちの資料を研究し、雪海を作り出しているのは大軌道樹で、それを切断することで世界を救えると考え、建設者に大軌道樹の切断を命ずるために必要となる権限者の服を手に入れようとしていた。ビョウザンは「ひかり」とリリハが呼ぶ精霊を見ることができるリリハに協力しないかと持ち掛けるが、リリハはそれを拒否し、離れに幽閉される。

アメロテは、ビョウザンにうまく取り入って、バルギアの兵士たちからが労働者となることから救っていた。バルギアの兵士たちは、反乱を起こしてアメロテが王になればいいと進言するが、アメロテは、その後はどうするのだ、と逡巡し、リリハがどう選択するのかを気にする。

地下に送り込まれたカイナは、ヤオナ、オリノガなどアトランドの乗員たちと再会する。アトランドの者たちは「労働者」として地下に送られ、賢者の遺産が残る「始まりの地」で権限者の服を手に入れるため、奴隷のように働かされていた。

カイナは、巨大な亡霊が出ると労働者たちが恐れる始まりの地の最深部に送り込まれ、案内する労働者から、権限者の服があると思われる空間に近づくと亡霊が出現し、発狂したり、最悪の場合は死んでしまう者もいると聞かされる。最深部に近づくと、他の労働者は出現した亡霊を見て怯えて逃げ出してしまうが、カイナにはその亡霊は見えず、無事に戻ってくる。

一方、幽閉されたリリハは、監視役の手引きで、プラナトの旧市街に幽閉されているビョウザンの母と会う。ビョウザンの母は、プラナトは12人の長老の合議で運営されていたが、ビョウザンが賢者の資料の研究を制限する長老たちを殺害して実権を握ったことなどを話し、ビョウザンの考えが正しいかどうか分からないが最後の決断はリリハにしてほしいと託す。

カイナは、オリノガたちとリリハを救おうと相談し、カイナが権限者の服を手に入れて戻ってきたところで、反乱を起こし、地上に上がってリリハを救出することを計画する。

翌日、カイナは別の最深部に単身で送り込まれる。奥に進むと死んだ労働者が2人倒れており、その先には扉が、その脇には数字が並ぶパネルがあった。壁の上部に、「1032」と書かれているのを見たカイナが、その数字をパネルに入力すると、扉は開錠される。その部屋にカイナが入り、置かれていた宇宙服のような権限者の服を持ち上げると、置かれていた数多くのコンピューターのような箱状の物が一斉に起動し、壁には多くの情報が映し出される。

カイナは、それらの情報を読み取った後、権限者の服を持って戻る。それを契機に、オリノガたちは反乱を開始、監視役などを倒し、地上に向かおうとするが、ビョウザンが起動させた建設者により、権限者の服を持ったカイナは捕らえられてしまう。ビョウザンはリリハを連れて城の上部に上がり、建設者がカイナを連れてくるのを待つ。

一方、建設者からの攻撃をかわして地上に出たオリノガ、ヤオナたちだが、アメロテ率いるバルギアの兵士たちが対峙する。

そこに連れてこられたカイナは、権限者の服があった部屋で解読した情報から、軌道樹が雪海を作り出したのは、賢者たちが人間の住める環境にするために必要な過程であり、その過程・地球化は既に終わっていることを説明して思いとどまらせようとするが、ビョウザンはそれには耳を貸さず、カイナから権限者の服を奪い、城の最上部へリリハを無理やり連れていく。

カイナの言葉を聞いたアメロテは、寝返ってオリノガたちとともに戦い、カイナに彼の武器である銛を投げ渡す。それを受け取ったカイナは、銛を打ち込んでその縄と伝って最上部へと向かう。

大軌道樹を切断しようとするビョウザンに、そうすれば天膜が落下して多くの人間が死んでしまうとリリハは盾突くが、ビョウザンは建設者を使ってリリハが身動きが取れないよう捕らえ、建設者を起動させて大軌道樹の切断を開始させる。それにより、天膜で大軌道樹とつながっている各地の軌道樹でも異変が起こり、アトランドの国の人々も異変を察知して不安に襲われる。

最上部まで上がってきたカイナは、権限者の服を破壊しようとそのヘルメット状の頭部の透明なシールドに向けて銛を撃つが、権限者の服のシールドはじかれてしまう。ビョウザンはカイナを殺そうと建設者に攻撃させるが、その攻撃をいったんかわしたカイナは、同じく賢者の遺物であるリリハがかつて拾ったペンダントを銛の先端に括りつけて再びビョウザンを撃つと、銛は権限者の服のシールドを破壊し、ビョウザンは雪海へと落下していく。カイナはリリハを救出するが、権限者の服が破壊されても、その前にビョウザンが出した命令は止まらず、建設者は大軌道樹の切断を続けていく。

カイナの言葉を信じたリリハは、地球化の過程が終わったことを伝えようとカイナに話し、カイナとリリハは手をつなぎながら、そこに現れた精霊に地球化を完了したことを伝える。すると、精霊が大軌道樹に向かって飛んでいき、大軌道樹は幹の根元から切り離され、空に昇っていく。そのほかの軌道樹でも同じように幹の根元から切り離された軌道樹が空に昇っていく。その様子を、雪海に落ちたビョウザンはただただ呆然と見つめる。そして、昇っていった軌道樹が空高くで崩壊すると、雪海は霧散し、海に水が戻ってくる。

その後、アトランドに戻ったカイナは、賢者の資料に書かれた知識を使って、畑を作る人たちを指導しているところを呼び出される。その日は、リリハとカイナの結婚の日だった。オリガノたちは主役の遅刻に呆れるが、リリハのもとにやってきたカイナは、行こう、とリリハの手を取って歩き出し、人々は2人の結婚を祝福する。

(ここまで)

 

上記のとおり、内容的にはテレビアニメシリーズの最終話の直後に続く続編で、世界観の設定やキャラクターもテレビアニメ版を引き継いでいるのですが、初めて観る人向けの説明は全くないので、テレビアニメ版を見ていない人だと楽しめないかもしれません。今は各種配信サービスでも見ることができるようなので、気になる方はテレビアニメ版の内容をざっとでも確認してから観た方がいいだろうと思います。