鷺の停車場

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アニメ「四月は君の嘘」④第19話~第22話

四月は君の嘘」の紹介の続き、最終話までを。

引き続き、公式サイトに掲載されている各話あらすじを引用しながら紹介します(以下<   >内は公式サイトからの引用です)。

第19話「さよならヒーロー」

<公生と凪の連弾を聴き、もう1度公生と演奏するために手術を受けることを決意したかをり。次のコンクールに向けて練習を開始した公生を叱咤激励しつつ、再び舞台を目指し自らもリハビリに挑む。>

原作の第37話「約束」・第38話「さよならヒーロー」に相当する部分。Blu-ray・DVDでは前の第17・18話とともに8巻に収録。

再び公生と演奏したいと願い、リスクの高い手術を受けることを決めたかをり。公生が見舞いに行くと、かをりは病室にはおらず、もう一度ヴァイオリンを弾きたいと必死にリハビリに励んでいた。両親は、投げやりになっていたかをりを前向きにさせてくれた公生に感謝の気持ちを伝える。夜中まで練習に励む公生を心配する椿。
コンクールの予選に臨む公生は、絵見や武士とタマゴサンドについて何気ない会話を交わすが、それぞれの思いを抱いてステージに立つ。3人は順当に予選を突破して本選に進む。武士は、自分の中のヒーローだった公生と決別して、自分の道を進むことを決意する。

第20話「手と手」

<いつも通りかをりの見舞いに行こうとする公生だったが、渡が先に訪ねていることに気づき、見舞いを遠慮する。そんな公生を見た椿は、自分の気持ちに素直になれない公生にもどかしさを感じていた…。>

原作の第39話「雨やどり」・第40話「手と手」に相当する部分。Blu-ray・DVDでは第21話・最終話とともに9巻に収録。

私と恋するしかないの、と公生に語り、自分を変えようと一歩踏み出した椿。しかし、公生はそれに戸惑い、練習に熱が入らない。かをりへの思いが恋であることに気付いた公生だったが、渡と一緒に見舞いに行くと、かをりは容態が急変し、会うことができず追い返されてしまう。その帰り道、かつて飼っていた猫とよく似た黒猫が車にひかれているのを見つけ、必死に病院に連れていくが、死んでしまう。かつての母と同じように、ピアノに向かうことで、かをりがいなくなってしまうのではないかと、公生は極度の不安に襲われる。

第21話「雪」

<かをりの容体が急変する場に居合わせてた公生は、そのショックからまたピアノに向き合うのをやめてしまう。音楽が大切な人を連れ去っていく…。過去のトラウマが頭をよぎり、公生は再びひとりぼっちになっていた。>

原作の第41話「雪」・第42話「アゲイン」に相当する部分。

かをりの容態の悪化でピアノに向き合えなくなってしまった公生。電話にも出ない公生にしびれを切らせた紘子が公生の家に乗り込むが、公生はうなだれて座り込み、無理です、どうしてこうなっちゃうの、もう頑張れない、と泣く。音楽が大切な人を連れ去ってしまう、その気持ちに押しつぶされていたのだ。そんな中、かをりは、渡に手紙を託して公生を呼び出し、雪が降る病院の屋上で、奇跡なんてすぐ起こっちゃう、私の中に君がいるよ、と元気付けるが、手術への不安から、何でも知ってる椿がうらやましい、君のことたくさん知りたい、怖いよ、私を一人にしないで!と本心を公生に訴える。
そうして迎えたコンクールの日は、かをりの手術の日。武士と絵見は最高の演奏を披露する。一方、公生は、紘子が何とか会場に連れてきたものの、とても弾ける状態ではない。武士や絵見も心配するが、公生は、弾かなきゃ、と自分に言い聞かせるように何度もつぶやき、真っ青な顔で何とかステージに上がる。ピアノの前に座ったものの演奏を始めるのを逡巡していた公生だったが、客席のくしゃみを聞いて、椿が会場に来ていることに気付き、みんなが見ているんだ、応えなきゃ、と気持ちを取り戻し、演奏を始める。その演奏は、カラフルに色づいていた。悲しげに。

最終話(第22話)「春風」

<舞台に立っているのは、周りの人がいたから、支えてくれる人がいるからだと気付いた公生。みんながくれた音を奏で、かをりに届けるべく、公生はすべての思いを演奏に乗せる。>

原作の第43話「バラード」・第44話(最終話)「春風」に相当する部分。

みんな見てる、僕はみんなに応えなきゃ、と全ての思いをピアノに乗せて演奏する公生。耳を澄ませば、僕はたくさんの音であふれている、僕らは、誰かと出会った瞬間から、一人ではいられないんだ、僕らはつながっている、と思いながら。そこに、ヴァイオリンを弾くかをりの幻影が現れる。公生はかをりとの演奏を愛おしむように一緒に演奏するが、終わり近くになって、かをりの幻影が光輝きながら消え始める。行かないで!と公生は心の中で叫ぶが、ついには姿を消してしまう。かをりの死を悟った公生は、その悲しみをピアノにぶつけ、演奏を終えると、さよなら、と心の中で別れを告げる。このかをりとの合奏シーンはちょっとあれっ??と思うところもありますが、かをりの幻影が消えて現実の光景に戻った後の落差は鮮やかで、涙なしに見れません。
コンクールの後、かをりの墓参りに訪れた公生は、かをりの両親から、感謝の言葉とともに、生前のかをりが公生宛てに書いた手紙を渡される。学校の帰り道で公生はその手紙を開く。そこには、5歳の公生が初めて出た発表会でカラフルな音でメロディが踊り出す演奏に憧れて、公生と一緒に演奏したいとピアノをやめてヴァイオリンを始めたこと、同じ中学校と分かって舞い上がっても遠くから眺めるだけだったが、自分の命が長くないことを知って、悔いを残さないよう公生に近付いたこと、さらに、かをりが1つ嘘をついていたこと、そして最後に、公生への告白と感謝の言葉が綴られていた。
読み終わった公生のもとに椿がやってくる。どう話していいか迷う公生に、椿は一発蹴りを入れる。痛がる公生に、一人になんてなれると思うなよ、背後霊みたくずっとずうっとそばにいてやるんだからな、覚悟しとけ!と叫ぶ椿なりの告白。ふっと表情を緩める公生なのだった。

 

全部見終えて思ったのは、どこか「君の膵臓をたべたい」と似ているなあ、ということ。

死が近いことを知った女の子が、気になっていたちょっと冴えない男の子に急接近し、強引に振り回す。そうしていくうちに、男の子の方も女の子に惹かれていくが、女の子は亡くなってしまい、死後に男の子が残された自分宛てのメッセージを読む、という基本構造は、けっこうそっくりです。もっとも、キミスイでは、男の子は彼女の死が遠くないことを最初から知っている、女の子は病気でなく不慮の事故で亡くなる、音楽家の道・男の子のトラウマの克服といった要素はなく成長物語の要素は薄い、男の子に本作での椿や渡のような友人などはいない、などなど、相違点も少なくないのですが。

調べてみると、「四月は君の嘘」の原作マンガの連載は2011年5月号~2015年3月号、一方、「君の膵臓をたべたい」の原作小説の出版はその後の2015年6月ですが、実際の執筆はその数年前だったようなので、一方がもう一方に影響を与えたという関係にはなさそうですが、ほぼ同時期に、似た構造の物語が生み出され、評価されたことは、単なる偶然ではないように思います。

なお、本作は、アニメ放映終了の翌年に、広瀬すず、山﨑賢人の主演で実写映画化されています。

四月は君の嘘 DVD 通常版

四月は君の嘘 DVD 通常版

 

ちょっと興味もあるのですが、アニメの素晴らしい描写を見てしまった後では、描写の落差やビジュアルの相違による違和感を感じてしまいそうで、観るのが怖くなります。アニメ版の残像が強く残っているうちは、とてもがっかりしてしまう可能性が高い気がするので、観ない方がいいのだろうあなあという気がしています。