鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

「劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~」

響け!ユーフォニアム」の劇場版の第2弾「劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~」(2017年9月30日(土)公開)をDVDで観ました。

f:id:Reiherbahnhof:20190315001711j:plain

テレビアニメ版の第2シリーズ「響け!ユーフォニアム2」は以前ひととおり見ています。この作品はその総集編的な劇場版ですが、単純なダイジェストではないようだと聞いて、観てみることにしました。

映画は、子どもの頃の田中あすか寿美菜子)の家に、離別した実父で有名なユーフォニアム奏者である進藤正和から贈られたユーフォニアムが届くシーンから始まり、次いで、関西大会の本番直前、部員たちを鼓舞するあすか、そして関西大会のステージ、と思ったら、テレビアニメ版では加藤葉月朝井彩加)、中川夏紀(藤村鼓乃美)たちが舞台袖で聞く最後の数秒しか出てこなかった課題曲「プロヴァンスの風」の演奏シーンがフルに描かれる中にクレジットが流され、課題曲が終わると同時に映画タイトル画面に切り替わって、本編に移っていきます。課題曲の本番シーンは全国大会を含めテレビアニメ版では出てこなかったような気がするので、劇場版での新規カットなんですね。

全体として、原作小説・テレビアニメ版の主人公であるユーフォニアム1年生の黄前久美子黒沢ともよ)と、同パートの3年生のあすかとの関係をメインテーマに再構成されています。

テレビアニメ2期の前半、第4話あたりまで描かれるフルート2年生の傘木希美(東山奈央)の復部騒動でその親友オーボエ2年生の鎧塚みぞれ(種﨑敦美)に生じるトラブルとか、トランペット1年生の高坂麗奈安済知佳)の滝先生(櫻井孝宏)への片思いなど、テーマに直接関係のないシーンはバッサリとカットされている一方、テレビアニメ版では全く描かれなかった、全国大会ステージでの本番シーンは、自由曲「三日月の舞」の演奏シーンをフルに描くなど、テーマに沿って必要なシーンが新たに追加されています。なお、この全国大会の自由曲の演奏シーン、画は見た感じ細かいカット割りも含めてほとんどテレビアニメ版での関西大会の演奏シーンの流用で、何だかなあとちょっと思いましたが、演奏自体は耳で聴く限りテレビアニメ2期の第5話でフルに流れた関西大会での演奏シーンとは別に収録されたもののようです。

テレビアニメ2期シリーズは全13話だったはずで、全部合わせれば本編部分だけで4時間は超えるでしょうから、劇場版にするに当たってテーマを絞って再構成するのは、一つのやり方だと思いますし、この作品ではそれが奏功していると思います。

前提となる人物設定とか、初見の人向けの説明は皆無なので、テレビアニメ版(あるいは原作小説)を知らないとなかなか楽しめないだろうと思いますが、テレビアニメ版を見た人には、新たなシーンも意外に多く、テレビアニメ版とはちょっと違った新鮮な感覚で観ることができるのではないかと思います。