鷺の停車場

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内藤騎之介「異世界のんびり農家 02」

内藤騎之介さんの小説「異世界のんびり農家 02」を読みました。

2023年1月から3月までの2023冬クールに全12話が放送されたテレビアニメ版の原作小説の第2巻で、2018年3月に単行本として刊行されています。第1巻に続けて読んでみました。

 

出版元の公式サイトには、次のような紹介文が掲載されています。 

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農村、絶賛拡大中!!

「新しい村をつくって、村人を集めよう」
村の安定のために、新しい村づくりを決めた村長・火楽(ヒラク)。
たちまちケンタウロスミノタウロスなどの異種族移民が現れて……みるみるうちに農村『大樹の村』の周辺は賑やかさを増していく!!
異世界を『万能農具』で切り拓く、ほのぼのスローライフ・ファンタジー第二弾!!

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主な登場人物は、次のようなもの。

  • ラク〔街尾 火楽(まちお ひらく)〕:39歳で命を落としたが、神様の計らいで異世界に転移し、授けられた『万能農具』を使って農業を始め、『大樹の村』の村長になる。

  • クロ/ユキ:ヒラクに助けてもらい、そのまま定住する。ヒラクは大きな犬だと思っているが、インフェルノウルフと呼ばれる狼。その子供は、ヒラクによってクロイチ、クロニ、クロサン、クロヨンと名付けられる。クロサン(メス)のパートナーがウノ。

  • ザブトン:巨大なクモで、デーモンスパイダー。尻から出す糸で布だけでなく服を作る。ジャガイモが好き。子のうちの一匹がマクラ。

  • ルールーシー=ルー:身体のサイズを自由に変化できる吸血鬼。森でヒラクと出会い、ヒラクから熱烈なプロポーズを受け、妻として一緒に暮らすようになり、息子アルフレートを生む。ルーと呼ばれる。

  • ティア:「殲滅天使」との異名を持つ天使族。ルーを追って森に訪れ、ルーの誘いでヒラクの妻として一緒に暮らすようになり、妊娠する。

  • リア/リゼ/リタ/リコット/リース/リーフ/リリ:ハイエルフの一族で、全員が姉妹や従姉妹同士。長く死の森の中を放浪していたが、ティアの誘いでヒラクたちと一緒に住むようになる。建築に長けており、村で大工や畑の収穫、森での狩りなどを担う。

  • ラファ/ラーサ/ララーシャ/ラル/ラミ:リアたちの後にクロの子供たちに追い立てられてヒラクたちのもとにやってきたハイエルフの一族。こちらも全員が姉妹や従姉妹同士。

  • フローラ=サクトゥ:ルーの従姉妹の吸血鬼で、フローラと呼ばれる。ルーを探してヒラクたちの元にたどり着く。薬造りが得意。

  • アン:フローラが連れてきた鬼人族のメイド長。村では家事やヒラクたちの世話を担う。

  • ラムリアス:鬼人族メイドの一人。セナたちハウリン村からの移住者の世話役を務める。

  • グランマリア/クーデル/コローネ:ティアが連れてきた部下の天使族。「皆殺し天使」との異名を持つ。村の周囲のパトロールを担う。

  • ダガ:ティアがグランマリアたちとともに連れてきたリザードマンのリーダー。見た目は二足歩行するトカゲという感じ。見分けがつかないヒラクの求めで、ダガだけ右腕にスカーフを巻いている。村で力仕事を担う。

  • セナ:獣人族の娘。大樹の村の東の山にあるハウリン村村長の娘で、ハウリン村から大樹の村への移住者の代表。

  • ドノバン/ウィルコックス/クロッス:良い酒があると聞いて大樹の村にやってきたエルダードワーフ。酒を作る技術を持ち、大樹の村に定住して酒造りを担う。

  • ラスティスムーン:狂竜(クレイジードラゴン)の異名を持つドライムとグラッファルーンの娘の竜で、ラスティと呼ばれる。グラッファルーンの命令で大樹の村に住むことになり、外交担当を担う。

  • ブルガ/スティファノ:ラスティが自分の使用人として連れてきた悪魔族。
  • フラウレム=クローム:ガルガルド魔王国の魔王の使者ビーゼルの娘の魔族。父の命で大樹の村の監視役として村へ移住する。フラウと呼ばれる。

  • ルフレート:ヒラクとルーの間に生まれた息子。

  • ハクレン:ドライムの一番上の姉で真竜(エンシェントドラゴン)との異名を持つ。大樹の村にやってきてからは村の教師役を務める。

  • 文官娘衆:ユーリに大樹の村を攻めるよう唆し、それを制圧したフラウにより部下として村で暮らすことになった魔王国の娘たち。ドロワ伯爵の次女のラッシャーシ、マモンロズ子爵の次女のロアージュなど。

  • ヤー:ハクレンが大樹の村に連れてきた山エルフのリーダー。とある山中で暮らしていたが、食糧事情が悪化してやってきた。ヤーの補佐役はヒテルトー。

  • ティゼル:ヒラクとティアの間に生まれた娘。
  • ガルフ:ヒラクたちのいる森の東の山の中にあるハウリン村の住人の獣人族でハウリン村の戦士たちのリーダー。大樹の村に交易を求めて訪れた。

  • ビーゼル:フラウの父で魔王国の四天王の一人。ヒラクの村を調べるために訪問するが、圧倒的戦力を秘めた者たちが住人として集まっていることに驚く。

  • ドライム:門番竜(ゲートドラゴン)との異名を持つ竜。人間の姿になると長髪の紳士。食べ物と酒に惹かれて、大樹の村へ入り浸るようになる。
    なお、竜の一家は、ドライムとハクレンの父が竜王(エンペラードラゴン)の異名を持つドース、母が南方に住む台風竜(ハリケーンドラゴン)の異名を持つライメイレン、ドライムの妻が白竜姫(ホワイトドラゴン)との異名を持つグラッファルーン、ドライムの2番目の姉が魔竜(スペルドラゴン)の異名を持つスイレンスイレンの夫が悪竜(イヴィルドラゴン)との異名を持つマークスベルガーク(マーク)、スイレンの娘が暴竜(ラースドラゴン)の異名を持つヘルゼルナーク(ヘルゼ)、ドライムの妹が火炎竜(ファイヤードラゴン)の異名を持つセキレン、ドライムの弟がドマイム、という構成。

  • グッチ:ドライムの従者の悪魔族。
  • マイケル=ゴロウン:南の港町・シャシャートのゴロウン商会の会頭を務める商人。村の御用商人となる。

  • ラミア族:大樹の村の南側にあるダンジョンの奥で暮らしている上半身が人間、下半身がヘビの種族。クロやザブトンの子供たちに屈服して村を訪れたことで、友好関係となる。族長はジュネア。戦士長がスーネア。

  • ユーリ:ガルガルド魔王国の支配者である魔王の娘。かつてフラウが学友を務めていた。取り巻きに唆されて大樹の村を攻めようとするが、それを知ったビーゼルとフラウにより村にたどり着く前に制圧され、フラウによって村に連れてこられ、しばらく滞在する。

  • 始祖様:ルーの祖父の吸血鬼で、人間の住む地域で最大勢力を誇る宗教のコーリン教の宗主。4000年くらい生きている。ルーが子供を生んだと聞いて村にやってくる。

  • ゴードン:村にやってきた、頭に牛のような角を持つ種族・ミノタウロスの代表者。

  • グルーワルド=ラビー=コール:村にやってきた、下半身が馬の種族・ケンタウロスの代表者。

  • イグ:村にやってきた、切り株や人間の姿に変化できる種族・ニュニュダフネの代表者。

というあたり。

本作は、5章で構成され、それぞれの章は、序章を除いてさらに細かい節に分かれています。それぞれの章のあらすじ、概要は次のような感じです。

 

序章 時の流れ

ラクが木の板に刻み付けた、という体裁で記された、村人たち登場人物の紹介。

一章 トラブルの来訪

1 娯楽文化とラミア

ラクは室内の娯楽用に、ケンダマ、お手玉、将棋、双六、積み木、麻雀などを作る。
ダンジョンをアタックしていたクロやザブトンの子供たちが、ダンジョンの奥で暮らしていた上半身が人間で下半身がヘビの魔族のラミア族を引き連れて帰ってくる。ヒラクはお土産を渡してダンジョンに帰し、友好な関係を結ぶ。

2 トラブル竜(ドラゴン)

突然、再び竜がやってくる。ヒラクは槍を投げて竜を仕留めると、村の入口には、ドライムの姉のハクレン、そして、ドライム、ドライムの妻、ラスティ、ドライムの父母と姉夫婦たちが正座していた。ドライムの妻がラスティの里帰りが発端でやってきたと経緯を説明する。ヒラクは竜をもてなす宴席を用意することにする。

3 竜一家

ラクはラスティに竜一家の名前を再確認して覚えようと努める。ドライムの一族を歓迎する宴会は5日ほど続き、備蓄の半分が消える。ドライムの父ドースがお礼を言って、ここに残って奉仕せよとハクレンを置いて帰っていく。竜一族は売れば金になると鱗を置いていったが、トラブルの元になっては困ると、地下室に貯めておくことにする。

4 竜のお礼とハクレン

ドライムの親族に頼まれた遊具をラスティに運んでもらったら、お礼の品を色々持って帰ってくる。その中にあった紙で、ヒラクはトランプや紙芝居を作る。ハクレンに色々な仕事をさせてみるが、最終的には村の住人の教師というポジションに落ち着く。

5 流通

お礼の品の中にあった、村では役立たないダンジョンの管理用の「迷宮の輝石」をヒラクはラミア族に貸し出すことにする。そして、村の作物を報酬に、ドライムの巣までの輸送をしてもらうことにする。マイケルのいるシャシャートの街までの輸送が短縮され、生活が少し便利になる。

閑話 フローラ

フローラの視点から、味噌作りと醤油作りに打ち込む姿を描いた閑話。

閑話 フラウレムの笑顔

フラウレムの視点から、取り巻きに唆された魔王の娘ユーリが村に攻め入ろうとするのを村長たちにバレないように鎮圧することになった顛末を描いた閑話。

6 移住希望の娘

フラウが移住希望の魔族の娘10人と見学者の客ユーリを連れてくる。

閑話 グランマリア

「皆殺し天使」の異名を持つ天使族のグランマリアの視点から、村にやってきた経緯や村での驚きの数々を描いた閑話。

7 ユーリの反省

新しく来た魔族の娘たちは真面目に色々な仕事をするようになる。後で聞くと魔王国のお偉いさんの娘が大半だった。ユーリに村を案内するフラウは、村に攻め込もうと企てたユーリに反省を促す。

閑話 フラウレムの苦悩

フラウレムが、村に連れてきたロアージュが村長の部屋に忍び込もうとしたことに頭を痛める様子を描いた閑話。

8 ユーリが帰る

ラクはフラウが連れてきた娘たちにフラウの下で文官仕事をしてもうらうことにする。村からは、森の北の方にあるダンジョンの調査隊が出発していく。秋の収穫が始まろうかという頃、3か月ほど滞在していたユーリは帰っていく。

9 収穫の秋と山エルフと焼き物

収穫の秋が到来し、ラスティにはドライムの巣とシャシャートの街のマイケルのもとに、ハクレンにはドライムの両親のドースとライメイケンのもとに、それぞれ収穫した物を運んでもらう。ラスティはシャシャートの街の海産物をお土産に帰ってくるが、ハクレンの方は、褐色の肌の山エルフ20人を連れて帰ってくる。妊娠していたティアが元気な女の子を産む。

10 調査隊の帰還と冬到来

ティアの娘はティゼルと名付けられる。やってきた山エルフは甕などの焼き物に力を発揮する。ダンジョンの調査隊が帰ってきて、ブラッディバイパーが何匹か確認されたと報告し、春になったら討伐に行くことにする。
ラクは村の主要人物を集めた会議で、貨幣の導入などについて提案し、貨幣導入の前段階として褒賞メダルを村人に渡すことにする。

閑話 ラミア族の戦い

ラミア族の族長ジュネアの視点から、大樹の村と友好関係を結ぶまでの経緯を描いた閑話。

二章 のんびり日常

1 春と褒賞メダル

春が訪れ、ヒラクは村の畑を1.5倍の24面×32面に、薬草畑を倍の4面×8面に、果実エリアも1.5倍の8面×12面にそれぞれ拡張する。褒賞メダルを1人3枚と、各種族の代表に10枚ずつ配り、褒賞メダルで交換できるリストを作る。色々と問題が出て、ヒラクの思ったとおりには動かないが、まずは1年は頑張ってみることにする。

閑話 とあるハイエルフ

ハイエルフの1人の視点から、褒賞メダルを配られた村人たちの反応を描いた閑話。

2 村人集め計画と運動会計画

種族の代表を集めた会議で、ヒラクが以前から指摘していた、村に男が少ない、ヒラク以外に農作業をする者を育てないといけないという課題を解決するために、人間や魔族を集めて新しい村を作ることが提案され、ヒラクはそれを了承する。ヒラクは、褒賞メダルを賞金にしたイベントとして運動会を開こうと考え、色々と調査するが、文官娘衆の話を聞いて、運動会ではなくお祭りを開こうと考える。

3 お祭り実行委員会と楽器

ラクはお祭りについて村人に説明するが、理解してもらえず、計画をいったん中断する。運動会やお祭りのBGMにと、ヒラクは楽器作りを始め、村には音楽が絶えなくなる。

4 ドワーフの生態と新たな客

ドワーフは、イメージとは違って酒造りに関しては熱心だった。村に変な客がやってくる。その客は、クロやザブトンたちに察知されずに村に来て、クロやザブトンたちも手が出せず、大樹に設置した神様の像の前で拝んでいた。それはルーの祖父の始祖様だった。ヒラクが彫った創造神の像を気に入った始祖様の頼みで、ヒラクは始祖様のために創造神の像を彫る。

5 教会とピアノ

始祖様は、ヒラクが彫った創造神の像を某国の中央神殿に持ち帰り、それを神殿の一番良い場所に祀り、盛大な祭りが行われる。一方、大樹の村には、始祖様がアルフレートとティゼルの誕生祝いに送ったピアノが届き、宿の食堂に設置する。それは世界に3台しかないと言われている大きな儀式の時にしか使わないような立派なピアノだった。怖気づく村人の要望で、マイケルにもう1台のピアノを手配してもらう。

6 新しい村を作る

新しい村を作る場所が決まり、川に橋を架け、道を作り始める。数日かかって、新しい村の建設予定地に到着し、大きな木を中心にして、その周辺を耕し、更地を作る。

7 新しい村作りと調査隊の帰還

新しい村に、井戸、トイレ、社ができ、続いて集会場となる大きな建物や水路を作る。大樹の村には、ブラッディバイパーの討伐にダンジョンに向かったラスティやハクレンたちが帰ってきて、宴会が開かれる。

閑話 とある山エルフの反逆 

1人の山エルフの視点から、山エルフのリーダーのヤーが女に節操のないヒラクに取り入ろうとしているのを快く思わず、邪魔しようとする様子を描いた閑話。

8 村長の一日 朝から昼

ラクのある1日の朝起きてから昼食までの様子の紹介。

9 村長の一日 昼から夜

ラクのある1日の昼過ぎから夜寝るまでの様子の紹介。

閑話 とある鬼人族の一日 早朝

1人の鬼人族メイドの視点から、鬼人族の当番制やこの日は村長のお世話当番となった本人の朝の様子を描いた閑話。

閑話 とある鬼人族の一日 朝から昼から夜 

前節に続いて、村長のお世話当番のなった1人の鬼人族メイドの視点から、1日の村長のお世話当番の様子を描いた閑話。

閑話 誘惑するヤー

山エルフのリーダーであるヤーの補佐役であるヒテルトーの視点から、村長を誘惑しようとするがどこかズレているヤーの様子を描いた閑話。

三章 武闘会

1 お祭りの準備

ラクが温めていたお祭り企画は、村人たちの出身各地のお祭りの名前を書き、クジで決めた結果、武闘会を行うことになる。武闘会は、一般の部、戦士の部、騎士の部の3部門で実施されることになる。ヒラクは、本気で参加されては困ると、竜のハクレンとラスティには審判と模範試合を頼み、騎士の部に出場することになったザブトンの子供に、武闘会で名前がないのも困るので、マクラという名を付ける。みんなの気合の入り方を見て、ヒラクは居住エリアの南側の森を切り拓いて武闘会の会場を作り、お祭りが始まる。ドライム夫妻やその父母、魔王を連れたビーゼルとユーリ、始祖様などが観客としてやってくる。

2 武闘会 一般の部

グランマリアの司会、ハクレンの審判で一般の部が始まる。

3 武闘会 騎士の部

一般の部は、魔族のフラウと獣人族のセナの勝負がベストバウトで、両者負けで終わる。続いて、フラウの司会、ラスティの審判で、戦士の部が勝ち抜き方式で行われ、山エルフのヤーが優勝を収める。

4 武闘会 騎士の部 一回戦 その一

続いて、メインイベントの騎士の部がトーナメント方式で開始される。1回戦の第1試合はティアがグランマリアを圧倒し、第2試合はルーがアンを、第3試合は天使族のクーデルがラミア族のジュネアを、第4試合は悪魔族のブルガがハイエルフのリアをそれぞれ破る。

5 武闘会 騎士の部 一回戦 その二 そして模範試合

さらに、1回戦の第5試合はインフェルノウルフのウノがラミア族のスーネアを、第6試合はデーモンスパイダーのマクラがリザードマンのダガを破る。1回戦が終わった後、人間の姿のハクレンとラスティによる模範試合が行われ、ハクレンが勝利する。

6 武闘会 騎士の部 二回戦

続いて行われた2回戦は、第1試合はティアが悪魔族のスティファノを、第2試合はルーがクーデルを、第3試合はブルガがウノを、第4試合はマクラが天使族のコローネをそれぞれ破る。

7 武闘会 騎士の部 三回戦(準決勝)と決勝

続いて、準決勝となる3回戦が行われ、第1試合はティアがルーを、第2試合はマクラがブルガを破って決勝に進む。決勝では、マクラがティアを破って優勝を決める。武闘会の後は、宴会が開かれる。

閑話 とある魔王の呟き 前編 

魔王の視点から、ビーゼルと娘のユーリに付いて大樹の村の武闘会に観戦に来て、周囲の凄い面々に、内心ビビる姿を描いた閑話。

閑話 とある魔王の呟き 後編 

前節に続き魔王の視点から、武闘会の観戦、宴会と続く中で、大樹の村の凄さに、今後どうしていけばいいか思案する様子を描いた閑話。

8 後片付けと余波

祭りが終わり、祭りの後片付けや観戦に来た来客のお見送りをして、村の雰囲気はいつも通りに戻るが、トレーニングをする者が増えるなど余波もあった。ヒラクはルーやティア、アン、ドノバンと武闘会のことなどについて話を聞く。

9 反省会

ラクは家のホールに各種族の代表などを集め、で武闘会の反省会を開く。ヒラク武闘会をもうやるつもりはないが、周囲は再び武闘会を期待する。

終章 新しい住人

閑話 女王蜂の絶望

グノーシスビーと呼ばれている女王蜂の視点から、村で暮らすことになった経緯を描いた閑話。

1 夏が来てトラブルが来た 

新しい村作りは順調に進んだが、3グループ、合計200人以上と多すぎる移住希望者が出る。ヒラクは、全員を受け入れられるよう、1グループを今ある新しい村に受け入れ、あと2グループについては新しい村を作りたいと提案し、その方針が決まる。ほぼ完成している新しい村を拡張し、次の村の候補地を決める。新しい村は、仮に一ノ村、二ノ村、三ノ村と名づけ、道を作り、場所作りを進めていく。

2 新しい住人たち 第一グループ

まず、ドライムのツテで集まった移住者たち、男性28人、女性44人の総勢72人の、頭に水牛のような大角を持つミノタウロスと呼ばれる種族が到着する。ヒラクは種族代表のゴードンと挨拶し、リザードマンのナーフの希望に応じ、ミノタウロスたちの世話係を任せる。2メートルを超えるミノタウロスに、新たな問題が発生する。

3 新しい住人たち 第二グループ

次いで、ビーゼルの案内でやってきた、男性34人、女性74人の総勢108人の、下半身が馬のケンタウロスと呼ばれる種族が到着する。戦火に巻き込まれた城から逃げた一団だという。代表のグルーワルドと挨拶し、文官娘衆のラッシャーシに世話役を任せる。

4 新しい住人たち 第三グループ

次いで、マイケルの紹介でやってきたのは、美しい女性の一団40人と切り株10個だった。切り株のイグが代表としてヒラクに挨拶する。女性と切り株はニュニュダフネという同じ植物と同化する能力がある種族だった。イグは、日当たりのいい場所と水があれば食事になること、これまで住んでいた場所が荒れてきたので新天地を求めたこと、家に住むこともあるが野外が好ましいことなどを話す。ヒラクは獣人族のマムを世話係に任命する。

5 相談

その夜、ヒラクは各種族の代表者を集めて、移住者たちの当面の寝床などについて話し合い、完成した一ノ村は放置して新たな村作りを進め、二ノ村にミノタウロス、三ノ村にケンタウロスが住むことにし、そのあとでニュニュダフネたちの四ノ村を作ることが決まる。方針が決まり、全員で収穫作業を始め、ミノタウロスたちには収穫物の運送を、ケンタウロスたちには寝床作りを、ニュニュダフネたちには二ノ村周辺での狩りをしてもらう。

6 時間との戦い

冬までの時間が勝負と、収穫はかなり速いペースで行われる。ハウリン村との交易という名の交換市に参加し、ドライム、ドース、ライメイケンへお礼を期待しての終活物の贈り物、ビーゼルやマイケルとの取引を行う。収穫と売買を終えたら、ニノ村の建設作業を行い、収穫を終えて40日ほどで、ミノタウロスたちの寝床問題は解決する。

7 慣れた?

その後、ケンタウロスたちが住む予定の三ノ村の建設が旧作業で行われる。

8 酔っ払いと存在意義 

ラクは、移住してきた3グループが自分の元に女性を送り込もうとしていることについてルーたちに相談するが、ルーたちはヒラクが悪いと相手にしない。そこにドノバンが、ヒラクに有力者の在り方を知ってもらう必要があると諭す。相談の結果、各種族からそれぞれ2人ずつ大樹の村に当番を出してもらい、自分の手足として働いてもらうことにし、さらに、各種族にそれぞれ仕事を割り振り、イグたちには、大樹の村に住むことを基本としつつ、放置されている一ノ村の管理人をしてもらうことにする。

閑話 農業神

農業神の視点から、父である創造神のミスを責める様子を描いた閑話。

(ここまで)

 

テレビアニメ版では、原作をそのままの順序でアニメ化しているわけではありませんでしたが、本巻の二章までに描かれたエピソードは、加工されて出てきていました。三章以降は、基本的にテレビアニメ版では描かれていない部分になりますが、末尾の「閑話 農業神」の部分のみ、アレンジされて出てきていました。

第1巻と同様に、ドラマチックな起伏はなく、まったり、のんびりした空気感で進んでいく物語で、気負わず楽しく読むことができました。

なお、著者があとがきで書いているとおり、第1巻では7年ほど進んでいた時の流れは、本巻でグッと遅くなり、およそ1年ほどの間の出来事が描かれています。おそらく、今後は同じくらい、あるいはさらにゆったりしたペースで物語が進んでいくのだろうと思います。しばらくは、引き続き読み進めてみようと思います。