休日に子どもと一緒にMOVIX柏の葉に行きました。
この日の上映スケジュール。
この日観たのは「若おかみは小学生!」(9月21日(金)公開)。
私は原作本やテレビアニメは知らなかったのですが、子どもがテレビアニメ版を時々見ているようで、劇場版の映画も観てみたいとのことで、連れて行くことに。
公開初週ということもあって、劇場の入口には、こんなものも置いてありました。
シアター入口にはこれが。
シアターを入った通路にもこんなものが。
この映画館では223席と比較的大きい方のシアター8。スクリーンサイズは5.3m×9.9mです。朝9時台の上映ですが、観客は親子連れが4~5組ほど。公開最初の週末としては寂しい。劇場としても予想外の少なさだったかもしれません。
(以前もらったチラシ)
監督の高坂希太郎さんは、監督作品を観るのは初めてですが、ジブリの作品などにも作画などで参加されてきた方だそう。脚本は吉田玲子。吉田さんの脚本作品は、最近映画館で観た作品だけでも、「のんのんびより ばけーしょん」「リズと青い鳥」「夜明け告げるルーのうた」「ガールズ&パンツァー劇場版」と、数多くあります。テレビアニメなどの仕事もあるでしょうし、これだけの量の仕事をこなしているのは驚きです。
児童文学作品の映画化ということで、映画鑑賞というより単なる子どもの付き添いになりがちなアンパンマンやプリキュアの劇場版みたいな感じだと嫌だなあと若干の不安もあったのですが、それは全くの杞憂でした。
大まかなあらすじ。
両親(薬丸裕英・鈴木杏樹)を事故で亡くし、温泉旅館「春の湯」のおかみを務める祖母(一龍斎春水)に引き取られたおっこ(小林星蘭)は、ひょんなことで若おかみとして旅館を手伝い始めることになります。おっこは、他の人には姿が見えない幽霊のウリ坊(松田颯水)、美陽(遠藤璃菜)、鈴鬼(小桜エツコ)と出会い、同じ温泉街の大旅館の跡取り娘であるクラスメートの真月(水樹奈々)と対立したりしながら、ウリ坊たちの手助け、また喜んでくれるお客さんの姿に力を得たりして、少しずつ、両親の死を乗り越え、若おかみとして成長していく姿を描いていきます。
以下、感想です。
一つひとつのお客さんとのエピソードもそうですし、最初は典型的な敵役として出てくる真月も、いがみ合いながらも温泉街の将来を担っていく仲間として互いに認め合う間柄になっていくところなど、観ていてほっこりしました。そして、温泉街の景色など美しく色彩鮮やかな風景の描写も見事。
「若おかみは小学生!」というタイトルから、小学生以下の小さい子ども向けの映画、というイメージを持つ人が多いのかもしれません。が、おっこと両親が乗っていた車が交通事故に遭うシーンなどを見るに、少なくとも、小学校低学年の小さい子向け、という作りではありません。
ネットで高坂監督のインタビュー記事を読むと、事故のシーンは、原作やテレビアニメ版にはないオリジナルで加えたシーンで、おっこが両親の死を乗り越えて成長していく物語、という面により焦点を当てる狙いがあったようです。ネタバレになるので詳述は避けますが、途中にはおっこがその事故のフラッシュバックに襲われるシーンも出てきます。PTSD(心的外傷後ストレス障害)となってもおかしくない強烈な体験。おっこが、幸い障害が出るには至っていないまでも、強いストレスを受けたことは間違いないわけで、こうした部分も描くことで、子ども向けとは思えない深み、奥行きが出ています。
そうしたオリジナルシーンを交えつつ、長い原作を90分ほどに凝縮しながらも、詰め込み感はなく、心暖まる成長物語としてうまく構成されていて、胸が締めつけられる場面もあれば、涙なしには見られない場面もあって、最後は前向きに終わる、とても良い作品でした。
イメージ的には大人が一人で観に行くのはちょっと躊躇してしまうかもしれませんが、大人が観ても感じるものがあると思います。