鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「万引き家族」

休日にイオンシネマ幕張新都心に行きました。

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シネマのあるイオンモール幕張新都心は巨大なショッピングモール。正面に小さくイオンシネマの看板が見えます。 

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まだモール店舗は開いていない時間帯。車を停めたグランドモール南側の平面駐車場から最寄りの入口まで外をぐるっと回ります。 

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グランドモールをほぼ端から端まで歩いて、西端のホビーコート入口からエレベーターで3階へ。 

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エレベーターを降りるとイオンシネマです。

観たのは、是枝裕和監督の「万引き家族」(6月8日(金)公開)。

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カンヌ国際映画祭パルムドール受賞もあって興行成績は好調なようですが、テーマは重そうなので、以前から観るかどうか迷っていたこの作品。この日は家族の送迎がメインで幕張に行くことになり、映画で時間調整を、と思って調べたら、ほどよい時間帯の上映があるのは興味ある作品ではこれだけだったので、ちょっと勇気を出して観ることに。 

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102席のスクリーン1での上映。そういえば、前にこの映画館に来たのは、いずれもこの映画館で一番大きいスクリーン8での「この世界の片隅に」ULTIRA上映だったので、他のスクリーン、他の作品は初めてです。

途中トイレに行くかもと思って可能性も出入口に近い左端の席を取ったのですが、通路は両端でなく中央にありました。失敗でした(結果的にトイレに立つことはなかったので事なきを得ましたが…)。

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スクリーンは十分な大きさ。意外に子ども連れの家族も多く、3~40人くらい入っていたと思います。その分、上映中のガサゴソ音は多めでしたが…

万引き家族」というタイトルですが、万引きは、多少の悪事も働かないと経済的にやっていけない社会の底辺近くで生活する家族を説得的に描くための設定に過ぎません。

祖母初枝(樹木希林)の年金を目当てに転がりこんでいる、クリーニング工場のパートで働く信代(安藤サクラ)と建設現場の日雇いで働くその夫の治(リリー・フランキー)、2人に拾われた男児の祥太(城桧吏)。そして初枝の誘いで転がりこんだ信代の妹の亜紀(松岡茉優)の5人家族。冬のある日、万引き帰りに近くのアパートの廊下で震える幼い女児(佐々木みゆ)を見かねた治が家に連れ帰ります。「ゆり」と名乗る彼女の傷だらけの体を見て親の虐待を察した信代は、娘のように一緒に暮らすことを選びます。

それぞれの思いはありつつ、一緒に暮らす中で絆を深めていく5人と女児。しかし、ある出来事から事態は暗転し、ついには警察の介入で「家族」はバラバラになりますが、その事情聴取などを通じて、それぞれの秘めた思いが明らかになっていきます。

女児は無事「救出」され、実の親の下に帰ることになります。世間的には、断罪されるべき誘拐犯の信代と治、かわいそうな被害者の子どもと実親、という構図になるわけで、事情聴取もそういう態度で行われるわけですが、外に見せる顔と異なり女児を虐待する実母の下で暮らすのが、果たして幸せなのか、考えさせられずにはいられませんでした。実際には、事情聴取で「家族」の誰かが虐待されていたことを話していれば、児童相談所など公的機関が介入するだろうと思いますが…

祥太も、かつてパチンコ屋に駐車していた車から連れてこられたことが終盤になって明かされます。映画では明言されませんが、パチンコに興じる親に駐車場に停めた車に置き去りにされた幼児を、車上荒らし目当ての治に助けられたのでしょう。こうした、子どもに愛情を注がず虐待/放置する親でも、実の親と暮らすことが幸せなのか?血がつながりはなくても、違う家族の絆がありうるのでは?という問を、観る人に投げかけます。

6人の「家族」に絆が確かにあったことは、一家がバラバラになった後の亜紀の行動や信代の言葉、ラストシーンでの女児の眼差しなどで描かれます。

予想していたとおり、途中見続けるのが辛いシーンもありましたが、終盤、一家がバラバラになったあたりからは、素直にスクリーンに向かうことができ、心に滲みました。観て良かった。

ともに是枝作品の常連であるリリー・フランキー樹木希林は、私自身は好みの俳優さんではありませんが、役の雰囲気をうまく出しているのはさすが。安藤サクラのとりわけ終盤の演技も素晴しかったです。個人的には、2人の子役の演技、松岡茉優のちょっとしたシーンの表情が良かった。特に、髪の毛を切ったゆりを亜紀が抱きしめるシーンがとても印象的でした。

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ところで、ドリンクを購入して、「万引き家族」の鑑賞券を提示すると、ポストカードを大ヒット特典としていただけました。映画の終盤で似た絵は出てきますが、この絵自体は、映画の中では出てこなかったような気がするので、実親の下に戻ったゆりが、当時を思い出して描いた絵(というイメージ)なのでしょうか。