鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「空のない世界から」

仕事帰りに、池袋駅西口、ルミネ池袋の8階にあるシネ・リーブル池袋に行きました。


この映画館には、1月ちょっと前に「よだかの片想い」を観に来ていました。


この日の上映スケジュール。

観るのは「空のない世界から」(10月21日(金)公開)。公開初週の上映館は全国でわずか3館、東日本ではこの映画館だけという小規模での上映。今後上映する映画館も7~8館あるようですが、この映画館での上映はこの週で終了してしまうので、観に行くことにしました。


上映は、前回と同じ130席のシアター2。お客さんは15人ほどでした。


チラシの表裏。


DVから逃れた無戸籍のままの子どもに負い目を抱え葛藤するシングルマザーが、そこから立ち上がっていく姿を描いたオリジナル作品で、監督は小澤和義、脚本は梶原阿貴

 

公式サイトのストーリーによれば、

 

大きなお腹を抱え、痛々しい傷を負った麻衣香(兒玉遥)が、夜道を必死に走る―。
DVを受けた旦那から逃げ出してきた麻衣香が辿り着いた場所は、郊外にポツリと佇むラブホテルであった。 北岡さん(窪塚俊介)に助けられ、住み込みで働きながら娘のさくら(つむぎ)を育てて早7年。 麻衣香は娘の存在を誰にも知らされないようひっそりと暮らしていたが、さくらが小学校に通う年齢になり、さくら自身も小学校入学を待ち望んでいる。
しかし戸籍を取得しておらず、麻衣香はさくらにどうしてあげたらいいのか分からない。そんな時、彼女の背中を押してくれたのは、世の中から「必要ない」とされている人々であった―。

 

・・・というあらすじ。

 

公式サイトで紹介されている主要キャストは、

  • 藤井 麻衣香【兒玉 遥】:妊娠中にDV夫から逃れ、郊外のラブホテルの住み込みの清掃員として、その後生まれた娘のさくらを育てながら働いている。

  • さくら【つむぎ】:麻衣香の6歳の娘。DV夫から身を隠すため出生届を出しておらず、無戸籍となっている。小学校に入る年齢になったが、麻衣香は無戸籍では学校に行けないと思い込み、ホテルの中で過ごしている。

  • アゲハ【佐藤 江梨子】:街娼で捕まえた客とラブホテルを訪れる常連。キレやすい女性だが、根は優しい。実は元市役所職員。

  • チャン君【上村 侑】:麻衣香と一緒にラブホテルの清掃員として通いで働くベトナムからの留学生。

  • 柏原 郁恵【根岸 季衣】:麻衣香が買い出しに出かける食料品店のおかみさん。

  • 北岡さん【窪塚 俊介】:ラブホテルに住み込みで働き、その運営を取り仕切っている男性。麻衣香に親身に接する。彼にフラれて自殺を図った過去がある。

  • 警察官【本宮 泰風】:自転車が盗まれたとの柏原の訴えでラブホテルにやってくる警察官。

  • 強面オーナー【小沢 仁志】:ラブホテルのオーナー。北岡さんたちにラブホテルの閉鎖を通告する。

という感じ(それぞれの登場人物の説明は加筆しました)。

 

ネタバレになりますが、記憶の範囲でもう少し詳しめにあらすじを紹介すると、

 

麻衣香は、暴力を振るうDV夫から逃れ、住み込みの清掃員を募集していた郊外のラブホテルに逃げ込むようにたどり着き、北岡は麻衣香を温かく迎い入れる。

それから7年、麻衣香はそのラブホテルで身を隠すように偽名を使って住み込みで働き、生まれた娘・さくらも出生届を出せず、戸籍が取得できないままとなっている。小学校に入る年ごろになって、さくらは学校に行きたがるが、外に出すことを恐れる麻衣香は、外に出ると鬼に捕まってしまうと外出を禁じる。

DV夫から見つからないよう、身を隠すことだけで精一杯の麻衣香は、ちょっとした異変があるたびに、自分たちが見つかってしまうのではないかと恐れて過剰に反応し、さくらを学校に通わせる方法など、自分たちに助けになる手段を調べようと考えたり、他の人に助けを求めようとする心の余裕を持つことができない。

そんな中、ラブホテルの常連であるアゲハが、連れ込んだ男性から暴力を振るわれ、麻衣香とさくらが寝泊まりしている部屋に逃げ込んでくる。そこでアゲハに身の上を話し出したことがきっかけで、元市役所職員だったアゲハは麻衣香に無戸籍でも学校には行けるはず、と麻衣香を励ます。北岡もそれを後押しし、麻衣香はDV夫から決別することを決意し、さくらを学校に通わせることを行かせることにする

・・・というもの。

 

身を隠すように暮らす麻衣香を描く中盤までは、閉塞感が漂う息苦しい展開ですが、アゲハとの会話をきっかけに、麻衣香の気持ちが前向きに好転し、最後は希望を抱かせる形で終わります。重たいテーマで、いろいろと考えさせられましたが、個々のエピソードは、取ってつけたように感じるところもあったのは残念なところで、麻衣子の心の襞のようなものが、より繊細に描かれると、もっと心に刺さる映画になったのではないかと思います。