鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「あつい胸さわぎ」

休日の朝、イオンモール川口にあるイオンシネマ川口に行きました。


イオンモール川口は、埼玉高速鉄道の鳩ケ谷駅が最寄り駅のようですが、そこからもバスで8分の場所。他の多くのイオンモールと同様、郊外型のショッピングモールなので、車でないと不便な場所ではあります。


イオンシネマ川口は、モールの4階にあります。イオンシネマというと、幕張新都心には何回も行きましたし、越谷レイクタウン千葉ニュータウン、海老名、守谷にも行ったことがありますが、ここは初めてです。


観たのは「あつい胸さわぎ」(1月27日公開)。全国46館程度、イオンシネマを中心とした比較的小規模での公開。私がよく行く近場の映画館では上映しているところがなく、イオンシネマの多くは公開3週目のこの週で上映が終了になってしまうようだったので、車で1時間以上とちょっと遠いのですが、比較的都合のいい上映時間だった川口まで足を伸ばしてみたのです。


チケットを買って、スクリーンへ。


スクリーンの案内。これまで行った他のイオンシネマと比べると、設備はだいぶ新しい感じです。後で調べてみたら、オープンは2021年6月、まだ2年も経っていませんでした。


上映は、68席+アップグレードシート6席+車いす2席のスクリーン8。入ってみると、お客さんは5人ほどでした。コロナ禍後にオープンしたからでしょうか、飛沫防止のためと思われるパーテーションが各座席間に設けられていました。


(チラシの表裏)

乳がんと恋愛をテーマに、揺れ動く母娘の切実な想いを描いた、演劇ユニットiakuの横山拓也が作・演出を務めた舞台「あつい胸さわぎ」を原作に実写映画化した作品で、主要スタッフは、監督:まつむらしんご、脚本:髙橋泉など。

 

公式サイトのストーリーによれば、

 

港町の古い一軒家に暮らす武藤 千夏(吉田 美月喜)と、母の昭子(常盤 貴子)は、慎ましくも笑いの絶えない日々を過ごしていた。
小説家を目指し念願の芸大に合格した千夏は、授業で出された創作課題「初恋の思い出」の事で頭を悩ませている。千夏にとって初恋は、忘れられない一言のせいで苦い思い出になっていた。その言葉は今でも千夏の胸に“しこり”のように残ったままだ。だが、初恋の相手である川柳 光輝(奥平 大兼)と再会した千夏は、再び自分の胸が踊り出すのを感じ、その想いを小説に綴っていくことにする。
一方、母の昭子も、職場に赴任してきた木村 基晴(三浦 誠己)の不器用だけど屈託のない人柄に興味を惹かれはじめており、20年ぶりにやってきたトキメキを同僚の花内 透子(前田 敦子)にからかわれていた。
親子ふたりして恋がはじまる予感に浮き足立つ毎日。
そんなある日、昭子は千夏の部屋で“乳がん検診の再検査”の通知を見つけてしまう。
娘の身を案じた昭子は本人以上にネガティブになっていく。だが千夏は光輝との距離が少しずつ縮まるのを感じ、それどころではない。「こんなに胸が高鳴っているのに、病気になんかなるわけない」と不安をごまかすように自分に言い聞かせる。
少しずつ親子の気持ちがすれ違い始めた矢先、医師から再検査の結果が告げられる。
初恋の胸の高鳴りは、いつしか胸さわぎに変わっていった……。

 

・・・というあらすじ。

公式サイトで紹介されている主要登場人物・キャストは、

  • 武藤 千夏【吉田 美月喜】:小説家を目指し、芸大で文芸を学ぶ女子大生。

  • 武藤 昭子【常盤 貴子】:千夏の母。千夏が4歳のときに夫を亡くし、女手一つで千夏を育てている。水産加工工場で働いている。

  • 川柳 光輝【奥平 大兼】:千夏の中学時代の初恋の相手。千夏と同じ芸大で演劇を学んでいる。

  • 花内 透子【前田 敦子】:昭子と仲がいい水産加工工場の同僚。「トコちゃん」と呼ばれている。

  • 木村 基晴【三浦 誠己】:昭子が働く水産加工工場に係長として入ってきた男性。真面目だが不器用な性格。

  • 水森 崇【佐藤 緋美】:千夏と光輝の元同級生。軽度の知的障害があり、街中でのティッシュ配りなどのアルバイトをしている。2人からは「ター坊」と呼ばれている。

  • 水森 麻美【石原 理衣役】:崇の母。

というもの。(それぞれの登場人物の説明は加筆しました)

 

ネタバレになりますが、記憶の範囲でもう少しあらすじを補足すると、

 

千夏は、港町の高台にある家から、自転車と鉄道を使って芸大に通っている。授業では、「初恋の思い出」を小説にすることが夏休みの課題小説として課される。千夏にとって初恋は、中学生のとき、初恋の相手から「胸でかくなったな」と言われたことが苦い思い出になっていた。千夏は、学内で久しぶりに再会した光輝に声を掛け、一人暮らしをするための部屋探しを手伝ってほしいとお願いする。いい返事をもらった千夏は、自分の胸が踊り出すのを感じ、その想いを小説に書いていくことにする。
一方、昭子が働く水産加工工場には、こんぶ係の係長として、新たに木村がやってくる。職場に溶け込もうと不器用に努力する木村に、昭子は次第に胸がときめいていく。
そのころ、千夏の部屋を掃除する昭子は、入学時の健康診断で千夏が受けた乳がん検診の再検査の通知を見つけ、千夏に再検査に行くよう促す。
そんな中、木村の誘いで、昭子と透子、そして千夏と光輝はサーカスを見にいく。透子と話す光輝は、透子に惹かれはじめ、連絡先を交換する。一方の昭子は、帰りに家に招いた木村に、工場で流れていた、木村が前の会社で婦女暴行を働いたとの噂の真偽を尋ねる。木村は、意識を失った女性社員を救急隊員の指示に従って介抱している最中に、ブラジャーを外したことでトラブルになったことを打ち明ける。木村らしいエピソードに昭子は安心し、恋心を募らせる。
一方、光輝との距離が少しずつ縮まっていくのに胸が高鳴る千夏だったが、再検査の結果は初期の乳がんで、今後の治療をどうするかをめぐって、親子の気持ちはすれ違っていく。どうしたらいいか分からなくなった千夏は、透子に相談し、透子は昭子ときちんと話をするよう助言する。
昭子を気遣う木村は、昭子と千夏を夕食に連れていくが、その帰り、木村は、トラブルの最中にずっと自分の味方をしてくれた女性がいた、昭子のおかげで彼女に再び向き合えるようになった、と感謝の言葉を告げ、昭子の恋は破れてしまう。
そんな中、透子と光輝は男女の関係になっており、光輝は透子に真剣に想いを寄せるようになっていた。別れようと話す透子に光輝が迫る現場を目撃して、混乱した千夏は家を飛び出し、昭子や透子たちは必死に探す。千夏を見つけた透子に、千夏は心に溜まった鬱積を吐き出すが、透子は千夏の頬を平手打ちし、悔しかったら大人になりなさい、と諫め、昭子と千夏は和解する。

 

・・・というもの。(時系列の逆転など多少の記憶違いはあると思います)

 

初恋に胸を躍らせる中で突然降りかかった乳がんに混乱する娘、久々の恋に胸をときめかせる一方で、娘を案じる母。親子のそれぞれの心情、そして葛藤と和解を、ユーモラスな描写も交えながら、優しく繊細に描いています。原作が舞台作品ということもあって、演劇っぽい感じがする部分もありましたが、優しい余韻が残る作品でした。千夏役の吉田美月喜も好演。昭子役の常盤貴子は、バリバリの関西弁のオバチャンっぷりが、これまで観てきた彼女のイメージとかなり違って意外でしたが、いい味を出していました。