鷺の停車場

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テレビアニメ「葬送のフリーレン」⑤第14話~第17話

2023年秋クールで日本テレビで放送が始まった「葬送のフリーレン」、今回は、12月8日(金)から3週にわたって放送された、第1クールでは最後となる第14話~第16話と2024年1月5日(金)に放送された第2クールの初回となる第17話、僧侶ザインが仲間に加わってから、ザインがフリーレンたち一行から離れるまでを描いた、いわば「ザイン編」ともいうべき4話を紹介します。

frieren-anime.jp

繰り返しになりますが、2020年4月から「週刊少年サンデー」に連載されている原作:山田鐘人・作画:アベツカサによる同名マンガを原作とした作品で、主要スタッフは、監督:斎藤圭一郎、シリーズ構成:鈴木智尋、キャラクターデザイン・総作画監督:長澤礼子、音楽:Evan Call、アニメーション制作:マッドハウス など。

この4話分で登場する名前が付いている登場人物とキャストは、次のとおりです。< >内がそれぞれのキャラクターが登場する放送回です。

  • フリーレン【種﨑 敦美】:千年以上生きるエルフで、勇者パーティーとして魔王を倒した魔法使い。魔法であればどんなものでも興味を持つ魔法オタク。性格はずぼらでドライ。仲間たちとの旅を経て、知らず知らずのうちにその心にも変化が現れる。<第14~17話>

  • フェルン【市ノ瀬 加那】:フリーレンの弟子として共に旅をすることになる魔法使い。ハイターに育てられた戦災孤児。冷静な少女で、生活面でずぼらなフリーレンのお母さん役。<第14~17話>

  • シュタルク【小林 千晃】:フリーレンとフェルンと共に旅をすることになる戦士で、アイゼンの弟子。子どものような性格。臆病ながら高い戦闘力を持ち、前衛を務める。<第14~17話>

  • ヒンメル【岡本 信彦】:魔王を倒した勇者パーティーの勇者で、自称イケメンのナルシスト。仲間思いで、困っている人を助けずにはいられない。10年間共に冒険をしたフリーレンに大きな影響を与える。<第14・16・17話>

  • ハイター【東地 宏樹】:魔王を倒した勇者パーティーの僧侶。ヒンメルの幼馴染で、高度な回復魔法を操る優秀な僧侶だが、酒好き。戦災孤児だったフェルンの育ての親。<第14~17話>

  • アイゼン【上田 燿司】:魔王を倒した勇者パーティーの戦士。頑強なドワーフ族でパーティーの前衛を務める。寡黙だが、パーティーの中ではツッコミ役。シュタルクの師匠。<第16話>

  • ザイン【中村 悠一/川井田 夏海(幼少期)】:天性の才と呼べる超高度な治癒魔法を駆使する僧侶。かつて親友と共に冒険者になることを夢見ていたが、ある事情から旅立つことを諦めた。僧侶なのに酒、たばこ、ギャンブルが好き。<第14~17話(幼少期は第16話のみ)>

  • 領主【松本 沙羅】:ラオブ丘陵の村の領主。<第15話>

  • オルデン卿【内田 夕夜】:要塞都市フォーリヒの領主。<第15話>

  • ガーベル【中務 貴幸】:オルデン卿の執事。<第15話>

  • シュタルクの父【加瀬 康之】:戦士の村で子どもたちを戦士として教育するシュタルクの父。<第15話>

  • 戦士ゴリラ【國府 咲月(幼少期)】:ザインの親友。冒険者になるため村を出て行った。<第16・17話>

  • フォル爺【星野 充昭】:400年以上もある村を守り続ける老戦士。フリーレン曰く「長寿友達」。<第16話>

  • 頑固婆さん【久保田 民絵】:ローア街道の村の高台に暮らす婆さん。<第16・17話>

各話ごとのあらすじは、次のとおりです。< >内が公式サイトのストーリーで紹介されている内容になります。

#14 若者の特権

<僧侶ザインが仲間になり、ラート地方を訪れたある日、フェルンとシュタルクが喧嘩をしていた。聞くと、シュタルクがフェルンの誕生日に何も用意してなかったことが原因だという。ザインはふたりの仲直りをさせようとアドバイスを送る。そんなザインにフリーレンが言葉をかけて…。>

ヒンメルの死から29年後、僧侶ザインを仲間に加え、北側諸国のラート地方の街にやってきたフリーレンたち。多くの店が立ち並ぶにぎやかな街並みを見て、フリーレンはヒンメルたちとこの街に来たときのことを思い出す。ヒンメルは、フリーレンに後で一緒に買物に行こう、ここはいい店もたくさんある、と誘ったのだった。

宿に入ったフリーレンたちだが、フェルンとシュタルクがケンカとなり、シュタルクは、もういい、師匠のところに帰る、と捨て台詞を吐いて出て行ってしまう。そこにやってきたザインは、フェルンが自分の誕生日なのにシュタルクが何もプレゼントを用意していないことに腹を立てたのだと聞いて、男っていうのは誕生日とか記念日とか細かいことは気にしない生き物なんだ、となだめようとするが、怒りが収まらないフェルンはザインのふくらはぎに蹴りを入れる。少し怒りが収まったフェルンにザインは、シュタルクが可哀そうだ、あの年頃の男子は女の子の言動に一喜一憂する、追いかけた方がいいと思うよ、と言って部屋を出て行く。

フリーレンにも言われて、シュタルクを探しに外に出たフェルンは、街の広場にあるヒンメルの銅像の前で落ち込んで座っているシュタルクを見つけるが、話しかける勇気が出ない。町を歩くと、ザインが店でフェルンのプレゼントを選んでいた。ザインはフェルンにその店で買ったポシェットを贈り、早くシュタルクに謝って一緒にプレゼントを選んでこい、思いは言葉にしないと伝わらない、とアドバイスして去っていく。

再び街の広場に戻ったフェルンは、シュタルクに声を掛ける。フェルンが謝るより先にシュタルクが、本当は2人で選びに行きたかったが言い出せなかったと謝る。フェルンもシュタルクに謝り、2人は一緒にプレゼントを選び街を歩き始める。

それを建物の屋根の上から盗み見していたフリーレンに、同じく屋根に上ってきたザインが声を掛ける。ザインは、あんな風に衝突するのは若者の特権だと語り、フェルンはフリーレンじゃなく自分に相談しに来た、一体俺を誰と比べて誰と重ねているのか、と言う。フリーレンは、フェルンはハイターに育てられたから、と言い、そんな偉大な僧侶と比べられちゃたまったもんじゃないとハイターが言うと、全然偉大じゃない、酒飲みでよく二日酔いになっていた、好き嫌いも多い、ただのなまぐさ坊主だと言う。ザインは、意外だった、俺の記憶にあるハイターはやさしくて頼りがいのある爺さん、自分と違って理想的な大人だったと語る。

それを聞いたフリーレンは、ハイターの晩年に一緒に過ごしたときのことを思い出す。フリーレンが、ハイターは変わった、大人っぽくなったと言うと、ハイターは、私の心は子どもの頃からほとんど変わっていない、理想の大人を目指して、大人のふりをするのを積み重ねてきただけだ、子どもには心の支えになる大人が必要、努力家のフェルンをたくさん褒めて導いてあげないと、と語る。フリーレンが、そうしたらハイターは誰が褒めてくれるの、と聞くと、ハイターは、そのために女神様がいる、天国に行くまでお預けだが、と答える。フリーレンが、じゃこっちでは私が褒めるよ、と言って、ハイターの頭を撫でると、ハイターは、思いのほか悪くないですね、と反応し、貴方は女神様に褒めてもらうべきだ、と言っていた。それを思い出したフリーレンは、ちゃんと大人やれていると思うよ、と言ってザインの頭を撫でるのだった。

その街を出て、北側諸国バンデ森林に入ったフリーレンたちは、先にある村で装飾品店を営んでいる商人の馬車に乗せてもらっていた。装飾品に興味はないかと話す商人に、フリーレンがフェルンを見ると、フェルンの左手首には、シュタルクからのプレゼントのブレスレットがあった。フリーレンは、同じデザインの指輪を持っている、前にヒンメルからもらった、と言ってトランクを開けて探し始めるが、整理が悪くてなかなか見つからない。

ようやく指輪が見つかるが、ちょうどその時、馬車が鳥形の魔物に捕まり、指輪はその衝撃で見当たらなくなってしまう。魔物の脚に掴まれて空を飛んで運ばれていく馬車の中で、フリーレンたちは、どうやって逃れるか相談する。フェルンの提案で、魔物を倒して、落下する馬車が地面に衝突する直前に、馬車を魔法で浮かせることを試みると、みんな無事で、馬も軽傷で済むが、馬車は壊れてしまい、その修理を終えるまでの間、森の中で過ごすことになる。

そうした中、フェルンが身に付けているブレスレットが目に留まったザインは、フェルンが好きに選んでほしいと言ったため、シュタルクはフェルンの顔色をうかがいながら3時間かけて選んだと聞いて、シュタルクに、よくやった、あの意匠は鏡蓮華、花言葉は久遠の愛情、この地方では恋人に贈るものだ、と話す。花言葉を知らなかったシュタルクはびっくりして、誤解だ、買い直そうか、とフェルンに弁解するが、フェルンは、これはシュタルクが一生懸命選んで私にくれたもの、二度とそんなことは言わないで、と言って去っていく。

馬車の修理が進む中、フリーレンは夜になるたび、失くした指輪を探して森の中を歩き回っていた。馬車の修理が終わり、出発を翌朝に控えた夜、フリーレンが指輪を探していると、フェルンが声をかける。わけを聞いたフェルンは、見つかるまで出発を待ってもらおうと言い、今夜見つからなかったら諦めると言うフリーレンに、鏡蓮華の花言葉を伝え、きっと大事なもの、みんなで探そうと言って、他の一行にも声をかける。すると、商人は、もっと早く言ってくださればよかったのに、と言って、失くした装飾品を探す魔法をフリーレンに教える。

その魔法を使って指輪を探すフリーレンに、ヒンメルとその指輪を買ったときの思い出が蘇る。ヒンメルは、討伐依頼に頑張ったフリーレンを装飾品店に連れて行き、好きなものを選んでくれ、と言う。フリーレンは、アクセサリーよりも魔法店の方が嬉しいんだけど、と言って、じゃこれでいいや、と適当に店頭に並ぶ指輪の1つを取るが、それを渡されたヒンメルは、その意匠を見て、何かに気づいたような顔をする。フリーレンがどうしたのと尋ねると、いや、と何も語らず、その買った指輪を跪いてフリーレンの指に嵌めたのだった。

そして、翌日の馬車の中、フリーレンは魔法で見つけたその指輪を、掌の上に乗せて見つめる。フェルンに、諦めなくて良かったですね、と言われたフリーレンは、そうかもね、と言って指輪を大切に握りしめるのだった。

#15 厄介事の匂い

<ラオブ丘陵の村にやって来たフリーレンたちだったが、村の人々は何らかの“呪い”によって眠らされていた。フリーレンによると、僧侶は女神様の加護により“呪い”が効きづらいという。“呪い”への耐性と知識を持つザインがその種類と発信源を割り出し、4人は原因である魔物の退治に向かう。>

ヒンメルの死から29年後、北側諸国のラオブ丘陵を馬車に乗って進むフリーレン一行。ザインはフリーレンに旅をしてどのくらいになるのか尋ねると、フリーレンは考え込むが、フェルンは自分がフリーレンと旅に出てから4年ほど、シュタルクは1年くらいと答える。馬車を下りて階段を歩いているところで、ザインはこのパーティには足りないものがあると話し出し、年上のお姉さんだ、と熱く語る。シュタルクはフリーレンがいるでしょ、と言うが、ザインは、いやだ、お姉さんじゃないもん、と辛そうな表情で訴える。

そうして次の村にやってくると、村人たちはみな眠っていた。フリーレンは厄介事の匂いがするし、次の村に行こうと言うが、フェルンが怒りますよと言うと、冗談だよ、と諦める。村人を診たザインは呪いだと言う。
フリーレンは、魔物や魔族が使う人を眠らせたり石にしたりする魔法の中で人類が解明できていない魔法を呪いと呼んでいる、人類の魔法技術では原理も解除方法も分からないが、僧侶が使う女神様の魔法なら別、呪いへの対処は昔から僧侶の生業、女神様の魔法は聖典に記されており聖典の所持者しか使えない、そのほとんどは原理が分かっていない、それに生まれながらの資質がないと使うのは難しい、その資質は呪いを効きにくくする女神の加護と呼ばれる効果がある、だから僧侶は呪いにも強いとシュタルクに説明し、魔法使いには呪いは感知できないが、何となく攻撃されている感じがするからこの村が呪いの範囲内だということはわかると話す。

村人を診て呪いの種類と発信源を調べたザインは、かなり特殊な呪いで解除には儀式が必要で道具も要る、呪いの発信源を叩いた方が早い、発信源は魔物で位置も割り出した、と言い、その魔物がいる森に向かうが、最初にシュタルクが、次いでフェルンも呪いの影響で眠ってしまう。フリーレンは2人を結界を張って隠し、ザインと先に進む。しかし、魔物までもう少しというところで、フリーレンも、魔物が出たら起こして、ひとりで戦っちゃだめだよ、私が必ず倒すから、と言って眠ってしまう。

今使える魔法では5秒しか目覚めさせることができないザインは、フリーレンをおぶって魔物の近くまで運び、自分にも戦闘用の魔法はある、とひとりで混沌花の亜種の魔物に立ち向かい、攻撃魔法の女神の三槍で攻撃するが、その葉で防御し魔法は反射してしまう。
弱点のコアを正確に打ち抜かないと葉同士の乱反射でどこに魔法が飛ぶかわからない、下手すればフリーレンに当たってしまう、と思うザインは、魔物の攻撃から逃げながら、フリーレンを起こすことを考え始める。フリーレンの強力な魔法が乱反射すれば村も危ない、たった5秒では説明する時間もない、意思疎通できるほどの信頼関係も築けていない、と迷うザインに、幼い頃に会ったハイターから話を聞いた思い出が蘇る。

ハイターは、冒険者には意思疎通も信頼関係も必要ないと思っている、特に仲間だったフリーレンはその点が拙かった、だから私は彼女の話を信じることにした、彼女は魔王を必ず倒すと言った、私はその言葉を信じたんですよ、とザインたちに話したのだった。

それを思い出したザインは、眠る前のフリーレンが、ひとりで戦っちゃだめ、自分が必ず倒すと言ったこと思い出し、フリーレンを起こす魔法を発動させる。すると、目覚めたフリーレンはすぐにコアに攻撃を命中させて魔物を倒す。

村に戻ったザインたちは、この御恩は忘れませんと村の領主から感謝される。村を出発した一行だが、ザインは自分好みの年上のお姉さんだった領主を思い出してにやける。フリーレンは今回生きて帰れたのはザインのおかげだとその頭を撫でるが、あの村のお姉さん綺麗だったな、と言うのだった。

次に、魔法都市オイサーストまでの中継地点である要塞都市フォーリヒの近くまでやってきたフリーレンたち。フリーレンはフォーリヒで物資の補充をしようと話すが、フェルンは手持ちの路銀が底を尽きかけていることを伝える。そこに突然、通りかかった馬車から下りてきた貴族が声を掛けて、シュタルクの全身をくまなくチェックし、いい体だ、容姿も悪くない、私の屋敷に来い、と連れていかれる。

屋敷に到着すると、フリーレンは、オルデン郷、こういうのは困ります。あなたの祖父も強引な人だった、と口を開くが、オルデン郷はシュタルクに依頼がある、金なら出す、と言う。フリーレンは、馬鹿馬鹿しいと帰ろうとするが、金がほしいフェルンに止められ、話を聞くことにする。

一月前に魔族との大きな戦いで長男のヴィルトが戦死したが、フォーリヒはこの地方の守りの要、消耗した兵力を立て直すまで士気を下げるわけにはいかない、そっくりなシュタルクを代役にして、3か月後に開かれるこの地方の有力者が集まる社交会でヴィルトの健在を示す、という依頼で、報酬はシュトラール金貨10枚だという。1年は3食おやつ付きで生活ができる報酬に、フリーレンは魔導書1冊を報酬に追加してもらい、路銀のためにその依頼を受ける。

それから、執事のガーベルに乗馬やダンスなどの作法を叩きこまれるシュタルク。その間、ザインは酒場で酒を飲み、フリーレンとフェルンはスイーツを食べてくつろぐ。

そんなある日、屋敷に飾られたヴィルトの肖像画を見つめるオルデン卿にシュタルクは声を掛け、冷たすぎるんじゃないか、まだ息子が死んでから2か月しか経ってない、と話すと、オルデン卿は、私は息子の遺言に従っているだけだ、付き合ってもらうぞ、と言う。

オルデン郷と歩くシュタルクは、次男のムートが修行しているのを見る。もっと背筋を伸ばせ、とムートに注意するオルデン卿は、跡継ぎになるのになかなか上達しない、とシュタルクに語る。その言葉に、かつて父親が自分のことを失敗作だと言っていたことを思い出す。その直後、シュタルクはオルデン卿からオルデン家の剣技の教えを受けるが、剣を持つ手が震えてしまう。すると、オルデン卿は、ここはお前の故郷の村ではない、と声を掛け、兄ほどの才はないが努力家、いつか私より強い騎士になると語る。

そして、オルデン卿はフェルンにも、社交会に年頃の男子がひとりで行くことなどあり得ると思うか?と言って作法の練習をさせる。

社交会の当日、ここ1か月は地獄だったと言うフェルンに、ヴィルトそっくりの姿になったシュタルクは、せっかく練習したんだし踊ろうぜ、とその手を取り、踊り出す。ザインは、俺たちも踊るか?と聞くが、フリーレンは、ケーキ食べる、とそれをかわす。

社交会が終わった後、オルデン卿はシュタルクに、お前の戦士としての力量は素晴らしい、お前さえ良ければ…と言うが、シュタルクは、俺はあんたの息子の代わりじゃない、と断る。オルデン卿は、息子とは喧嘩別れだった、些細なことで言い争いになり、心にもないことを言ってしまった、お前を見つけた時は奇跡だと思った、と心の内を明かすが、シュタルクは、自分も心にもないことを育ての親に言ってしまった、だから土産話をたっぷり持って帰らないといけない、と言うのだった。

翌日、フリーレンは報酬として1冊もらえることになっていた魔導書を選ぶのに半日もかかり、立ち会うガーベルは精気を無くしてしまっていた。シュタルクは、窓の外に、オルデン卿がムートに稽古をつけているのを見て、跡継ぎには困らなそうだ、と言うのだった。

#16 長寿友達

<かつてフリーレンがヒンメルたちと冒険をしていた時に出会ったドワーフの戦士・フォル爺を訪ねた4人。彼はある村をずっと魔物から守っていた。フリーレンは会話を交わす中で、過去のヒンメルの言葉を思い出す…。その後、ある集落を訪れると、そこにはザインが昔共に冒険者になろうと約束した親友の足跡があった。>

子ども時代のザイン、川で釣りをしていると、親友の戦士ゴリラが、あの魔法使いが写真を撮ってくれるってよ、とザインを誘いに来る。写真?何だよそれ、と釣りを続けるザインに、戦士ゴリラはその手を掴んで連れていったのだった。フリーレンたちと野営をするザインは、ペンダントを開いてその写真を眺める。

ヒンメルの死から29年後、北側諸国のクラー地方にやってきたフリーレンたち一行は、400年以上村を守っているドワーフでフリーレンの「長寿友達」であるフォル爺を訪ねる。死ぬ前にゆっくり話がしたいというフリーレンの希望による寄り道だった。着いた村の入口にフォル爺は座っていた。フォル爺は見た目こそかなり老いているが、その強さはシュタルクの油断を突いて一撃を与えて倒すほどだった。フリーレンは10年泊まりたいと言い出すが、フェルンは一週間までですよ、と釘を差し、フリーレンも渋々諦める。

フリーレンがフォル爺と話している間、フェルンは魔法で収穫を手伝うが、村人は、フォル爺があんなに楽しそうに話しているのは初めて見た、耄碌して普段は会話すらままならない、昔から村を守ってくれているが、その理由もわからない、と話すのだった。

一週間が経とうという頃、フリーレンはフォル爺と夜道を歩きながら、とても楽しい時間だった、ヒンメルたちを知る機会をくれて今ではとても感謝している、と話す。

フォル爺が守る村を訪れたヒンメルたち一行。ヒンメルはどうしてこの村を守っているのかと尋ねると、妻が愛した村を守っているだけだ、人間だった妻と遠い昔に交わした約束を果たしているに過ぎない、これは自分だけの思い出だ、とフォル爺は語り、ヒンメルが、きっとその人は約束を守ってくれていることを嬉しく思っているはずだ、と言うと、いい勇者だ、きっと魔王を討ち倒すだろう、魔王が討たれた平和な時代が訪れることを妻も望んでいた、ヒンメルという偉大な勇者の記憶も自分が未来に連れていってやろう、と語ったのだった。しかし、ヒンメルは、そこまでしてもらう必要はない、僕たちの記憶はフリーレンが未来に連れていってくれる、と言ったのだった。

フォル爺は、ヒンメルの顔や声は覚えているか、と尋ねる。フリーレンが当たり前だ、ヒンメルは私が人間を知ろうとしたきっかけ、大切なことだ、と言うと、フォル爺は、私はもう妻の顔も声も眼差しも思い出せない、それでも大切な何かのためにこの村を守っていると語る。しかし、フリーレンが魔王城があるエンデに向かっていると聞いたフォル爺は、ついに魔王を倒しに行くのか、平和な時代が訪れるといいな、と言うのだった。それを聞いたフリーレンは、間違いを正そうとしたが止めて、フォル爺の記憶も私が未来に連れていく、と言うと、フォル爺は、人生の最後にお前に会えてよかったと話す。翌朝、フリーレンの旅立ちの日、フォル爺は、妻の夢を見た、フリーレンと昔話をしたおかげかもしれないと微笑むのだった。

北側諸国のローア街道にやってきたフリーレンたち一行。ザインは、戦士ゴリラの行方を探して出会った人にペンダントの写真を見せて尋ねていた。あと1週間で魔法都市オイサーストに着こうかというところで、ザインの希望でいくつかの街道が分岐する村に立ち寄ることにする。その村で聞き込みをするザインは、村人から、近く出た魔物を退治してもらった、その後どこに行ったかは、高台に住んでいる頑固婆さんと仲が良かったようなので聞いてみるといい、と情報を得る。

頑固婆さんを訪ねたザインたち。頑固なのでそう簡単には教えられない、自分の依頼をいくつかこなしてもらう、と頑固婆さんは言い、最初に隣町の鍛冶屋に手紙を届けさせる。まるでお使いだというザインにフリーレンは、ヒンメルたちとの旅を思い出す、お使いみたいな人助けは日常茶飯事だった、こういうのが面倒な探し物や厄介な魔物退治に発展していくんだ、と語る。頑固婆さんの依頼をひとつずつ片付けていっても、頑固婆さんはなかなか心を開かないが、最後の依頼だと言って、石像磨きを依頼し、その場所に案内する。頑固婆さんは、はるか昔に世界を救ったとされる英雄様の石像だが、それ以上は名前もわからない、忘れられた英雄で、代々この村で管理していると言う。

その場所に着くと、かなり古い僧侶と戦士の石像があった。それを見たフリーレンたちは、その1人がかつて避難小屋で一緒にひと冬を過ごしたクラフトと瓜二つなのに気付く。ザインは、訪れたハイターに、子ども時代の戦士ゴリラが、同じモデルの石像を見せて、大昔の英雄だが誰も名前すら覚えていない、自分たちはこうはならない、忘れ去られるなんてごめんだ、ヒンメルみたいな忘れられない英雄になると言い、どんな英雄でもいつかは忘れられる、ヒンメルもきっと例外ではない、と言うハイターに、今日から俺は戦士ゴリラと名乗る、忘れられないためには名前のインパクトが大事だ、と宣言したときのことを思い出す。

苦労して石像をきれいにしたザインたちに、頑固婆さんは、戦士ゴリラがよくザインのことを話していたと語り、戦士ゴリラがテューアに向かったことを教える。テューアはフリーレンたちが目指すオイサーストとは逆方向にある街だった。困ったザインは、どうしたもんかね、とこぼすのだった。

 

第1クールはここまでで終了です。

#17 じゃあ元気で

<ザインは親友の戦士ゴリラの手がかりを得るも、彼が向かった先はフリーレンたちの目的地とは別の道だった。そんな中、滞在する集落に寒波が到来し、ひと月の足止めを余儀なくされた4人だが、それぞれの過ごし方で日々を楽しむ。ある日、フェルンとシュタルクが喧嘩をし、フリーレンはザインを頼るが……。>

ザインの旅の目的は、10年前に旅に出た親友と合流することだった。その親友・戦士ゴリラが北側諸国中部の交易都市テューアに向かったという情報を得る。その地は、はるか東方、フリーレンたちが目指すオイサーストとは反対方向だった。ザインは単身テューアに向かうか悩み始めるが、日も暮れてきたことから、結論は翌日に持ち越し、集落で小屋を借りて一晩泊まることにする。

その夜、ザインは薪を、フェルンは食材を入手し、小屋で夕食を食べて泊まるが、雪が降り出してくる。猛吹雪にでもならない限り大丈夫だと思ったフリーレンだったが、翌日、目を覚ますと外は猛吹雪となっていた。村人からこの地方の寒波は1月は続く、遠出はしない方がいいとアドバイスされた一行は、寒波が去るまで小屋で過ごすことになるが、フリーレンは、この集落には怪しい老人がやっている魔法店がある、経験上ああいう場所には伝説級の魔法がある、と目を輝かせる。

そろそろ寒波も去ろうかというある日、ザインが酒場で酒を飲んでいると、フリーレンが、フェルンとシュタルクがたぶん喧嘩している、仲裁してよ、仲裁は僧侶の仕事なんだよ、とやってくる。ザインが小屋に戻ると、シュタルクは落ち込み、フェルンはムスッとしていた。ザインは1人ずつ隣の部屋に呼んで話を聞き、2人を仲直りさせる。

仲裁を終えた後、フリーレンと一緒に再び酒場に行ったザインは、テーブルを叩き、もう付き合っちゃえよ!と叫んで酒をあおる。フリーレンは、ザインはとても頑張っていると思う、助かったと感謝する。ザインは、俺をガキみたいに褒めるのはお前だけだ、と言い、何で俺なんかにこんなに構ってくれるんだ、と尋ねる。冒険に出ようとしないザインは魔王討伐に旅立つ前の自分とよく似ていて、頭に来た、だからこそきっかけを与えたかったんだろう、と答えるフリーレンに、君が旅立つきっかけはこの僕だ、と手を差し伸べ魔王討伐に誘ったヒンメルとの思い出が蘇り、ヒンメルたちに旅立つ勇気と仲間と過ごす楽しさを教えてもらった、と話す。楽しかったでしょ?との問いに、ああ、楽しかったよ、と答えたザインは、煙草を吸いに外に出て、幼い時の戦士ゴリラとの思い出や、フリーレンたちとの日々などを振り返る。

寒波が去った後、ザインは、俺はやっぱりゴリラを追いかける、後悔するつもりはない、じゃあ元気で、と言ってテューアに向かって歩き出し、フリーレンたちは、それを見送ってオイサーストに向けて歩き出す。ザインは、ひとり歩きながら、フリーレンたちとの旅路を思い出し、ひとりだとこんなに静かなんだな、とつぶやく。

ヒンメルの死から29年後、ザインと別れ、北側諸国のオッフェン群峰にやってきたフリーレンたち3人だったが、野営した森でフェルンが熱を出してしまう。フリーレンはザインが残してくれた薬草について書いた手記を確認し、聖典を使って魔法で病気の判別を行い、ただの風邪だと判断し、フェルンを近くの住民の家で寝かせてもらう。フェルンの手を握るフリーレンは、小さい頃から風邪をひいた時に手を握ってあげると安心するんだ、と言うが、それを聞いたフェルンは、手を離し、恥ずかしいです、子ども扱いしないでください、と言って手を離す。

ヒンメルたちと前に薬草を採取した氷柱桜のある場所に向かうフリーレンは、自分の中ではフェルンはまだ子ども、たぶんこの先もずっとそうだ、とシュタルクに話す。フリーレンたちは薬草を集めながら進み、氷柱桜に到着する。フェルンにも見せてあげたかったと言うフリーレンに、シュタルクは、何でフェルンの手を握ったのか、普段はそこまで子ども扱いしてないだろうと尋ねる。フリーレンは、子ども扱いしたつもりはない、辛そうだったから手を握っただけ、あれしか苦痛を和らげる方法は知らないから、と答え、シュタルクも、好きにやるしかない、師匠ならそうした、人には心の支えが必要、支えてもらって悪い気分になる奴はいないと話す。それを聞いたフリーレンは、自分が寝込んだとき、ヒンメルが、心の支えが必要なのは子どもだけじゃない、と手を握ってくれたことを思い出す。

氷柱桜の根に生えるキノコを採取して薬を調合したフリーレンは、それをフェルンに飲ませ、手を握って看病する。フェルンの体調が回復し、3人は魔法都市オイサーストに向けて歩き出す。

(ここまで)

 

第18話からは、魔法都市オイサーストでのフリーレンたちを描く「一級魔法使い試験編」が描かれることになりますが、その続きはまた改めて。