内藤騎之介さんの小説「異世界のんびり農家 04」を読みました。
出版元の公式サイトには、次のような紹介文が掲載されています。
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豊作だ。ありがとう『万能農具』
双子の天使族、
スアルリウ・スアルコウ
大樹の村に再びやってきたキアービットに同行してきたのは、
双子の天使族であるスアルリウとスアルコウ。
彼女たちを加えてもあまり変化のない村の生活!?
畑を耕し、魔物も耕し、村の拡張はのんびり進行中です!
異世界で農業を切り拓く、スローライフ・ファンタジー第四弾!!
月刊[ドラゴンエイジ]にてコミカライズ好評連載中!
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第3巻に続き、巻末には「登場人物辞典」も掲載されています。そこで紹介されている登場人物は、次のとおりです。(なお、説明部分は適宜加除修正しています)
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人間
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街尾 火楽(まちお ひらく):39歳で命を落としたが、神様の計らいで異世界に転移し、授けられた『万能農具』を使って、夢だった農作業を頑張っている人間。『大樹の村』の村長。
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インフェルノウルフ族
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デーモンスパイダー族
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ザブトン:村のデーモンスパイダーの代表者で、尻から出す糸で布だけでなく服を作る衣装制作担当。クロとユキの次に村の住人となった。ジャガイモが大好き。
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子ザブトン:ザブトンの子供たち。
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マクラ:ザブトンの子供で、大樹の村で開かれた第1回武闘会の優勝者。
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グノーシスビー種
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蜂:村の被養蜂者。子ザブトンと共生し、ハチミツを提供してくれている。
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吸血鬼
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鬼人族
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アン:村の鬼人族の代表者で、フローラが連れてきた鬼人族のメイド長。村では家事やヒラクたちの世話を担う。
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ラムリアス:鬼人族メイドの一人。セナたちハウリン村から移住した獣人族の世話役をしている。
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天使族
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リザードマン
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ハイエルフ
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リア:村のハイエルフの代表者。200年ほど死の森の中を放浪していたが、ティアの誘いでヒラクたちと一緒に住むようになる。建築に長けており、村で大工や畑の収穫、森での狩りなどを担う。
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リース/リリ/リーフ/リコット/リゼ/リタ:リアの血族で、全員が姉妹や従姉妹同士。
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ラファ/ラーサ/ラル/ラミ:リアたちの後にクロの子供たちに追い立てられてリアたちに合流した。こちらも全員が姉妹や従姉妹同士。
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ララーシャ:ラファたちの血族で、樽作りが上手。
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ガルガルド魔王国
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魔王ガルガルド:ガルガルド魔王国の王。
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ビーゼル=クライム=クローム:魔王国の四天王の1人で、外交担当の伯爵。ヒラクの村を調べるために訪問するが、圧倒的戦力を秘めた者たちが住人として集まっていることに驚く。
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グラッツ=ブリトア:魔王国の四天王の1人で、軍事担当の侯爵。ミノタウロス族。
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フラウレム=クローム:ビーゼルの娘の魔族。父の命で大樹の村の監視役として村へ移住する。文官娘衆の代表者で、フラウと呼ばれる。
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ユーリ:魔王ガルガルドの娘。かつてフラウが学友を務めていた。取り巻きに唆されて大樹の村を攻めようとするが、それを知ったビーゼルとフラウにより村にたどり着く前に制圧された。大樹の村にしばらく滞在したことがある。世間知らずな一面がある。
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文官娘衆:ユーリに大樹の村を攻めるよう唆し、それを制圧したフラウにより村に連れてこられた魔王国の娘たち。マモンロズ子爵の次女のロアージュなど。村ではフラウの部下として活躍している。
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ラッシャーシ=ドロワ:文官娘衆の1人で、魔王国ドロワ伯爵家の次女。主にケンタウロスの世話係をしている。
- ホウ=レグ(※):魔王国の四天王で、財務担当の女性。愛称はホウ。
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竜
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ドライム:南の山に巣を作った、門番竜(ゲートドラゴン)との異名を持つ竜。人間の姿になると長髪の紳士。食べ物と酒に惹かれて、大樹の村へ入り浸るようになる。
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グラッファルーン:ドライムの妻で、白竜姫(ホワイトドラゴン)との異名を持つ。
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ラスティスムーン:村の竜の代表者。狂竜(クレイジードラゴン)の異名を持つドライムとグラッファルーンの娘で、ラスティと呼ばれる。グラッファルーンの命令で大樹の村に住むことになり、外交担当を担う。干し柿が好き。
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ドース:ドライムとハクレンの父で、竜王(エンペラードラゴン)の異名を持つ。
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ライメイレン:ドライムの母で、南方に住む。台風竜(ハリケーンドラゴン)の異名を持つ。
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ハクレン:ドライムの姉(長女)で、真竜(エンシェントドラゴン)との異名を持つ。大樹の村にやってきてからは村の教師役を務める。
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スイレン:ドライムの姉(次女)で、魔竜(スペルドラゴン)の異名を持つ。
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マークスベルガーク:スイレンの夫で、悪竜(イヴィルドラゴン)との異名を持つ。
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ヘルゼルナーク:スイレンとマークスベルガークの娘で、暴竜(ラースドラゴン)の異名を持つ。
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セキレン:ドライムの妹(三女)で、火炎竜(ファイヤードラゴン)の異名を持つ。
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ドマイム:ドライムの弟。
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クォン:ドマイムの妻候補で、ライメイレンの弟の娘。
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クォルン:セキレンの夫候補で、クォンの弟。
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グラル(※):暗黒竜ギラルの娘。
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ヒイチロウ(※):火楽とハクレンの息子。人間と竜族のハーフ。
- ギラル(※):暗黒竜。
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悪魔族
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グッチ:ドライムの従者で、知恵袋的な存在。
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ブルガ/スティファノ:ラスティスムーンが連れてきた使用人。
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獣人族
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ガルフ:ヒラクたちのいる森の東の山の中にあるハウリン村からやってきた使者で、ハウリン村で一番の戦士。大樹の村に交易を求めて訪れた。
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セナ:獣人族の娘。大樹の村の東の山にあるハウリン村村長の娘で、ハウリン村から大樹の村への移住者の代表。
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マム:ハウリン村から移住した獣人族の1人。主にニュニュダフネの世話係をしている。
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エルダードワーフ
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シャシャートの街
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マイケル=ゴロウン:南の港町・シャシャートのゴロウン商会の会頭を務める商人。村の御用商人となる。人間で、常識人。
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???
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アルフレート:火楽と吸血鬼ルーの息子。
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ティゼル:火楽と天使族ティアの娘。
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山エルフ
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ヤー:ハクレンが大樹の村に連れてきた、ハイエルフの亜種・山エルフのリーダー。とある山中で暮らしていたが、食糧事情が悪化してやってきた。工作が得意。ヤーの補佐役はヒテルトー。
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ラミア
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ジュネア:大樹の村の南側にあるダンジョンの奥で暮らしている上半身が人間、下半身がヘビの種族・ラミア族の族長。クロやザブトンの子供たちに屈服して村を訪れたことで、友好関係となる。
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スーネア:ラミア族の戦士長。
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グルーワルド=ラビー=コール:下半身が馬で速く走ることができる種族・ケンタウロスの代表者。
- フカ=ポロ(※):男爵だけど女の子。
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ニュニュダフネ
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イグ:村にやってきた、切り株や人間の姿に変化できる種族・ニュニュダフネの代表者。
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その他
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スライム:水の浄化のために村に連れてきた。村で日々数と種を増やしている。
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牛:牛乳を出すが、元の世界の牛ほどには出さない。
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鶏:卵を産むが、元の世界の鶏ほどには産まない。
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山羊:山羊乳を出す。当初はヤンチャだったが、おとなしくなった。
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馬:村長の移動用にと購入された。グルーワルドに対抗心を抱いている。
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酒スライム:村の癒し担当。
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死霊騎士:鎧姿の骸骨で、良い剣を持っている。
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土人形(※):ウルザの従士。ウルザの部屋の掃除を頑張っている。
- 猫(※):火楽に拾われた猫。謎多き存在。
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大英雄
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ウルブラーザ:現在は5歳の美少女に戻っているが、元死霊王。愛称はウルザ。
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ウオ:毛むくじゃらの巨人。性格は温厚。
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(注)(※)は、第4巻で初めて登場する人物。
というもの。
このほか、登場人物辞典では紹介されていませんが、
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獣人族
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ガット:ハウリン村の村長の息子でセナの兄。鉱山咳が出てハウリン村に住めなくなった妻・ナーシィ、4歳の息子・ナートとともに大樹の村に移住してきた。
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人間
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ジャック:フーシュが連れてきて一ノ村に住むことになった移住組のリーダー格。妻のモルテは精霊魔法の使い手。
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ナーシィ:人間の村・ヒュマ村の村長の親戚の娘でハウリン村に嫁いだガットの妻。領主が平民に生ませた子供らしい。
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というあたりも、本巻ではしばしば登場しています。
本作は、5章で構成され、それぞれの章は、序章を除いてさらに細かい節に分かれています。それぞれの章のあらすじ、概要は次のような感じです。
序章 馬
マイケルによって大樹の村に連れてこられた馬・ベルフォードの独り言。
一章 神と工作と春
1 創造神話
始祖を中心に行われた黒い大岩の発掘・発見と神像への加工に動員され不満がたまったルーやティアたちを慰撫するため宴会が開かれる。ドースに呼び戻されたラスティたちも帰ってきて宴会に加わる。ヒラクは宴会が始まる前、大樹の木のそばの社の前で真っ黒な猫を見つけ、膝の上に乗せていることに始祖が気づいて声をかける。
2 冬の工作
ヒラクは、ハウリン村に作ってもらったスプリングをサスペンションに使って山エルフの手伝いで馬車を乗り心地良くしようと改造する。さらに、子どもたちのための積み木、ロッキングチェア、揺り籠などを作る。
3 春に近い冬
ヒラクはハクレン、ウルザ、ビーゼル、フラウたちと温泉に行く。温泉の番人役の死霊騎士の鎧がサビだらけになっているのに気付いたヒラクは、木製の鎧を作ってみる。
閑話 神の代行者
農業神の視点から、黒い大岩として封印されていた魔神が、ヒラクによって創造神の神像に彫られたことが神罰となり、魔神が救済されて神性を帯びた猫の姿となるまでを描いた閑話。
4 十年目の春
春が来て、ビーゼル、グラッツ、ガルフが帰り、大樹の村では種族の代表が揃って会議が開かれ、冬の間の問題確認、今年の活動方針などが話し合われ、褒賞メダルを配布する。そこに始祖様からフーシュからのお礼で夫婦になったばかりの男女計20人を村に連れてくると連絡が入り、一ノ村に住んでもらうことにする。
5 春の作業 牧場拡張と他
ヒラクは万能農具で畑を耕し、牧場を400mほど拡張し、水飲み場を作る。
6 慶事とフーシュのお礼
ハクレンの妊娠が発覚し、ライメイケン、ドマイムなど多くの竜が村に訪れる。そして、フーシュのお礼の移住者が村にやってくる。
閑話 フーシュのお礼の準備
フーシュの視点から、大樹の村への移住者を集めるまでを描いた閑話。
閑話 オブライエン
フーシュの依頼で、移住者たちの護衛として同行することになった神官戦士・オブライエンの視点から大樹の村への移動を描いた閑話。
二章 移住組
1 移住者とドース
住民たちに怯える移住組をなだめながら、移住組が泊まる宿で歓迎会が開かれる。
2 確認と移動
一ノ村に移住組が住むことになるため、これまで一ノ村の管理人をしていたニュニュダフネたちをどうするか、ニュニュダフネ代表のイグ、世話人のマムたちと話し合った後、移住組に、一家族に一軒の家を与えること、ニュニュダフネは引き続き村で生活を続けること、マムが移住組の世話役も務めること、来年の春までに個々に仕事を決めてほしいことなどを説明する。そして移住組は一ノ村に移動し、それぞれの家を決める。
3 色々やってみた
一ノ村の移住者たちが何ができるかを確認するため、狩り、建設、酒造りなどいろいろやってもらう。小物作りや焼き物では何人かが才能を見せるが、どれも経験不足状態だった。その過程で、鍛冶のために窯を作るが、ハイエルフとガットの占有状態となり、大樹の村の離れに鍛冶場を作ることになる。
閑話 ジャック前編
移住者のリーダー役のジャックの視点から、大樹の村への到着から自分たちの家を決めるまでを描いた閑話。
閑話 ジャック後編
同じくジャックの視点から、狩りなどの体験の様子、そして到着した日の夜、ルーから、畑で遊ばない、トイレは清潔に使う、村長と敵対しない、と注意事項を教えられた回想などを描いた閑話。
閑話 新しい犬
クロの群れのインフェルノウルフが、森を探索中に子犬を見つけて大樹の村に連れ帰ったエピソード。その犬は、顔つきは怖いが雌犬で、フェンリルだった。
閑話 ガット
ガットの視点から、大樹の村に移住して、生活になじんでいくまでの様子と、鍛冶場ができハウリン村に置いてきた弟子2人を呼ぶことになるまでを描いた閑話。
4 酒とお祭り実行委員会とクルミ
ドノバンの願いで、ハチミツで酒を造るために女性陣には内緒でハチミツを用意することにする。お祭りは、くじ引きなどの結果、木を使った山崩しを行うことになる。
5 精霊魔法と一ノ村の色々
ジャックの妻のモルテが精霊を使役して効果を得る精霊魔法が使えることがわかる。一ノ村の移住者たちも少しずつ生活に慣れ、農業、小物作り、紙作りなどが主な仕事になっていく。
6 お祭り 山崩し+α
お祭りの季節を迎え、魔王国からは、いつもの面々に加え、ホウ=レグがやってくる。お祭りの前に前座的なイベントとして村人たちを題材にしたクイズ大会が行われるが、盛り上がりすぎて夜になってしまい、本番の山崩しは翌日に行うことになる。
7 クイズ大会の夜
クイズ大会の夜、予定どおり宴会が開かれる。ビーゼルからは、前に頼んでいた三ノ村への移住民について、20人くらい見つけたが、移住希望は半々で、少数ずつの移住になると話がある。
8 山崩し
翌日、種族や村ごとで集まった24チームが山崩しに参加する。三回戦まで行った結果、ザブトンチーム、四天王チーム、クロチームが勝ち残り、準決勝で四天王チームが敗退、決勝ではクロチームが勝利を収める。
9 反省会と各村
お祭りが終わりそれぞれが帰っていった後、大樹の村では、反省会が行われ、その後、各村の状況について報告を受ける。そして、三ノ村への移住希望者については、代表のグルーワルドが後日出かけて面接することになり、フーシュからの希望を受けて、一ノ村移住者の代表のジャックが移住者の無事を知らせる手紙を書く。そして、人数が増えてきたことなどを受けて、村で名簿を作ることになる。
閑話 手紙の受け取り先
コーリン教の本部があるレイワイト王国で孤児の相互扶助する組織の一員であるハシシムが、一気に20人の孤児が行方不明になり、一時人狩りの噂が流れたフーシュへの面談を求め、ジャックからの手紙を受け取るまでを描いた閑話。
三章 夏と秋とヒイチロウ
1 デスボール
およそ2,000ものデスボールという名の狂暴なアルマジロのような魔物が村を襲ってくることが分かり、ヒラクは万能農具を使って立ち向かうが、ザブトンの子どもたちが糸で即席の網を作り、デスボールを捕獲し、事なきを得る。
2 天使族の槍
デスボールの一件を踏まえ、ヒラクはグランマリアたち天使族が使う槍を強化しようといろいろと試す。クロたちの角を槍の先に使ってみると、命中すると爆発することがわかるが、槍の強化は竜の鱗を混ぜた鉄を使うことになる。
3 染料と花火
ヒラクはザブトンたちのためにマイケルから染料を仕入れ、クロたちの角を花火のように扱う実験を行う。村人が喜ぶトリュフがあまり好きではないヒラクは赤松からマツタケを育ててみるが、予想以上に人気を集める。
閑話 ガルフの冒険(すぐ終わった)
ハウリン村からガットの弟子が大樹の村に移動するのに同行したガルフが、大樹の村のお祭りの後、マイケルに同行してシャシャートの街に行き、武闘会で優勝するが、大樹の村から持って行った調味料が思わぬ人気を集めるエピソード。
4 夏のプール
夏になり、ウルザ、ナートや獣人族の子どもたちがため池で遊ぶのを見て、ヒラクは大樹の村の西側にプールを作る。25mプール、小さい子用の丸いプール、大人用の深い50mプール、それらを取り囲む流れるプールを作り、屋台まで出て賑わう。夏が終わり、プールの閉鎖時には、閉鎖イベントとしてバーベキューを開く。
閑話 ヴォルグラフ
ビーゼルからランダンの妹とのお見合い話が持ち込まれた魔王国貴族のゴフリル子爵の嫡男・ヴォルグラフ。フラウレムに憧れ、お見合いから逃れるために部下をシャシャートの街の武闘会に参加させるが、ランダンに見つかり、逃れられなくなったエピソード。
5 秋と新しい住人
収穫の季節が訪れ、ラミア族や巨人族を雇ってワイン造りなども行われる。収穫祭を行った後、飲み会が開かれ、天使族のキアービット、スアルリウ、スアルコウの3人、獣人族のガルフとその妻、息子、娘の4人が新たに村人となる。
6 豚と新たな生活と爵位
村に買い付けに来たマイケルは、以前からお願いしていた豚を20頭連れてくる。話し合いの結果、一ノ村で飼育してもらうことになる。ガルフ一家は大樹の村の居住エリアに家を建て、天使族の3人はヒラクの屋敷の空いている部屋に住むことになり、スアルリウとスアルコウはグランマリアたちに加わり上空警戒を主に担当することになる。ビーゼルと三ノ村へのケンタウロスたちの移住について話をし、希望者41人の中に男爵の爵位を持つ10歳の女の子がいることから、魔王にお願いして種族代表のグルーワルドに子爵の爵位を与えてもらう。始祖様、魔王、ビーゼルに同行して温泉に行くと、番人役の死霊騎士が3体に増えていた。
7 投石器
山エルフたちと水車動力をうまく使えないか話し合う中で、話が暴走し、投石器を作る。
8 ハクレンの出産
ハクレンが産気づく。ドースとともにやってきたギラルの娘・グラルはウルザと睨み合い、ドライムは自分の伴侶が生まれると感じると他者を排除して獲得しようとする竜族の女の本能的なものだと説明する。生まれた男の子はヒイチロウと名づけられる。
閑話 猛者
シャシャートの街の武闘会でガルフにあっさり負けたギアーゴが、ガルフの強さに近づくことを目指して訓練に向かう閑話。
終章 冬の準備と研究
1 新しい移住者とその他
ハウリン村では採掘関連の仕事をしていたガルフの息子は、村では石工を始め、石畳を作るようになる。キアービットはグランマリアたちと同じく警戒任務についたり、ティアと同じくヒラクの補佐をするようになる。そして、男爵のフカ=ポロを代表に、移住する40人のケンタウロス族が大樹の村に到着し、挨拶の後、三ノ村に向かう。
2 武闘会の前の相撲
武闘会を3日後に控え、その会場の横で、武闘会に参加しない者たちで相撲大会が始まる。そして前日、魔王たちも到着し、その夜には各種族の武闘会の出場者を決める決勝戦っぽい相撲が行われ、ミノタウロス族の決勝戦ではグラッツが勝利する。
3 第三回武闘会 開幕~模範試合まで
武闘会の当日、天使族による盛大な花火による開幕の合図、竜族の編隊飛行の後、武闘会が始まり、一般の部の後、戦士の部ではドノバンが優勝する。騎士の部の前に、ドース対ギラル、魔王対ザブトンの模範試合が行われ、盛り上がって騎士の部は翌日に持ち越されることになる。
4 第三回武闘会 騎士の部
翌日、32人が出場し、朝から夜まで試合が行われ、決勝は悪魔族のステファノと鬼人族のアンが対戦し、ステファノが優勝を収める。表彰式の後、宴会に突入し、武闘会の会場ではフリーバトルが行われる。
5 武闘会の感想戦?
翌日、三ノ村のフカとグルーワルド、獣人族のガルフとリザードマンのダガ、魔王国四天王のランダンとビーゼル、フーシュと始祖様、竜族のドースとギラルは、それぞれ武闘会の感想などを話していた。一方、マイケルと文官娘衆は、このままの取引が続くと魔王国中の金貨が村に集まってしまうと頭を抱え、マイケルはお金を使うために、シャシャートの街に食品工場や娯楽施設を作ることを提案する。
6 冬前の会議
来賓たちも帰っていくが、ギラルの娘のグラルは村に残り、当面はヒラクの屋敷の客用の部屋で寝泊まりすることになる。武闘会の反省会を終え、冬の準備を進める中、冬の間の仕事の割り振りなどを話し合う会議が行われる。ビーゼルから麻雀牌20セット、マイケルから馬車用のサスペンション30組、始祖様から創造神像2体の依頼が、ホウからは酒の製造希望が入り、冬の活動が決定され、各村の課題なども話し合われる。
7 村長とキャンピング馬車
種族代表の会議では、ヒラクの呼び方はこれまでどおり「村長」とし、各村の村長たちは「村長代行」もしくは「代行」と呼ぶことに決まる。サスペンション以外にも改造できないかとマイケルやビーゼルから渡されていた馬車を改造し、ヒラクはキャンピング用の馬車を作り始める。山エルフの協力も得て、10日後、1台の馬車が完成する。
8 冬と魔道具と盾
冬が到来し、ヒラクは馬車で料理するための魔術具が作れないかルーに相談する。そして、死霊騎士用に、木材を使って、変形ギミックを取り入れて大きさが変わる盾を作り、ダガに試してもらって改良を加える。
閑話 名前研究者
魔王国で名前に関して研究しているレイモンド=ゴルビークが、この世界で名前を決める時の法則について説明する閑話。
閑話 変身
ヒラクの視点から、変身について描かれた閑話。妊娠中に竜の姿になれなかったハクレンを見て、変身に興味を持ったヒラク。変身でどこまで可能なのか考え、ルーに実際に変身してもらって確認するが、ルーは姿は変えられるが本質は変えられないと話す。
(ここまで)
これまでの第3巻まで同じく、ドラマチックな起伏はなく、まったり、のんびりした空気感で進んでいく物語です。著者もあとがきで書いていますが、動きが小さい巻といえます。大樹の村での暮らしも10年目を迎え、基本的にはこれまでと同じサイクルが繰り返されているので、物語上の変化が少なくなってしまうのは仕方のないことかもしれません。