内藤騎之介さんの小説「異世界のんびり農家 05」を読みました。
出版元の公式サイトには、次のような紹介文が掲載されています。
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天空の城から突然の宣戦布告…! 火楽と大樹の村にトラブル発生!?
大樹の村の上空に突然現れた空飛ぶ城、”太陽城”
コウモリの羽を背につけた男が村を占拠したと宣戦布告を始めた…
火楽(ヒラク)はいつも通りに『万能農具』で攻撃、
トラブルを収める。
しかし、本当のトラブルはここからだった!?
この”太陽城”を制圧するため、
大樹の村の精鋭を集めて総攻撃を開始!!
シリーズ累計50万部突破の
スローライフ・農業ファンタジー 第5弾!
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第4巻に続き、巻末には「登場人物辞典」も掲載されています。そこで紹介されている登場人物は、次のとおりです。(なお、説明部分は適宜加除修正しています)
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人間
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街尾 火楽(まちお ひらく):39歳で命を落としたが、神様の計らいで異世界に転移し、授けられた『万能農具』を使って、夢だった農作業を頑張っている人間。『大樹の村』の村長。
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インフェルノウルフ族
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デーモンスパイダー族
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ザブトン:村のデーモンスパイダーの代表者で、尻から出す糸で布だけでなく服を作る衣装制作担当。クロとユキの次に村の住人となった。ジャガイモが大好き。
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子ザブトン:ザブトンの子供たち。
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マクラ:ザブトンの子供で、大樹の村で開かれた第1回武闘会の優勝者。
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グノーシスビー種
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蜂:村の被養蜂者。子ザブトンと共生し、ハチミツを提供してくれている。
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吸血鬼
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鬼人族
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アン:村の鬼人族の代表者で、フローラが連れてきた鬼人族のメイド長。村では家事やヒラクたちの世話を担う。
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ラムリアス:鬼人族メイドの一人。セナたちハウリン村から移住した獣人族の世話役をしている。
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天使族
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リザードマン
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ハイエルフ
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リア:村のハイエルフの代表者。200年ほど死の森の中を放浪していたが、ティアの誘いでヒラクたちと一緒に住むようになる。建築に長けており、村で大工や畑の収穫、森での狩りなどを担う。
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リース/リリ/リーフ/リコット/リゼ/リタ:リアの血族で、全員が姉妹や従姉妹同士。
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ラファ/ラーサ/ラル/ラミ:リアたちの後にクロの子供たちに追い立てられてリアたちに合流した。こちらも全員が姉妹や従姉妹同士。
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ララーシャ:ラファたちの血族で、樽作りが上手。
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ガルガルド魔王国
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魔王ガルガルド:ガルガルド魔王国の王。
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ビーゼル=クライム=クローム:魔王国の四天王の1人で、外交担当の伯爵。ヒラクの村を調べるために訪問するが、圧倒的戦力を秘めた者たちが住人として集まっていることに驚く。
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グラッツ=ブリトア:魔王国の四天王の1人で、軍事担当の侯爵。ミノタウロス族。
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フラウレム=クローム:ビーゼルの娘の魔族。父の命で大樹の村の監視役として村へ移住する。文官娘衆の代表者で、フラウと呼ばれる。
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ユーリ:魔王ガルガルドの娘。かつてフラウが学友を務めていた。取り巻きに唆されて大樹の村を攻めようとするが、それを知ったビーゼルとフラウにより村にたどり着く前に制圧された。大樹の村にしばらく滞在したことがある。世間知らずな一面がある。
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文官娘衆:ユーリに大樹の村を攻めるよう唆し、それを制圧したフラウにより村に連れてこられた魔王国の娘たち。マモンロズ子爵の次女のロアージュなど。村ではフラウの部下として活躍している。
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ラッシャーシ=ドロワ:文官娘衆の1人で、魔王国ドロワ伯爵家の次女。主にケンタウロスの世話係をしている。
- ホウ=レグ:魔王国の四天王で、財務担当の女性。愛称はホウ。
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竜
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ドライム:南の山に巣を作った、門番竜(ゲートドラゴン)との異名を持つ竜。人間の姿になると長髪の紳士。食べ物と酒に惹かれて、大樹の村へ入り浸るようになる。
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グラッファルーン:ドライムの妻で、白竜姫(ホワイトドラゴン)との異名を持つ。
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ラスティスムーン:村の竜の代表者。狂竜(クレイジードラゴン)の異名を持つドライムとグラッファルーンの娘で、ラスティと呼ばれる。グラッファルーンの命令で大樹の村に住むことになり、外交担当を担う。干し柿が好き。
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ドース:ドライムとハクレンの父で、竜王(エンペラードラゴン)の異名を持つ。
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ライメイレン:ドライムの母で、南方に住む。台風竜(ハリケーンドラゴン)の異名を持つ。
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ハクレン:ドライムの姉(長女)で、真竜(エンシェントドラゴン)との異名を持つ。大樹の村にやってきてからは村の教師役を務める。
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スイレン:ドライムの姉(次女)で、魔竜(スペルドラゴン)の異名を持つ。
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マークスベルガーク:スイレンの夫で、悪竜(イヴィルドラゴン)との異名を持つ。
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ヘルゼルナーク:スイレンとマークスベルガークの娘で、暴竜(ラースドラゴン)の異名を持つ。
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セキレン:ドライムの妹(三女)で、火炎竜(ファイヤードラゴン)の異名を持つ。
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ドマイム:ドライムの弟。
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クォン:ドマイムの妻候補で、ライメイレンの弟の娘。
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クォルン:セキレンの夫候補で、クォンの弟。
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グラル:暗黒竜ギラルの娘。
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ヒイチロウ:火楽とハクレンの息子。人間と竜族のハーフ。
- ギラル:暗黒竜。
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古悪魔族
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グッチ:ドライムの従者で、知恵袋的な存在。
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ブルガ/スティファノ:ラスティスムーンが連れてきた使用人。
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悪魔族
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クズデン(※):四ノ村の代表。村の悪魔族の代表。
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獣人族
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ガルフ:ヒラクたちのいる森の東の山の中にあるハウリン村からやってきた使者で、ハウリン村で一番の戦士。大樹の村に交易を求めて訪れた。
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セナ:獣人族の娘。大樹の村の東の山にあるハウリン村村長の娘で、ハウリン村から大樹の村への移住者の代表。
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マム:ハウリン村から移住した獣人族の1人。主にニュニュダフネの世話係をしている。
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エルダードワーフ
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シャシャートの街
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マイケル=ゴロウン:南の港町・シャシャートのゴロウン商会の会頭を務める商人。村の御用商人となる。人間で、常識人。
- マーロン(※):マイケルの息子。次期会頭。
- ティト(※):マーロンの従兄弟。ゴロウン商会の会計担当。
- ランディ(※):マーロンの従兄弟。ゴロウン商会の仕入れ担当。
- ミルフォード(※):ゴロウン商会の戦闘隊長。
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???
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アルフレート:火楽と吸血鬼ルーの息子。
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ティゼル:火楽と天使族ティアの娘。
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山エルフ
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ヤー:ハクレンが大樹の村に連れてきた、ハイエルフの亜種・山エルフのリーダー。とある山中で暮らしていたが、食糧事情が悪化してやってきた。工作が得意。ヤーの補佐役はヒテルトー。
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ラミア
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ジュネア:大樹の村の南側にあるダンジョンの奥で暮らしている上半身が人間、下半身がヘビの種族・ラミア族の族長。クロやザブトンの子供たちに屈服して村を訪れたことで、友好関係となる。
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スーネア:ラミア族の戦士長。
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グルーワルド=ラビー=コール:下半身が馬で速く走ることができる種族・ケンタウロスの代表者。
- フカ=ポロ:男爵だけど女の子。
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ニュニュダフネ
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イグ:村にやってきた、切り株や人間の姿に変化できる種族・ニュニュダフネの代表者。
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その他
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スライム:水の浄化のために村に連れてきた。村で日々数と種を増やしている。
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牛:牛乳を出すが、元の世界の牛ほどには出さない。
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鶏:卵を産むが、元の世界の鶏ほどには産まない。
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山羊:山羊乳を出す。当初はヤンチャだったが、おとなしくなった。
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馬:村長の移動用にと購入された。グルーワルドに対抗心を抱いている。
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酒スライム:村の癒し担当。
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死霊騎士:鎧姿の骸骨で、良い剣を持っている。
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土人形:ウルザの従士。ウルザの部屋の掃除を頑張っている。
- 猫:火楽に拾われた猫。謎多き存在。
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大英雄
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ウルブラーザ:現在は5歳の美少女に戻っているが、元死霊王。愛称はウルザ。
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ウオ:毛むくじゃらの巨人。性格は温厚。
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マーキュリー種(人工生命体)
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ゴウ=フォーグマ(※):太陽城城主補佐。初老。
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ベル=フォーグマ(※):種族代表。太陽城城主補佐筆頭。メイド。
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(注)(※)は、第5巻で初めて登場する人物。
というもの。
このほか、登場人物辞典では紹介されていませんが、
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獣人族
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ガット:ハウリン村の村長の息子でセナの兄。鉱山咳が出てハウリン村に住めなくなった妻・ナーシィ、4歳の息子・ナートとともに大樹の村に移住してきた。
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人間
- マルコス(※):フーシュの誘いで一ノ村に移住した人間で、大樹の村がシャシャートの街に出す店の店長代理を任されることになる。
- ポーラ(※):マルコスの妻
というあたりも、本巻で登場しています。
本作は、5章で構成され、それぞれの章は、序章を除いてさらに細かい節に分かれています。それぞれの章のあらすじ、概要は次のような感じです。
序章 魔力
世界の火神の独白。世界を見守っているが、同僚の魔法神がミスをして世界に予定外の魔力が流れ込み、世界は混沌の時代に突入する。それが終わろうかという頃、水神から誘われた宴会に魔法神を誘うが、魔法神が魔法から目を離した隙に、世界に再び予定外の魔力が流れ込み、世界は再び混沌の時代に突入する。
一章 太陽城
1 トラブルの来訪
10日ほど前に確認された空飛ぶソフトクリームのような形の城が少しずつ近づく。城を占拠している悪魔族のクズデンは大樹の村に宣戦布告するが、ヒラクが万能農具を変形させた槍を投げて命中させると、すぐに降伏する。その城は、太陽城という名の天空の城で、かつて住んでおり、悪魔族に追い出された神人族により自動操縦になっており、古の契約に従い、大樹の村に移動したのだという。城には魔物や魔獣が縄張りを作っていると聞き、制圧部隊を出すことになる。
2 太陽城制圧待ち
ハクレンの第一制圧部隊、ラスティの第二制圧部隊が出撃し、ヒラクたちはその制圧を待つ。夕刻、ラスティたちがクズデンを連れて帰ってくる。
3 鍋と報告
屋敷の食堂で、夕食の鍋料理を食べながら、ヒラクはクズデンから城には60人ほどの悪魔族のほか、200人くらいの夢魔族がいると聞き、その住人たちをどうするかを考える。
4 太陽城制圧
太陽城制圧の2日目、制圧を待つヒラクは、ウルザ、ナートたちのために槍を作った後、ドワーフたち用に木斧を作る。制圧が進み、ヒラクが万能農具の槍を投げると、命中した場所から太陽城の土台が崩壊し、高度5,000メートルくらいの高さで安定する。帰ってきた制圧部隊から制圧完了との報告を受け、翌日にヒラクも行って成果を確認することになる。
5 城主
翌日、太陽城に行ったヒラクは、クズデンから城を効率よくコントロールするためには城主の登録が必要と言われ、謁見の間らしい場所に連れていかれる。謁見の間の王座に鎮座していた人間大の大きな水晶石とのやりとりの末、クズデンが城主として登録される。村に来た理由の古の契約は、竜の巫女が神代竜族を10頭以上集めたらそこに行って人間の味方をするというもので、1200年前に定められた最上位契約だという。
6 太陽城観光
ヒラクたちは太陽城の内部を見て回る。城内の各ブロックを見回った後、ヒラクは変な場所があるのに気づき、行き止まりの通路を進み、そこにあった花瓶を倒すと、新しい通路が現れる。
7 隠し扉の先
隠れていた通路を進むと、書斎のような場所、その先には牢屋があった。書斎に戻って仕掛けを探すと、新たな通路が出現するが、ウルザ以外には見えず、入ることができない。すると、結界を解除したとの聞き覚えのない女の声が響き、他のメンバーにも見えるようになる。通路の先は、太陽城の動力部で、そこにいた神官の恰好をした女性は、城主補佐筆頭のベル=フォーグマと名乗り、予言を完遂させたいと真っ赤な太陽の剣を出す。ヒラクがそれを受け取ると、ベルは役目が果たせたと清々しい笑顔を見せる。
8 太陽城の燃料問題
ベルは、水晶石はゴウ=フォーグマという名で、2人は太陽城の城主を補佐するために作られたマーキュリー種と呼ばれる人工生命体で、全部で16体が製造されているが、残りの14体は、太陽城の燃料不足から休眠しており、ゴウが水晶石の姿なのも燃料の節約のためであることを話す。クズデンにこれからどうするか聞くと、ここでの生活を続けたいと話す。燃料が保温石であることがわかり、太陽城は保温石が豊富にある温泉地を目指すことになる。そして、クズデンは大樹の村に臣従を申し出る。
閑話 太陽城の事情 クズデン
閑話 太陽城の事情 ゴウ
閑話 太陽城の事情 ベル
クズデン、ゴウ、ベルの視点から、それぞれ、ヒラクたちとの出会いを描いた閑話。
二章 研究
1 太陽村
太陽城から大樹の村に戻ったヒラクは、種族代表者を集め、太陽城の受け入れについて会議を行う。クズデンの臣従の申し出を受けて、受け入れを決め、四ノ村とするが、特別に太陽村、太陽城と呼ぶことを許可する。太陽城に再び戻ったヒラクは、万能農具で家を建てるために廃墟を更地にし、畑にする場所を耕す。
2 保温石採掘
太陽城が温泉地の上に到着し、グランマリアに抱えられてヒラクは温泉地に下りる。温泉地を護衛している3人の死霊騎士に事情を説明した後、保温石を採掘し、太陽城に運ぶ。
3 太陽城の技術力
太陽城は、保温石から精製した燃料を使った魔法動力で動いている。今の魔法技術よりも圧倒的に高い技術を学ぼうとするが、ベルに聞き取ってもよくわからず、城に残っていた資料も多岐にわたる雑多な内容だった。保温石を大量に補充した太陽城は、ゴウの意見で、死の森の外周を一年かけて反時計回りに一周することになった。太陽城への移動手段を考えるヒラクは気球を作ろうと考える。そして、太陽城には日産10個と生産量は少ないが、缶詰を作る技術があった。
4 新たな春
春になって目を覚ましたザブトンたちに太陽城のことを説明し、太陽城の住人にザブトンを紹介する。太陽城の家を建てる予定の場所では、少しずつ建設が始まる。大樹の村に戻ったヒラクは、ラミア族や巨人族への太陽城の説明、一ノ村・ニノ村・三ノ村への協力、崩壊して森に落下した太陽城の土台部分の調査、気球の製作なども行いながら、畑仕事を進める。
5 ダンジョンイモ
太陽城で育てられていた室内でも育つダンジョンイモを改良するため、日光が当たる場所での生育を試すが、日光に当てると激しく成長してイモができないことがわかる。魔王から、200年くらい前に疫病の大流行でダンジョンイモが全滅した後に魔王国で育てられたのがフェアリー小麦で、人間の国でも流行ったが、15年ほど前に疫病が流行して人間の国が大飢饉となり、魔王国と戦争状態になったこと、フェアリー小麦を育てていた畑は他の作物がほとんど育たないことを聞いたヒラクは、その畑でダンジョンイモを育てれば作物ができようになるではないかとを考え、魔王に種イモを渡す。そのほか、いろいろ試してみると、コンニャクのようにすると美味しく食べられることがわかる。
6 褒賞メダルとミニトロフィー
太陽城の土台を調べに行ったダガ、ガルフ、ガットからの報告で、装飾や魔道具の部品として使われる星輝石、武具の製造時などに使われる魔鉄粉、魔法を使う際の触媒などに使われる黒塵の3つの珍しい鉱物が見つかり、道中では鉄鉱石と銅鉱石が見つかったことがわかり、採掘に行った者に褒賞メダルを贈呈する。ヒラクは、文官娘衆の注意を受けて、通貨の前段階として導入したメダルが交換に使われるよう、褒賞メダルを配る量を増やし、褒賞部分はミニトロフィーとして独立させることにする。
7 一ノ村の豚たち
一ノ村では、男性たちが育てた豚を食べることに抵抗を示して揉め事が発生し、豚小屋を増築するとともに、生まれた子豚の多くが二ノ村、三ノ村に譲られることになる。
8 気球
本格的な気球が完成するが、方向操作ができず、太陽城に行く手段としては使えないことがわかる。ヒラクは動力と舵を取り付けて飛行船にするため、プロペラを回す魔術具をルーに作ってもらうが、カゴにプロペラを付けてもうまくいかず、いったん開発を中断する。しかし、ある程度の高さまで飛べば太陽城の方から引っ張って誘導できることがわかり、気球での移動に成功する。
三章 店を作る
閑話 出張
魔王国で文官として勤め、5年ほど前からシャシャートの街の代官となっているイフルス。突然、魔王国四天王のレグ、グラッツ、ランダンが次々とやってきて、さらには魔王もやってきて、激しく疲れる。4人の用件は、いずれも、ゴロウン商会に客が来るので失礼がないように、というものだった。そして、客が来たと連絡が入ってゴロウン商会に向かうと、来ていたのはマルコスとポーラと名乗る人間の若い夫婦だった。ゴロウン商会の会頭は2人がこの街で商売を始める、南商区で資材置き場になっている場所を使わせてほしいと言い、イフルスは即座に移動させて譲ると約束する。翌日、相場の倍額以上の土地代金が届けられて、イフルスは驚く。
閑話 一ノ村の女性 ポーラ
街の路地裏で暮らしていたポーラは、フーシュの誘いで一ノ村に移住する。一ノ村移住者にヒラクからシャシャートの街に出す店を任せたいと話があり、移住者はみな手を上げるが、幸運の女神が微笑み、ポーラと夫のマルコスが選ばれる。ポーラとマルコスは、飲食店の開店準備のため、ヒラクの指導で人の雇い方、接客、衛生、税金の計算などを勉強した後、店で出すカレーの食材を荷車に積んで、シャシャートの街に出発する。
閑話 一ノ村の男性 マルコス
一ノ村移住者たちのクジで当たりを引き、ポーラとともにシャシャートの街に行くことになったマルコス。到着し、代官に会った後、街を観光しながら、店で出すカレーの適正価格帯を探るため価格調査を行い、ポーラが連れてきた10人くらいの従業員候補の女の子のために宿を借り、カレーの試作なども行う。10日後、マイケルに呼ばれて行くと、更地だった200メートル四方の場所に一軒の大きな店ができていた。あまりの広さに驚いたマルコスは、店内を4つのエリアに分け、南東を飲食エリア、北東を村長が持たせたミニボウリングができる遊戯エリアにし、最初はその2つのエリアだけで回すことにする。店長代理となるマルコスは、頑張って村長の名を汚さないようにしなければと意気込む。
閑話 シャシャートの街のゴールディ
シャシャートの街の裏の顔の1人であるゴールディが、路地裏生活者の女の子を従業員に雇う話を付けるために来たマルコスと出会い、店の混雑整理を頼まれるまでを描いた閑話。
閑話 路地裏の娘 ポッテ
路地裏生活の12歳くらいの女の子ポッテが、ポーラに声をかけられ、200人くらいの従業員の1人として店で働くようになるまでを描いた閑話。
1 大樹の村の村長
始祖様が届けてくれたマルコスからの手紙を受け、ガルフたちを連れて店に追加の食材を運ぶためにシャシャートの街を訪れたヒラクは、挨拶のためマイケルの店を訪ねるが、店の人に聞いても不在のようで、手紙を託して街の観光に出る。するとマイケルが追ってきて、店の人が会頭を訪ねてきたと思わず、手違いがあったと詫びた後、息子で次期会頭のマーロン、会計担当のティト、仕入れ担当のランディ、戦闘隊長のミルフォードを連れて、マルコスの店までヒラクを案内する。到着すると、カレーの品切れが原因で店内が混乱していた。ヒラクは混乱を静めて、騒動のお詫びに本日これから提供するカレーは無料にすると説明し、いったん店を閉めて追加の食材を調理して1時間後に再開させることにする。
2 緊急対応
店内の清掃が進む中、この大きい店全体がマルコスとポーラの店だと思っていなかったヒラクは無料と宣言した自分のミスを反省するが、この日を乗り切るために食器類や食材を調達し、店内のテーブルなどの配置や従業員のシフトを見直し、鬼人族メイドや山エルフなど援軍を呼び寄せ、別の料理や新しい遊具も用意して、再開に臨む。
閑話 魔王国のホウ=レグ
魔王国四天王の1人で酒好きなホウ=レグは、大樹の村がシャシャートの街に出した店の状況について派遣した護衛から逐次届く報告を読む。カレーの無料提供に苦情を言ってきた近隣の飲食店を取り込んで店の中に街を作って解決したとの報告を読み、お酒があることも知って、状況を確かめるため、実際に行くことを決める。
閑話 近所の屋台の激動
シャシャートの街で小さな飲食店の女将をしているマリサ。15歳の息子マルクと13歳の娘サンは修業のため交代で大通りに屋台を出すが、マルコスとポーラの店ができて売り上げが極端に落ちる。近くの屋台や飲食店の店長が文句を言いに集まるが、そこに現れたマーロンは、マルコスたちの店の中に店を開くことを提案し、サンは喜んで手を挙げ、ヒラクのアドバイスもあって売り上げを伸ばす。
閑話 ゴロウン商会の次期会頭 マーロン
マイケルの息子マーロンは、突然マイケルに大樹の村の村長がこの街に来ていると呼び出され、ヒラクの捜索を手伝わされるるが、ヒラクと合流し、店の騒動を収めるヒラクの手際の良さと発想力に驚く。
3 村長は日帰り
何とか店の騒動を収めたヒラクは、日帰りで村に帰り、翌日、再び援軍を連れてシャシャートの街に向かう。ハイエルフにはボウリングのレーンなどを作ってもらい、山エルフには輪投げや射的を作ってもらう。
4 税とトラブル
そこに、商業ギルドの人が、水道代、防災費、ゴミ処理代、下水利用代の支払いと寄付について話をしにやって来る。慣例や慣習がわからないヒラクは、不当に高額でなければちゃんと払うとマイケルに伝えて任せる。慣習に反して開店初年度から高額の寄付を求めるのは貴族の意向だと言うが、店内でガルフが取り押さえた男が、その貴族、アルバトロス子爵家の嫡男だった。貴族は怒りを露わにするが、始祖様が魔王を連れてきて、子爵が罪が問われる事態となるが、始祖様の機転で、アルバトロス家から恨みを買わないよう、コーリン教で嫡男を預かることでうやむやにすることになる。
5 ビッグルーフ・シャシャート
店は「ビックルーフ・シャシャート」という名前になっていたが、店内に店を引き入れたことで施設名となって、カレー店の名前を付けなければいけなくなり、マルコスとポーラから名前をもらい「マルーラ」と名づける。出店エリア用の地図を作り、店内の看板を制作する。さらに、トラブル防止のために警備隊を組織し、ビッグルーフ・シャシャートの運営はゴロウン商会に委託することにする。カラアゲとお酒の販売も正式に開始するが、大通りの向かいに同じ大きさの店ができるとマイケルから聞いて驚くが、マイケルが金貨不足で未払いとなっていた代金を全部使って、と自分が言ったことが原因だった。
閑話 観察者
マイケル、ミルフォード、マルコスとポーラの護衛を担当するエイト、魔犬のゴーロ、クロの群れの一員のインフェルノウルフの視点から、ビッグルーフ・シャシャートを巡るひとこまを描いた閑話。
終章 祭りと語らい
1 祭の準備と来客
シャシャートの街への通勤?も10日ほどで終わり、村では祭りの準備が進む。開催日が近づくと、ラミア族、巨人族、死霊騎士、魔王、ビーゼル、ランダン、ユーリ、ドースやドライムたち竜族たちが集まり、当日になると各村からも人が集まってくる。
2 祭り クイズ大会と騎馬戦
祭りが始まり、まず前年に続いて行われたクイズ大会で盛り上がった後、体格差別の騎馬戦が行われる。32チームが出場した小さい部門はリザードマンのチーム、9チームが出場した大きい部門は死霊騎士とライオンのチーム、特殊部門はコローネが優勝し、クロの子供たちにウルザなど子供が乗る子供部門が終わった後は、最後に自主参加の騎馬戦が行われ、ヒラクも巻き込まれる。
3 祭りの夜の語り
祭りの夜、ヒラクは、一ノ村、二ノ村、三ノ村、太陽城、酒スライム、グノーシスビー、土人形、死霊騎士、ギラル、サブトン・・・と次々に語るが、そろそろ私の相手をしてくれとルーがヒラクの腕を掴む。
閑話 夢魔族
閑話 射的コーナー
10歳の少年ボウイは、ビッグルーフ・シャシャートにできた射的コーナーでコツを掴み、いくつも景品を獲得するが、的が動く仕掛けが人力から魔道具に変わって歯が立たなくなり、獲得した景品の弓と矢のセットで練習に励む。
(ここまで)
これまでの第4巻まで同じく、ドラマチックな起伏はなく、まったり、のんびりした空気感で進んでいく物語です。劇的な展開はないので、次第にマンネリ化してきている感じもありますが・・・。