今年10月からの秋クールにTOKYO MXなどで放送されているテレビアニメ「聖女の魔力は万能です」第2期の「聖女の魔力は万能です SEASON2」、ここでは、テンユウとのエピソードの後、討伐の終結までを描いた第7話から第9話までを紹介します。
カドカワBOOKSから刊行されている橘由華さんの同名ラノベを原作にテレビアニメ化した作品で、主なスタッフは、監督:井畑翔太、シリーズ構成:渡航、キャラクターデザイン:石川雅一、アニメーション制作:ディオメディアなど。
前回の繰り返しになりますが、公式サイトで紹介されている主な登場人物は、次のとおりです。
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セイ(小鳥遊 聖)【石川 由依】:朝から深夜まで仕事漬けだった20代の会社員。スランタニア王国の「聖女召喚の儀」によって、突然見知らぬ異世界に喚び出されてしまう。元々植物好きだったこともあり、自ら望んで薬用植物研究所で働く。真面目な性格と探究心の強さに聖女としての魔力が加わり、魔法やポーション作りで5割増しのパワーを発揮する。ただし、恋愛方面はちょっと不慣れ。
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アルベルト・ホーク【櫻井 孝宏】:王宮第三騎士団の団長。ホーク辺境伯家三男。騎士団では所属する騎士たちからの信頼も厚く、よきリーダーとしての姿を見せる。ブルーグレーの瞳を持ち、そのクールな印象の外見と氷属性魔法の使い手であることから、多くの女性たちに「氷の騎士様」と呼ばれている。だが、セイの前では柔らかな表情を見せることも……。
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ヨハン・ヴァルデック【江口 拓也】:薬用植物研究所の所長。ヴァルデック伯爵家次男。王宮を飛び出したセイの事情を知りながら、研究所にあたたかく迎えてくれる。セイが持つ魔力の特異性には早々に気づくが、必要以上に口出しはせず、いつもおおらかに見守っている。アルベルトとは幼なじみで、次第に接近していくセイとアルベルトの関係を秘かに楽しんでいる様子。
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ユーリ・ドレヴェス【小林 裕介】:宮廷魔道師団の師団長。もとは一般庶民であったが、魔法適性の高さを買われドレヴェス侯爵家に養子として迎えられた。人当たりのいい好青年に見えるが、当人は魔法や魔力の研究にしか興味がないという変わり者。魔法の使い手としては王国で敵う者がいないほどの実力を持ち、人に対して鑑定魔法を使える唯一の人物でもある。儀式によって聖女を召喚した張本人で、セイの未知数な魔力にはもちろん興味津々。
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ジュード【八代 拓】:薬用植物研究所の研究員。セイを最初に研究所へ案内し、その縁で教育係を担当することになる。人懐っこく面倒見のいい性格で、セイが気軽に接することができる貴重な存在。
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アイラ(御園 愛良)【市ノ瀬 加那】:セイと同時に召喚された女子高生。聖女ではない自分が歩むべき道を模索し、セイのアドバイスで宮廷魔道師団に入団。新人魔道師として魔法の勉強をしている。セイとエリザベスのお茶会友達。
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エリザベス・アシュレイ【上田 麗奈】:侯爵令嬢。王宮図書室での出会いをきっかけにセイと親しくなる。賢さと行動力を併せ持ち、誰に対しても分け隔てなく接する才女。セイの友人兼よき理解者として、彼女の幸せを願っている。
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エアハルト・ホーク【梅原 裕一郎】:宮廷魔道師団の副師団長。ホーク辺境伯家次男。アルベルトの兄だが、弟以上にクールな雰囲気の持ち主。真面目な常識人で、上司であるユーリの破天荒な行動にいつも振り回されている。
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オスカー・ドゥンケル【逢坂 良太】:セイが開発した商品を取り扱う新たな商会を立ち上げるために、ヨハンが呼び寄せた商人。同僚のフランツと共に、基本的な店舗経営や商品の生産管理などを担当する。(なお、第6話以降には登場してきません)
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テンユウ【小林 千晃/稗田寧々(幼少期)】:ザイデラ国の第十八皇子。母は皇帝の七番目の側室。ある目的のため、スランタニア王国の王立アカデミーに留学する。植物への造詣が深く、薬用植物研究所の視察も希望する。(なお、第7話以降には登場してきません)
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セイラン【三木 眞一郎】:ザイデラ国の交易船の船長。モルゲンハーフェンの港で負傷した船員を助けてくれたセイを、交易品倉庫に招く。そこにあった積み荷の数々で、セイを感激させることになる。(なお、第7話以降には登場してきません)
公式サイトで紹介されている以上の11人のほかに、第7話から第9話までに登場する、名前が付けているキャラクターとしては、次の人たちがいます。
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ジークフリート・スランタニア【山野井 仁】(第7話):スランタニア王国の国王。
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ヴォルフ【熊谷 健太郎】(第7・8話):王宮第三騎士団の団員。
- ドミニク・ゴルツ【加藤 亮夫】(第7話):スランタニア王国の宰相。
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ヨーゼフ・ホーク【置鮎 龍太郎】(第7話):ホーク辺境伯家の長男で、軍務大臣。
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ローラント・ヴァルデック【土田 大】(第7話):ヴァルデック伯爵家のヨハンの兄。
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アシュレイ侯爵【村治 学】(第7話):エリザべスの父の侯爵。
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クラウディア夫人【増田 ゆき】(第8話):ヘルムートの妻。
各話ごとのあらすじは、次のとおりです。< >内が公式サイトで紹介されているストーリーになります。
Episode 07「幕間」
<アルベルトが率いる第三騎士団とセイが行う魔物討伐に、一旦の区切りが見えてきた。ひと息ついたところで、今後はセイの婚約問題が持ち上がると告げるエリザベス。聖女であるセイの婚約は、国王の会議でも話題になっていた。>
黒い沼が見つかると、騎士団に同行して聖女の術で魔物を討伐し、瘴気を浄化するセイ。討伐先の森でアルベルトと話をするセイは、モミの木があることに気づき、私がいた世界では冬になるとモミの木に飾りつけをする、恋人と過ごすロマンチックなお祭りみたいな扱いだった、自分は仕事ばかりしていてそういう思い出はないが、雰囲気は好きだった、とクリスマスの話をすると、アルベルトはセイが好きなものを語る姿はとてもきれいだと褒める。セイは照れてアルベルトを直視できなくなってしまう。
王都に戻ってエリザベス、アイラとお茶会をするセイは、討伐も減ってきたと話をすると、エリザベスは、そうなるとセイの婚約の問題が持ち上がると話を向けられ、これからはお茶会や夜会に誘われることも増える、セイのしたいようにするのが一番いいが、立場上社交がつきまとう、それをいなす方法も考えなければならない、とアドバイスする。
予定があるセイが先に席を立った後、エリザベスはアイラに、お披露目の一件以来セイのことについて探りを入れられている、貴族の婚姻は本人の気持ち次第ではなく、周囲の理解が必要と話す。アイラが自分の好きな人と結婚したいと言うと、エリザベスは、思いを通わせた相手と結ばれるのは素敵、と口にするが、自分は考えたこともない、それが侯爵令嬢としてあるべき姿だから、だが、それも含め、私は自分の人生を選んでいる、それに一から幸せな関係を築いていくのも素晴らしいこと、と語る。リズには幸せになってほしい、と言うアイラにエリザベスは、あなたも、と言い、私はあなたの幸せも願っている、と心の中で思う。
国王のジークフリートも出席して開かれた御前会議では、魔物の討伐状況について、現在発見されている黒い沼は全て消滅し、未確認地域の調査を続けると報告があり、つつがなく終了するが、会議の終了後、ジークフリートは、そろそろ終わりが見えてきた、そうなると、セイの今後を考えなければならないと語る。
それを機に、貴族たちの間でセイの婚約が話題となる。御前会議に出ていたヨーゼフは王宮内でアシュレイ侯爵から呼び止められ、陛下から呼び出しを受けた、おそらく聖女の婚約の件だろうと聞かされ、三男のアルベルトは聖女のお相手に立候補するのか、と探りを入れられる。ヨーゼフは私からは何とも、誰を選ぶかは聖女に一任されるようだと返すと、アシュレイ侯爵は、私としてはアルベルトでも構わないと思っているが、と言って去っていく。
その夜、ヨーゼフは弟のエアハルトとアルベルトを呼び出し、まだ王家が勝手に言っているだけだが、セイの見合いが話題に上がっている、他の家が行動に移してくるのは間違いない、牽制を意味も含めてホーク家でも候補を出したいと話す。アルベルトの思いを察しているエアハルトは、アルベルトに候補者を譲り、アルベルトを立候補させることで話がまとまる。
一方、ヨハンのもとには、兄・ローラントが訪ねてきて、セイの結婚相手について話が出ていると候補者となるよう促すが、アルベルトの恋路を邪魔するのはごめんだ、と断る。その後、薬用植物研究所に向かいヨハンは、馬車の中でセイとのこれまでの日々を思い返し、目を離せばすぐにやっかい事を引き起こすセイに、気付けばいつも目で追っていた、それだけのことだ、と自分に言い聞かせる。
研究所に着いたヨハンは、まだ仕事をしていたセイとベンチに座り、王宮で婚約が話題になっていると話すと、セイは、願望がないわけじゃないるが具体的に考えたことがない、仕事があって趣味も充実している今が一番楽しい、急に婚約とか言われると戸惑ってしまう、と心の内を明かす。すると、ヨハンは、今の生活を変えたくないなら、自分を婚約者にしないかと突然口にする。そういう冗談は、と文句を言うセイに、ヨハンは冗談を装って、納得いくまで考えたらいい、大事なのはお前の気持ちだ、まあ、あいつの気持ちも大事ではあるな、と言って去っていく。「あいつ」って?と思ったセイはそれがアルベルトのことだと気づき、無意識に聖女の術が発動する。それを振り返ったヨハンも目にするのだった。
国王ジークフリートのもとに、ホーク領で黒い沼が確認され、ホーク辺境伯家から派遣要請が出されたと報告が入る。ジークフリートは、セイの聖女としての最後の仕事になるかもしれない、と口にする。
Episode 08「辺境」
<魔物討伐のため、アルベルトの故郷・ホーク領を訪れたセイたち。アルベルトの両親で領主を務めるホーク夫妻は晩餐会を開き、セイは楽しいひとときを過ごす。翌日、魔物が出現する鉱山周辺は異様な雰囲気に包まれていた……。>
聖女の力を使って、魔物の発生源である黒い沼を1つずつ浄化してきたセイ。自分が出会った人たちがこれからも笑って暮らせればいいという思いで自分のできることをしてきただけで、聖女としての仕事がいつまで続くのかなんて考えたこともなかった。
ホーク辺境伯家から派遣要請に応じ、第三騎士団に同行して国の端にあるアルベルトの故郷・ホーク辺境伯領にやってきたセイは、その美しい風景に目を奪われる。
ホーク辺境伯のヘルムートと妻クラウディアは温かくセイたちを出迎える。アルベルトの両親と思うセイは、変に緊張しながら挨拶する。アルベルトは最初に騎士団長として堅い挨拶を交わした後、辺境伯夫妻と親子の会話を交わす。
夕食は夫人が力を入れて準備した料理でもてなされる。料理の美味しさに感嘆するセイが、北のほとりに温泉があると聞いて食いつくと、アルベルトは、討伐が済んでも数日は調査のために滞在するので、その待機の間に温泉がある街のホーク家の別荘に案内させてほしいと申し出る。
会食後、激しい疲労感に襲われるセイは、これが相手のご両親へのご挨拶というイベントの反動なのか、と思うが、そこに、セイを気遣うアルベルトが声をかけて労う。
翌日、黒い沼があると思われる鉱山に向かった一行は、麓にある鉱夫たちの集落に到着する。すると、男の悲鳴が聞こえ、騎士団と魔導師団が駆け付け、鉱夫たちを襲おうとしていた魔物を撃退する。集落の代表者から、鉱山の中はとんでもないことになっている、魔物の数が異常に増えて討伐が追い付かなくなってしまった、さらに最近では、これまで見たことのない生きていない魔物が出るようになったと聞かされるセイたち。ユーリは、採掘できないのだから避難した方がいいのでは、と話すが、傷が深くて動かせないものもいるという話に、負傷者の救護、集落の防衛、避難経路の護衛は騎士団やセイたちが対応することにし、翌日には鉱山に向かうことにする。
その話合いが終わる頃、増援の騎士たちが到着する。もう討伐遠征は長くない、チャンスがあるうちにセイの力になりたい、王宮ではこれが最後だという話になっている、との騎士たちの話を聞いて、魔物討伐がずっと続くものだと何となく思っていたセイは戸惑う。その夜、ユーリたちにも沼の浄化がこれで終わりかと尋ね、終わりがあるんだと驚いてしまって、と戸惑う心の内を明かす。ユーリは、確証はないが、聖女に関わる文献とこれまでの状況から推察して、このホーク領内の黒い沼が最後だろうというのが、自分と王宮の共通認識だ、まずは黒い沼を発見し、浄化しましょう、その後のことは、その時に考えればいい、と語る。
翌朝、増援に来た騎士たちに集落の防衛や避難経路の警護を任せ、アルベルトやセイたちは鉱山に向け出発する。生きた魔物だけでなく、死んだ魔物・アンデッドも出るという場所、一行は警戒しながら進むが、すぐに魔物が現れる。一行は応戦するが、倒しても再び襲ってくるアンデッドに苦しみ、ついには、親玉と思われる巨大な猪のような魔物が崖の上に姿を見せる。一行はその巨大さに驚くが、その魔物は、一行を襲うことなく、振り返って姿を消し、それとともにアンデッドたちも姿を消す。ユーリは、この先どうなるのか確かめるためにも進むしかないと言い、アルベルトも頷くのだった。
Episode 09「終幕」
<鉱山の森に現れたのは、生きた屍のような魔獣だった。それらを生み出す「黒い沼」を目指し、セイたちは鉱山の薄暗い坑道を進む。襲いかかる魔獣の群れを退けながら、たどり着いた最深部でフルパワーを発揮するセイだが……。>
さらに進みながら、アルベルトは、あのサイズの魔物が出るとなると、今までとは違う何かが起きているのかもしれないと話すが、騎士たちは、俺たちには聖女様がついている、聖女様だけは守る、意気揚々と進む。
ついに坑道に入った一行。周囲に気を付けながら先に進むが、セイはひどい臭気が辛くなってくる。アンデッドも現れ始め、撃退しながら進んでいくが、臭いのを気にするセイにアルベルトがハンカチを差し出す。それを鼻に当てながら、セイは一行とともに進んでいく。坑道の奥まで進んだところで、アンデッドとの戦いで傷付いた騎士たちを治すため、セイはエリアヒールを発動させる。すると、猪のような魔物が雄たけびを上げ、黒い沼から多くのアンデッドが現れる。ユーリは、自分も黒い沼を浄化できないかと研究した魔法「ホーリーアロー」を放つが、効果は出ない。そして、ユーリやアルベルトたちが魔物と戦う隙に、セイは聖女の術を発動させてその黒い沼を浄化する。
黒い沼の浄化を終えたと思ってホッとして坑道を戻る一行だったが、谷に架かるトロッコ軌道の橋を歩いて渡っていたところに、谷の下から突然アンデッドが襲ってきて軌道の枕木を打ち抜き、アルベルトがそのアンデッドを斬り落としたものの、セイは打ち抜かれた枕木の隙間から谷の下へ落ちてしまう。アルベルトは助けようと後を追って飛び降りようとするが、部下に必死に止められる。
谷底に落ちたセイは、持っていたポーションを飲んで体力を回復させ、落ちたところから道なりに歩き出す。
一方、ユーリは、もう1つ黒い沼があるのではと考え、まずはセイとの合流が最優先、とアルベルトたちとともにセイを探し始める。
また会えるのだろうかと不安に襲われるセイだったが、道の奥から風が吹いてくることに気づいて、外につながっているのかもしれないと考え、その方向に走り出す。すると、セイを探すアルベルトの声が聞こえ、互いを見つけたセイとアルベルトは駆け寄り、アルベルトはセイを熱く抱きしめる。そこにユーリたちも合流し、恥ずかしくなったセイは顔を赤らめる。
しかし、そこは黒い沼がある場所で、沼からは巨大なアンデッドドラゴンが姿を現し、その巨大さにセイは驚愕する。アルベルトやユーリたちが苦しみながら応戦し、セイはこの日2度目となる聖女の術の発動に手間取るが、アルベルトやユーリたちの援護も受けて聖女の術を発動し、黒い沼は浄化され、アンデッドドラゴンも姿を消す。セイは晴れやかな笑みをアルベルトに見せ、騎士たちは喜びの声を上げるのだった。
(ここまで)
聖女が召喚される要因となった、瘴気を放ち魔物を生む黒い沼の浄化は(今のところは)これで終結したことになります。当初期待された聖女としての役割を果たしたセイは、ポーションの作り手や回復魔法の使い手としてはともかく、少なくとも聖女としてはお役御免ということになるので、この先は、アルベルトとの恋の行方がメインの主題になっていくのでしょうか。
第10話以降については、また改めて。