内藤騎之介さんの小説「異世界のんびり農家 03」を読みました。
2023年1月から3月までの2023冬クールに全12話が放送されたテレビアニメ版の原作小説の第3巻で、2018年7月に単行本として刊行されています。第2巻に続けて読んでみました。
出版元の公式サイトには、次のような紹介文が掲載されています。
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異色な村民、続々増加!
「村の発展に尽力したい!」
新しい村の発展のため、『万能農具』で畑を拡張、さらに村の整備も整えていく。
そこへ、突然やって来た天使族の長の娘が、村長・火楽(ヒラク)に試練を課すも……!?
火楽(ヒラク)の子どもが新たに誕生し、『大樹の村』はさらに活気あふれていく!!
シリーズ累計25万部突破!!!!
農業で異世界を切り拓く、スローライフ・ファンタジー第三弾!!!!
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第3巻までくると、かなり登場人物が増えてきて、巻末には「登場人物辞典」も掲載されています。そこで紹介されている登場人物は、次のとおりです。(なお、説明部分は適宜加除修正しています)
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人間
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街尾 火楽(まちお ひらく):39歳で命を落としたが、神様の計らいで異世界に転移し、授けられた『万能農具』を使って、夢だった農作業を頑張っている人間。『大樹の村』の村長。
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インフェルノウルフ族
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デーモンスパイダー族
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ザブトン:村のデーモンスパイダーの代表者で、尻から出す糸で布だけでなく服を作る衣装制作担当。クロとユキの次に村の住人となった。ジャガイモが大好き。
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子ザブトン:ザブトンの子供たち。
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マクラ:ザブトンの子供で、大樹の村で開かれた第1回武闘会の優勝者。
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グノーシスビー種
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蜂:村の被養蜂者。子ザブトンと共生し、ハチミツを提供してくれている。
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吸血鬼
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鬼人族
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アン:村の鬼人族の代表者で、フローラが連れてきた鬼人族のメイド長。村では家事やヒラクたちの世話を担う。
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ラムリアス:鬼人族メイドの一人。セナたちハウリン村から移住した獣人族の世話役をしている。
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天使族
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リザードマン
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ハイエルフ
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リア:村のハイエルフの代表者。200年ほど死の森の中を放浪していたが、ティアの誘いでヒラクたちと一緒に住むようになる。建築に長けており、村で大工や畑の収穫、森での狩りなどを担う。
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リース/リリ/リーフ/リコット/リゼ/リタ:リアの血族で、全員が姉妹や従姉妹同士。
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ラファ/ラーサ/ラル/ラミ:リアたちの後にクロの子供たちに追い立てられてリアたちに合流した。こちらも全員が姉妹や従姉妹同士。
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ララーシャ:ラファたちの血族で、樽作りが上手。
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ガルガルド魔王国
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魔王ガルガルド:ガルガルド魔王国の王。
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ビーゼル=クライム=クローム:魔王国の四天王の1人で、外交担当の伯爵。ヒラクの村を調べるために訪問するが、圧倒的戦力を秘めた者たちが住人として集まっていることに驚く。
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グラッツ=ブリトア:魔王国の四天王の1人で、軍事担当の侯爵。
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フラウレム=クローム:ビーゼルの娘の魔族。父の命で大樹の村の監視役として村へ移住する。文官娘衆の代表者で、フラウと呼ばれる。
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ユーリ:魔王ガルガルドの娘。かつてフラウが学友を務めていた。取り巻きに唆されて大樹の村を攻めようとするが、それを知ったビーゼルとフラウにより村にたどり着く前に制圧された。大樹の村にしばらく滞在したことがある。世間知らずな一面がある。
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文官娘衆:ユーリに大樹の村を攻めるよう唆し、それを制圧したフラウにより村に連れてこられた魔王国の娘たち。マモンロズ子爵の次女のロアージュなど。村ではフラウの部下として活躍している。
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ラッシャーシ=ドロワ:文官娘衆の1人で、魔王国ドロワ伯爵家の次女。主にケンタウロスの世話係をしている。
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竜
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ドライム:南の山に巣を作った、門番竜(ゲートドラゴン)との異名を持つ竜。人間の姿になると長髪の紳士。食べ物と酒に惹かれて、大樹の村へ入り浸るようになる。
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グラッファルーン:ドライムの妻で、白竜姫(ホワイトドラゴン)との異名を持つ。
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ラスティスムーン:村の竜の代表者。狂竜(クレイジードラゴン)の異名を持つドライムとグラッファルーンの娘で、ラスティと呼ばれる。グラッファルーンの命令で大樹の村に住むことになり、外交担当を担う。干し柿が好き。
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ドース:ドライムとハクレンの父で、竜王(エンペラードラゴン)の異名を持つ。
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ライメイレン:ドライムの母で、南方に住む。台風竜(ハリケーンドラゴン)の異名を持つ。
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ハクレン:ドライムの姉(長女)で、真竜(エンシェントドラゴン)との異名を持つ。大樹の村にやってきてからは村の教師役を務める。
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スイレン:ドライムの姉(次女)で、魔竜(スペルドラゴン)の異名を持つ。
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マークスベルガーク:スイレンの夫で、悪竜(イヴィルドラゴン)との異名を持つ。
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ヘルゼルナーク:スイレンとマークスベルガークの娘で、暴竜(ラースドラゴン)の異名を持つ。
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セキレン:ドライムの妹(三女)で、火炎竜(ファイヤードラゴン)の異名を持つ。
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ドマイム:ドライムの弟。
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クォン*:ドマイムの妻候補で、ライメイレンの弟の娘。
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クォルン*:セキレンの夫候補で、クォンの弟。
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悪魔族
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グッチ:ドライムの従者で、知恵袋的な存在。
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ブルガ/スティファノ:ラスティスムーンが連れてきた使用人。
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獣人族
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ガルフ:ヒラクたちのいる森の東の山の中にあるハウリン村からやってきた使者で、ハウリン村の戦士のリーダー。大樹の村に交易を求めて訪れた。
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セナ:獣人族の娘。大樹の村の東の山にあるハウリン村村長の娘で、ハウリン村から大樹の村への移住者の代表。
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マム:ハウリン村から移住した獣人族の1人。主にニュニュダフネの世話係をしている。
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エルダードワーフ
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シャシャートの街
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マイケル=ゴロウン:南の港町・シャシャートのゴロウン商会の会頭を務める商人。村の御用商人となる。人間で、常識人。
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???
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アルフレート:火楽と吸血鬼ルーの息子。
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ティゼル:火楽と天使族ティアの娘。
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山エルフ
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ヤー:ハクレンが大樹の村に連れてきた、ハイエルフの亜種・山エルフのリーダー。とある山中で暮らしていたが、食糧事情が悪化してやってきた。工作が得意。ヤーの補佐役はヒテルトー。
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ラミア
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ジュネア:大樹の村の南側にあるダンジョンの奥で暮らしている上半身が人間、下半身がヘビの種族・ラミア族の族長。クロやザブトンの子供たちに屈服して村を訪れたことで、友好関係となる。
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スーネア:ラミア族の戦士長。
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グルーワルド=ラビー=コール:下半身が馬で速く走ることができる種族・ケンタウロスの代表者。
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ニュニュダフネ
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イグ:村にやってきた、切り株や人間の姿に変化できる種族・ニュニュダフネの代表者。
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その他
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スライム:水の浄化のために村に連れてきた。村で日々数と種を増やしている。
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牛:牛乳を出すが、元の世界の牛ほどには出さない。
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鶏:卵を産むが、元の世界の鶏ほどには産まない。
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山羊:山羊乳を出す。当初はヤンチャだったが、おとなしくなった。
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馬:村長の移動用にと購入された。グルーワルドに対抗心を抱いている。
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酒スライム:村の癒し担当。
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死霊騎士*:鎧姿の骸骨で、良い剣を持っている。
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大英雄
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ウルブラーザ*:現在は5歳の美少女に戻っているが、元死霊王。
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ウオ*:毛むくじゃらの巨人。性格は温厚。
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(注)*は、第3巻で初めて登場する人物。
というあたり。
本作は、5章で構成され、それぞれの章は、序章を除いてさらに細かい節に分かれています。それぞれの章のあらすじ、概要は次のような感じです。
序章 過保護なグライム
万能農具であるグライムの独り言、という体裁で記された、村人など主な登場人物の紹介。
一章 一年の終わりと始まり
1 冬です
一ノ村でニュニュダフネ、二ノ村でミノタウロス族、三ノ村でケンタウロス族が生活を始めた頃、冬が到来する。冬の間、ヒラクは褒賞メダルの増産、小物雑貨作り、社に設置するクロたちの像の制作などに精を出す。そして、ハイエルフのリア、リゼ、ラファ、鬼人族メイドのアンの妊娠が判明する。
2 冬の間のトラブル
冬の間に、腕試しに大樹の村にやってきた魔王国四天王の1人でミノタウロス族のグラッツは、ニノ村から大樹の村に派遣された駐在員でミノタウロスの娘であるロナーナに突然プロポーズする。ロナーナはこの身は村に捧げていると断るが、グラッツは諦めない。ヒラクはロナーナが結婚したいと言わない限り許可できないと言い、少し様子を見ることで落ち着く。
3 ドマイムとクォン
ドライムの弟のドマイムが従姉弟のクォンとの結婚を嫌がって大樹の村に逃亡してきて、それを追って結婚を望むクォンもやってくる。ヒラクは間を取り持ち、2人にそれぞれ相手への要求を正直に書き出させて互いに読ませ、2人の仲を進展させる。それを知って、ハクレンの妹のセキレンがクォンの弟のクォルンとの仲を取り持ってほしいとやってくる。
4 まだ冬
ヒラクは餅づくりに挑戦し、善哉や恵方巻を作る。さらに、竜に乗って空を飛んでいる時の緊急時に備えてパラシュートを試作し、村と村の間にある橋に落下防止のための側壁を作る。
5 楽しい春
春が到来し、まず各村の食料をチェックし、冬の間の汚れを清掃する。そして、種族の代表を集めて会議を行い、1年の活動方針を話し、褒賞メダルを大樹の村で働ける者には1人3枚、種族の代表者にはさらに10枚、一ノ村・ニノ村・三ノ村には30枚ずつ渡す。また、各村の子供たちに教育を行うことなどを確認する。会議の後、大樹の村の畑を耕し、32面×24面の畑を32面×32面に、12面×8面の果実エリアを12面×12面に拡張する。
6 何を育てる?
ヒラクは、二ノ村と三の村に冬の間に制作した像を設置し、住人のミノタウロスとケンタウロスの要望を聞いて、ため池と排水用の水路を彫り、作物畑を12面×12面、果実畑を8面×8面作り、ニノ村では山羊、三ノ村では鶏の飼育を始め、家のある場所を囲う柵と堀を作る。大樹の村ではヒラクたちが住む家の改築のために木材の伐採と加工を行い、作物の収穫と畑作りを行う。
7 二ノ村と三ノ村の扱い
二ノ村と三ノ村でも収穫と畑作りを行ったヒラク。ヒラクはそれぞれの村に独立した働きを期待していたが、村の方はいずれも独立を望まず、収穫物は村長であるヒラクの所有とし、二ノ村と三ノ村は、遠地にあるヒラクの畑の管理集団という位置づけにすることになる。
8 情報部?
久しぶりにやってきたビーゼルに、ヒラクは三ノ村に住むケンタウロスたちの親族や知り合いのリストを渡して、探してもらうよう頼む。一ノ村への移住者を見つけたいヒラクは孤児はいないのか尋ねると、男性は労働力として重宝されるので女性しか集まらないと言われる。ヒラクはそうした不幸な女性をなんとかしたいと考え、各地に孤児院を建て、そこで情報を集めて魔王国に情報を集めることにする。
閑話 クォルン
クォルンの視点から、セキレンとの関係、ドマイムとクォンとの仲を取り持ったヒラクなどを描いた閑話。
二章 天使族と新しい子供
1 春夏の出来事
北のダンジョンに住む巨人族からダンジョンのさらに北に熱い池があると聞いたヒラクは、温泉調査隊を結成して派遣するが、お湯が熱すぎて風呂のように浸かれないと報告を受け、ヒラクは次は自分が行かなければと考える。そして、防災訓練、かくれんぼ大会などを行ったヒラクは、女性を求めるドワーフたちの提案で、酒の備蓄の一部を外部に売ることにする。
2 今年のお祭り
お祭りの季節が到来し、武闘会とは別に行うお祭りの内容をクジ引きで決めた結果、坂を全力で下る「滑走」を行うことになる。
3 信仰とアンデッド
一大宗派であるコーリン教の幹部である始祖様が村にやってきて、かなり遠くだが大規模なアンデッドが出たから注意するよう知らせてくれる。実体を持たない魔物であるアンデッドは、数年で消えるが、エサになるため強力な魔物や魔獣が集まることがあるため注意が必要だという。
4 天使族の長の娘
10人の天使族と30人くらいの手が翼のハーピー族がザブトンとクロの子供たちによって捕らえられる。大樹の村に知り合いの天使を呼ぶために村を出たグランマリアが天使族の長の娘のキアービットに遭遇し、ティアがヒラクの子供を産んだのを聞いて激怒してやってきたという。天使族が低く見られないよう、結婚相手に厳しい試練を課してきたが、誰も突破できなくなってしまい、試練を守る派と無視する派が対立しているという。ヒラクはうまく誘導して謝罪させる。
5 天使族の試練
落ち着いたキアービットにヒラクは天使族の試練の内容を聞き出し、5つある試練に挑戦し、キアービットの妨害も入るが、最終的には試練を全てクリアする。
6 キアービットとの話し合いとハーピー族
2日ほど滞在した後、キアービットは北西にあるガーレット王国の巫女職の仕事があると言って帰り、ハーピー族も同行する。ミノタウロス、ケンタウロスたちの提案で、例年は布団や服のために綿花の畑を作ることにし、彼らの服については、マイケルを通じて古着を販売してもらう。そして、居住エリアの西側に、祭りの滑走のために穴を掘り、小山を作る。
7 新しい家
ヒラクたちの新しい家が完成する。200m×100mほどありそうな立派な屋敷で、水道のような仕組みも作り、ザブトンの子供たちが通るための通路も作られる。
8 滑走?試験
お祭りの会場が完成し、ドノバン、ダガ、ルー、クロ、ロナーナで滑走試験を行う。それを受けて話し合った結果、走って途中でボードに乗るスタイルと、最初からボードに乗るスタイルの二部に分けて開催されることになる。
9 お祭り 滑走ボード
お祭りが始まり、来賓に、魔王、ユーリ、ビーゼル、グラッツ、ランダンの魔王族、竜一家、始祖様とコーリン教の司祭のフーシュが、さらにマイケルやラミアたちも見学にやって来る。滑走の第一部は、ダガ、ティア、クロの子の1頭、山エルフのヤー、第二部は、酒スライム、獣人族の男の子の1人、ライメイレン、魔王、ドースの順位となり、表彰式の後は宴会が開かれる。
10 お祭り反省会
お祭りの後、実行委員会のメンバーで反省会を行う。フーシュは、始祖様が帰った後も、村にとどまって社の前で祈り、ヒラクが作った創造神の像が光るようになっていた。
そして、ハーピー族が17家族、42人で帰ってくる。グランマリアにハーピー族の世話を任せ、高度からの周辺偵察をやってもらうことになる。
11 色々ありました
ルーとフローラは、フーシュの息子のための治療薬を完成させ、フーシュは迎えに来た始祖様と一緒に帰っていく。
12 第二回武闘会 一般の部、戦士の部、模範試合ダイジェスト
第二回武闘会が始まる。一般の部は平和に終わり、戦士の部はハウリン村の獣人族のガルフが優勝する。騎士の部の前に、8人が出場しトーナメント方式で行われた模範試合は、竜のドースとザブトンの決勝となり、ドースが優勝する。
13 第二回武闘会 騎士の部ダイジェスト
騎士の部が始まるまで、ハーピー族、ニュニュダフネたちによる踊り、ハイエルフたちによる楽器演奏が行われる。16人が出場した騎士の部は、前回優勝のマクラとウノの決勝となり、ウノが優勝する。表彰式、と思ったところで、妊娠していたリアとアンが産気づく。
14 武闘会の後と出産
武闘会は閉幕し、宴会となる。リアとアンは無事に男の子を出産、続いて産気づいたリゼとラファも男の子を出産し、ハイエルフや鬼人族は喜ぶ。ビーゼル、グラッツ、ランダンは二日目の夜に帰り、竜一家は宴会が終わるまで滞在、ハウリン村のガルフ、ラミア族は特訓のため、宴会が終わってもしばらく残っていた。
15 名付けと未来
リアの子はリリウス、リゼの子はリグル、ラファの子はラテ、アンの子はトラインと名付けられる。リアの子は大樹の村のハイエルフのまとめ役、リゼ、ラファの子はその補佐役として育てることになる。
三章 アースラットと死霊王
1 秋の収穫となんやかんや
秋になり、通常の農業をしてもらう二ノ村、三ノ村のために一部を種として残しながら、収穫をしていく。ドノバンはブドウの皮を取ってワインを造りたいと言い、皮むきのためにラミア族を雇って酒造りを始める。交易のためにハウリン村に行ったダガが帰ってくると、魔王への口利きを頼まれたと報告する。人間の村であるヒュマ村からハウリン村に嫁いだ娘が戻されたことが発端でトラブルになっているという。
2 ハウリン村のトラブル
その話を聞いたフラウは、ハウリン村が完全に悪いと頭を抱える。嫁いだ娘は領主が平民に生ませた子供の可能性があり、死の病の予兆である鉱山咳をしたことを伝えずに村に帰したコミュニケーション不足で、トラブルになっていたのだ。フラウはビーゼルを呼び出してハウリン村とヒュマ村を往復し、領主にも話をつけて決着させる。ハウリン村の村長の息子・ガットとヒュマ村の村長の親戚の娘・ナーシィは改めて結婚するが、鉱山咳の再発の可能性があるためハウリン村には住めず、その娘ナートとともに大樹の村に移住することになる。
3 温泉調査隊再結成
収穫が一段落し、冬に向けた準備を行ったヒラクは、温泉調査隊の再結成を提案し、住人の抵抗を押し切って自分がリーダーとなり、北のダンジョンのさらに北にある温泉を目指して出発する。
4 アースラット
北のダンジョンに着いた調査隊は、巨人族に挨拶しようとするが、そこに穴を掘るのが得意な魔獣のアースラットが現れ、退治する。以前にハクレンとラスティが来てブラディバイパーを退治した際にダンジョンの一部を崩落させたことが、アースラットを招いた要因だった。
5 巨人族と調査再開
一度大樹の村に戻り、巨人族と宴会をしたヒラクたち調査隊は、翌朝、再び出発する。ヒラクは調査隊を温泉調査班とダンジョンの穴を調査する班に二分し、調査を進める。
6 温泉?
ヒラクは温泉調査班で道を作りながら進み、3日目に目的地に到着する。岩場にできた小さな池には、熱を蓄える性質のある岩・保温石によって、熱い湯が沸いていた。ヒラクは近くの川の脇に湯舟となる場所を作り、熱い池からの水路を作ってお湯を引き込み、保温石を使ってサウナも作る。風呂が完成し、温泉調査班の一行は温泉?を堪能する。
閑話 アースラットの穴 西側
穴を調査する班で、アースラットが出てきた穴を西に進んだラスティの視点から、調査の様子を描いた閑話。アンデッドと遭遇し、炎を吐いて燃やし尽くすが、地上の森も燃やしてしまう。
閑話 アースラットの穴 東側
穴を調査する班で、アースラットが出てきた穴をハクレンたちとともに東に進んだ始祖様の視点から、調査の様子を描いた閑話。アースラット以上に面倒な相手である死霊騎士に遭遇して退治し、さらに先に進む。
閑話 留守番
大樹の村に残ったドノバンが、留守番の間にやってきたドライムのためにザブトンに秘蔵の酒樽を出されて慌てる様子を描いた閑話。
7 合流その一
大きな男湯と女湯、小さな湯船を2つ、サウナ小屋に水風呂と、温泉施設を整備していくヒラクたちにラスティたちが合流する。
8 合流その二
ヒラクたちは川で舟遊びなどをしながら、ハクレンの合流を待つ。合流したハクレンたちは、5~6歳くらいの小さな女の子を連れてきていた。始祖様に聞くと、死霊王の本体が生き返って若返りしたと話し、ヒラクは女の子を大樹の村で保護することにする。
閑話 死霊王
死霊王のウルブラーザの視点から、穴を掘り進み、若返ってハクレンたちと一緒になるまでを描いた閑話。
9 帰り道その一
ヒラクは始祖様の提案に賛成し、巨人族のダンジョンの安全を考え、調査したトンネルを埋めることにする。ハクレンたちと合流してから5日目、ヒラクたちは温泉をあとにし、まず、ラスティが火事を起こした森に行く。
10 帰り道その二
森に着き、穴の底にあった黒い大岩をヒラクは彫って、創造神の像を作ると、黒い色が灰色に変色していく。
11 帰り道その三と合流その三
冬が近づいてきたため、始祖様と相談し、トンネルを埋めるのは中断して村に帰ることにするが、アンの提案で、トンネルの一部だけ崩して、村に帰る。そして、別行動していたラスティがいる巨人族のダンジョンに向かい、現れた巨大なムカデを退治する。
12 トンネル対策?
ヒラクや始祖様たちは、ラスティや巨人族から状況を聞いた後、西側のトンネルを崩して埋める。東側も埋めようとするが、始祖様の求めで、創造神の像の周囲は埋めずに冬に神殿を作ることにする。ヒラクたちが村に戻ると、宴会が始まる。
終章 神殿
1 まったり
冬になり、ヒラクは保温石を使ってコタツを作り、餅つきを行い、木を削って食器を作る。さらに、大樹の村の社の扉を作って設置する。
2 レース
村の南側に作った競馬場で、クロの子供たちに人が乗って競走するレースを行う。最初のエキシビションレースは、ケンタウロス族のグルーワルドが勝利し、さらに、ミノタウロス族によるレース、クロの子供たちによるレース、ハーピー族によるレースの後、クロの子供たちに乗って行う本命のレースは、獣人族の男の子が優勝、ウルザは三着となる。
3 神殿への道
始祖様が再びやってきて、ヒラクたちは神殿作りにとりかかる。
4 神殿と死霊騎士
神殿が一通り完成し、創造神の像の真上に開いている穴をふさぐため、地上にも神殿を建てることにする。地上の木造神殿が完成し、ヒラクたちはもう一つの黒い大岩がある場所に向かうが、巨大なムカデなどの虫がワラワラと出てきて、いったん村に戻る。ハクレンが炎を吐いて退治した後、再び向かうと、剣を持った鎧姿の死霊騎士が出てくる。敵意を示さない死霊騎士に使命を与えようと、温泉の番人になってもらうことにする。
5 二つめの穴
温泉を堪能した後、再び大岩のある場所に向かったヒラクは、黒い大岩を彫って光神の像を作る。2つの黒岩の場所から、ヒラクは同じような岩があと5つあるのではと考える。始祖様は3つ目の黒い大岩を発見し、ヒラクはそれを加工する。さらに4つ目の場所も発見される。
閑話 彷徨う死霊騎士
温泉の番人となった死霊騎士の視点から、主君を見つけようとする様子を描いた閑話。
閑話 巨人族
北のダンジョンで暮らす巨人族の視点から、ダンジョンにやってきたハクレンとラスティがブラッディバイパーを退治する様子を描いた閑話。
(ここまで)
第1巻、第2巻と同様に、ドラマチックな起伏はなく、まったり、のんびりした空気感で進んでいく物語。技術的にも、構成や文章に巧みさは感じられず、かなり緩い感じを受けますが、厳しい葛藤や衝突がなく、ストレスなく読めるのは、この作品のいいところだろうと思います。劇的な要素はほとんどないので、そのうち飽きてしまうかもしれない、という気もちょっとしていますが、もうしばらくは読み進めてみようと思います。