鷺の停車場

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山田鐘人/アベツカサ「葬送のフリーレン」第5巻・第6巻

原作:山田鐘人・作画:アベツカサのマンガ「葬送のフリーレン」、第1~4巻に続いて、第5巻と第6巻を紹介したいと思います。

この2巻に登場する、個別に名前などが付けられている登場人物は、次のとおりです。

  • フリーレン:千年以上生きるエルフで、勇者パーティーとして魔王を倒した魔法使い。ヒンメルとハイターの死後、フェルンを弟子に、シュタルクを前衛として、死者と会えるという北にあるエンデに向けて旅をしている。

  • フェルン:フリーレンの弟子として共に旅をする魔法使いで、ハイターに育てられた戦災孤児

  • シュタルク:フリーレンとフェルンと共に旅をすることになる戦士で、アイゼンの弟子。

  • ヒンメル:魔王を倒した勇者パーティーの勇者で、自称イケメンのナルシスト。
  • ハイター:魔王を倒した勇者パーティーの僧侶。ヒンメルの幼馴染で、フェルンの育ての親。酒好き。

  • アイゼン:魔王を倒した勇者パーティーの戦士。頑強なドワーフ族でパーティーの前衛を務めていた。シュタルクの師匠。

  • フランメ:1000年以上前に生きた、歴史において英雄と称される人間の大魔法使いで、フリーレンの師匠。

  • カンネ:一級魔法使い試験の受験者の三級魔法使い。第一次試験でフリーレンと同じ第2パーティとなる。水を自由自在に操る「水を操る魔法(リームシュトローア)」を使う。

  • ラヴィーネ:一級魔法使い試験の受験者の三級魔法使い。第一次試験でフリーレンと同じ第2パーティとなる。水を凍らせる魔法や、鋭く尖った形の氷を複数生み出して相手に放つ「氷の矢を放つ魔法(ネフティーア)」を使う。

  • ユーベル:一級魔法使い試験の受験者の三級魔法使い。第一次試験でフェルンと同じ第4パーティになる。

  • ラント:一級魔法使い試験の受験者の二級魔法使い。第一次試験でフェルンと同じ第4パーティになる。

  • デンケン:一級魔法使い試験の受験者の二級魔法使いで、宮廷魔法使い。第一次試験で第13パーティになる。

  • ラオフェン:一級魔法使い試験の受験者の三級魔法使い。第一次試験で第13パーティになる。

  • リヒター:一級魔法使い試験の受験者の二級魔法使い。第一次試験で第13パーティになる。

  • シャルフ:一級魔法使い試験の受験者の三級魔法使い。第一次試験で第8パーティになる。

  • エーレ:一級魔法使い試験の受験者の三級魔法使いで、魔法学校を首席で卒業している。第一次試験で第8パーティになる。

  • ヴィアベル:一級魔法使い試験の受験者の二級魔法使いで、魔王軍の残党と戦ってきた北部魔法隊隊長。第一次試験で第8パーティになる。

  • エーデル【黒澤 ともよ】:一級魔法使い試験の受験者で、二級魔法使い。一人称は「儂」で、老人のような口調をしている。<第19話>

  • ブライ【高橋 伸也】:一級魔法使い試験の受験者の1人で、一次試験でエーデルと同じ第17パーティーとなった。スキンヘッドが特徴。<第19話>

  • ゲナウ:一級魔法使い試験で第一次試験の試験官を務める一級魔法使い。

  • ゼンゼ:一級魔法使い試験で第二次試験の試験官を務める一級魔法使い。

  • ゼーリエ:エルフの大魔法使いで、大陸魔法協会の創始者。人類の歴史上のほぼすべての魔法を網羅している。

  • レッカー:オイサーストでフリーレンがヒンメルたちと入った店の料理人。

 

各話のおおまかな内容、あらすじは次のとおりです。

第5巻

本巻は、週刊少年サンデーの2021年12号~第21号に掲載された計10話を収載しており、2021年7月に刊行されています。

第38話 隕鉄鳥〔シュティレ〕

第一次試験区域の北側諸国のグローブ盆地に移動した受験生は、ゲナウから具体的なルールの説明を受ける。各パーティーには鳥籠が配布され、この区域に生息しているシュティレ(隕鉄鳥)という鳥が入った鳥籠を翌日の日没までに所持していること、その時点でパーティーメンバー全員が揃っていることが合格の条件、行動は基本的に自由だが、試験区域の外に出るとパーティ全員が失格になると説明し、試験が開始される。

フリーレンは、同じパーティになったラヴィーネとカンネに、まず隕鉄鳥を見つけて観察しようと言うが、カンネは「水を操る魔法」で水を空に巻き上げてシュティレを捕えようとし、ラヴィーネは「水を凍らせる魔法」を使ってその水を凍らせてシュティレの脚を氷漬けにする。2人の息の合った高度な連携にフリーレンは驚くが、力の強いシュティレには逃げられてしまう。

その夜、森で野営中に目覚めたカンネは、フリーレンがおらず、何か小さい雨音がすることに気づいて、外に歩いていく。雨が降っていないのになぜ音がするのか不思議に思うカンネは、何かに気付く。そこに、大きな鳥の魔物が襲い掛かり、その脚で押さえられてしまうが、フリーレンが魔法でその魔物を倒す。

ケンカばかりしているのに連携が取れることを不思議に思うフリーレンに、カンネは、ラヴィーネは乱暴だが自分を引っ張ってくれると語り、さっき気付いた内容を話す。それを聞いて考えたフリーレンは、もしかしたらシュティレを簡単に捕らえられるかも、と言うのだった。

そのころ、フェルンとユーベル、ラントの第4パーティーは、シュティレの捕獲に成功するが、ラントは他のパーティーに奪われないように守らなければならないと警戒し、ユーベルは対人戦の時間だと言う。


本話は、テレビアニメ版の第18話「一級魔法使い試験」の後半で描かれた部分におおむね対応しています。

第39話 捕獲作戦始動

翌朝、フリーレンは、カンネ、ラヴィーネと前の日に観察した結果を話し合い、シュティレを捕らえるための作戦を練る。フリーレンは狩猟を生業とする一族が編み出した民間魔法「鳥を捕まえる魔法」が使えるのではないかと話し、カンネとラヴィーネの話を聞いて、ある作戦を思いつき2人に説明する。ラヴィーネは、他のパーティー全員に喧嘩を売ることになると言うが、カンネは、でもこうでもしなければ捕まえられないと言い、ラヴィーネもその作戦に同意する。

そのころ、第4パーティーでは、ラントは終了まで潜伏してやり過ごそうと提案するが、ユーベルはつまんない、魔法使いなら堂々と戦わないと、と異を唱え、ひとまず水の補充に中央の湖に向かおうとする。その途中、川が枯れていることに気付き、他のパーティーは最大の水場である湖に水を求めてシュティレがやって来ると考え周辺に張り込んでいるだろうと推測して、湖に向かうのをやめる。そこに、第8パーティーのヴィアベルが突然攻撃を仕掛けてきて、シュティレを渡せと迫るが、鳥籠を持っていたユーベルはそれを拒否する。

そのとき、試験区域の中央にある湖から爆音が響き、水柱が上がる。湖ではラヴィーネが魔法で水を凍らせ、湖一面が氷に覆われる。ヴィアベルは、この魔力は第2パーティーの奴だ、何考えてやがる、他のパーティー全員を敵に回すつもりか、と呟く。

第13パーティーのデンケンは、第2パーティーから奪う、これだけ暴れたということは、隕鉄鳥を捕獲する算段があるということだ、リヒターとラオフェンに語り、フェルンは、フリーレン様、一体何をするつもりですかと思うのだった。


本話は、テレビアニメ版の第19話「入念な計画」の前半で描かれた部分におおむね対応しています。

第40話 鳥を捕まえる魔法

デンケンは、他のパーティが炎の魔法で湖の氷を溶かそうするのを見て、ここにはもう隕鉄鳥は寄り付かないと語り、これは第2パーティーが練った入念な計画だ、それを紐解かない限りどうにもならない、と言って森の中を歩いていく。そして、水場に微力な魔力が込められていることを感知したデンケンは、隕鉄鳥を魔力を込めていない水場に誘いこもうとする第2パーティーの作戦に気づく。そして、どうせ居場所を教えてくれる、と腰を下ろして休み始める。

カンネから池や泉に手当たり次第に魔力を込めてきたと報告を受けたフリーレンは、魔力を込めていない水場のほとりでほぼ完全に魔力を消して隕鉄鳥を待ち伏せし、しばらく待って、姿を現して肩の上に停まった隕鉄鳥を「鳥を捕らえる魔法」を使って捕獲することに成功する。それを見たカンネとラヴィーネはフリーレンのもとに駆け付け、これで一次試験を突破だね、と喜ぶが、フリーレンは、いや、誰かに魔力を感知されたと言う。デンケンは魔法を使った瞬間を感知し、その場所を突き止め、ラオフェンが高速移動してフリーレンたちの前に現れる。


本話は、テレビアニメ版の第19話「入念な計画」の中盤で描かれた部分に対応しています。

第41話 覚悟のための時間

フェルンと戦うエーレは、防御魔法と一般攻撃魔法しか使わないフェルンの戦い方に、洗練されていて隙がないが古い戦い方、自分のおじいちゃんと戦っているみたいだと感じ、手の内を見せないつもりかと問うと、フェルンは、戦闘では基礎的な魔法以外は使わないように、この時代の魔法使いならそれだけで十分、と言われていると答える。まるで熟練の魔法使いと対峙しているようだと違和感を感じるエーレは、ヴィアベルが相手だったら今ごろは死んでいた、と言うが、フェルンは、それはおかしい、この中で一番強いのは貴女、と言う。

ユーベルと戦うヴィアベルは、物体を切り裂く魔法を繰り出しながら進んでくるユーベルの攻撃を防ぎながらじりじりと後退するが、その射程は5mほどだと見抜く。

一方、エーレは、ヴィアベルは魔王軍の残党と戦ってきた北部魔法隊の隊長で実戦経験の桁が違う、今戦っているユーベルはたぶん殺されると言うが、フェルンが繰り出す一般攻撃魔法の飽和攻撃の手数の多さに驚き、さばき切れなくなって魔法切れで爆発が起きる。

ヴィアベルは、目に収めたものの動きを封じる魔法・ソルガニールでユーベルを捕らえる。ユーベルは、その人が得意とする魔法は人生や人間性に大きくかかわっていると思っている、相手の動きを封じるこの魔法はまるで殺すまでの猶予を欲しがっているみたいだ、両手は血で染まっているのにまだ人間でありたいと思っているんだ、と言うと、ヴィアベルは、そうだ、これは殺す覚悟のための時間だ、だが、俺はためらい臆することはあっても、必要な殺しは全部やってきた、と語り、ユーベルを殺そうとしたその時、フェルンが、動かないでください、と魔法杖をヴィアベルに向ける。ヴィアベルは、全く気配を見せずにフェルンが現れたことに驚き、取引といこうか、と切り出すのだった。


本話は、テレビアニメ版の第19話「入念な計画」の終盤から第20話「必要な殺し」の序盤までに描かれた部分に対応しています。

第42話 戦う理由

ヴィアベルはフェルンに、隕鉄鳥を捕らえたのはお前だな、と口にすると、ユーベルが、運が良かっただけ、偶然ねぐらを見つけて、フェルンは鳥を捕らえる魔法を師匠から教わっていたと説明する。エーレは殺したと言うフェルンに、不合格が確定したと思ったヴィアベルは、もう不要な殺しだ、とそのまま立ち去っていく。フェルンはラントの援護に向かおうと声を掛けるが、ユーベルは、大丈夫だろう、あいつは相当な食わせ物だと言う。

そのラントは、シャルフの攻撃を受けていたが、それは様子見をしていただけで、独学で魔法を覚え、基礎がおろそかになっているシャルフの弱点を見抜き、一瞬でシャルフを倒す。

ヴィアベルがエーレが戦っていた場所に着くと、エーレは魔法切れで意識を失って倒れていた。ヴィアベルがエーレを起こすと、エーレは、一般攻撃魔法の物量に押し切られた、さばききれなかったと呆然とした顔で語る。それを聞いたヴィアベルは、一般攻撃魔法だけでこれほどの芸当ができるとしたら、フェルンは相当な化け物だと思う。

ヴィアベルがエーレをおんぶしてシャルフのところに来ると、しびれて動けないと倒れていた。エーレをおんぶし、シャルフを魔法で浮かせて移動するヴィアベルに、エーレは、不合格は確定だと諦めかけながら、自分たちを見捨てないその優しさが魔族と戦う理由なのか、と尋ねるが、ヴィアベルは、4~5歳のころ、魔族の動きが活発化して一家で中央に逃げるため村を出て行った好きだった女の子に、魔族は俺が全員ぶっ殺してやる、その時はこの村に帰ってこい、と言ったことを話す。そして、帰路を心配するヴィアベルにエーレが一級魔法使いのおじいちゃんを紹介しようか?と言ったところで、偶然木の枝にとまる隕鉄鳥を見つけ、ヴィアベルがソルガニールを拘束する。

一方、高速移動魔法で姿を現したラオフェンと対峙するフリーレン、カンネ、ラヴィーネの3人。その様子をデンケンとリヒターは物陰から観察していた。ラオフェンは高速移動でフリーレンの手からシュティレが入った鳥籠を奪い、姿を消す。ラオフェンの気配を察知したフリーレンは、面白い魔法だ、とつぶやく。


本話は、テレビアニメ版の第20話「必要な殺し」の中盤で描かれた部分に対応しています。

第43話 特権

そのころ、試験区域内でお茶を飲んでいた試験官のゲナウの前に、第二次試験の試験官を務めるゼンゼが姿を現す。魔力探知が通用しない隕鉄鳥を捕らえられるかは運任せ、これは争奪戦に見せかけた対人戦、と言うゼンゼにゲナウは、3分の1くらいは残るだろう、その中に必ずデンケンはいる、一級魔法使いと比べても遜色ない、と話す。

そのデンケンは、リヒターとともに、ラオフェンに逃げられた後のフリーレンたちの前に姿を現していた。フリーレンは、ラオフェンが使ったのは、南側諸国の山岳民族に伝わる民間魔法のジルベーアだろう、2人はそのまま隠れていた方が良かったのでは、と問いかけると、デンケンは、ラオフェンはまだ未熟者、魔力の痕跡を残しすぎた、フリーレンなら容易に追跡できたはず、勇者一行の魔法使い、自分たちの世代で知らない魔法使いはいないと答える。

リヒターはカンネとラヴィーネのどちらかを殺す、と攻撃しようとするが、デンケンは、足止めができればそれでいい、一級魔法使いに人死にの価値があるとは思えない、とそれを止める。リヒターは、大陸魔法教会の創始者である大魔法使いゼーリエは、戦火の時代の洗練された魔法使いをいまだに追い求めている、だから、彼女は一級魔法使いの座に就いた者に1つだけ臨んだ魔法を授けるという特権を与えることを約束した、望んだ魔法が授けられるということは魔法使いにとって願いが叶うに等しい、とその価値を語り、2人を殺そうとするが、デンケンは、たかがガキ2人、3時間寝かしつけるだけだ、と言って殺そうとするのを止め、フリーレンと対峙する。

リヒターは大地を操る魔法・バルグラントを発動して自分とカンネ、ラヴィーネが立つ場所を隆起させ、残されたフリーレンとデンケンは対峙する。特権など下らん、と言うデンケンに、フリーレンがどうしてそう思うの?と尋ねると、デンケンは、魔法というものは探し求めているときが一番楽しいと答える。それを聞いたフリーレンは、1000年前にフランメに連れられてゼーリエに会ったときのことを思い出す。望む魔法を1つだけ授けてやると言われて、魔法は探し求めているときが一番楽しいと断ったフリーレンを見て、野心が足りないと言ったゼーリエに、フランメは、この子はいつか魔王を倒す、きっとこういう魔法使いが平和な時代を切り拓く、フリーレンは平和な時代の魔法使いだ、と語ったことを思い出し、いいね、魔法使いはこうでなくちゃ、と思うのだった。


本話は、テレビアニメ版の第20話「必要な殺し」の終盤から第21話「魔法の世界」の序盤までに描かれた部分に対応しています。

第44話 隕鉄鳥奪還

リヒターと戦うカンネとラヴィーネだったが、リヒターが繰り出す土を操る魔法で、土の塊で飛ばされて倒され、2人も抵抗をやめる。

フリーレンとデンケンの戦い、デンケンはこのままでは魔力を削られて終わりと思い、早めに決着を付けようと炎の魔法を繰り出す。ゼンゼは結界が大丈夫か心配するが、ゲナウは、この結界は大魔法使いゼーリエが施したものだ、力業で破壊できるようなものではない、と取り合わない。

しかし、デンケンはフリーレンの反撃を受けて倒され、魔力切れになってしまう。最後まで基礎的な戦闘魔法しか使っていなかった、まるで見習い魔法使いに対する指導試合じゃないか、と思うデンケンは、これほどの高みに来てまだ上がいるとは、と感嘆する。フリーレンは、出てこなければデンケンを殺す、と言って近くに潜伏するラオフェンをおびき出して捕まえ、隕鉄鳥を奪還する。

ラオフェンとともに魔法で木の幹に縛り付けられたデンケンは、ラオフェンから何でそこまでして一級魔法使いになりたいのか?と聞かれ、故郷は一級魔法使いしか入れない北部高原の奥地で、久々に墓参りに行きたかったと話す。デンケンはフリーレンに、カンネとラヴィーネを助けに行った方がいいんじゃないかと言うが、フリーレンは、それなら大丈夫だ、カンネたちが勝つ、結界の解析がちょうど終わった、と答える。

デンケンがやられたことを察知したリヒターは、ガキのお守りはもう終わりだと2人に告げる。


本話は、テレビアニメ版の第21話「魔法の世界」の中盤で描かれた部分に対応しています。

第45話 水を操る魔法

リヒターは2人を殺そうと再び土の魔法でラヴィーネとカンネを襲い、ラヴィーネは、本気で殺すつもりだ、これでは1分も持たないと感じる。

そのとき、フリーレンは、結界の頂上に向けて魔法を発し、ゼーリエの結界を解除する。驚いたゲナウは、勇者一行の魔法使いを同じフリーレンで、聖杖の証を持っていたらしいとゼンゼから聞き、最後の大魔法使いか、と言葉を漏らす。

一方、結界が解除されたことを感知したゼーリエは、やってくれたなフリーレン、1000年ぶりだというのにずいぶんな挨拶じゃないか、これだから魔法使いはやめられない、魔法の世界では天地がひっくり返ることもある、とつぶやく。

まさか本当に結界を破壊するとはと驚くデンケンたちに、フリーレンは、魔法はイメージの世界だ、水を操る魔法使いに雨の中で勝てるイメージを私は持てない、たぶんリヒターも同じ、と話す。

結界が解除され、雨が降ってきたことに動揺するリヒターは、一刻も早くとどめを、と土の魔法を発動させようとするが、カンネが発した水の魔法で、リヒターは大量の水に押し流されて倒される。フリーレンは2人のもとに向かい、よく頑張ったと2人の頭をなでる。

一方、諦めないデンケンは、ラオフェンに木を叩き折らせて束縛を解き、こういうとき、宮廷魔法使いは最後まで醜くあがくんだ、と他のパーティーの痕跡を探す。

そのころ、洞窟に潜伏していた第4パーティー。ユーベルはフェルンに、つまんないね、マジで基礎的な魔法しか使ってないじゃん、フェルンは、戦闘魔法以外は制限されてないと、他の魔法も使えることを話すと、ラントは手の内をあまり晒さない方がいい、第二次試験からは敵同士なのだから、と忠告するが、そのラントにユーベルは、あんたはもう少し打ち解けても良かったと思うよ、と言う。

デンケンは、メンバーを1人失ってもシュティレを大事に抱えるパーティーを見つけ、こういうのは理屈じゃない、と言って、リヒターを連れて近づき、殴り合いを仕掛け、シュティレを奪い取る。

そして日没となり、試験官のゲナウは、第一次試験の終了を告げる。合格者は計6パーティ18人だった。

 

本話は、テレビアニメ版の第21話「魔法の世界」の終盤で描かれた部分に対応しています。

第46話 もっと美味しい味

試験官のゲナウは第一次試験の終了を宣告し、合格者は第1パーティのメトーデ・トーン・レンゲ、第2パーティのフリーレン・ラヴィーネ・カンネ、第4パーティのフェルン・ラント・ユーベル、第8パーティのヴィアベル・シャルフ・エーレ、第13パーティのデンケン・リヒター・ラオフェン、第17パーティのエーデル・ブライ・ドゥンストの計6パーティー18名だった。ゲナウは、第二次試験は3日後、詳細は追って通達すると告げて解散する。

翌日の夕方、宿のベッドでダラダラと横になっていたシュタルクだったが、シュタルクが自分たちの試験中にシュタルクが怠惰に過ごしていたことを知って機嫌を損ね、フリーレンはフェルンのご機嫌を取るため、前にヒンメルたちと来たときにいい店を見つけたとレストランに向かう。

一方、自身の店で仕事を終え閉店しようとしたリヒターのところに、ラオフェンを連れたデンケンがやってきて、デンケンの誘いで、リヒターはおごってもらう条件で一緒に食事に行くことにする。

そして、路地を歩いていたラントは、ユーベルに声を掛けられる。並んで歩きながら、何でヴィアベルを殺さなかったのかとラントが質問すると、ユーベルは、共感しちゃったからかな、その人が得意とする魔法は人生や人間性に大きくかかわっている、私は昔から共感することでその魔法が使えるようになるし、共感できないものは使えない、と言い、ラントに、何を思ってどんな人生を歩んできたのかと尋ねる。ラントは、魔法がどんな原理で動いているかも知らず感覚で魔法を使うタイプのユーベルを拒むが、ユーベルはもっと知りたいと言ってつきまとう。

リヒターに連れられ、デンケンとラオフェンは目指す店にたどり着く。デンケンは、妻とここを訪れたのは50年も前だが、当時の雰囲気のままだ、と言って店に入る。すると、フリーレン、フェルンとシュタルクがテーブルに座っていた。

フリーレンたちのテーブルに料理が到着し、食べ始める。フリーレンは、ヒンメルたちと来た80年前、家宝の包丁を魔族から取り戻してくれたことを感謝する料理人のレッカーが、当店の味は後世まで残すと宣言していたことを思い出す。フリーレンは、あれだけ意気込んでおいて味が変わってるが、もっと美味しい味を探す手間が省けた、あのときよりもずっと美味しい、とも思うのだった。

店を出たフリーレンたち、フェルンも料理に満足して機嫌を直し、フリーレンは機嫌が直って良かった、とホッとするのだった。


本話は、テレビアニメ版の第22話「次からは敵同士」の前半で描かれた部分に対応しています。

第47話 フェルンと焼き菓子

翌日、シュタルクが外で修業をしていると、フリーレンがやってきて、力を借りたい、と頼む。宿に戻ると、フェルンが前日以上に機嫌を損ねていた。フリーレンが買出し当番だったのに寝坊したことが原因だった。シュタルクが恐る恐るフェルンに話しかけると、フェルンはおやつを食べたいと言い、シュタルクは、おやつを買いに連れ出す。

おやつを買いに店に入ったフリーレンたちだったが、フェルンの機嫌は直らない。そこに、カンネとラヴィーネが入ってくる。2人はちょうどフリーレンの宿に行こうとしていたところだった。5人で店を出て宿に向かう途中、反対側から歩いてきたヴィアベルとシャルフは、お前戦士だろう?と突然シュタルクに声をかけ、大陸魔法教会から農作物を荒らすフレッサーの討伐の依頼を受けて前衛を探している、と言って、シュタルクを連れていってしまう。

宿に着くと、カンネは、お礼だと言ってお菓子をフリーレンに渡す。ラヴィーネも、フリーレンがいなかったら私たちは第二次試験まで進めなかったと感謝する。

フリーレンは、魔物を退治して少女から感謝されたとき、何で人助けをするのか尋ねたフリーレンに、ヒンメルが、誰かに少しでも自分のことを覚えていてもらいたいのかもしれない、覚えていてもらうためにはほんの少しでいいから誰かの人生を変えてあげるだけで十分だ、と言っていたことを思いだし、感慨にふける。フェルンもカンネとラヴィーネが持ってきたお菓子の美味しさにようやく機嫌を直す。

そんなフリーレンたちのもとに、第二次試験の会場と日時、担当試験官の名前が記された通知が届く。それを見たラヴィーネは、ついてない、ゼンゼの担当した試験は過去4回あるが、いずれも合格者はゼロだ、と落胆する。

一方、第二次試験の試験内容を見たゲナウは、なんてひどい試験内容だ、と文句を言うが、ゼンゼは、私はゲナウとは違って平和主義者だよ、と言うのだった。

 

本話は、テレビアニメ版の第22話「次からは敵同士」の後半で描かれた部分に対応しています。

第6巻

第48話 零落の王墓

第二次試験の当日、会場の北側諸国・零落の王墓の入口前で、試験官のゼンゼは第一次試験に合格した18人を前に、第二次試験の詳細を説明する。試験は迷宮<ダンジョン>攻略で、合格条件は零落の王墓の最深部までたどり着くことで、たどり着いたは全員合格、というものだった。ゼンゼは、最深部にたどり着いた者を確認するために自分も最深部まで潜ると言い、受験者全員に、瓶を割るとゴーレムが現れて迷宮の外まで運び出してくれる脱出用ゴーレムを渡して、試験開始を告げる。

デンケンは全員で協力して攻略する作戦を提案するが、それは無理、と言うトーンがまず1人で迷宮に入っていき、エーデル・ブライ・ドゥンスト、ヴィアベル・エーレ・シャルフもそれに続く。デンケンは、協力することの優位性に気づけんとは、と嘆くが、協力はもう成立しないと判断したフリーレンもとフェルンと歩き出し、ゼンゼも一番安全に最深部にたどり着けそうだと付いてくる。

一番安全なルートを選びマッピングしながら進んでいくフリーレンは、ヒンメルが迷宮好きで沢山の迷宮に潜ったと話す。ダンジョンが好きってどういうことですか?とフェルンがさらに尋ねると、わくわくするんだって、訳がわからないよね、と答え、ヒンメルたちとダンジョンに潜ったときのことを思い出す。

そのころ、まだ入口に残っていたラヴィーネもカンネと一緒に入っていき、最後に残ったデンケン、リヒター、ラオフェン、メトーデ、レンゲの5人は一緒に迷宮に入っていく。

一方のフリーレン。途中で見つけた宝箱に、フェルンが判別結果はミミックだと止めるのも聞かず、その魔法の精度は99%、私の魔法使いとしての経験がこの中身は貴重な魔導書だと告げている、と言って宝箱に顔を突っ込むが、やはりミミックで、噛まれたフリーレンは、暗いよ、怖いよ、と叫ぶ。それを見るゼンゼは、付いていく人たちを間違えたかな、と思うのだった。

 

本話は、テレビアニメ版の第23話「迷宮攻略」の前半で描かれた部分に対応しています。

第49話 迷宮<ダンジョン>と魔道具

5人で進むデンケンだったが、現れたガーゴイルに襲われる。応戦して撃退するが、その途中、レンゲは次第に狭まる壁に閉じ込められてしまい、脱出用ゴーレムの瓶を割って迷宮の外に運ばれていく。

フリーレンは、フェルンに逆に押し込むとおえっとなって噛むのを止める、と言って救出してもらい、気を取り直して攻略を再開する。攻略は順調に進むが、未踏破の迷宮にしてはおかしい、構造的にも最深部は近いはず、油断は禁物、とフリーレンは警戒する。

休憩をとると、フリーレンは途中で手に入れたガラクタにしか見えない魔導具を並べ、頬ずりして喜ぶ。その様子を座り込んで眺めるゼンゼはフェルンに、その若さで君ほど優秀な魔法使いを見たことがない、相当な修練を積んだはずなのに情熱も執念も感じない、不思議な子だと言うと、フェルンは、自分は恩を返すために一人前の魔法使いになった、ただただ全力で、きっとその時に情熱も執念も使い果たしてしまったのだろうと話す。さらに、それならなぜ魔法の探求を続けているのかと問うゼンゼに、初めてフリーレンと迷宮に潜ったとき、魔導具を集めて楽しそうに笑うフリーレンに釣られて笑ってしまった、そんなフリーレンの姿を見るのが好きだから一緒に魔法を追い求めているのだろうと話し、休憩を切り上げる。ゼンゼは、きっと君たちならこの過酷な迷宮も楽しむことができると言って付いてくる。

ヴィアベル・シャルフ・エーレの3人は、最深部に近づいたところで、ソルガニールで拘束されたエーレが魔力を消した魔法使い3人の奇襲だと知らせる。エーレの拘束を解いて先を見ると、魔法で作られた自分たち3人の複製体がいた。

そのころ、デンケンたちも現れた自分たちの複製体と戦い、協力してそれらを倒す。先に進んで最深部につながる広間に扉を開けて入ると、デンケンたちの視線の先にはフリーレンの複製体が待ち構えていた。あれも対処できるのか、と問うリヒターにデンケンは、これが試験でなかったらとうに瓶を割っておる、と言って身構える。

 

本話は、テレビアニメ版の第23話「迷宮攻略」の後半で描かれた部分に対応しています。

第50話 水鏡の悪魔シュピーゲル

最深部につながる広間に入ったデンケンたち4人は、フリーレンの複製体の攻撃から逃れるため、一旦引く。

そのころ、大陸魔法教会では、ゲナウがお茶を飲みながら、迷宮の主の“水鏡の悪魔”<シュピーゲル>について話をし、水鏡の悪魔が作り出すのは実体を持った実力も魔力も技術さえも模倣した完璧な複製体、零落の王墓が未踏破である所以だと言い、犠牲を出さずに倒すには冷静な自己分析とチームワークが必要になる、実に平和主義者の彼女らしい試験内容だ、と語る。

そのころ、一緒に進んでいたユーベルとラントは、ユーベルの複製体に襲撃され、ラントは深い傷を負い、脱出用のゴーレムの瓶も奪われる。ラントが分身であると勘付いているユーベルは、自身の複製体と1対1で戦い、複製体にソルガニールで拘束されてしまうが、そこに現れたラントに視線を逸らした隙に、複製体を斬り落とす。なぜ死に急ぐような真似をしたと問うラントに、ユーベルは、自分のせいで誰かが死ぬのが嫌なんだ、だから自分のせいで私が死んでしまう状況を作った、またひとつ君のことがわかった気がするような気がすると話す。

そして、フリーレンとフェルンもデンケンたちがいる最奥の間にたどり着く。その先に自身の複製体が陣取っているのを見たフリーレンは、面白くなってきた、迷宮攻略はこうでなくちゃ、と呟くのだった。

 

本話は、テレビアニメ版の第24話「完璧な複製体」の前半で描かれた部分に対応しています。

第51話 迷宮<ダンジョン>戦闘

隙間から複製体を観察したフリーレンは、完璧な複製体で確かに私と同等の力を持っているみたいだと言う。
メトーデは、フリーレンの魔法耐性を調べるために抱きつき、拘束魔法は通用せず、精神防御の構築も複雑で強固だが、だいぶ古い術式で、精神魔法の専門家なら脆弱性を突けるかもしれない。ただ、精神操作魔法は相手に“心”がないと通用しないと話す。

そのころ、エーデルは、ドゥンスト、ブライとともにゼンゼの複製体から身を隠していたが、3人に気づいたゼンゼの複製体が襲い掛かり、エーデルは精神操作魔法をかけようと試みるもののそれは効かず、体を貫かれる。エーデルは、これでわかった、心の働きを精密に模倣しているだけ、我々では絶対に勝てない、と言い、ブライとドゥンストに全力で逃げるよう指示し、自らは脱出用ゴーレムの瓶を割り、ゴーレムに運び出されていく。

一方、最深部につながる広間の前で作戦を考えるフリーレンたち。フリーレンが、心がないパターンも考えた方がいい、その場合は力業になると話すと、フェルンは、もしかしたら私が殺せるかもしれないと言い、それを聞いたフリーレンは笑顔で、じゃあ作戦を立てようか、と提案する。

 

本話は、テレビアニメ版の第24話「完璧な複製体」の後半で描かれた部分に対応しています。

第52話 作戦会議

フリーレンたちが作戦会議を始めたところに、傷付いたドゥンストがやってくる。ドゥンストの話を聞いたフリーレンは、これで楽に倒せる手段はなくなった、それを踏まえた作戦を立てないと、と言う。そこにカンネとともにやってきたラヴィーネは、複製体に弱点はない、それを操っているのは水鏡の悪魔という神話の時代の魔物で、扉の向こう側の宝物庫の内部にいて、本体は攻撃手段を持たない脆弱な魔物、それを倒せば複製体は全部消える、と大陸魔法教会の零落の王墓攻略の先遣隊の1人だった兄から聞いた話を伝える。

デンケンは、本体は扉の向こう側だが扉には強力な封印が施されている、と言い、フリーレンも、それは私の複製体の仕業で民間魔法でもトップクラスの封印魔法だと話す。

さらにラヴィーネは、複製体は時間とともに最深部に集まってくる習性がある、倒すなら急いだ方がいいと話す。

フェルンは、複製体が心の働きを精密に模倣しているなら、行動パターンによる弱点は本人と同じ、何とかなるかもしれない、と言い、一同の前でフリーレンに一般攻撃魔法を打ち込んで、魔法を使う瞬間にほんの一瞬だけ魔力探知が途切れるフリーレンの弱点を気付かせて、作戦会議を進め、フリーレンは、ヒンメルたちと迷宮の魔物を討伐したときのことを思い出して楽しそうな顔をする。

作戦会議を終え、攻略を開始しようと声を掛けるフリーレンに。勝てるのか、とデンケンは不安を覗かせるが、フリーレンは、攻略できない迷宮は存在しない、私は歴史上で最も多くの迷宮を攻略したパーティの魔法使いだよ、と言い放つ。

 

本話は、テレビアニメ版の第25話「致命的な隙」の前半で描かれた部分に対応しています。

第53話 人間の時代

フリーレンは、と自分とフェルンの2人で複製体と戦い、残りのメンバーは最深部に集まってくる他の複製体の足止めを担当する作戦を決行する。

フェルンと自身の複製体と対峙するフリーレン。複製体の魔力探知が途切れた隙に潜伏したフェルンがゾルトラークを打ち込む作戦だった。

フリーレンは、フランメの死後、その遺言状を渡すためにゼーリエを訪ねたときのことを思い出す。ゼーリエはフリーレンに、フランメは私にとっては無にも等しいような短い人生で人類の魔法の開祖にまで上り詰めた、私たちより死に近い場所にいる人間は重大な決断を先送りにはできない、たった1000年で人間の時代がやってくる、鍛錬を怠るな、お前を殺す者がいるとすれば、それは魔王か人間の魔法使いだ、と語り、それを聞いたフリーレンは、楽しみだね、これから先たくさんの魔法使いといろいろな魔法が見られるんだね、と言ったのだった。

そして、隠れていたフェルンは、複製体の魔力探知が途切れる一瞬の隙を突いてゾルトラークを打ち込む。

 

本話は、テレビアニメ版の第25話「致命的な隙」の後半で描かれた部分に対応しています。

第54話 だいたい何でも切る魔法<レイルザイデン>

複製体は、フェルンが打ち込んだゾルトラークを防御する。フリーレンは、想定の範囲内だ、ここから先は消耗戦だ、と言う。

一方、次第に最深部に近づいてくる他の複製体の足止めを図ろうとするデンケンたち。デンケンはメトーデが感知できなかったゼンゼの複製体を探していたが、ラヴィーネとリヒターがカンネとラヴィーネの複製体を倒したところで、全く気配のなかったゼンゼの複製体の奇襲を受け、脱出用ゴーレムの瓶を割って外に運び出されていく。

そこにラントとともにやってきたユーベルは、自分は未熟な三級魔法使いだがゼンゼ相手なら勝てる、私の得意魔法は大体何でも切る魔法<レイルザイデン>で、切れると思ったものは何でも切れる、理屈はどうでもいい、これはイメージの話、と止めるラントを一顧だにせず、ゼンゼの複製体の前に出て、レイルザイデンを放つ。

そのとき、それを感知した本物のゼンゼは、勝敗は既に分かっている、おそらく戦いにすらならない、と感じ、2年前の二級魔法使い選抜試験のとき、守りに特化した一級魔法使いの試験官ブルグをユーベルがあっさりと真っ二つに切断して失格となり、これは才覚の領域だと思ったことを思い出す。そして、ユーベルには勝てるイメージが湧かない、相性が悪すぎる、と思う。そして、そのとおり、ユーベルはゼンゼの複製体を倒し、皆頭を使いすぎ、髪は切るものでしょ、と呟く。

 

本話は、テレビアニメ版の第26話「魔法の高み」の前半で描かれた部分に対応しています。

第55話 第二次試験終了

メトーデは、ヴィアベル、エーレ、シャルフに協力を求め、ヴィアベルもその要請を受け入れる。一方、デンケン、ユーベル、ラントが一緒に歩いていると、一度倒したはずのユーベルとラントの複製体が再び現れ、ラオフェン、カンネ、ラヴィーネの複製体も現れる。

リヒターの複製体と戦うカンネとドゥンケル、メトーデの複製体と戦うラオフェンの戦闘は続いたいた。トーンは脱出用ゴーレムに運び出され、メトーデの背後にはフェルンの複製体が迫り、ヴィアベル、エーレ、シャルフの3人はデンケンの複製体と戦う。

そして、自身の複製体と戦うフリーレンは、複製体に隙ができてもフェルンは気が付けない状況に、作戦会議で話したように、より大きな隙を作るため、自ら隙を見せて複製体が間近に迫ってきたところで、フェルンがゾルトラークを打ち込む。フェルンは、致命傷だ、止めを、と思ったその瞬間、複製体の魔力でフェルンは突き飛ばされて広間の壁に打ち付けられ、魔法の杖も砕け散ってしまう。フェルンは、この攻撃を私は魔法として認識できていない、これが魔法の高みなんですね、と感嘆するが、隙だらけになった複製体にフリーレンがとどめの一撃を加え、複製体を倒す。

フリーレンは、よくやった、あれを見せるほど追い詰められたのは80年ぶりだ、とフェルンに労いの言葉を掛け、一緒に最深部の宝物庫に入り、水鏡の悪魔を倒す。すると、迷宮内にいた複製体は全て消滅する。

そして、デンケン、ラオフェン、ユーベル、ラント、ヴィアベル、エーレ、シャルフ、ドゥンスト、メトーデ、カンネの10人がゼンゼが待つ宝物庫にたどり着き、ゼンゼは、歴史に名を残すほどの偉業だ、と一同を称え、約束どおり最深部にたどり着いた全員を第二次試験合格とすると告げ、試験の終了を告げる。

 

本話は、テレビアニメ版の第26話「魔法の高み」の後半で描かれた部分に対応しています。

第56話 フェルンの杖

第二次試験が終了後、外で修業をしていたシュタルクのもとにふくれっ面をしたフェルンがやってくる。フリーレンと喧嘩したというフェルンは、第二次試験で壊れたハイターに貰った杖は捨てて新しい杖を買った方がいいと言ったことに怒ったのだった。

そのころ、大陸魔法教会の前では、第二次試験に合格したカンネが、不合格となって落ち込むラヴィーネを慰めていた。そこに、何やら物が入った袋を持ったフリーレンが通りかかる。

一方、自分の魔法店を開けていたリヒターのところには、ラオフェンを連れたデンケンがやってきていた。油を売るデンケンに悪態をつくリヒターに、デンケンは、お前は本当に生意気な若造だが、儂はお前に何の嫌悪も抱いていない、きっと昔儂がそういう生意気な若造だったからだ、そんな儂が今は宮廷魔法使いの地位にいる、3年度のお前は今よりもずっと強くなっている、と言うが、何も買わずに店を出て行く。

そして、フリーレンがやってきて、ここならどんなに壊れた杖も修理できると聞いた、とバラバラに砕けたフェルンの杖を出す。リヒターは、こんなゴミを寄こされても困ると断ろうとするが、フリーレンができないならいい、と店を出て行こうとすると、俺がいつできないとまで言った?と、結局その仕事を引き受けて杖を修理し、ゴミだなんて言って悪かった、手入れの行き届いたいい杖だ、さぞかし大事にされていたんだろう、と漏らす。

夜になり、宿に向かって歩きながら、フリーレンの文句を言うフェルンに、シュタルクは、わかろうとするのが大事、フリーレンは頑張っていると思うと諭す。

フェルンが宿に戻ると、フリーレンはもう寝ており、ベッドの上には、元通りに修理された杖が置かれていた。それを手に取ったフェルンは、フリーレンは感情や感性に乏しいが、その分だけきっとフェルンのために思い悩んでくれる、彼女以上の師はなかなかいない、と語ったハイターの言葉を思い出す。

そして、翌日、第三次試験のために大陸魔法協会に集まった12人の受験者たちに、試験開始が告げられる。

 

本話は、テレビアニメ版の第27話「人間の時代」の前半で描かれた部分に対応しています。

第57話 第三次試験

試験の前、オイサーストの大陸魔法協会にやってきたゼーリエは、ゼンゼ、ゲナウ、ファルシュ、レルネンを前に、第二次試験では、フリーレンがいたせいで実力に見合わない者まで大勢合格した、従来どおりの試験ではそいつらは全員死ぬことになる、と自分がやってきた理由を説明し、第三次試験は自分が担当する、平和的に選別してやる、と告げる。本来第三次試験の担当だったレルネンもそれを受け入れ、フリーレンを一目見て、魔力を制限していることがわかった、ゼーリエに匹敵するほどの絶大な魔力だ、と語る。ゼーリエは、フリーレンの魔力制限は洗練されており、私の知る限りそれをたった一目で見破ったのは魔王だけだ、と話すが、出て行った後、レルネンにも私の魔力のゆらぎが見えなかったか、と漏らす。

そして、12人の受験者を前にファルシュが告げた試験内容は、ゼーリエとの面接だった。それを聞いたフリーレンは、私とフェルンを受からせる気はない、たぶん直感で合格者を選ぶつもりだろう、と話す。

そして、ゼーリエが待つ屋内庭園に入った最初の受験者のカンネに、ゼーリエは、一級魔法使いになった自分の姿がイメージできないだろう、イメージできないものは実現できない、と不合格を告げ、続くドゥンケル、ラオフェン、シャルフ、エーレも不合格となる。

次にやってきたフリーレンに、ゼーリエは、好きな魔法を言ってみろと問うと、フリーレンは花畑を出す魔法だと即答し、ゼーリエは、実に下らない、と不合格を告げる。食い下がりもせず踵を返したフリーレンに、ゼーリエがお前のような魔法使いが魔王を倒したとは到底信じられないと言うと、フリーレンは、私1人の力じゃない、1人でも欠けていたら倒せなかった、運が良かった、と答える。そして、かつてヒンメルが、自分を誘った理由を尋ねるフリーレンに、子どものころに会ったフリーレンが花畑を出す魔法を見せてくれて、生まれて初めて魔法が綺麗だと思った、と語ったことを思い出し、ヒンメルたちと出会わせてくれたのは、師匠が教えてくれた下らない魔法だ、と言い、フェルンも不合格にするつもりだろうが、たぶんそれはできない、あの子はゼーリエの想像を超える、人間の時代がやってきたんだ、と言って立ち去る。

次に入ってきたフェルンを一目見て、最初は、他の受験者と何ら変わらないと思うゼーリエだったが、フェルンが揺らいでいると口にするのを聞いて、レルネンですら気づけなかった自分の魔力の揺らぎに気づいたことに、その口元は緩み、私の弟子になれ、と突然告げる。しかし、フェルンは、嫌です、と即答する。

 

本話は、テレビアニメ版の第27話「人間の時代」の後半、最終部分の手前までで描かれた部分に対応しています。

 

以上のように、この第5巻・第6巻では、テレビアニメ版の第18話の後半から第27話の終盤近くまでに対応する部分が描かれています。

続きもまた読んでみようと思います。