テレビアニメ「魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?」を見ました。
2017年2月からHJ文庫(ホビージャパン)で刊行されている手島史詞のライトノベル「魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?」を原作にテレビアニメ化され、2024年4月から6月までの2024春クールにTOKYO MXなどで放送された作品。主要スタッフは、監督:石踊宏、アニメーション監修:後藤圭二、シリーズ構成:吉永亜矢、キャラクターデザイン・総作画監督:大沢美奈、アニメーション制作:ブレインズ・ベース など。
もともとは、「葬送のフリーレン」でフェルン役を演じていた市ノ瀬加那が主要キャラクターを演じるというのに興味を持ち、契約している配信サービスでは無料で見れないため録画してみたのですが、けっこう面白かったので、最後まで見ることになりました。
公式サイトのイントロダクションから引用すると、
<悪の魔術師として人々に恐れられているザガン。
不器用で口の悪い彼は、今日も魔術の研究をしながら領内の賊をぶちのめしていた。
ザガンは、悪友のバルバロスに誘われて参加した闇のオークション会場で、魔王の遺品として出品された白い髪のエルフの少女ネフィと運命的な出会いを果たす。
全財産をはたいて、ネフィを自身の城へ連れ帰ったが、
これまで人付き合いをすることのなかった口下手なザガンは、
ネフィにどう接していいかわからないまま、まともな会話も出来ず狼狽えるばかり。
これからはじまる二人の共同生活の行方は如何に―。
口下手な魔術師と美少女エルフのじわキュンラブコメディ。>
・・・という物語。
公式サイトで紹介されている主な登場人物とキャストは、次のとおりです。< >内はそのキャラクターが登場(声優が出演)する放送回です。
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ザガン【小林 裕介/広瀬 さや(少年期)】:不器用で口が悪く、人々から「悪の魔術師」として恐れられている。闇のオークションで出会ったネフィに一目惚れし、全財産をはたいて購入するが、初めて人に好意を持ったためにどう接したらいいか悩んでいる。<第1~12話>※少年期は第3・6・7・12話のみ
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ネフェリア(ネフィ)【市ノ瀬 加那】:北の聖地に住まうという伝説の種族エルフの少女。愛称ネフィ。口下手だが、自分のことを「必要だ」と言ってくれたザガンに少しずつ心を開いていく。料理が得意。嬉しいときなどは耳が良く動く。<第1~12話>
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シャスティル・リルクヴィスト【菱川 花菜】:聖剣「アズラエル」の継承者で、「聖剣の乙女」の通名を持つ教会の聖騎士長の紅一点。魔術師討伐で不意を討たれたところをザガンに助けられており、ザガンに対して複雑な想いを抱いている。<第1~3・5~12話>
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バルバロス【谷山 紀章/塙 真奈美】:ザガンの悪友の魔術師で「煉獄」の通名を持つ。ザガンとは10年来の付き合いで肉と酒が好物。ひねくれ者だが、次期<魔王>候補として名が上がるほどの凄腕。<第1・4~12話>※少年期は第6話のみ
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フォル(ウォルフォレ)【美坂 朱音/村井 雄治(亡霊時)】:竜の少女。好物はマンドラゴラのマカロン、オートミールスープ。とある理由でザガンの元を訪れるが、後にネフィのお手伝いをしながら城に滞在するようになる。<第7~12話>※亡霊は第7話のみ
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ラーファエル・ヒュランデル【稲田 徹】:「魔術師狩り」の異名を持ち、魔術師討伐数最多を誇る”最恐”の聖剣所持者。とある目的でキュアノエイデスを訪れる。<第8~12話>
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マニュエラ【伊藤 彩沙】:キュアノエイデスの服屋の店員。人を着せ替えする趣味がある。好物は酒全般。<第2・5・6・8・12話>
そのほか、劇中で登場する、個別に役名が付いているキャラクターとしては、次のような人たちがいます。< >内はそのキャラクターが登場(声優が出演)する放送回です。
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ゴメリ【前田 玲奈】:「妖婦」の通名を持つ次期魔王候補の1人の女魔術師。<第1・6話>
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顔剥ぎ【丹羽 正人】:顔の皮を剥がそうとシャスティルを襲った魔術師。ザガンに殺された。<第1話>
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司会【新 祐樹】:ザガンが参加した闇のオークションの司会。<第1・2話>
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御者【中村 源太】:街に買い物に出ようとしたザガンたちに声をかけた馬車の御者。<第2話>
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野盗頭【村井 雄治】:街に買い物に出るため歩いているザガンたちが遭遇した追い剥ぎの野盗団のリーダー。<第2話>
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雇われ魔術師【下山 吉光】:野盗団に雇われていた魔術師。<第2話>
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鍛冶屋【勝 杏里】:街でザガンがネフィの首に付けられていた首輪を外そうと訪れた鍛冶屋の主人。<第2話>
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ライアン【中務 貴幸】:シャスティルに付き従う「蒼天の三騎士」の1人。<第3・5・6・8話>
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アルフレッド【土井 正明】:シャスティルに付き従う「蒼天の三騎士」の1人。<第3・5・6・8・11話>
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トーレス【徳本 恭敏】:シャスティルに付き従う「蒼天の三騎士」の1人。<第3・5・6・8話>
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店主【合田 慎二郎】:ザガンとバルバロスがやってきた酒場の店主。<第9話>
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魔王殿の番人【佐々木 祐介】:前の魔王・マルコシアスの魔王殿の番人となっていたゴーレムと魔族のキメラ。<第10・11話>
なお、以上のキャラクターのほか、ナレーションを森川智之が務めています。
公式サイトのストーリーで紹介されているあらすじは、次のとおりです。
第1話「初恋とは誰もが一度はかかる質の悪い病である。」
<悪の魔術師として人々に恐れられているザガン。悪友のバルバロスに誘われて参加した闇のオークション会場で、魔王の遺品として出品された白い髪のエルフの少女ネフィと運命的な出会いを果たす。全財産をはたいて、ネフィを自身の城へ連れ帰ったが、これまで人付き合いをすることのなかった口下手なザガンは、ネフィにどう接していいかわからないまま、まともな会話も出来ず狼狽えるばかり。これからはじまる二人の共同生活の行方は如何に―。>
魔術師ザガンは領地の結界が破られたのを見に行くと、教会の聖騎士シャスティルが顔剥ぎに襲われていた。ザガンがシャスティルを助けたところに、悪友バルバロスがやってきて、先日死んだ13人の魔王のうちの1人マルコシアスの遺品が出品されるオークションに誘う。そのオークションに参加したザガンは、最後に出品された白い髪のエルフの少女に一目惚れし、全財産をはたいてそのエルフを落札する。ザガンはエルフを城に連れて帰るが、どう接していいのか分からずうろたえる。ネフィリアと名乗ったそのエルフは、自分は呪い子だったと語り、自分は殺されるか実験材料にされると思い込んでいたが、ザガンは必要だから買った、俺のために生きろ、と告げ、部屋を与える。
第2話「コミュ障の初恋はカビたパンの味に似ている」
<エルフの少女ネフィを自身の城に連れ帰り一夜が明けた。朝食としてザガンから手渡された干し肉を見て、ネフィは料理を作ることを申し出る。一目ぼれした少女の手料理が食べれることを喜んだザガンは、早速街へ買い物に出かけようとするが、全財産をはたいてネフィを落札したため街へ向かう馬車に乗る金もない。仕方なく歩いて街へ向かっている最中、野盗に襲われている馬車を見つける―。>
一夜明けても、どう接していいかわからないザガン。ネフィはその貧しい朝食を見て、自分が作ることを申し出る。手料理に胸がときめいたザガンはネフィを連れて街に買い物に行こうとするが、ネフィに全財産をはたいて金がなく、歩いて向かう。その途中、野盗に襲われる馬車を見つけたザガンは、野盗を退治し、馬車の御者から謝礼のお金をもらい、街まで馬車に乗せてもらえることになる。
街に到着したザガンは、マニュエルの服屋でネフィの普段着を見繕い、ネフィの首に付けられた魔力封じの首輪が外せないかと鍛冶屋を訪ねるが、無理だと言われる。
買い物をしているうちに日が暮れてしまい、街の食堂で夕食を食べ、城に戻る。
一方、ザガンに救われた「聖剣の乙女」シャスティルは、クラヴェルから連続誘拐事件の真犯人はザガンだと聞かされ、動揺するが、自らその討伐を志願する。
第3話「普段おとなしい子ほど怒ると破壊的に恐ろしい」
<一目ぼれしたエルフの少女・ネフィとの共同生活を送りながらも、魔術の研鑽を忘れないザガン。書庫で魔術の仕組みについてネフィに説明していると、城を覆っていたザガンの結界が領地への侵入者を感知する。様子を見に行ったザガンの前に現われたのはザガン討伐の命を受けた、教会の聖騎士と「聖剣の乙女」シャスティルであった。>
ザガンは、見違えるようにきれいになった食堂を見て感激し、ネフィと一緒に朝食を食べる。
数日が経ち、ザガンが書庫で魔術の仕組みについてネフィに説明していると、領地へ侵入を察知する。様子を見に行くと、ザガン討伐にやってきたシャスティルと教会の聖騎士たちだった。追い払おうとするザガンに、シャスティルは死んだふりをするよう囁くが、そこにやってきたネフィを庇ってザガンは手を怪我してしまう。それを見たネフィは怒りで魔法を発動させてしまい、聖騎士たちは引き返していく。
城に戻ったザガンに、ネフィは呪い子と言われていた自分の過去を打ち明ける。ザガンは、力を持っているなら強く生きろ、と温かく励まし、その言葉を聞いたネフィは号泣する。
第4話「魔王からの勧誘とかロクなことにならないから、断った方がいい」
<聖騎士の攻撃から自身を庇って負傷したザガンを見たネフィは、我を忘れエルフの強力な魔法を使い聖騎士たちを退けた。その夜、ネフィは「呪い子」と呼ばれていた自身の過去をザガンに打ち明ける。ザガンはネフィのすべてを受け入れ弟子として魔術を教えることにする。ネフィを城に連れ帰ってから半年ほどたったある日、ザガンのもとに魔術師の極致〈魔王〉からの召喚状が届く。>
その夜、ネフィは、ザガンが座る前にやってきて、一緒に寝ていただいてもいいでしょうか、横になって休まれたほうが安らぐのでは、と赤面しながら言い出し、ザガンは内心動揺しながらネフィの膝枕で横になる。ザガンは魔術を学ぶことを勧め、自分の弟子として魔術を教え始める。
そうして半月が経った頃、12人の魔王からの召喚状がザガンに届く。
物流の拠点の街・キュアノエイレスの亡きマルコシアスの居城に呼び出されたザガンは、12人の魔王たちの威圧に耐えて啖呵を切ると、魔王として迎えると告げられ、マルコシアスが持っていたはずのネフィの首輪の鍵を手に入れることを条件に、それを受け入れて、魔王を地位を受け継ぎ、マルコシアスの遺産を手に入れる。
城に戻ったザガンは、ネフィを巻きこんではいけないと考え、夕食の子羊のシチューを作っていたネフィに、自分が魔王となったことを明かし、ネフィの首輪を鍵を使って外すと、もう必要ない、出て行ってくれ、と告げる。城を追い出されたネフィは、暗く落ち込んだ顔で街の路地裏に座り込むのだった。
第5話「失恋というものは物理的にもけっこう痛いもので」
<〈魔王〉を襲名したザガン。ネフィの未来を案じたザガンは、ネフィの首輪を外し「出て行ってくれ」と冷たく告げた。街の路地裏でうずくまっていたネフィに声をかけたのは、シャスティルであった。マニュエラに連れられ街の食堂でに教会と魔王の関係を聞かされたネフィ。突如として、食堂に黒い影が現われ、ネフィ達を連れ去ってしまう。影の主は自らを“ザガン”と名乗るのであった。>
街の路地裏に座り込むネフィに、偶然通りかかったシャスティルが声を掛ける。魔術師の弟子の自分は殺されると思ったネフィは、殺してください、とシャスティルに歩み寄るが、そこにやってきたマニュエルや見物する街の人々は、ネフィが絡まれていると勘違いしてシャスティルを責め立てる。
誤解が解け、マニュエルに連れられてシャスティルと食堂に入ったネフィは、経緯を話し、2人から教会と魔王の関係などを聞かされる。2人話を聞いたネフィは、ザガンの支えになりたい、とザガンのもとに帰ることを決意し、シャスティルもザガンの名を騙って悪事を働く魔術師を退治して汚名を雪ぐと語るが、そこに、自らをザガンと名乗る黒い影が現れ、シャスティルとネフィを連れ去ってしまう。
一方、再び討伐にやってきた聖騎士たちを退治したザガンのもとにマニュエラが駆け付け、ネフィとシャスティルがさらわれたと助けを求める。逡巡するザガンだったが、マニュエラの言葉で助けに行くことを決意する。
ネフィとシャスティルを誘拐したのはバルバロスだった。バルバロスは、自分が魔王になるためにザガンを騙っていたことを明かし、ネフィを生贄に魔術を発動させようとするが、そこにザガンが駆けつける。
第6話「魔王になったからには傍若無人に振る舞う義務みたいなものがある」
<影から逃れたマニュエラからネフィたちが攫われたことを聞いたザガンは、魔王を継承した身でネフィを助けに行くことに葛藤する。ネフィとシャスティルを連れ去った影の主はバルバロスであった。ネフィから、ザガンが魔王となったこと知らされたバルバロスは激昂し、ネフィに手を上げようとした。その時、魔術による爆発で岩壁が崩れ落ち、土煙がたつ。その中から現れたのはザガンであった。>
バルバロスがネフィを生贄に魔術を発動させようとしたときに駆けつけたザガン。バルバロスの狙いに勘付いていたザガンは、ネフィを痛い目に遭わせたことに怒り、その強大な魔術でバルバロスを完膚なきまでに叩きのめすが、バルバロスが準備していた魔法陣が発動し、巨大な魔族が召喚されてしまう。しかし、召喚された魔族は、ザガンを主と認めて、我が王よ、何なりとご命令を、と跪く。ザガンは、ならば消えろ、と命じ、魔族は姿を消す。
脱出して、バルバロスやシャスティルたちが去った後に残ったザガンとネフィ。ネフィは、ザガンの傍にいたい、と本心を明かし、ザガンも、名前で呼んでほしい、奴隷でも使用人でも弟子でもない、そういう関係になりたい、と真剣な表情で語り、お前は俺のものだ!いつまでも、一生!どちらかが死ぬまで!いや、死んでもだ!、と赤面しながらプロポーズし、ネフィは嬉し涙を浮かべて、はい!と答える。そして、ネフィの求めで、一度は外した首輪を再び付けたザガンは、魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?と思うのだった。
一方、ザガンを庇い、その討伐を拒んだシャスティルは、クラヴェルから聖騎士長としての権限を無期限凍結すると告げられ、教会の腐敗も来るところまで来てしまったと感じ、私ももう自分の生き方を曲げたくない、と決意するのだった。
第7話「魔王だって小さい子に手をあげるのは良くない」
<バルバロスを倒し、囚われていたネフィを助け出したザガン。互いの想いを知った二人の心の距離はさらに縮まってゆく。バルバロスの魔法陣から召喚された魔族の存在について調べていたザガンのもとに、全身甲冑に身を包んだ魔術師〈亡霊〉ウォルフォレが現れる。一方、魔王となったザガンを庇い、討伐の命令に背いたシャスティルは、聖騎士長としての権限を無期限凍結されてしまう。>
第8話「竜を拾ったら懐かれたので娘にすることにした」
<ザガンの城を襲撃するもあっけなく返り討ちにあった竜の少女フォルは、ネフィの手伝いをしながらザガンの城で居候することになった。魔族の研究に行き詰ったザガンは魔術師であり竜でもあるフォルを連れ、先代魔王マルコシアスの城―魔王殿を、今一度、調べることにする。竜の術式によって隠されていた書庫で明らかになった魔王の刻印と十二本の聖剣に関する新たな事実とは―。>
フォルがザガンの城で暮らし始めて1週間が過ぎた。暮らし始めてからのザガンとネフィの様子を日記に付けるフォルは、ネフィがザガンの膝の上にちょこんと座って魔術を教わるのを目撃し、2人がフォルに見つかって真っ赤になって照れるのはなぜなのかは理解できないが、ここにいると少し胸の奥が温かくなる気がするのだった。
翌日、ザガンがマニュエラの店でフォルの服を買ってやると、喜ぶフォルはザガン、ネフィと手をつなぎ、ザガンは自分に庇護欲が芽生えたことに戸惑う。一方、聖剣を返上したシャスティルは、街を歩きながら、ザガンのことが頭に浮かび、ザガンとネフィが平穏に過ごし、幸せに暮らす姿が見てみたいと思う。そのとき、手をつないで歩いてくるザガンたち3人とばったり出会う。そこに蒼天の三騎士がやってきて、クラヴェルが呼んでいるとシャスティルを連れて行く。
ザガンたち3人は、魔族について調べようと、キュアノエイレスの街の地下にある先代魔王マルコシアスの城・魔王殿にやってくる。床にある魔法陣を見たフォルは、竜の術式だと見抜き、扉か何かを隠していると言う。フォルが術式を発動させると、下の階につながる階段が姿を現し、隠し書庫が見つかる。フォルが手にした本の題名が「12本の聖剣」と聞いてその本を開いたザガンは、聖剣に刻まれた文字が、自分の手の甲に刻まれた魔王の刻印に書かれた文字と酷似していることに気付き、聖剣について調べれば魔王の刻印についても分かるはずだと考える。
教会に連れてこられたシャスティルの前には、最恐の聖剣所持者と呼ばれる聖騎士長ラーファエル・ヒュランデルが現れる。ラーファエルは、シャスティルを殺してその聖剣を手に入れることを仄めかし、その脅しに、クラヴェルが丸腰のシャスティルに聖剣を返すと、ラーファエルは何もせずに去っていく。ラーファエルは自分に聖剣が戻るよう促したのだと察したシャスティルは、一体何のため、と疑問に思う。
一方、酒場でバルバロスと酒を飲むザガンは、フォルを養女にしたことをからかわれるが、魔術師討伐数499人を誇るラーファエルが教会にやってきた、500人目にザガンが選ばれた、ラーファエルは竜を食べたらしいと聞かされる。その2人の背後から、ラーファエルが姿を現す。
第9話「聖騎士の事情はドロドロしているので関わりたくないのだが」
<酒場にいたザガンとバルバロスの前に、最恐の聖剣所持者ラーファエルが現れる。ラーファエルは、魔王ザガン討伐に異を唱えたシャスティルが教会から処分の対象になっていることを告げ、酒場を後にするのであった。城に戻ったザガンのもとに、何者かに毒を盛られたシャスティルがバルバロスに連れられて転移魔術で現れる。シャスティルは倒れる前に謎の人物に呼び出されていたことを思い出す。>
ザガンとバルバロスの前に姿を現したラーファエルだったが、ラーファエルからは殺気が感じられず、シャスティルがザガン討伐に異を唱えたことで教会から処分の対象になったと告げ、ザガンに、俺の期待通りの男、教会が威信を持って殺すべき悪だ、と言い捨てて酒場を後にする。
シャスティルが気にかかるザガンは分け与える魔導書を上乗せすることを報酬にバルバロスを向かわせる。
城に戻ると、ザガンの帰りを待っていたフォルがネフィの膝で眠っていた。久しぶりにザガンとネフィは見つめ合い、いい雰囲気となってキスしようとしたその時、毒を盛られたシャスティルを抱えてバルバロスが戻ってくる。ザガンとネフィがシャスティルの手当てをしようとすると、目を覚ましたフォルは聖剣を持つシャスティルに憎悪を募らせ襲い掛かろうとするが、ザガンはそれを止め、シャスティルを殺してもお前の敵は痛くも痒くもない、正しい復讐の在り方を教えてやると言って諫める。
治療されて目覚めたシャスティルは、共生派を名乗る教会の男から手紙で呼び出され、助けが必要な時は「オルガスト」の名を呼べばいいと言われたこと、用意されていた紅茶を飲んで意識を失ったことを明かす。ザガンと話すシャスティルは、自分はザガンとネフィが描くであろう幸福にかかわっていたいのだと思う。
翌日、シャスティルは城で過ごす間ネフィの手伝いをすることになるが、聖剣所持者に親を殺されたフォルは、シャスティルを「しっぽ頭」と呼び、いたずらして困らせる。
それから10日が経ち、ネフィの部屋を訪れたザガンは、ネフィに、このままここで暮らすつもりはないか、お前の好きにしていいが、俺とネフィはいつまでも待つ、と話す。ありがとう、と言うネフィだったが、聖剣所持者への憎しみを抑えることができない。そして、王座で眠っていたザガンのところに、城からフォルがいなくなったとネフィが駆け込んでくる。
第10話「娘に家出されたら親としては必死になるもので」
<玉座で眠っていたザガンは、城からフォルがいなくなったというネフィからの知らせに目を覚ます。ザガンとネフィ、二人の娘としての生活を気に入りながらも、聖騎士への復讐を忘れることができないフォルは、新たな力を求め魔王殿を訪れていた。後をつけていた最恐の聖剣所持者ラーファエルと対峙したフォルはあることに気づく。殺されたフォルの父と聖騎士ラーファエルの関係とは―。>
ザガンとネフィから娘にならないかと言われたフォルは、嬉しく思い、2人と城にいるのが好きなのだと自覚しつつも、ここにいたら復讐を忘れてしまうと城を飛び出し、聖剣所持者を殺せる力を得ようと魔王殿を訪れるが、フォルの後をつけていたラーファエルが姿を現す。父が死んだときその血をラーファエルが啜っていたのを目撃していた府フォルは、憎悪に駆られ衝動的にラーファエルを襲おうとするが、バルバロスの転移魔術で駆け付けたザガンがそれを止め、ラーファエルと対峙する。
一方、転移魔術の一方の入口である城の玉座の間でザガンを待つネフィのところには、聖剣を手にしたシャスティルが現れる。フォルが出て行ったのは自分のせいだと一瞬ためらうシャスティルだったが、ネフィの言葉に背中を押され、転移魔術の入口に飛び込んでいく。
フォルは、「賢竜オロバス」と呼ばれた父を殺したのはラーファエルだと言い、父が死んだときのことを話す。ラーファエルはフォルに襲い掛かるが、そこに現れたシャスティルが2人を止める。ザガンはオロバスの名を聞いて殺気が消えたラーファエルを訝りその理由を問うが、そこに、2人の聖剣が衝突した余波で封印が解かれた魔王殿の番人の魔族とゴーレムのキメラが姿を現す。キメラが放った攻撃はフォルに向かうが、それをラーファエルが庇い、攻撃を受けたラーファエルは深く傷つく。ザガンはキメラを止め、庇った理由をラーファエルに問う。
第11話「それでも邪悪な魔物をやっつけるのが聖騎士らしい」
<二本の聖剣が衝突した余波で封印が解かれたキメラの攻撃からフォルを庇い、重症を負ったラーファエルは、フォルの父である『賢竜オロバス』との関係とその最期、そして近いうちに世界に訪れる危機についてフォルに告げる。その後、ネフィの言葉で迷いが消えたシャスティルはザガンと共闘しキメラを破壊する。その姿を見たラーファエルはシャスティルにあることを依頼するのであった―。>
ラーファエルは、オロボスを殺したのは魔族で、その命をもって敵を討ち果たした、憎むのではなく誇るがいいと語り、いずれ襲ってくる強大な魔族と戦うため教会と魔術師の共生が必要だと訴える。
再び動き出したキメラを倒そうとするザガンに、シャスティルが共闘を申し出てキメラに立ち向かい、ザガンの魔術によってキメラは倒される。私はザガンと一緒に戦える、と言うシャスティルに、ラーファエルは共生の旗印となるよう依頼する。
フォルたちとともに城に戻ったザガンを、ネフィは温かく出迎える。
一方、教会に向かったラーファエルは、教会が正義だと信じて疑わず、魔術師を敵視する枢機卿のクラヴェルを殺害する。
教会に戻ることを決意したシャスティルは、ザガンの城を出発しようとするが、そこにラーファエルが姿を現し、シャスティルは驚愕する。ラーファエルは左腕を失いながらも、ネフィの回復魔法によって回復し、ザガンとネフィに尽くして、とのフォルの願いに従い、ザガンの執事となったのだった。
シャスティルが城を出ていくのを見送ったザガンは、バルバロスにシャスティルの警護を頼む。ネフィの様子がどこかおかしいことに気付いたザガンは、前の晩にネフィを置いてフォルのもとに行ったことを詫び、抱き寄せるのだった。
第12話「月夜の音楽会は美しいが、コミュ障にはまだ早い」
<魔王殿での一件の後、フォルは「魔王観察日記」を再び書き始める。ザガンとネフィのもだもだしている様子を観察をしていると、執事として雇われた新しい城の住人ラーファエルに「貴様にはまだ早い」といつも目隠しされてしまう。
そんなある日、シャスティルを城に招いての食事会の買い出しに街へ出かけたザガンたちは、立ち寄ったマニュエラの店で、路地裏の子供たちが店に持ち込んできたという壊れた蓄音機を見つける。>
魔王殿からザガンの城に戻ったフォルは、再び「魔王観察日記」を書き始める。執事となったラーファエルについて、甘い物のレパートリーはネフィをしのぎ、いつも自分に試食させてくれるが、ひとつだけ困ることは、ザガンとネフィの様子を観察していると、まだ早いと目隠しされてしまうことで、2人の間で密かな戦いになっていた。
シャスティルが泊まりに来ることになって、ネフィとフォルとともにごちそうを作るために街に買い出しに出かけたザガンとネフィは、帰りに立ち寄ったマニュエラの店で壊れた蓄音機を見つける。路地裏の子どもたちが店に持ち込んだが売り物にならず置いていったと聞いて、かつての自分を思い出したザガンは、金を出してそれを買い取る。
3人が城に帰ると、シャスティルと、ザガンの命で彼女を密かに護衛していたバルバロスが既に着いていた。シャスティルはフォルとともにネフィの料理を手伝うが、バルバロスは、蓄音機を修理するザガンに、死んだクラヴェルの事務仕事をほとんど引き継いだシャスティルのポンコツぶりを愚痴る。
修理した蓄音機で音楽を流すと、ラーファエルは、かつて港町のダンスホールでは蓄音機から流れる音楽に合わせて紳士と淑女がダンスを踊っていたのを見たと話す。そしてネフィが作った夕食を食べる一同だが、蓄音機の調子が悪くなり、バルバロスは酔っぱらって先に眠ってしまう。
寝不足気味のシャスティルも寝入った後、玉座の間で蓄音機を再び修理するザガン。そこにネフィもやってくる。蓄音機が再び音楽を流し始めると、ネフィはそれに合わせて歌うが、それを聞いたザガンは一緒に踊ろうと誘い、ラーファエルの手ほどきで、2人は照れながらぎこちなく踊る。
ザガンは修理した蓄音機を路地裏に戻す。翌日、路地裏の蓄音機から流れる音楽に、子どもたちは楽し気に踊るのだった。
(ここまで)
強大な実力を持ち、悪の魔術師として人々から恐れられる存在でありながら、その実の姿はウブで不器用なコミュ障、というギャップ、一目惚れして全財産をはたいてオークションで買った奴隷エルフのネフィとぎごちなく距離を縮めていく初々しくもどかしい恋模様が面白く、最後まで楽しく見ることができました。