鷺の停車場

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テレビアニメ「葬送のフリーレン」④第11話~第13話

2023年秋クールで日本テレビで放送が始まった「葬送のフリーレン」、今回は、「断頭台のアウラ」編の後、11月17日(金)から3週にわたって放送された、フリーレンたちがザインを仲間に加えるまでを描いた第11話~第13話を紹介します。

frieren-anime.jp

繰り返しになりますが、2020年4月から「週刊少年サンデー」に連載されている原作:山田鐘人・作画:アベツカサによる同名マンガを原作とした作品で、主要スタッフは、監督:斎藤圭一郎、シリーズ構成:鈴木智尋、キャラクターデザイン・総作画監督:長澤礼子、音楽:Evan Call、アニメーション制作:マッドハウス など。

この3話に登場する名前が付いている登場人物とキャストは、次のとおりです。< >内がそのキャラクターが登場する放送回です。

  • フリーレン【種﨑 敦美】:千年以上生きるエルフで、勇者パーティーとして魔王を倒した魔法使い。魔法であればどんなものでも興味を持つ魔法オタク。性格はずぼらでドライ。仲間たちとの旅を経て、知らず知らずのうちにその心にも変化が現れる。<第11~13話>

  • フェルン【市ノ瀬 加那】:フリーレンの弟子として共に旅をすることになる魔法使い。ハイターに育てられた戦災孤児。冷静な少女で、生活面でずぼらなフリーレンのお母さん役。<第11~13話>

  • シュタルク【小林 千晃/清都 ありさ(幼少期)】:フリーレンとフェルンと共に旅をすることになる戦士で、アイゼンの弟子。子どものような性格。臆病ながら高い戦闘力を持ち、前衛を務める。<第11~13話(幼少期は第12話のみ)>

  • ヒンメル【岡本 信彦】:魔王を倒した勇者パーティーの勇者で、自称イケメンのナルシスト。仲間思いで、困っている人を助けずにはいられない。10年間共に冒険をしたフリーレンに大きな影響を与える。<第11~13話>

  • ハイター【東地 宏樹】:魔王を倒した勇者パーティーの僧侶。ヒンメルの幼馴染で、高度な回復魔法を操る優秀な僧侶だが、酒好き。戦災孤児だったフェルンの育ての親。<第11~13話>

  • アイゼン【上田 燿司】:魔王を倒した勇者パーティーの戦士。頑強なドワーフ族でパーティーの前衛を務める。寡黙だが、パーティーの中ではツッコミ役。シュタルクの師匠。<第11~13話>

  • グラナト伯爵【咲野 俊介】:北側諸国のグラナト領を治める領主。魔王が倒された後も、魔族“断頭台のアウラ”との緊張状態を続けている。<第11話>

  • ザイン【中村 悠一】:天性の才と呼べる超高度な治癒魔法を駆使する僧侶。かつて親友と共に冒険者になることを夢見ていたが、ある事情から旅立つことを諦めた。僧侶なのに酒、たばこ、ギャンブルが好き。<第13話>

  • クラフト【子安 武人】:フリーレンたちがシュヴェア山脈の麓の避難小屋で出会ったエルフのモンク(武道僧)<第11話>

  • シュタルクの父【加瀬 康之】:戦士の村で子どもたちを戦士として教育するシュタルクの父。<第12話>

  • シュトルツ【江口 拓也】:シュタルクの長兄。<第12話>

  • 里長【小原 好美】:剣の里の49代目の里長。<第12話>

  • ザインの兄【平川 大輔】:北側諸国アルト森林の村の教会の僧侶を務めるザインの兄。<第13話>

  • 戦士ゴリラ【手塚 ヒロミチ】:ザインの親友で、10年前に冒険者として旅立っていった。<第13話>


各話ごとのあらすじは、次のとおりです。< >内が公式サイトのストーリーで紹介されている内容になります。

#11 北側諸国の冬

アウラたちを倒したフリーレン、フェルン、シュタルク。平穏が訪れ、死後もアウラに操られていた自身の配下を弔い、グラナト伯爵は最大限の感謝をフリーレンに伝える。フリーレンたちは旅立つが、北側諸国の冬の道は想像以上に厳しく…。そこで彼らはひとりの武道僧(モンク)に出会う。>

アウラとの戦いを終え、フリーレンが目の前に広がるアウラの死によって命を失った首なし戦士たちの亡骸の前で冥福を祈っていると、リュグナーたちとの戦いを終えたフェルンが、アウラを倒したのですね、と言って歩み寄り、ともに祈りを捧げる。

そして、グラナト伯爵とシュタルクもやってきて、グラナト伯爵は、信じられん、こんなことが…と驚き、感謝の意を伝える。フリーレンはリュグナーとリーニエを倒したフェルンとシュタルクを、よく倒した、偉いぞ、と褒める。丁重に弔ってやれ、と指示してフリーレンたちを馬車で街まで送ろうとしたグラナト伯爵を、その配下が呼び止める。ある首なし戦士の亡骸の首には、ペンダントがかかっていた。それを見るグラナト伯爵は、今日ほど誰かに感謝したことはない、と心の中でつぶやく。

屋敷に戻ったグラナト伯爵は、でき得る限りの褒美を取らせると言うが、魔法を集めるのが趣味のフリーレンは、偽物であることは百も承知で、グラナド伯爵家に代々伝わる大魔法使いフランメの魔導書を所望する。グラナト伯爵に、街の人たちも英雄たちを労いたがっていると、ゆっくりしていってくれ、と伝えられて街に出た3人は、歓待を受ける。3人はしばらく街で過ごし、負傷したシュタルクは治療を受ける。そして、アウラとの戦いがあった場所で、グラナト伯爵たちとともに首なし戦士となり犠牲となった者たちに鎮魂の祈りを捧げる。

フリーレンたちの旅立ちの日、グラナト伯爵は門まで送りながら、北側諸国の情勢がだいぶ悪く人の往来が制限されており、一級魔法使いの同行が必要だと話す。フェルンは旅に出る前に聖都で大陸魔法協会が認定する三級魔法使いの資格を取っていたが、フリーレンは、魔法使いを管理する団体がしょっちゅう変わるからいちいち資格なんか取ってられない、とその資格を持っていないことを明かす。グラナト伯爵は、北側諸国最大の魔法都市・オイサーストなら一級魔法使いの試験が受けられるが、シュヴェア山脈を越えたずっと先だ、街道沿いに進めばいいが長い道のりになると話し、グラナト家はこの恩を決して忘れない、よい旅を、と言って見送る。

出発して間もなく、雪が舞い始める。雪を見てフリーレンは、ここらへんの冬は厳しいから気を付けてね、魔王軍との戦いで最も多くの人を殺したのは北側諸国の冬だ、と語る。雪は強さを増して吹雪となり、フリーレンたちは道に迷い、シュタルクは疲労で眠ってしまう。フェルンがシュタルクを担いで引きずりながら吹雪の中を進み、フリーレンたちはシュヴェア山脈の麓にある避難小屋にたどり着く。フリーレンがその扉を開けると、上半身が裸の男がスクワットしていた。それを目にしたフェルンは、ここはだめです、他を探しましょう、変態がいます、と言って歩き出そうとするが、男がフリーレンがエルフであることに気づいて声を掛けたことで、3人はその小屋に避難することになる。

同族と会うのは300年ぶりくらいだ、エルフは絶滅したと思っていたと言うその男は、モンク(武道僧)のクラフトと名乗り、シュヴェア山脈を越えてきたが、吹雪で火種を失い、スクワットで体を暖めて命をつないでいたと話す。

翌日、近くで雪に埋もれていたクラフトの荷物をフリーレンとフェルンが魔法で小屋まで運び、その食料で冬が明けるまで小屋で過ごすことになる。

約半年が過ぎて冬が明けるころ、クラフトは、信仰心の篤いフェルンのために木を削ったペンダントを作ってフリーレンに託し、長寿の自分たちには、自分が成してきた偉業を知っている人は死に絶えた、だから死んだら天国で女神様に褒めてもらうのだ、自分の生きてきた軌跡が誰にも覚えられていないのはあまりにも酷だ、と女神を信仰している理由をフリーレンに語る。それは私たちの願望だ、と言うフリーレンに、お前の身の上を話せ、女神様の代わりに褒めてやる、と勧める。

その言葉に、ハイターを思い出すフリーレン。旅の途中、孤児院の設立資金を出したハイターは、自分も孤児であることを明かし、きっと女神様も清く正しく生きた自分を褒めてくださるでしょう、と言い、フリーレンに、身の上を話してくれれば、代わりに褒めてあげますよ、と話を向ける。フリーレンは、ダラダラ生きてきただけだ、と言うが、魔力を制限していることに気づいていたハイターは、それは人生をかけた血のにじむような努力に見える、それに、自分の子どもが魔法使いかもしれない、後学のためになると勧めたのだった。

それを思い出し、やめておく、もう褒めてもらったから、とフリーレンが答えると、クラフトは、いい友だちだな、大事にしろよ、と言う。そして、もう天国にいる、とのフリーレンの言葉に、ならいずれ会えるな、と答えるのだった。

そして、別れの時がやってくる。今生(こんじょう)の別れとは思わん、何百年後かにまたな、と言ってフリーレンたちとは反対方向に歩き出したクラフトに、シュタルクが、元気でな、楽しかったぜ、と声をかけ、フェルンがペンダントありがとうございました、と感謝を伝えると、クラフトは歩きながら片手を上げて応えるのだった。

#12 本物の勇者

<剣の里にやって来たフリーレンたち。そこは80年前に、世界を滅ぼす災いを撃ち払う者しか抜けない“勇者の剣”をヒンメルが抜いた場所。この里の周辺に湧いてくる魔物を退治するという役目を務めるために訪れたのだった。そしてフリーレンの脳裏には、80年前当時のことが蘇ってきて…。>

雪が積もる道を進むフリーレンたち。ついにはフリーレンは疲れて眠ってしまい、シュタルクが自分が背負う、と手を差し出すが、フェルンは、私が背負います、と自分でフリーレンをおんぶして歩き出す。

フリーレンは夢の中で、ヒンメルたちと魔王討伐に出発した頃の思い出を見る。行商人からお礼でもらった「勇者の剣」のレプリカを持っていたヒンメルは、同じ孤児院にいたハイターから、偽物の剣しか持っていないから偽物の勇者にしかなれないと言われ、じゃあ本物になってやろうと思ったのが勇者になったきっかけだと語り、いつか本物の勇者の剣を手に入れて魔王を打ち倒す、と宣言したのだった。

フリーレンはいったん目を覚ますが、歩くのは無理、と再び眠ってしまう。シュタルクは代わるぜ、と再び手を差し出すが、フェルンはそれを無視して、えっち、と言って歩き出す。

そうして、フリーレンたちは剣の里に到着し、49代目の幼い里長が3人を出迎える。シュタルクはフェルンに、ここは「勇者の剣」を守っていた里だ、近くの聖域に女神様が授けたとされる「勇者の剣」が刺さっていた、80年前にヒンメルが抜くまでは、歴史上のどんな英雄たちが引き抜こうとしても微動だにしなかった、引き抜けるのはこの世界を滅ぼす大いなる災いを撃ち払う勇者のみと伝えられている、と説明する。

里長は、半世紀後にまた来てもらう約束だったのに困ります、と先々代の祖母の遺言を伝える。フリーレンは、この周辺に定期的に湧く魔物を退治しに来ることを約束していたのだ。

翌日、魔物の討伐に取りかかるフリーレンたち。魔物を倒している間に、かつて「勇者の剣」があった洞窟の入口に降り立ったシュタルクは、洞窟の奥に何かを見る。そこに魔物の主が現れる。

3人で討伐を終えた後、シュタルクは、洞窟の奥の台座に「勇者の剣」が刺さったままになっていることに、こいつはどういうことだ、と疑問をフリーレンにぶつける。フリーレンは、ヒンメルはこの剣を抜けなかったんだ、と語り出す。その脳裏には、当時のことが浮かぶ。剣を抜けなかったヒンメルは、偽物の勇者でいいじゃないか、僕は魔王を倒して世界の平和を取り戻す、そうすれば偽物だろうが本物だろうが関係ない、と語ったのだった。フリーレンは、「勇者の剣」が抜けなくても魔王討伐を成し遂げたヒンメルを本物の勇者だと称え、伝説が生まれたのは、ヒンメルを英雄にしたがっている連中の仕業だ、「勇者の剣」が抜けなかったというカッコ悪いエピソードは英雄には不要だ、英雄というのはどうしても後世の連中が勝手に美化していく、そしてそのうち原型すらなくなってしまうんだ、と語る。

里長は、フリーレンならやってくれると信じていた、感謝、と祖母の遺言を伝え、今度は50年後に遅れずに来てください、と言って見送り、3人は剣の里を旅立つ。

そして、ヒンメルの死から29年後、フリーレンたちは北側諸国のアペティート地方に到着する。宿でベッドに横になって魔導書を開くフリーレンは、不意に、今日はシュタルクの18歳の誕生日だとフェルンに話す。それを聞いたフェルンは、何で事前に教えてくらないのか、何も準備していない、と文句を言い、フリーレンは何をプレゼントするのか尋ねると、フリーレンは自分のトランクの中から、怪しげな液体が入った瓶を差し出し、服だけ溶かす薬、男ってのはこういうのを渡しておけば喜ぶんだよと師匠(せんせい)が言ってた、と得意げな顔をするが、フェルンはその瓶を取り上げて薬を頭から浴びせ、この下品な薬、買ったときに返品しろって言いましたよね、と冷たく言い放ち、シュタルクへのプレゼントを買いに出かけていく。服が溶けてしまい、代わりに何をシュタルクに上げようかとトランクの中を探すフリーレンは、これがあった、と何かが書かれた紙きれを手にする。

一方のフェルンは、どんなプレゼントが好みなのか直接本人に探りを入れようとシュタルクを探すが、シュタルクは街のあちこちで人助けをしていた。ようやくシュタルクを見つけたフェルンは、少し歩きませんか、とシュタルクを誘い、街を歩きながら、今日がシュタルクの誕生日だからプレゼントをと言うと、シュタルクは、死んだ故郷の家族からも師匠からも誕生日のプレゼントをもらったことがない、そういうものなんだと思っていた、単に家族に大事にされていなかったのだろう、と言う。

シュタルクには、幼い頃の思い出が蘇る。子どもたちを戦士として教育するシュタルクの父は、修行してもまともに魔物と戦えないシュタルクを失敗作だと切り捨てるが、父に高い評価を受けていた兄のシュトルツだけは、シュタルクに温かく接し、お前はきっと強くなる、と励ましていた。しかし、故郷が魔族に襲われたとき、自分だけが泣きながら家族を見捨てて逃げ出したのだった。それを話し、家族から祝ってもらえなくて当然かもな、自分は逃げてばかりの失敗作だ、と自分を卑下するシュタルクに、フェルンは、過去なんて関係ない、私が見てきたシュタルクは一度たりとも逃げていない、と励まし、この先逃げるかもしれない、とシュタルクがなおも弱音を吐くと、私たちが逃がしません、と言う。その言葉に元気をもらったシュタルクは、フェルンと露店を回り、ブレスレットをプレゼントしてもらう。

2人が宿に戻ってくると、フリーレンは特大のハンバーグを作っていた。シュタルクは、誕生日といったらこれだ、アイゼンもプレゼントはくれなかったが誕生日のハンバーグは作ってくれた、と語ると、フリーレンは、思いは言葉にしないと伝わらないのにと言って、ヒンメルたちとの旅の途中の思い出を話す。アイゼンは、ヒンメルたちの誕生日にハンバーグを焼いてくれ、それはアイゼンの故郷の風習で、精一杯頑張った戦士を労う贈り物だと説明する。そして、私たちは戦士じゃないと言うヒンメルに、アイゼンは、頑張った奴はみんな戦士だ、と言うのだった。その話を聞いたシュタルクは、兄のシュトルツが自分の誕生日に父親には内緒でハンバーグを作ってくれたこと、そして、故郷が魔族に襲われたとき、シュトルツはシュタルクに、お前は生きるんだ、と言って村から逃げさせたことを思い出す。ハンバーグを食べながら、フリーレンはアイゼンからレシピをもらっていたことを話す。

しかし、フリーレンは、ハンバーグに加えて、少しだけ残っていた服が溶ける薬をシュタルクにプレゼントしようとする。フェルンは、また頭から掛けますよとフリーレンからそれを取り上げ、何のことか分からず尋ねるシュタルクに、えっち、と言うのだった。

#13 同族嫌悪

<北側諸国アルト森林の村の教会で出会った、神父の弟・ザイン。治癒の難しい毒をいとも簡単に解毒する彼の高度な魔法を目の当たりにし、フリーレンは驚く。聞くと、ザインはかつて冒険者を夢見ていたが、旅に出ることなく、村にとどまっているという。ザインの兄は彼を連れ出してほしいと頼み…。>

勇者ヒンメルの死から29年後、北側諸国のアルト森林に差し掛かり、薬草を集めていたフリーレンは、底なし沼にはまった男に出会う。男は、お前は冒険者なのか、俺もずっと昔冒険者に憧れていた、小さい頃に一緒に小さな冒険をいっぱいした親友がいた、大人になってそいつから冒険者にならないかと誘われた、あのときあの手を取っていたら何かが変わっていたのだろう、もう10年前の話だ、今でも後悔していると語るが、体が沈み始め、慌てて助けを求める。フリーレンは救い出すのに必要な魔法を思い出すのに少し時間がかかるが、魔法で底なし沼から救い出す。

フリーレンたちは、その男と別れ、大きい街に向かおうとするが、シュタルクが毒蛇に噛まれてしまい、教会で診てもらおうと男の村に戻る。教会で僧侶に診てもらうと、もう手遅れだ、数時間後には脳が溶け始めて死ぬと言うが、そこに顔を見せた僧侶の弟は、先に出会った男だった。その男・ザインが魔法で治癒すると、シュタルクはすっかり回復する。その高い治癒能力を見たフリーレンは、天性の才だと評価し、ザインの兄は、ザインの才は私の比ではない、かつてザインは冒険者になりたいと言っていた、どうかザインをこの村から連れ出してくれないかと頼む。

シュタルクは、悩むようなことじゃねえだろ、と言い、フェルンも、ここから先は僧侶がいた方が安心、と言うが、フリーレンはザインを誘うべきか考えあぐね、何が不満なのか聞かれて、同族嫌悪かな、と答える。シュタルクは、自分ひとりでも勧誘しに行くと言って、宿の建物の1階の居酒屋に入りびたっているザインを誘いに行く。

ポーカーに興じていたザインから、俺に勝てたら仲間になってやるよ、と持ちかけられたシュタルクは、それに応じるが、その夜、シュタルクの悲鳴を聞いてフリーレンとフェルンが駆け付けると、シュタルクとザインは、ともにポーカーに敗れ、身ぐるみをはがされてパンツ一丁で放り出されていた。仲間探しは他を当たれ、と誘いを断るザイン。冒険者になりたいんでしょ、と誘うフリーレンに、昔の話だ、俺はもっと早くあいつを追いかけるべきだった、とザインは言うが、フリーレンは、私は今の話をしている、と迫る。その言葉は、かつて、ヒンメルがフリーレンを魔王討伐のため加わるよう誘ったとき、もう500年以上魔族との実戦はやっていない、私は決断を先送りしすぎた、もう取り返しのつかないほどの年月が経った、とその誘いを断ろうとしたフリーレンに、ヒンメルがかけた言葉だった。ザインは、他を当たれ、お前には俺の気持ちは分からない、といって断るが、それを聞いたフリーレンは、今のでよく分かった、私はザインのことが嫌いだ、だから意地でも仲間に誘うことにした、と宣言する。

フェルンは居酒屋に入って掛け合い、シュタルクとザインの服を取り返してもらう。宿に戻ったフリーレンは、仲間にするかどうかは別にして、ザインは冒険者になるべきだ、たまには背中を押してみるのもいいと思ったと語る。

翌日から、収穫祭が行われる村に滞在し、毎日のようにザインを誘うフリーレンたち。その姿に、ザインは、3年後の収穫祭までには戻る、覚悟が決まらないならその時でいい、次の冒険は一緒に行こう、と言って旅立っていった親友を思い返すが、何で今さら、今ではもう眩しすぎると感じ、決意できずにいた。

苦戦するフリーレンたちは、ザインの兄に、ザインの好きな物が何か尋ねる。ザインの兄は、酒、煙草、ギャンブル、そして年上のお姉さんが好きだと語る。フリーレンは、自分が年上であることに気づいて、ザインに投げキッスをするが、かつてヒンメルには失神させるほどの威力を発揮した作戦は失敗する。ザインは、俺は冒険者になるつもりはない、3年で戻ると言った親友は10年経っても戻ってこない、死んでいるに決まっていると再び拒む。フリーレンは、まだたったの10年、今会いに行かないと近い未来に後悔する、と説得しようとする。ザインは、理由は10年前に付いていかなかったのと同じだ、兄を置いてこの村を出て行くことはできないと言って、幼い頃、ザインの兄をハイターが訪れた時の話をする。ハイターは聖都で司祭となる話を持ちかけるが、ザインの兄は、幼くして両親を失ったザインから故郷を奪いたくない、とその誘いを断っていたが、ザインはそれを隠れて聞いていた。しかし、冒険に出なかったことを後悔しているザインを見てもどかしさを感じていたザインの兄は、そんなことを考えていたのか、と言ってザインを平手打ちし、自分はあの時の選択を一度だって後悔したことはない、お前はいつまで後悔し続けるつもりか、と言って立ち去ってしまう。

その後、川べりで過ごすフリーレンたちを、兄に謝ってきたザインがやってきて、冒険者になって親友を追いかけることにした、とフリーレンたち一行に加わることを伝えるが、自分の旅の目的は親友を探すこと、親友を見つけて幼い頃の夢を叶える、だから途中までだ、と語る。

そして、街の人々から見送られ、ザインはフリーレンたちと一緒に旅立つ。フェルンの当たりの強さに呆れるザインに、シュタルクは、一緒に頑張ろう、と声を掛けるのだった。

 

(ここまで)

ここから先しばらくは、ザインを加えて4人となった一行の旅が描かれることになるのでしょう。続きは、また改めて。