鷺の停車場

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テレビアニメ「薬屋のひとりごと」(第2期)④第43話~第48話

2025年1月から3月までの2025冬クール、4月から6月までの2025春クールの連続2クールで日本テレビで放送された「薬屋のひとりごと」、先に紹介した第2期第2クール前半に続いて、5月23日(金)から7月4日(金)にかけて放送された第2期第2クールの後半、第43話から最終話となる第48話までを紹介します。

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繰り返しになりますが、2011年10月から小説投稿サイト「小説家になろう」に掲載され、2014年から主婦の友社の「ヒーロー文庫」で文庫本が刊行されている日向夏さんの同名ライトノベルを原作にアニメ化した作品で、2023年10月から2024年3月までの連続2クールで第1期が放送され、本年1月から第2期の放送が始まっています。主要スタッフは、キャラクター原案:しのとうこ、総監督・シリーズ構成:長沼範裕、監督:筆坂明規、副監督:中川航、脚本:柿原優子/千葉美鈴/小川ひとみ、キャラクターデザイン:中谷友紀子、アニメーション制作:TOHO animation STUDIO×OLMなど。第2期第2クールのオープニングテーマはMrs. GREEN APPLE「クスシキ」、エンディングテーマがOmoinotake「ひとりごと」となっています。

公式サイトで紹介されている主要登場人物・キャストのうち、第43話から第48話までのエンドクレジットで名前が出てくるのは、次のとおりです。< >内が、それぞれのキャラクターがエンドクレジットで登場(声優が出演)する放送回です。

  • 猫猫(マオマオ)【悠木 碧】:毒と薬に異常なまでの執着を持つ、花街育ちの薬師。玉葉妃の娘の命を毒から救ったことで、壬氏にその才を見抜かれ、毒見役となる。一度は後宮を解雇されるも、壬氏付きの侍女として再び宮中に戻り、玉葉妃の妊娠判明後は再び翡翠宮で毒見役として仕えている。好奇心と知識欲、そしてほんの少しの正義感から、事件に巻き込まれることもしばしば。<第43~48話>

  • 壬氏(ジンシ)【大塚 剛央】:後宮を管理している宦官。その美貌は、もし女性だったら傾国と言われるほど。後宮で起きるやっかいごと・問題を猫猫に持ち込んでは解決させている。その立場や出生には謎が多く、壬氏の命を狙った事件では、猫猫の機転で一命をとりとめた。最初は猫猫のことを都合のいい駒と考えていたが…?<第44・46~48話>

  • 高順(ガオシュン)【小西 克幸】:マメで気が利き、仕事への信頼も厚い壬氏の補佐役兼、お目付け役。時折幼い言動を見せる壬氏を諫める一方で、特殊な立場にいる壬氏を心配している。各所からの無茶ぶりに振り回される苦労人。<第44・46~48話>

  • 玉葉(ギョクヨウヒ)【種﨑 敦美】:最も皇帝の寵愛を受けていると言われている上級妃・四夫人の一人「貴妃」。娘・鈴麗の命を救ってくれた猫猫のことを強く信頼しており、ふたたび懐妊が分かってからは猫猫を毒見役として呼び戻した。聡明で思慮深いが、年相応の好奇心を見せることも。<第48話>

  • 里樹妃(リーシュヒ)【木野 日菜】:現帝の四夫人の一人「徳妃」。幼い故に自身の振る舞いはもちろん、後宮の風習やしきたりの知識が浅い。そのため侍女たちからも軽んじられてしまっている。<第話>

  • 小蘭(シャオラン)【久野 美咲】:貧しい農村の出身で、親に売られる形で後宮に入った下女。猫猫の数少ない友人の一人。明るく天真爛漫な性格で、噂好き。甘いものが大好きで、よく猫猫からおやつをもらっている。<第48話>

  • 子翠(シスイ)楼蘭(ロウラン)【瀬戸 麻沙美】:おしゃべりで明るい新入りの下女。/現帝の妃で上級妃・四夫人の一人「淑妃」。後宮を去った阿多妃と入れ替わるような形で入内した。毎日のように髪型や化粧、衣服の雰囲気が変わるため、「変わり者」と言われ、後宮の噂の的となっている。父は先帝の時代からの重臣・子昌。<第43~47話>※エンドクレジットでは、第43話までは「子翠」、第44話からは「楼蘭」となっています。

  • 虞淵(グエン)(やぶ医者)【かぬか 光明】:後宮唯一の医官で宦官。とても人がいいが、医局の薬の管理が甘く、死体を怖がるなど、医師としての技量は低いため、猫猫は心の中で“やぶ医者”と呼んでいる。<第48話>

  • 李白(リハク)赤羽根 健治】:鍛え上げられた肉体を持つ、猫猫曰く出世株の若い武官。気さくでまっすぐな性格。緑青館の三姫である白鈴に惚れこみ、いつか自分の力で身請けをしたいという一途な想いを持っている。<第46話>

  • 羅漢ラカン【桐本 拓哉】:軍部の高官でまわりから軍師などと呼ばれている。とても胡散臭く、理解不能な行動もとるため周囲からは迷惑視されているが、その慧眼・采配は確かなもので、今の地位に上り詰めた実力者。猫猫の実の父。<第44・46話>

以上の主要登場人物のほか、第37話から第42話までに登場する個別に名前などが付けられているキャラクターとして、次のような人物がいます。< >内がそれぞれのキャラクターが登場(声優が出演)する放送回です。

  • 翠苓(スイレイ)【名塚 佳織】:外廷で働いていた薬草に詳しい謎の官女。蘇りの薬を飲んで姿を消していた。<第43~48話>

  • 響迂(キョウウ)/趙迂(チョウウ)【藤原 夏海】:猫猫が連れていかれた里にいた子供。後に緑青館に引き取られる。<第43~45・48話>※エンドクレジットでは、第43~45話は「響迂」、第48話は「趙迂」となっています。

  • 神美(シェンメイ)【深見 梨加】:子翠の母親で、子昌の妻。<第43~47話>

  • 姶良(アイラ)【Lynn】:以前後宮にやってきた特使。<第43~44話>

  • 羅門(ルオメン)【家中 宏】:猫猫が「おやじ」と呼んで慕う養父。かつて後宮医官だったが、追放されて花街で薬屋をしている。玉葉妃の出産に備え、臨時の医官として再び後宮にやってきた。<第44・48話>

  • 馬閃(バセン)【橘 龍丸】:高順の息子の武官で、壬氏とは幼なじみ。<第44・46話>

  • 羅半(ラハン)【豊永 利行】:羅漢の養子。<第44・46話>

  • 響迂の侍女【柚木 尚子】:響迂の侍女。<第44・45話>※第44話のエンドクレジットでは「侍女の声」となっています。

  • 子昌(シショウ)【チョー/井上 剛(若年期)】:楼蘭妃の父親。<第46・47話>

  • 陸孫(リクソン)【内山 昂輝】:羅漢の副官。<第46話>

  • 寒山【堀 総士郎】:子昌の部下。<第47話>

  • 紅娘(ホンニャン)【豊口 めぐみ】:玉葉妃の侍女頭。<第48話>
  • 桜花(インファ)【引坂 理絵】:玉葉妃の侍女。<第48話>

  • 貴園(グイエン)【田中 貴子】:玉葉妃の侍女。<第48話>

  • 愛藍(アイラン)【石井 未紗】:玉葉妃の侍女。<第48話>

  • 赤羽(セキウ)【伊藤 美来】:新たに入った玉葉妃の侍女。白羽・黒羽とは三姉妹。<第48話>

  • やり手婆【斉藤 貴美子】:老舗の高級妓楼「緑青館」の女主人。昔は緑青館きっての妓女だったらしい。<第48話>

  • 梅梅(メイメイ)【潘 めぐみ】:緑青館の三姫と言われる妓女。<第48話>

  • 白鈴(パイリン)【小清水 亜美】:緑青館の三姫と言われる妓女。<第48話>

  • 女華(ジョカ)【七海 ひろき】:緑青館の三姫と言われる妓女。<第48話>

  • 玉藻(タマモ)【瀬戸 麻沙美】:港町の市場に姿を現した、楼蘭(子翠)と同一人物と思われる若い女<第48話>

  • 男の子【田中 貴子/金田 愛】:祭に参加した里の男の子。<第43話> 
  • 男の子【青山 玲菜】:響迂とともに砦にいた里の男の子。<第44・48話>

  • 女の子【山本 悠有希】:祭に参加した里の女の子。<第43話>

  • 女の子【山口 立花子】:響迂とともに砦にいた里の女の子。<第44・48話>
  • 女の子【清都 ありさ】:響迂とともに砦にいた里の女の子。<第44・45・48話>

  • 男【岡本 幸輔】:神美に付いて倉庫にやってきた男。<第43話>

  • 里の住人【古澤 大地/松原 知也/田村 僚佑/上田 佳耶/小畑 穂奈美/潮野 有加/しぶき みどり/小波 桜和/阿部 光生/関 倖来斗】:祭に参加した里の住人たち。<第43話>

  • 見張りの男【前野 智昭】:監禁された猫猫を見張る男。<第44・45・47話>
  • 仕切り役【左座 翔丸】:砦の作業場の仕切り役の男。<第45話>

  • 作業場の男【佐久間 元輝/藤原 聖侑/丹羽 正人】:砦の作業場で働いていた男たち。<第45話>

  • 子族兵【佐久間 元輝/藤原 聖侑/中務 貴幸/若林 佑/多田 啓太】:子の一族の兵士。<第46話>
  • 女【山口 立花子/田中 貴子】:神美のそばで遊興に耽る女。<第46・47話>

  • 族長【相馬 康一】:子昌が後宮拡大を提言した子一族の族長。<第47話>
  • 下級妃B【鳴沢 優海】:神美が上級妃だった頃の後宮にいた下級妃。<第47話>

  • 武官【三瓶 雄樹/虎島 貴明】:子一族の討伐に加わっていた武官。<第47・48話>

  • ナレーション【島本 須美】<第46話>

各話ごとのあらすじは、次のとおりです。< >内が公式サイトのストーリーで紹介されている内容になります。

第43話 祭り

後宮から連れ去られた猫猫が辿りついた先は、森の奥に隠された里だった。里では丁度祭りが開かれ、猫猫は子翠と共に狐の面をつけて参加することに。社に向かう途中、子翠からこの地の伝承、狐の面の意味を聞く。祭りから戻ってからも拘束もされることない自分の状況、そして翠苓と子翠の行動に違和感を覚えながら、猫猫は翠苓にあることを問い詰める。>

猫猫は、子翠とともに白い上着と赤い裳を着て、狐の面を付けて祭に参加することになる。眦を染める色は赤が定番なのに、子翠の面は緑に塗られていた。面を付けようとするが、髪を束ねている上からではうまく固定できず、壬氏から贈られた簪で髪をまとめて面を付ける。

子翠と社に向かう途中、猫猫は、子翠と同じく面を緑に塗っている人を見かけるが、そのほとんどは男だった。どういう意味があるのかと思いながら歩く猫猫に、子翠は、今年はバッタが多いから祭は盛大にやらないといけないらしいと言い、昔この地方には一つの民族が住んでいたが、西から別の国の民がやって来て、ほとんどの村が追い出す中、ごく一部の村はその民を受け入れた、彼らには知識があり、その村は豊かになったが、畑を奪おうとする者が現れた、それが繰り返されるうちに、隠れるように深い森の奥に里を作るようになった、社に祀られている狐は西から来た民のことで、この村の先祖でもある、と社に祀られている狐が豊穣の神とされる理由を説明し、さらに、ここの狐は白い狐で、面に色を塗るのは定住によってそこに染まることを表している、この村の男は色の見分けがつかない人が多い、女はたまにだけど、と話す。それを聞いた猫猫は、選択の廟で老宦官から聞いた話を思い出し、子翠を含め、面を緑に塗っている人は色の見分けがつかないのだと気づき、都にやってきた王母とこの村に来た民は祖が同じなのだと思う。

社で面を奉納した後、猫猫は響迂たちと合流し、前年の面が燃やされるのを見にいく。願い事を書いた面が燃え尽きて天に昇ったら願いが成就するという。火がつけられ、池に浮かべられた筏の上に組まれた櫓は燃え上がるが、水面に落ちていく面も出てくる。それを見ながら子翠は、叶わぬ願いは底に沈み恵の糧となる、虫は冬を越せない、ただその子を残すのみ、とつぶやくのだった。

子翠と祭から戻ってくると、翠苓が待っていた。猫猫は、そろそろ約束を果たしてもらおう、と蘇りの薬について聞き出そうとする。翠苓は、自分の立場をわかっているのか?と言うが、猫猫は、形としては人質だがその扱いは緩い、なぜ閉じ込めたりしないのか、この2人の行動には違和感しかないと思いつつ、翠苓を質問攻めにする。翠苓は、曼荼羅華の役割は昏睡を長引かせるもので、人を奴隷にする際に意識をなくさせるために入れたのだろう、失敗すれば記憶を失うと話す。

翌日、猫猫の前に薬草の本が積まれ、猫猫はむさぼるようにそれらの本を読む。猫猫の髪を手際よくまとめた子翠は、遅いとお母さんにぶたれる、猫猫には怖い目に遭ってほしくないから大人しくしててね、と言って出かけていく。

本を読み終えた猫猫が窓を開けて外を見ると、一画だけ稲が収穫されていない場所があり、その横には収蔵庫らしい立派な建物があった。そこにやってきた響迂に尋ねると、里長の古い倉庫で、鼠が入るからと新しい倉庫を作ったから今は使われていないと言う。猫猫がそこに行けないかと言うと、響迂は自分が抜け出す時に使っている抜け道を使って猫猫をその建物まで案内する。

建物脇の稲を見て、夜も光を浴びていたことを察知した猫猫が中に入ると、以前壬氏を狙った時に使われた飛発(フェイファ)があり、飛発の工房のようだった。そこに、誰かがやってくる。猫猫は響迂の口を押えて部屋の隅に隠れるが、見つかってしまう。それは神美だった。

 

原作小説では、シリーズ第2巻の「薬屋のひとりごと 4」収載の「十三話 祭り」と「十四話 取引現場」におおむね対応する部分になっています。

第44話 砦

<猫猫が響迂と共に侵入した倉庫は、狩りの場で壬氏も襲われた飛発(フェイファ)の工房だった。そこで2人は特使のひとり・姶良を連れて現れた冷酷な女・神美に見つかってしまう。なんとか折檻からは逃れられたが、猫猫は雪と堅牢な城壁に囲まれた“砦”へと囚われてしまう。堅牢な城壁、そして大量の飛発。猫猫は自身がこの国をも揺るがす一大事件へと巻き込まれたことに気づく。>

響迂とともに侵入した倉庫で、翠苓、姶良を連れて現れた神美に見つかってしまった猫猫。神美に刀を向けられるが、そこに楼蘭が、子供の悪戯ですよ、お母様、早く行きましょう、と神美に声を掛ける。その姿を見た猫猫は、子翠の正体が楼蘭妃だと確信する。

こう見えても三十路の薬師で不老の妙薬が作れると楼蘭が機転を利かせて説得し、折檻を免れた猫猫だったが、翠苓に里から離れた砦の3階にある以前薬師が使っていた部屋に連れていかれる。

そこで、翠苓に子翠とは異母姉妹かと尋ねると、翠苓は、自分を姉として扱うのは子翠だけ、神美は自分が憎くて仕方ないのだと言い、神美との関係を話し始める。子昌は元は子の一族の傍流に過ぎなかったが、才覚を見込まれて本家の神美の家に養子に入り、子昌という名前をもらって神美と婚約した、しかし、先帝の時代に神美が後宮に召し上げられ、下賜という形で戻ってきたときには、子昌のそばには自分の母と自分がいた、神美は自分たち母娘を屋敷から追い出して使用人としてこき使い、自分の名前に一族を示す字があることも嫌がった、子翠は自分の元の名前だと話す。

翠苓の話を聞きながら、壬氏は後宮のあり方を子昌のやり方に反するように変えようとしていた、壬氏が壬氏の暗殺未遂事件は子昌が黒幕だったのだろうと推理した猫猫は、壬氏の正体が何なのかと考える。翠苓から、宦官として後宮に入る際に触診で調べられた、去勢していない男性が入るのは難しいだろうと聞いて、後宮に出入り自由な男子は…と考えを巡らすが、それ以上考えるのをやめる。そして、砦が堅牢な城壁に囲まれていることを知った猫猫は、神美たちが戦を起こそうとしているのだと考える。

一方の子翠は、かつて、自分が人形でいれば神美は怒らない、これ以上醜くならないと思って振る舞ってきたが、翠苓に厳しく当たる神美の姿を見て、自分は間違えていた、人形のままでいても、醜くなっていく神美を止めることはできないと気づいたが、もう遅かった、とため息をついていた。

猫猫は、神美が呼んでいると見張りの男に神美のところに連れてこられる。その部屋は、麝香に何か混ぜ物をしたような香りが漂い、女がくすくす笑いながら転がっているなど、淫靡な雰囲気が漂っていた。神美は、不老の薬はまだか、と問うが、猫猫はもう少しかかりそうだと答え、神美の部屋を退去する。薬師の部屋に戻る途中、猫猫は他の子どもたちと一緒にいる響迂から声を掛けられ、神美の部屋に自分の母がいるはずだが元気だったかと尋ねられるが、猫猫は言葉を濁す。

その頃、後宮の執務室で、壬氏は羅半から、北方の砦が無届で拡張されていると報告を受けるが、そこに羅漢が押しかけてくる。猫猫がさらわれたことに怒る羅漢は感情のままに攻撃的な言葉をぶつけるが、そこに、羅半が気を利かせて呼び出した羅門が現れ、相手の事情を考えて行動することも大切、喧嘩になる前にちゃんと礼をもって伝えるべきことがあるんじゃないか、と羅漢を諫める。すると、羅漢は、壬氏の前で跪いて拱手し、礼を尽くして、逆賊・子昌を討つべく軍を動かしていただきたい、謀反の証拠は揃っている、膿は早めに出し切るべきです、と真摯にお願いする。

羅漢を前に、壬氏は、これは宦官・壬氏に対する礼ではない、国に対する反逆の罪で子昌を討つならば帝直轄の軍を動かすことになる、そしてそれを指揮するのは、大尉・羅漢ではなく…と思いを巡らすと、羅漢はさらに、いつまでかりそめの姿で欺き続けるつもりですか、壬氏様、いえ、月の君、と言葉を続ける。それを聞いた壬氏は、いつか来ると思っていた、それが今来たに過ぎない、覚悟を決めるときが来たようだ、と悟るのだった。

 

原作小説では、シリーズ第4巻の「薬屋のひとりごと 4」収載の「十五話 砦」、「十六話 羅半」と「十七話 蟇盆」の最初の部分におおむね対応する部分になっています。

第45話 蟇盆

<神美の命により、猫猫は不老の薬を作る日々を送っていた。ある日、猫猫を逃がすために響迂が策を講じるも早々に見張りに見つかってしまう。騒ぎを聞きつけた翠苓が仲裁に入り、事なきを得たと安堵していたそのとき、神美が現れ場の空気は一変。猫猫、響迂、翠苓、そして見張り役の誰をいたぶろうかと楽しむ神美の様子に腹を立てた猫猫は、思わずある言葉を口にしてしまう。怒り狂った神美は、猫猫を拷問部屋へ連れていくよう命令する。>

神美の求める「不老の薬」を作る日々を送る猫猫は、以前翠苓が使った「蘇りの薬」が「不老の薬」を作ろうとする過程で実験したらしいことを知り、前任の薬師は優秀だと思う。飲むだけで若返るような薬なんてあるわけないと分かってはいたが、薬師としての矜持がある、と自らを振るい立たせる。

そんなある日、響迂が猫猫を逃がそうと策を講じるが、見張りに見つかってしまう。翠苓が騒ぎにならないように仲裁に入り、一見落着と思われたところで、騒ぎを聞きつけた神美が楼蘭を連れて現れ、場の空気が一変する。猫猫、響迂、翠苓と見張り役の誰を罰を与えて痛めつけようかと楽しそうにする神美の様子にイライラした猫猫は、思わず「クソババア」と口にし、自分が響迂に砦から逃がすように頼んだと罪をかぶり、水牢に入れられることになる。それを聞いた楼蘭は、「蠆盆」を使いたいと提案し、神美はそれは名案だ、と楽し気にそれを認める。

狭い拷問部屋に入れられた猫猫は、蛇や虫が入った木箱を開けられるが、猫猫は、なーんて愛らしい、と妖しい笑みを浮かべる。そして見張りが再び戻ってくると、拷問部屋の中から香ばしい匂いが漂っており、その扉を開けると、猫猫は蛇を髪に差していた簪で捌き、松明の火で炙って美味しそうに食べていた。

見張りは、翠苓と響迂に助けるよう頼まれてやって来たことを明かし、都から討伐軍が来る合図の狼煙が上がり、砦は大騒ぎになっていると話し、地下で火薬を作っているから気を付けるよう忠告するが、猫猫は火薬を作っているという地下に忍び込む。すると、そこに楼蘭が現れ、もうすぐ討伐軍が攻めてきて砦は戦場となり落ちるだろう、その前に逃げなさい、と言って、働かされている人々に金を与えて逃がした後、自ら火薬に松明を投げ、火を放つ。

猫猫は討伐軍が来るまでに砦から出るよう勧めるが、楼蘭は、行かない、まだやることがあると言い、砦の中を進んでいく。ついて来る猫猫に楼蘭は、自分が幼い頃から化粧させられ、神美にとって自分はお人形だったこと、自分の顔をろくに覚えておらず、下女の格好をすると気づかないこと、翠苓の祖母は先帝の最初の犠牲者で、産んだ娘と引き離され昨年後宮に亡くなった大宝という女官で、翠玲の母が大宝の娘であることを話す。そこまで聞いた猫猫は、翠玲が皇族の血を引いていることを知る。さらに楼蘭は、神美が子昌と結婚したのは、子昌に王母と同じ西の民の血が流れており、楼蘭を産んで復讐するため、神美は自分にお前が新しい王母になればいいとずっと言っていた、と話す。

そこまで聞いて、どの名前で呼んだらいいか分からなくなった猫猫は、一瞬逡巡した後、「子翠」と呼ぶ。すると、楼蘭は、一瞬泣きそうな表情を浮かべた後、猫猫に顔を向け、満面の笑みを浮かべて、なあに?と返す。猫猫は、後宮で出回っていた堕胎剤の材料を持っていたか尋ねると、子翠はそれを認め、連れて来た甲斐があるよ、と言ってある扉を開ける。

その部屋には、毒を飲まされすでに息のない響迂たち子どもたちが横たわっていた。一瞬怒りを覚える猫猫に、楼蘭は、こんな派手なことをやれば一族郎党皆殺し、甘いジュースに混ぜて飲ませた、と語る。それを聞いた猫猫は、どうして私を連れて来たの?と楼蘭に問うのだった。

 

原作小説では、シリーズ第4巻の「薬屋のひとりごと 4」収載の「十七話 蟇盆」の最初の部分の後から「十八話 飛発」の最後の部分の手前あたりまでにおおむね対応する部分になっています。

第46話 禁軍

楼蘭が火薬庫に火を放ち、砦は炎に包まれていた。楼蘭と再会した猫猫は、彼女が抱えていた過去、その胸中を聞く。何とか引き留めようとするが、自らのやるべきことをしに行くと、楼蘭は神美の元へ向かおうとし、猫猫はせめてと“あること”を約束する。そのころ、帝直轄の軍隊である禁軍が砦へと近づいていた。軍を率いるのは紫紺の甲冑に身を包んだ壬氏。子の一族を制圧する戦いが始まろうとしていた。>

楼蘭は猫猫に、母は昔はあんな人じゃなかったというが、私には生まれたときからあんな女だった、父は逆らえない、ただ母が許してくれるのをずっと待っている、子が生まれたら夫を食い物にしてしまう、まるで虫、むしろ虫の方がずっといい、私は母のようになりたくない、と語る。それを聞いた猫猫は、子翠は自ら堕胎剤を飲むほどに、母になることを嫌った理由がわかった気がする。楼蘭はさらに、猫猫のことを少し調べさせてもらった、父か高官で医官に育てられたのは翠苓と似ている、と話す。猫猫が私には父も母もいない、いるのは養父だけだ、と答えると、翠苓も似たようなことを言っていた、きっと私の姉ではない、父は皇帝の血を引く姉を手元に置くことで何か企んでいたではないか、だから姉は子の一族と関係ない、と翠苓をかばう。子翠はもう戻ってこないと察した猫猫が楼蘭に手を伸ばすと、楼蘭は、止めないで、私には私の役目がある、とそれを拒む。猫猫は、神美の元へ向かおうとする楼蘭を引き留め、せめて願掛けくらいさせて、と壬氏から贈られた簪を渡し、いつか返して、と約束させるが、後は頼んだから、と言って楼蘭は出て行く。

その少し前、甲冑に身を包んだ壬氏が、帝直属の軍隊である「禁軍」を率いて子の一族の討伐に向かっていた。暴走しそうになるのを羅半に止められる羅漢と壬氏たちは、子の砦の攻略に向けて策を練る。羅漢は、雪崩を起こして火薬の保管庫を落とし砲を使えないようにする奇襲作戦を提案し、禁軍が奇襲ですか、と高順が忠告したものの、自軍の被害を抑えるために壬氏はその作戦を採用する。高順は、今後あの娘との接し方を変えなければなりませんよ、と忠告された、壬氏は、わかっている、と答えるのだった。

一方、禁軍の来襲に怯えていた子昌は、衝撃音に驚いて外に出ると、禁軍の姿は見えないが、地下の火薬工房から煙が上がっていた。子昌は、先帝から自分の娘を妻として迎えてほしいと頼まれた時のことを思い出す。先帝は、大宝と医官の間の不義の子として宮中から追放された自分の娘のことを気に掛けていた。その間に生まれたのが翠苓だった。神美と子昌の元にやってきた楼蘭は、監禁されていた翠苓を助け出し、最後くらい責任を取ってください、最後まで化かしていきましょう、と子昌に告げる。

そこに、羅漢の作戦で起こした雪崩で、武器庫は雪で埋もれしまい、禁軍が砦に襲撃してくる。壬氏は、李白が止めるのを振り切って砦の中に入っていく。

一方、楼蘭から響迂たちを託された猫猫は、ここで見つかれば子の一族だと勘違いされてしまうと思いつつ、部屋にとどまっていた。そこに入ってきたのは壬氏だった。猫猫が、保護してください、壬氏さま、と言うと、壬氏は、怪我しているのか?と心配し、以前と同じようなやり取りに、猫猫は懐かしい気持ちになる。そこに、兵士が、「東宮!」と呼んで入ってくる。壬氏は、今は東宮ではない、玉葉妃に御子を出産された、と答えるが、それを聞いて、猫猫はついに壬氏の正体を悟る。壬氏は李白に後を任せて出て行く。猫猫は、響迂たちの救出を李白に頼み、李白は部下に響迂たち子供を運びださせる。猫猫は、子翠から託されたことを全うする、と改めて決意するのだった。

 

原作小説では、シリーズ第4巻の「薬屋のひとりごと 4」収載の「十八話 飛発」の最後の部分と「十九話 行軍」、「二十話 奇襲作戦」におおむね対応する部分になっています。

第47話 子の一族

<囚われていた猫猫は無事に保護され、壬氏は少し安堵したのもつかの間、子の一族の長・子昌がついに姿を表した。反逆の罪での拘束を告げられ、退路も断たれたはずの子昌だが、その表情には余裕すら浮かんでいた。そして、自らのやるべきことのため神美のもとへと向かった楼蘭は、隠されていた子の一族の秘密を語り始める。>

李白が吹いた合図の笛の音を聞いた壬氏は、李白が猫猫を無事に砦の外に連れ出したのだと思い安堵し、子昌を探すと、そこに子昌が悠然と姿を現す。壬氏は帝の勅命を示すが、子昌は動じず、飛発を壬氏に向けて放ち、壬氏は刀でその弾をかわす。追い詰められた子昌の言葉に、まるで用意された台詞を読んでいるようだ、と違和感を覚える壬氏だが、その直後、馬閃の命で兵士たちの剣が子昌の身体を貫く。子昌は、妻・神美のかつての姿を思い浮かべ、涙しながら命を落とす。

その後、壬氏は神美と楼蘭を探すが、楼蘭に銃を突き付けられ、一緒に付いてくるよう脅す。壬氏が大人しく楼蘭に付いていくと、連れていかれた部屋には神美と翠苓がいた。楼蘭は、3人を前に、子の一族の秘密を語り始める。

30年以上前、先帝は母親に逆らえない暗愚な皇帝で、実質的な最高権力者である母親は影で女帝と呼ばれていた。女帝は女に興味を見せない先帝にしびれを切らして後宮にどんどん美女を送り込み、神美も上級妃として後宮に行くことになる。神美は、これは好機、北の地の領主の妻で終わってたまるものか、と思って後宮に向かったが、上級妃として取り立てるというのは表向きの話で、妃と称して人質を取ったのだ。しかし、子昌が奴隷交易に替わる事業として後宮の拡大を女帝に提案し、女帝の信頼を得た子昌は神美を取り戻すために抜け道を作ったが、神美は子昌を拒んだのだった。先帝は、後宮を追放された娘に罪悪感を持っていて、子昌の手引きでたびたび顔を出していた。そして、先帝に頼まれた子昌は、神美の侍女と先帝の間に生まれた娘を妻に迎え、その間に生まれたのが翠苓だった。そして、子昌は先帝に神美の下賜を願い、もう人質を取る必要はないと、神美が下賜されたのだった。

神美はデタラメだ、と必死に否定しようとするが、楼蘭は冷ややかにそれを否定し、神美に媚を売る一族の者が賄賂や横領を繰り返し、膿がどんどんたまっていたことなどを告げる。自分を騙していたのかと怒りを露わにする神美は楼蘭が持っていた飛発を奪って撃とうとするが、楼蘭が中に詰め物をしていたために暴発し、神美自身が血に染まる。

そして、楼蘭は、壬氏に2つ願い事をする。1つ目は、一族でまともな思考の者は神美に追放された、その者たちは一度死んだ者として見逃してほしいとお願いし、2つ目の願いとして、神美の持っていた鋭い爪の装飾で壬氏の頬に傷をつける。そして、私もお父様以上の役者になれるかしら?と言って楼蘭妃は外に出て、鮮やかに舞う。そこに馬閃たち部下が駆け付け、傷ついた壬氏を見て楼蘭妃に飛発を放つ。弾が命中して血を流しながら楼蘭はさらに舞い、翠苓が駆け付けて必死に手を伸ばすが、その手は届かず、楼蘭は笑みを浮かべて砦から落ちていく。それが、壬氏が楼蘭を見た最後だた。

怪我の手当てをしてもらった後、壬氏は猫猫の様子を見に行く。壬氏は、死んだ響迂たち子の一族の子供たちのそばで眠っている猫猫の前にかがみ込み、俺がいなければこんな目には、とつぶやいて痣が見える首に手を伸ばしたところで、何をやっているのでしょうか、壬氏さま、と言って猫猫が目を覚まし、壬氏は慌てるのだった。

 

原作小説では、シリーズ第4巻の「薬屋のひとりごと 4」収載の「二十一話 事の始まり」におおむね対応する部分になっています。

第48話 はじまり

<子の一族の鎮圧が終わった夜明け頃、砦から運び出された子どもたちと一緒に眠る猫猫の元へ、壬氏がやってきた。互いの傷を心配し合いながらも、楼蘭が命を懸けて守ったもの、託されたものについてそれぞれ考え始める。>

響迂たち子供たちのそばで眠っていた猫猫は、壬氏が手を伸ばしたところで目を覚ます。壬氏の顔の傷に気づいて、雑に縫われたその傷を確認した猫猫はため息をつく。妙な頼みを聞いてしまったからな、楼蘭とは友人だったのか?と問われた猫猫は、自分にとってはそれに近い関係だったと思いつつ、良く分かりません、と答える。分からないままで終わってしまった、との壬氏の言葉で、子翠が死んだことを察した猫猫は、託されたことを全うすると改めて思う。俺は傷ひとつで価値がなくなるような男か?と問う壬氏に、壬氏の本質は見た目ほど華美ではない、それは見た目の美しさよりもずっと価値があると思う猫猫は、むしろ、もう少し傷があってもいいかもしれません、前より男前になったではありませんか、と答えるが、その言葉に猫猫への気持ちを抑えられなくなった壬氏は、猫猫に迫り、キスをしようとする。そこに、死んだように眠っていた子供の1人が息を吹き返す。子供たちは毒ではなく蘇りの薬を飲んで眠らされていたのだ。猫猫は息を吹き返した子供たちの介抱に当たる。

一度死んだものは見逃してくださいと、楼蘭と約束したことを思い出した壬氏は、狐につままれたようだと苦笑し、子供たちを必死に介抱する猫猫の耳元で、続きはまたでいいか?とささやくのだった。

新年を迎え、玉葉妃が生んだ東宮のお披露目が行われることになる。猫猫が仕えていた玉葉妃が妃に決まり、羅門は後宮の医局に残ることになって、後宮で用なしになった猫猫は、花街の緑青館の薬屋に戻ることになったが、子の一族の処理と本来の仕事に追われる壬氏とは、あれ以来会う機会がなかった。子翠に託された子供5人のうち4人は、名前を変えて元上級妃の阿多が翠苓とともに引き受けることになり、最後まで目覚めず、記憶を失って半身に軽く麻痺が残った響迂は、趙迂と名前を変えて花街で育てられることなっていた。

そんなある日、赤羽が猫猫を訪ねてきて、小蘭から猫猫と子翠に宛てた手紙を渡す。小蘭は、猫猫が子の一族に囚われている間に後宮での年季が明けて、湯殿で働いているうちに気に入ってもらえた妃の実家の妹の下女となったのだった。そんな小蘭からの手紙を読む猫猫は、子翠との3人の思い出が蘇り涙を流す。

子翠の死体はいくら雪をかきわけても出てこなかった。春になって雪が融けたらもう一度探すというが、猫猫は見つからなければいいと願う。

またある日、薬屋で新しい薬を試そうと、自身の小指を切り落とそうとしているところに、覆面をした壬氏が突然訪ねてくる。そんな壬氏は、おもむろに猫猫の首筋に噛み付き、まずは砦の続きからだ、と唇を寄せ、もう少しでキス、と思った瞬間、趙迂が駆け込んできて、キスは再び先送りになってしまう。

場所が変わってある港町。古い時代によく作られたという玉製の蝉に目を留めた女性が店主に声を掛ける。その女性は、物々交換しようと、懐から一本の簪を取り出す。店主はその高級さに驚くが、その一部には銃弾の痕があった。交渉が成立して玉製の蝉を手にした女性は「玉藻」と名乗り、海の向こうとか面白そうだよね、と言って去っていくのだった。

 

原作小説では、シリーズ第4巻の「薬屋のひとりごと 4」収載の「二十二話 狐につままれた」と「終話」におおむね対応する部分になっています。

(ここまで)

 

以上のとおり、この第2期でちょうど原作小説の第4巻までを描いた形となっています。

 

第48話の終了後には、続編制作決定が発表されました。放送時期などはアナウンスされていませんが、原作小説の第5巻以降が描かれていくのだろうと思います。楽しみに待ちたいと思います。