鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「殺さない彼と死なない彼女」を観る

年末年始の休みが終わって仕事が始まったある日、映画「殺さない彼と死なない彼女」(2019年11月15日(金)公開)を観に行きました。

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行ったのは角川シネマ有楽町。有楽町駅前、ビックカメラの入っている読売会館の8階にあります。ここのビックカメラには何回も行ったことがありますが、上に映画館があるなんて意識したことがありませんでした。

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エレベーターで8階に上がると、すぐに映画館のロビー。 

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スクリーンは237席。お客さんは、ざっと見て、20人ちょっとという感じ。

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世紀末の同名の4コママンガを映画化した作品だそうで、監督・脚本は小林啓一


公式サイトのストーリーから引用すると、

 

何にも興味が持てず、退屈な高校生活を送っていた少年・小坂(間宮祥太朗)は、リストカット常習者で“死にたがり”の少女・鹿野(桜井日奈子)に出会う。それまで周囲から孤立していた二人は、《ハチの埋葬》をきっかけに同じ時間をともに過ごすようになる。不器用なやりとりを繰り返しながらも、自分を受け入れ、そばに寄り添ってくれるあたたかな存在──そんな相手との出会いは、互いの心の傷を癒し、二人は前を向いて歩み出していくのだが……。

 

というあらすじ。

うまく感想を言葉にできませんが、いい作品でした。高校生の多感な心の揺れ動きをうまく切り取って描いている印象で、心に響きました。

映画は、小坂れい・鹿野ななの物語のほか、地味子こと宮定澄子【恒松祐里】とキャピ子【堀田真由】とその交際相手のイケメン大学生【金子大地】、地味子の弟の八千代【ゆうたろう】と彼に恋する撫子【箭内夢菜】の3組のストーリーが交錯するように描かれます。

それぞれのキャラクターは、原作の反映なのか、若干アクセントが付けられていて、実際にはなかなかいない感じもありましたが、それも適度に抑えられていて、逆光気味というのか、少しハイキーで色が飛んだような映像が多い画調とあいまって漂う独特の空気感は、なぜか心地よく感じました。

3組のストーリーはずっと同じ時間軸の物語だと思って見ていましたが、終盤になって、小坂と鹿野のストーリーだけ時間軸がずれていることが明らかになって、前に出てきたシーンはここでつながっているのか、と思わせる構成もうまいと思いました。

上映が終わる前にスクリーンで観ることができて良かったです。

小坂流加「余命10年」を読む

小坂流加さんの小説「余命10年」を読みました。

余命10年 (文芸社文庫NEO)

余命10年 (文芸社文庫NEO)

 

本作は、2007年6月に刊行された同名の単行本を加筆修正して2017年5月に刊行された文庫本。帯の宣伝によると、既に33万部を超えるヒットとなっているようです。

20歳で余命10年と宣告された女性が、残された時間を彼女なりに精一杯生きていく中で、恋にめぐり会い、それに自ら別れを告げ、死を迎えていく、という物語。

切ない恋愛関係を描いていますが、絶望的なエンディングではなく、悲劇でありながら、ほのかな明るさも感じさせるところに、著者の巧みさを感じました。

小坂さん自身、文庫本版の刊行を待つことなく、2017年2月に39歳で亡くなられています。難病の原発性肺高血圧症だったとのことですから、本作の主人公の茉莉と同様に、自らもいずれ死に至る病気であることを知っていたのだろうと思います。そうした著者の境遇と、本作の設定はよく似ていて、以前に読んだ「生きてさえいれば」よりもさらに色濃く、自身の思いや経験が反映されているのだろうと感じました。

社会に出て働いて生きていくのも、決して楽な道ではないけれど、このように、将来の明るい希望が持てない中で、挫折しないで生きていくことは、違う意味でとても困難なことで、読んでいて感じる生への研ぎ澄まされた感覚に、自分がぬるく生きていることを痛感させられました。

 

主要な登場人物は、

  • 高林茉莉:20歳で余命10年の難病になった女性。
  • 桔梗:茉莉の姉。
  • 沙苗:茉莉の中学時代の同級生。美少女系だが、コスプレ好きのオタク乙女。
  • 和人:茉莉の小学時代の同級生。茶道の家元の息子だが、訳あって今は茶道を離れ祖母のもとで暮らしている。

というあたり。

 

章建てや小見出しはありませんが、全体は、1から23まで番号が付いた部分に区切られています。

ネタバレになってしまいますが、大まかなあらすじは、

 

20歳の夏、突然の発症で入院した茉莉は余命10年とされる肺の難病であることを告げられる。

22歳の春になって小康状態となり退院した茉莉。沙苗に誘われてコスプレのイベントでに参加したことをきっかけに、沙苗と一緒にコスプレを始め、沙苗の勧めでマンガも描き始めるようになる。

茉莉は、誘われて参加した小学校時代の同級生たちの飲み会で和人に再会する。茉莉が初恋の人だった和人の積極的なアプローチで、2人は親密になり、茉莉も和人を愛するようになっていく。

余命3年となった27歳の誕生日、和人と泊まりがけでデートをした茉莉は、帰りに倒れてしまい、入院する。これまで隠してきた病気や余命のことを和人に明かす茉莉に、和人は結婚を申し出るが、茉莉は互いのためを思って、結婚を拒み、和人に感謝しつつ、別れる。

そして3年が経ち、茉莉の通夜。茉莉の言葉で再び茶道に向き合うようになり、家元を継ぐ立場になった和人は、茉莉に別れを告げる。

茉莉が亡くなって8年後、愛する人と出会い、結婚することになった和人は、茉莉との思い出を捨てるために、かつて通った小学校を訪れる。そこで和人は、用務員から8年前に、同じように訪れた女性がいたことを聞かされる。和人は、それが茉莉だと直感し、茉莉との思い出の品を焼却炉に投げ入れる。

 

というもの。

余命10年

余命10年

 

ところで、2007年に発刊された単行本版は、今となっては入手困難なようですが、図書館で借りることができたので、文庫本版を読んだ後に読み比べてみました。

仔細に比較したわけではありませんが、単行本版と文庫本版では、細部の描写の修正や改行の追加など、細かい修正点は少なからずありますが、ストーリー自体は、基本的には単行本版から変更された部分はないように見受けられます。

唯一の例外は、「21」の後半、和人と別れる場面と、茉莉の通夜の場面の間の、文庫本版でいうと313ページから346ページまでの部分。ここは、単行本版には全くない部分で、文庫本版で初めてこの33ページ分の記述が追加されています。入院して病気が悪化していく茉莉の心境が綴られているのですが、おそらく、単行本版を出した時点では著者自身は体験していなかった病状の悪化による心身の状況の変化が、かなり色濃く反映されたものでしょう。例えば、しゃべるという行為も体力を使うのでひとりの方が気楽、といった叙述は、実際にそういう経験をしていなければ書けないだろうと思います。この追加された部分は、他の部分にも増して、胸に迫るものがありました。

10年前の作品が文庫本化してヒットしたのには、文庫本にしたことによる値段の低下や表紙デザインの一新による訴求力の向上、書店とのタイアップなどによるアピール効果などもあったのだろうと思いますが、この部分の追加によって、作品自体の魅力・深みが増したことも、確実に影響しているのだろうと個人的には思います。

鮮魚串 楽今@立川

立川に映画を観に行った際、観る映画の間にちょっと時間が空いたので、ちょい飲みに。ネットで検索して1人で行きやすそうなお店を2~3店のぞいてみたのですが、週末とあって、なかなか入れません。運よく入れた「鮮魚串 楽今」に。 

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メニューの一部。千べセットという名前だったと思いますが、ビールorサワー2杯に刺身盛りなどのおつまみ1品で1,000円、というメニューがあったので、それをまず注文。

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まずビールが到着。ビールは単品でジョッキ490円(税別)です。

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セットの刺身盛り。ビンチョウマグロ、あじ、赤貝でしょうか。鮮魚がウリっぽいので期待しましたが、あじは今一つな感じでした。

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店員さんが今日のおすすめは、白エビかき揚げ、ふぐ唐揚げ、白子ポン酢、ということだったので、ふぐ唐揚げ(550円)を注文してみました。これは美味しかった。

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うなぎ串焼き(350円)。これはまあまあでした。

次の予定もあったので、30分ほどのちょい飲みでしたが、1人でも居心地よく飲めたのでまあ満足しました。

 

◎鮮魚串 楽今
東京都立川市曙町2-5-18 東日本曙町ビルB1(Tel:050-3466-1916)
営業時間:17:00~23:30(ラストオーダー23:00)
定休日:なし