鷺の停車場

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アニメ映画「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」を観る

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週末の夜、MOVIX亀有に行きました。

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この日の上映スケジュール。

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この日観たのは「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」(4月19日(金)公開)。昨年はまった「リズの青い鳥」(以下、映画タイトルの方は「リズ」と略します。)の本編である「響け!ユーフォニアム」の劇場版、「リズ」とのリンクが多く、「リズと青い鳥」のコンクール版フル演奏もあると聞いて、観に来たのです。

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入口を入ってスクリーンに向かう通路にも大きな掲示がありました。

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上映は150席のシアター3。配給元の松竹のお膝元MOVIXを中心とした全国73館での公開と、上映館がさほど多くないこともあるのでしょう、公開初週の週末とあって、終映が24時近くになる遅い時間の上映にもかかわらず、お客さんは8~90人くらい入っていました。

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(以前もらったチラシ)

テレビアニメ版「響け!ユーフォニアム」第1期・第2期で描かれた次の年の北宇治高校吹奏楽部が舞台の作品、武田綾乃さんの小説「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」を劇場アニメ化したもので、アニメ製作は京都アニメーション、監督の石原立也、脚本の花田十輝をはじめ、テレビアニメ版の主要スタッフがそのまま参画しています。「リズ」で監督を務めた山田尚子もチーフ演出として参画しています。

公式サイトから引用すると、

「昨年度の全日本吹奏楽コンクールに出場を果たした北宇治高校吹奏楽部。
2年生の黄前久美子は3年生の加部友恵と、4月から新しく入った1年生の指導にあたることになる。
全国大会出場校ともあって、多くの1年生が入部するなか、低音パートへやって来たのは4名。
一見すると何の問題もなさそうな久石奏。
周囲と馴染もうとしない鈴木美玲。
そんな美玲と仲良くしたい鈴木さつき。
自身のことを語ろうとしない月永求。
サンライズフェスティバル、オーディション、そしてコンクール。
「全国大会金賞」を目標に掲げる吹奏楽部だけど、問題が次々と勃発して……!?
北宇治高校吹奏楽部、波乱の日々がスタート!」

というもの。

登校してくる1年生の部員勧誘のために校門脇で演奏する新2・3年生による演奏シーンに始まり、その年のコンクールが終わるところまでを、ユーフォニアムの久石奏(雨宮天)、チューバの鈴木美玲(七瀬彩夏)と鈴木さやか(久野美咲)、コントラバスの月永求(土屋神葉)のそれぞれ一癖ある低音パートの1年生4人を軸に、その世話役として気をもむ主人公でユーフォニアム2年の黄前久美子黒沢ともよ)や、同じ低音パート2年生の加藤葉月朝井彩加)や川島緑輝豊田萌絵)など先輩に溶け込んでいくまでを、久美子とトランペット2年の高坂麗奈(安斉知佳)やトロンボーン2年の塚本秀一石谷春貴)との関係なども織り込みながら描いています。

原作を一読して、細部は覚えていないまでも大きなあらすじは知っていたので、ほぼ予想どおりの展開。

久美子が1年の時の春からコンクールまでが、テレビアニメ本編で2クール26話をかけて描かれていたのと比べると、スピンオフ的な「リズ」で描かれていた部分もあるとはいえ、それと同じくらいの期間の出来事を100分の枠にまとめているので、本編なきダイジェスト版という感じで、駆け足感はありました。原作やテレビアニメ版に全く触れたことがない人が初見で観るとちょっと付いてこれないような気がしますし、逆に、原作小説をしっかり読み込んでいる人だと、コンクール後の小日向夢のエピソードなど尺の都合でカットされていたり、アレンジされている部分に引っ掛かりを覚える向きもあるかもしれません。

ただ、「リズ」で描かれていた部分などをバッサリとカットして、低音パート1年生中心に焦点を絞ったのはいい選択で、心を打つシーンも織り込みながら、コンクールをクライマックスとした物語としてこの時間枠の中にうまくまとめたいい映画になっていて、私自身にはかなり満足のいく作品でした。

「リズ」の主人公2人はセリフが1つもなく、コンクール本番シーンを除けばモブ(群衆)に終始していましたが、ほとんどのシーンが校舎の中だった「リズ」ではセリフで暗示されるだけだった出来事のシーンが出てくるなど、「リズ」で張られた伏線を回収するかのような描写もところどころにあって、「リズ」と補完し合っている感じ。私自身も、本作を観た後、「リズ」を観直したくなって、家のBlu-rayで何度か観直してしまいました。「リズ」を観ないで本作品を観た人であれば、一度「リズ」を観てから再度観ると、気付きが増えてかなり印象が変わるのではないかと思います。

最終盤のコンクール本番の自由曲「リズと青い鳥」の演奏はやはり圧巻。フレームを横に移動させたり回転させながら撮っている風の動くカメラワークは個人的には気が散って今一つでしたが、細かいカット割には、オーボエのみぞれのソロのところで映る麗奈とか、「リズ」でのシーンを思い出させるところもあり、「リズ」の最後のシーンの「私、みぞれのソロ、完璧に支えるから・・・今は、ちょっと待ってて」とのフルートの希美の言葉は、このように演奏に昇華されたのだと胸に迫りました。「リズ」では3楽章部分の通し練習シーンがある意味クライマックスだったのですが、その最終到達地点を、スクリーンの迫力ある音響で、フルバージョンで聴くと、涙なしには観られませんでした。なお、耳で聴いた限り、音源は「リズと青い鳥サウンドトラック盤「girls,dance,staircase」に収録されていたコンクール編曲版の演奏と同一ではなく、今回改めて収録された演奏のようです。

演奏部分の映像も、楽器の指使いまで行き届いた描写、2楽章部分の風のヒュ~という音を出すウィンドマシーンとか、ムチのようなパチッ!という音を出すスラップスティック(たぶん)とか、珍しい楽器もきちんと描いているなど、やはり精緻な映像で、演奏の感動をさらに強めています。

ところで、3楽章部分で盛り上がったところに鳴るシンバルは、「リズ」の通し練習シーンでは両手に持って打ち鳴らす普通の合わせシンバル(クラッシュ・シンバル)の絵でしたが、コンクール本番シーンではスタンドに水平に固定した1枚のシンバルをマレット(バチ)で叩いて鳴らすサスペンデット・シンバルに変わってました。あれ?と思って、その後「リズ」サウンドトラック盤に収録されているコンクール編曲版を聴き直してみると、クラッシュ・シンバルの可能性も否定しきれませんが、おそらくサスペンデット・シンバルの音です。一方、「リズ」の通し練習シーンを改めて見直すと、絵だけでなく音も明らかにクラッシュ・シンバルです。ちなみに、「リズ」サウンドトラック盤に併録されている全曲版の3楽章を聴くと、こちらもクラッシュ・シンバルの音です。顧問で指揮の滝先生(櫻井孝宏)か、パーカッションのプロで臨時コーチとして指導した橋本先生(中村悠一)の指示で、コンクール本番前に変更したといった裏設定があるのでしょうか?ちょっと謎です。

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なお、入場時に1週目入場者プレゼントをいただくことができました。

キャラクターデザイン池田晶子による、新規描き下ろしイラストを使用したオリジナルコースター、1週目は久美子&麗奈/葉月&緑輝/夏紀&優子の3種をランダム配布とのこと。

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帰宅後に開けてみると、約11cm四方の紙製のコースターで、主人公の久美子&親友の麗奈のものでした。単にたまたまなのでしょうが、もしかすると、主人公のモノの割合が多くなっているといったことがあったりするのかもしれません。
あまり入場者特典には興味はないものの、どちらかといえば「リズと青い鳥」目当てで来たこともあり、強いていえば個人的には夏紀&優子の方が良かったかも。