鷺の停車場

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劇場アニメ「特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~」

休日の午前、MOVIX柏の葉に行きました。


休日の9時半過ぎの時間帯、ロビーには多くのお客さんがいました。


この日の上映スケジュールの一部。この日は、23作品・25種類の上映が行われていました。


この日観るのは、「特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~」(8月4日(金)公開)。


上映は221+2席のシアター8。お客さんは80人くらいは入っていたと思います。


チラシの表裏。

武田綾乃さんの小説「響け! ユーフォニアム」シリーズの2冊目の短編集「響け! ユーフォニアム宇治高等学校吹奏楽部のホントの話」に12番目の短編として収載されている「アンサンブルコンテスト」を原作に、1時間弱の中編アニメとして映画化した作品で、監督:石原立也、副監督:小川太一、脚本:花田十輝、キャラクターデザイン:池田晶子総作画監督池田和美、音楽:松田彬人、アニメーション制作:京都アニメーション などの主要スタッフ。


公式サイトのストーリーによれば、

 

新部長・久美子を待っていたのは、
アンサンブルコンテスト――通称“アンコン”に出場する
代表チームを決める校内予選だった。

無事に予選を迎えられるように頑張る久美子だが、
なにせ大人数の吹奏楽部、問題は尽きないようで……。

様々な相談に乗りながら、部長として忙しい日々を送っていた。

部員たちがチームを決めていくなか、肝心な久美子自身はというと、
所属するチームすら決まっていなくて──。

 

・・・というあらすじ。

 

主な登場人物は、

  • 黄前 久美子(おうまえ くみこ)【黒沢 ともよ】:主人公の2年生・ユーフォニアムで部長。部長に就任し、60人を超える部員たちをまとめていくことになる。

  • 加藤 葉月(かとう はづき)【朝井 彩加】:2年生・チューバ。高校から吹奏楽を始めた。明るい性格だが、演奏に関しては繊細な一面も。

  • 川島 緑輝(かわしま さふぁいあ)【豊田 萌絵】:2年生・コントラバス。音楽を楽しむことを大事にしている。周囲をサポートすることが多い。

  • 高坂 麗奈(こうさか れいな)【安済 知佳】:2年生・トランペットでドラムメジャー。ストイックな性格。将来に向けて、部活のほかにトランペット教室にも通っている。

  • 塚本 秀一(つかもと しゅういち)【石谷 春貴】:2年生・トロンボーンで副部長。久美子とは幼なじみ。穏やかな人柄で、部員から慕われている。

  • 釜屋 つばめ(かまや つばめ)【大橋 彩香】:2年生・パーカッション。パーカッション担当だが、ある問題を抱えている。

  • 中川 夏紀(なかがわ なつき)【藤村 鼓乃美】:3年生・ユーフォニアムで前・副部長。優子とは犬猿の仲。

  • 吉川 優子(よしかわ ゆうこ)【山岡 ゆり】:3年生・トランペットで前・部長。夏紀とは犬猿の仲。

  • 鎧塚 みぞれ(よろいづか みぞれ)【種﨑 敦美】:3年生・オーボエ音楽大学への進学を志望している。

  • 傘木 希美(かさき のぞみ)【東山 奈央】:3年生・フルート。地元の大学への進学を志望している。

  • 久石 奏(ひさいし かなで)【雨宮 天】:1年生・ユーフォニアム。自分の魅力を生かした振る舞いが多いが、実は押しに弱い。

  • 鈴木 美玲(すずき みれい)【七瀬 彩夏】:1年生・チューバ。演奏技術が高く、チューバパートのエース。

  • 鈴木 さつき(すずき さつき)【久野 美咲】:1年生・チューバ。いつも明るい低音パートのムードメーカー。

  • 剣崎 梨々花(けんざき りりか)【杉浦 しおり】:1年生・オーボエ。奏と仲がいい。

  • 滝 昇(たき のぼる)【櫻井 孝宏】:北宇治高等学校吹奏楽部の顧問で指導者。

公式サイトやエンドロールでキャストが公表されている登場人物は以上のとおりですが、そのほかの部員として、

  • 井上 順菜(いのうえ じゅんな):2年生・パーカッション。

  • 森本 美千代(もりもと みちよ):2年生・ホルン。

  • 小日向 夢(こひなた ゆめ):1年生・トランペット。

  • 月永 求(つきなが もとむ):1年生・コントラバス

というあたりも、しばしば登場していました。

 

本作を観る前後に、改めて原作も読み直してみましたが、原作の短編「アンサンブルコンテスト」にかなり忠実に映画化されている印象でした。

オープニングロールの部分、入れ替わり映し出される「誓いのフィナーレ」など過去のシリーズのシーンのスクラップ写真を見るだけで、それらの作品を観たときの印象が蘇ってきました。なお、ほとんどの写真は、「誓いのフィナーレ」で描かれた時間軸のシーンのようで、(気づいた限りでは)1枚だけ、スピンオフ的な作品である「リズと青い鳥」の1シーンかと思えるスクラップ写真もありましたが、制服がリズとは違い冬服だったので、「リズと青い鳥」のシーンを下敷きにした新規描き下ろしのようでした。

それまでのシリーズのおさらい的な描写はないので、予備知識なく初めて観る人には厳しいだろうと思いますし、劇的な出来事が起こるわけではないので、本作単独で独立した作品としてとらえると、それほど感銘を受ける作品ではないと思いますが、アンサンブルコンテストに向けた校内予選というちょっとしたイベントを舞台に、部長としての久美子の資質と成長、また、それぞれの部員の成長が描かれて、来年4月から始まると公表された、主人公・黄前久美子の3年時の北宇治高校吹奏楽部を描く3年生編への橋渡しとしては、うまく作られた作品だと思いました。作画も、4年前のあの痛ましい事件で京アニで制作の中核を担っていた方が少なからず失われてしまった影響を全く感じないというと嘘になりますし、チーフ演出を務めていた山田尚子さんがいなくなったことによる変化も感じましたが、大きな違和感なく観ることができました。

 

以下は、ネタバレになりますが、備忘を兼ねて、より詳しいあらすじを書いてみます。

 

文化祭でドラムメジャー・高坂の指揮で演奏する北宇治高校吹奏楽部。
部員を集めたミーティングで、黄前久美子は部長として、アンサンブルコンテストについて説明を始める。アンサンブルコンテストの大会についてドラムメジャーの高坂麗奈が説明した後、久美子は顧問の滝先生の考えから、校内予選会を兼ねた演奏会を行うを説明し、前部長・吉川優子を真似して黒板を叩いて部員を鼓舞しようとするが、やや空回りし、終わった後、どっと疲れが出る。

滝先生に呼ばれて麗奈、副部長の塚本秀一とともに職員室に向かった久美子は、滝先生からアンサンブルコンテストの校内予選を部員たちの投票で決めることにすると伝えられ、3年生部員の扱いをどうするかについて意見を求められる。秀一は客観的に評価してもらえるのではと3年生が投票に加わることに賛成し、麗奈は3年生を加えず投票する方が結果に納得できる、とそれに反対する。部長はどう考えるか問われた久美子は、現役部員による投票と、3年生部員も含めた一般の観客による投票を分けて行うことを提案すると、滝先生も優れた提案だと評価し、部員の投票と一般投票とを行い、アンサンブルコンテストの出場団体は部員の投票で決定することになる。

まず、オーボエの剣崎梨々花が木管五重奏でエントリーし、次々と出場チームがエントリーしていく。そのころ、音大受験を控え、部活引退後も滝先生が用意してくれた空き教室で練習する3年生・鎧塚みぞれから「泣いてるの?」と声を掛けられる。

久美子は、部長として、チームを組めない子のフォローに回ることになるのではないかと思っていたが、しばらくして、麗奈に誘われ、加藤葉月とともに参加することになる。麗奈は、1年生の小日向夢から中学校の頃からやりたい曲だったと誘われたこと、夢が上手いからそれを受けたこと、2人目以降は自分が声をかけたことを話す。鈴木美玲には断られたと聞いて、久美子は自分を誘ったのも久石奏に断られたからではないかと不安が心をよぎるが、麗奈は最初から久美子に頼む予定だった、久美子なら自分以外の子と組まないと確信していたと話すが、最後には、久美子に断られるのが嫌だったと明かす。それを聞いてホッとした久美子は上機嫌となる。
久美子は、帰り道、北宇治でいちばん上手なユーフォニアム奏者として頭に浮かぶのは間違いなく自分だが、もしも自分より上手い子が現れたら麗奈はどうするのだろうか、という疑念が浮かぶが、その気持ちに自分で蓋をする。
一方、同じく麗奈に誘われていたつばめはその誘いを断っていたが、夏のコンクールで共にBチームだった仲が良い葉月の説得で、参加することになる。
出場団体は決まり、他から誘いがなかった川島緑輝は、1年生の月永求と一緒にコントラバス二重奏で演奏会に出場することにし、残っていたクラリネット4人もクラリネット四重奏でエントリーし、残る部員はほんのわずかになってしまう。

そんなとき、楽器室に、推薦で大学合格が決まった優子と傘木希美が新部長・久美子の様子が心配だといって顔を出す。久美子が2人に相談すると、優子は自分たちが一緒に出てもいいと話し、貼り出されていたメンバー表に2人と中川夏紀の名前を書き加えて帰っていく。久美子が奏と一緒にそのことを同じく大学合格が決まった夏紀に報告に行くと、案の定夏紀は何も聞いておらず、優子と夏紀でいつものように言い争いとなるが、久美子はその場から足早に立ち去る。
久美子は、みぞれにも声を掛けてみるが、みぞれは「私は出ない」と即答するものの、「誘ってくれて嬉しかった」と言い、久美子に希美にもお礼を言ってほしいと頼む。そうして、優子たちの手助けもあり、1・2年生の部員全員が演奏会に出場することになる。

トランペットは麗奈と夢、ホルンはパートリーダーの森本美千代、トロンボーンは秀一、ユーフォニアムは久美子、チューバは葉月、パーカッションはパートリーダーの井上順菜とつばめ、計8人での管打八重奏の練習が始まる。つばめは得意なマリンバを担当することになるが、上手な他の奏者よりも腕前が落ちるつばめと葉月は麗奈の厳しい指導を受け、葉月はくさらず前向きに取り組むが、つばめはすっかり委縮してしまう。久美子は、ちょっと視点を変えてみた方がいいのではと考え、休日練習の後、つばめを練習に誘う。つばめたちが来るのを待つ間、上手くなりたいと話す葉月に久美子は、葉月はたぶんしっかり聞きすぎ、楽器が鳴るまでのタイムラグが計算から抜けている、基礎練習から意識していると体感でわかるようになってくる、と指摘する。
つばめと順菜もやってきて揃うと、順菜はメトロノームを鳴らして、久美子につばめの演奏を聴かせる。久美子はつばめがマリンバが上手であることに驚くが、順菜は、メトロノームを使ったりしてテンポが決まっていれば合わせられるが、リズム感がないと話す。一緒に演奏するとやはりかみ合わないが、久美子はつばめが息を吸っていないために、他の人とタイミングが合わせられないのではないかと気付き、それを指摘する。ブレスや目で合わせる発想がつばめになかったことに順菜も驚くが、これをきっかけに、つばめは人に合わせた演奏ができるように成長する。葉月やつばめの成長を目の当たりにして、久美子はこの機会を通じて部員それぞれが成長したのだろうと思う。

迎えた演奏会の当日、久美子とつばめは会場の体育館まで高価な楽器であるマリンバを慎重に運んでいく。つばめと話をする久美子は、つばめの確かな成長を実感する。そして、1つ前の番の緑輝と求がステージでコントラバス二重奏を演奏する中、舞台袖で出番を待つ管打八重奏のメンバーは、円陣を組んでいつもの「北宇治ファイトー!」の掛け声をして本番に臨む。
しかし、部員投票の結果は、1位:クラリネット四重奏、2位:金管七重奏(奏たちのチーム)、3位:サックス三重奏、一般投票の結果は、1位:管打八重奏(部員投票では4位)、2位:金管七重奏、3位:コントラバス二重奏(緑輝と求)となり、クラリネット四重奏がアンサンブルコンテストに出場することになる。
数日後、部活帰りに公園で肉まんなどを食べる久美子・麗奈・葉月・緑輝の4人。その日、北宇治高校から出場したクラリネット四重奏は、京都大会で関西大会への進出を決めていた。クラリネット四重奏は実際にレベルが高く、久美子たちも投票していた。
関西大会に出場したことがない葉月が関西出場、とつぶやくと、麗奈は次は一緒に行けばいいと言い、翌年のコンクールに向けた意気込みをのぞかせるのだった。

 

エンドロールの後には、来年4月からの放送開始と公表されたテレビアニメ「響け!ユーフォニアム3」の予告的な映像が流れました。原作となる小説「響け!ユーフォニアム 決意の最終楽章」(上・下巻)を読んだ人であればすぐに分かるであろう、3年生編においてキーパーソンとなる、とある人の後ろ姿が写っていました。

 


なお、公開1週目の入場者特典として、原作・武田綾乃さんによる書き下ろし短編小説が3種類からランダム配布となっていました。


帰宅後に中を開けてみると、久美子&麗奈の「休日、愛らしい友人と」でした。残りの2種類は、葉月&緑輝&つばめ「贈り物に愛を込めて」、夏紀&奏「偶発的再会と他愛ない会話について」とのことですが、3種類を揃えるために劇場に通う気は起きないので、この1冊だけになりそうです。