鷺の停車場

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映画「私の人生なのに」を観る

映画「私の人生なのに」(2018年7月14日(土)公開)をDVDで観ました。

私の人生なのに [DVD]

私の人生なのに [DVD]

 

昨年夏、新宿などでも上映されていた作品。監督・脚本は原桂之介、私は知らない監督さんですが、作品を知って気になった頃には、無理なく行ける範囲での上映は終わってしまっていました。

公式サイトから引用すると、

新体操のスター選手として将来を期待されていた金城瑞穂(知英)は、練習中に脊髄梗塞で倒れ下半身麻痺となってしまう。競技人生を絶たれた彼女には、両親やアスレティックトレーナーの誉田哲二(落合モトキ)の思いやりを受け入れることができず、絶望と孤独に苛まれる。
塞ぎ込む日々の中、ストリートミュージシャンの幼なじみ・柏原淳之介(稲葉友)と数年ぶりに再会し、「一緒に歌おう!」と誘われるが戸惑いを隠せない。
瑞穂はギターを手にすることで少しずつ音楽に惹かれていき・・・人生がふたたび動きはじめた彼女が見た新たな夢とは?

・・・という作品。あらすじを少し詳しく紹介すると、

突然のアクシデントで入院した瑞穂は、新体操をすることができなくなった自分を受け入れることができず、深いショックを受ける。退院して再び体育大学に通い始めた瑞穂に、友人やトレーナーは温かくサポートし、瑞穂も表向きは明るく振る舞うが、空虚感は消えない。

そんなある日、通学途上の河川敷脇の道で、突然幼なじみで北海道に引っ越していった淳之介に声を掛けられる。淳之介は、橋の下でギターを弾いて歌っている、文化祭で歌った時は楽しかったじゃないか、自分は歌に救われた、一緒に歌わないかと誘うが、瑞穂は昔とは違うと拒む。一方、トレーナーの誉田からは、アシスタントコーチとして練習に参加してほしい、車いすに乗ってでも指導はできる、実績を残せば大学に残って指導者としての道も築ける、前向きに考えてほしいと誘われる。戸惑い、この先の生き方に悩む瑞穂は、橋の下で歌う淳之介をひそかに見るようになる。ある日それを見つけた淳之介は、瑞穂を追いかけて捕まえ、下半身が動かなくなって、新体操ができなくなったら、瑞穂には何も残ってないのかよ、何か新しいこと始めたっていい、それが嫌なら一緒に歌おう、瑞穂歌うまいじゃん、と再び誘うのだった。

瑞穂を心配する誉田は、車で送る帰り、僕が瑞穂の足だ、どこかに行きたかったら、迷わず呼んでほしいと励ますが、瑞穂は、誉田さんは私の足にはなれない、私が失ったのは歩く足だけじゃない、と言う。淳之介の言葉が耳に残る瑞穂は、自室に置いてあったギターを久しぶりに開き、迷う。ある日、淳之介が歌う橋に向かい話をする瑞穂。私は人に迷惑かけてばっか、家族とか友達とかいろいろ、と瑞穂が言うと、迷惑かける人、家族がいるってこと、当たり前じゃないからな、と淳之介は言い、自分の家族の話をする。母親は出て行った、父親は行方不明。もともと引っ越しも父親が不動産で失敗しての夜逃げ、でも引っ越し先で見つかってしまい、父親に一緒に死んでくれないかと頼まれた。しかし、翌朝目覚めると、父親は、ごめん、と言葉を残して姿を消していた、という。帰宅した瑞穂は、家族のありがたみを感じて、母親と父親をそれぞれ抱きしめる。涙する母親。瑞穂は自室でギターを開けて歌う。両親はそれをリビングで温かく見守るのだった。

瑞穂はギターを持って淳之介がいる橋の下に向かい、一緒に歌うようになる。少しずつ前向きになっていく瑞穂だが、河川敷をランニングする人を見かけて辛い気分になる。淳之介は、瑞穂を公園に連れていき、車いすで速く進む姿を他の人に見せて、瑞穂も「走る」ことができるんだと気付かせる。

瑞穂は車いすの人たちのグループに参加する。明るく振る舞うグループの人たちの言葉に勇気をもらった瑞穂は、入院していたときの母の日記を見せてもらう。その頃の辛い思い、そして母親の思いが心に刺さり、涙する瑞穂は、ノートに詞を書き始め、自作の歌を公園で披露する。途中、思いが蘇り涙して演奏が止まるが、勇気を出して歌い直すのだった。そして、瑞穂は、再び新体操に向き合うようになり、リハビリにも励むようになる。

時が過ぎ、路上ライブでお客さんを集めるようになった2人。その帰り、淳之介は、瑞穂が好きだ、と自分の思いを告げる。私は人をもう絶対に好きにならない、自分のことを自分で受け入れられないのに、淳之介とは違う、トイレ、着替え、何をするにも時間がかかる、そういうこと知った上で好きと言えるの?と言う瑞穂に、そんなこと知ってる、自分に起きたこととか、自分の将来の不安とか、受け入れられないまま生きていくってこと、そんなこと知ってる、苦しくたって、苦しみと生きていくんだ、だから苦しいんだ、生きてくって、と語る淳之介。その言葉に涙する瑞穂。その涙を淳之介が拭いてあげると、瑞穂は、たまには楽しくて、嬉しいね、と言うのだった。そして、ノートに詞を書く瑞穂。「私の人生なのに、そう思っていた頃/私の人生なのに、見えなかったことはたくさんあって・・・」

という映画。

感想を一言で言えば、期待どおり、とてもいい作品。やっぱりスクリーンで観ておきたかった。

有望な新体操選手が、競技人生を絶たれ、その挫折から立ち直る過程、という映画なので、最初の方は辛い展開ですが、その歌と出会ってからの描写は印象的で、涙をこらえることができませんでした。知英、稲葉友の主演2人のたたずまい、そして歌も良かった。

エンドロールで初めて知ったのですが、東きゆう著、清智英原案の小説が原作なのだそうです。 

私の人生なのに

私の人生なのに