初野晴さんの小説「初恋ソムリエ」を読んでみました。 その紹介と感想です。
テレビアニメ「ハルチカ~ハルタとチカは青春する~」の原作となる〈ハルチカ〉シリーズの「退出ゲーム」に続く第2作。
角川文庫サイトには、次のような紹介文が掲載されています。
【ワインにソムリエがいるように、初恋にもソムリエがいる?! 初恋の定義、そして恋のメカニズムとは……お馴染みハルタとチカの迷推理が冴える、大人気青春ミステリ第2弾!】
作品は、次の4編から構成されています。各編のおおまかなあらすじを紹介します。
スプリングラフィ
春休み、吹奏楽部員が職員室から取って開けるはずの音楽室の鍵がなくなっている日があることを不審に思ったチカたちは、その謎を解き明かそうとする。それは、クラリネットでプロを目指す芹澤直子のある事情から生まれたことだった。
本編は、テレビアニメ「ハルチカ」の第6話「スプリングラフィ」に当たる部分になっています。
周波数は77.4MHz
ローカルFM局のトーク番組に興味を抱くハルタとチカは、生徒会長の日野原から、地学研究会の部長・麻生美里を捕まえるよう頼まれる。麻生は、7人の引きこもり生徒を説得して、部活動という形で再び学校に通わせ、綿密な計画で貴重な鉱石を発掘する手柄を挙げていた。ハルタたちはそこに秘められた謎を解こうとする。
本編は、テレビアニメ「ハルチカ」の第7話「周波数は77.4MHz」に当たる部分になっています。
アスモデウスの視線
私立藤が咲高校の吹奏楽部の顧問である堺先生は、あることをかばって自宅謹慎となりっていた。そこには、あるクラスで起きた奇妙な席替えが関係していた。ハルタたちはその謎を解き明かすが、堺先生は深い気遣いから、真実を隠し、自宅謹慎を受け入れていたのだった。
本編は、テレビアニメ版「ハルチカ」の第9話「アスモデウスの視線」に当たる部分になっています。
初恋ソムリエ
生徒会長の日野原と同じクラスで、「初恋研究会」の代表で、初恋を思い出させる匂いを嗅がせる「初恋ソムリエ」を名乗る朝霧が、芹澤の伯母の依頼を受け、その初恋の内容を聞き取る。学生時代の伯母が初恋の人と作ったおにぎりを再現する朝霧だが、伯母は、あのときのおにぎりとは違う、と言い、何かに気づいて嗚咽し、出て行ってしまう。そこにはある真実が隠されていた。
本編は、テレビアニメ「ハルチカ」の第8話「初恋ソムリエ」に当たる部分になっています。
(ここまで)
文庫版の表紙のイラストは、フルートを吹く女子高生なので、チカこと穂村千夏ですね。
シリーズ第1作の「退出ゲーム」と同様、ノリのいい会話などテンポのいい文体で、ラノベっぽくもある青春ミステリー。単なる謎解き部分だけでなく、それに直接には関係しないチカたちの日常風景が織り込まれていますが、その描写も鮮やかで、それがこのシリーズの一つの特徴になっているように思います。「周波数は77.4MHz」や「初恋ソムリエ」は謎の設定が分かりにくい感じもありましたが、「アスモデウスの視線」はとても良かった。
また続きを読んでみようと思います。