鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「アルプススタンドのはしの方」

久しぶりにユナイテッド・シネマズ テラスモール松戸に行きました。

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まだモール全体は営業開始前、人は少なめです。3Fのロビーでチケットを買って、エスカレーターでスクリーンがある4階に上がります。

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スクリーンの配置。左下のエスカレーターでロビーとつながっています。

スクリーンの入口では、スタッフがサーモグラフィでお客さんの体温をチェックしていました。

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145席のスクリーン2へ。

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観るのは、「アルプススタンドのはしの方」(7月24日(金)公開)。公開初週の上映は全国20館だけでしたが、公開2週目からはさらに48館で上映が始まり、この映画館でも上映されるということで、やってきました。

ここも1席ずつ間隔を開けて座る形、お客さんは15人ほどでした。

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兵庫県東播磨高校演劇部が上演し、2017年の第63回全国高等学校演劇大会でグランプリ最優秀賞に輝いた演劇を原作に、監督:城定秀夫、脚本:奥村徹也などのスタッフで映画化した作品なのだそう。

公式サイトのストーリーによれば、

高校野球夏の甲子園一回戦。夢の舞台でスポットライトを浴びている選手たちを観客席の端っこで見つめる冴えない4人。最初から「しょうがない」と最初から勝負を諦めていた演劇部の安田と田宮、ベンチウォーマーの矢野を馬鹿にする元野球部の藤野、エースの園田に密かな想いを寄せる宮下の4人だったが、それぞれの想いが交差し、先の読めない試合展開と共にいつしか熱を帯びていく……。』

というもの。

一言で言えば、自校の野球部の応援のためいやいやながら球場のスタンドに来た高校生4人が、試合が進む1~2時間の間に一皮剥けて成長する物語。

 

記憶の範囲で、詳しめに紹介すると、次のようなあらすじ。

 

夏の甲子園に出場した埼玉県立東入間高校の1回戦、演劇部の安田あすは【小野莉奈】と田宮ひかる【西本まりん】がアルプススタンドの端っこの方に座る。彼女たちは、前年、演劇の関東大会に出場を決めていたが、田宮がインフルエンザにかかって、舞台で演じることを諦めた過去があった。全校応援のため球場に来たものの、野球のルールもよくわからず、応援せずに試合を眺める2人。
そこに、元野球部の藤野富士夫【平井亜門】がやってきて2人の近くに座る。藤野は、野球部でピッチャーだったが、いくら練習してもエースの園田との力の差を縮めることができず、諦めて野球部を辞めていた。時折やって来ては声を出して応援するよう強要する厚木先生【目次立樹】も、野球部の監督にはなれず、心ならずも茶道部の顧問となっていた。
そして、その後ろでは、勉強では学校トップだが暗い性格で友人がいない宮下恵【中村守里】が立って試合を眺めていた。野球部のエースの園田を秘かに思いを寄せていた宮下は、園田の情報を聞き出そうと藤野に話しかけるが、園田が吹奏楽部の部長の久住智香【黒木ひかり】と付き合っていると聞いて、激しく動揺して顔色が悪くなり、心配した田宮と藤野は宮下をスタンド裏の通路のベンチに連れていく。
そこに、久住がやって来て宮下に飲み物を差し出す。宮下は直前の試験で久住に抜かれ初めて学年トップの座を失っていた。宮下は無視して立ち去ろうとするが、久住が強い言葉で呼び止め、真ん中にいるのも辛いんだ、と言葉をぶつける。

スタンドに戻った4人。点差がじわじわと開いていく展開に、安田は相手が甲子園常連校だからしょうがない、と諦めの言葉を漏らすが、宮下はその言葉を制止する。宮下の言葉に感化された田宮が大きな声を出して応援し始めると、それに影響されて他の3人も一生懸命に応援するようになる。そして、安田と田宮は、出場を諦めていた演劇部の大会に再び出場することを誓う。

 

気になるところもありましたが、これはいい作品を観た、というのが率直な感想。

気になったところから書くと、埼玉県立の東入間高校が舞台なのは、実在しない&原作を演じた東播磨高校と韻が近い、という理由なのだろうと思いますが、甲子園がある兵庫県内ならともかく、遠く埼玉県から甲子園まで全校応援とはちょっと腑に落ちないところもあります。撮影されたスタンドが甲子園のものでないことはバレバレなので、私立強豪校と対戦した県大会の決勝or準決勝、といった設定の方がリアリティーがあったと思いますし、高校生4人など、俳優陣の演技はあまりうまいと思えなかったのが正直なところ。

しかし、アルプススタンドやその裏の通路だけを描き、グラウンドで行われている試合の様子を全く映さない割り切った演出(原作の演劇の設定を踏襲したのだろうと思いますが、予算などの都合もあったのかもしれません)、巧みな会話劇で、先に書いた細かいアラを気にさせずに引き込んで、最後のクライマックスまで持っていく展開は見事でした。涙腺が緩むシーンもあって、思いがけず拾い物をした気分でスクリーンを出ました。