鷺の停車場

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香月美夜「本好きの下克上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部 神殿の巫女見習いⅡ」

香月美夜の小説「本好きの下克上~司書になるためには手段を選んでいられません~」の第二部「神殿の巫女見習いⅡ」を読みました。

テレビアニメ版を見て読み始めたシリーズの第2部、前巻「神殿の巫女見習いⅠ」に続いて読んでみました。

単行本の表紙裏には、次のような紹介文があります。

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青色巫女見習いとして、忙しい毎日を送るマインに朗報が届く。母親が妊娠したのだ。生まれてくる赤ん坊への贈り物として、絵本作りを開始する。一方、神殿内では慣れないことばかりで、自由に動けない。巫女としての教養を身につけさせられたり、新しい側仕えの管理に追われたり……。孤児印長としての仕事も山積みだ。

相変わらずの虚弱な体も何のその、本への愛情を武器に全力疾走を続けるマインが、念願の一冊を手にする時、貴族世界への扉が開き、物語は急展開に突入してゆく!

近付く冬を前に、風雲急を告げるビブリア・ファンタジー!書き下ろし番外編×2本収録! 

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本巻は、プロローグ・エピローグと見出しで区切られた24節からなり、紹介文にあるとおり、巻末に番外編2編も収録されています。各節のおおまかな内容を紹介すると、次のようなあらすじです。

 

プロローグ

母親・エーファのお腹に赤ちゃんがいることを知ったマインは、生まれてくる赤ちゃんのために、絵本を作ることを決める。

ヴィルマをください

マインは、絵本を作るため、絵が得意な灰色巫女見習いのヴィルマを側仕えにしようと神官長に許可を求めると、神官長は、教養を身につけるため音楽が得意なロジーナも一緒に側仕えにするよう指示する。過去の経験から男性を怖がるヴィルマは孤児院にとどまることを希望する。

フェシュピールとロジー

ヴィルマとロジーナを側仕えにしたマインは、神官長から贈られた子供用のフェシュピールで、ロジーナに音楽を教わることになる。冬の間に孤児院の子供たちに字を学ばせようと、子供用の聖典の絵本を版画で作ることを考える。

側仕えという仕事

芸術好きだった前の主のクリスティーネに仕えていたときのままに、楽器を奏でる以外に仕事をしないロジーナに、他の側仕えたちは強い不満を抱く。マインは、仕事をしないと言い切る側仕えはいらない、孤児院に戻るか違う環境を受け入れるかの選択を迫り、翌日、ロジーナは側仕えとして努力すると答え、書類仕事などもするようになる。

このあたりまでが、テレビアニメ版第2クールの第21章「新しい側仕え」におおむね対応する部分になっています。

イタリアンレストランの内装

ベンノが開くイタリアンレストランの内装について意見を求められたマインは、フランとロジーナを連れてレストランを訪れる。

レストランのシステム作り

マインは、代金の踏み倒しや盗難防止のため、紹介した人に責任を負わせるシステム作りやメニュー表を用意することを提案する。灰色神官を給仕として使えないか相談されたマインは、神官長に掛け合ってみることにする。

外に出るということ

灰色神官を神殿の外に出す提案は、それにより生じる問題を懸念する神官長に却下される。マインは絵本に使うインクを探すが、羊皮紙用のインクしかないことが分かり、自分でインクを作ることにする。

インク作りの下準備

マインは冬の手仕事で作るトランプなどに使う板を木工工房で注文し、インク作りに必要なものをリストアップする。膠を作るために孤児院で豚肉加工を行うことにし、顔料とするため孤児院などで煤を集めるが、自宅で煤集めをしたマインは熱を出して寝込む。

油性絵具 黒

回復して孤児院に向かったマインは、煤と油を練り込んで黒の油性絵具を作る。絵本用に聖典の内容を子供向けに書き直し、ロジーナとヴィルマの意見を聞いて修正し、ヴィルマに版画の下絵を描いてもらう。

木版画による絵本作り

ヴィルマに描いてもらった版木に本文の文字を書いて仕上げたマインは、それをルッツの兄たちに彫ってもらう。聖典絵本の許可をもらうために神官長に子供向け聖典の文書を見せると、その整った文章に、神官長はマインがどこで知識を得たのか疑問を抱くようになる。彫り上がった版木を使って紙に刷ってみるが、失敗に終わり、木版画は向かないことがわかる。

白黒絵本

木版画による絵本作りが失敗し、マインは、先に赤ちゃん用の絵本を作ることにする。シンプルな図形を重ねたような白黒絵本を作るため、マインは、ヨハンの鍛冶工房でデザインカッターを注文し、それを使って絵本を完成させる。家族の反応は微妙だったが、マインは手応えを得る。

子供用聖典の準備

マインはガリ版印刷をするために、紙を押さえる木枠を細工師に注文し、鍛冶工房でデザインカッターを追加注文する。ヴィルマの木版画を基に、シンプルでデフォルメした絵柄を描き、ヴィルマに提案する。ガリ版印刷の台が完成し、ヴィルマの絵もできあがる。ヴィルマは、勇気を振り絞って、孤児院を初めて出て工房に行く決心をする。

子供用聖典の製本

ヴィルマの絵を使ったガリ版印刷は成功する。ヴィルマの絵が完成するたびに印刷してついに印刷が終わる。製本に入り、初めての本を完成させたマインの頬に熱い涙が流れる。

このあたりまでが、テレビアニメ版第2クールの第22章「ヴィルマと子供用聖典」におおむね対応する部分になっています。

収穫祭のお留守番

青色神官たちが収穫祭に出かけていく中、居残るマインは図書室に向かう。すれ違う青色神官から見下した言葉を投げられ、図書室が荒らされていることに激高し、その青色神官が犯人だと確信するマインだったが、自分の好きに片付けられると機嫌を直す。

マイン十進分類

マインは。日本十進分類法を基に、図書室の本を整理していくが、神官長から借りた目録にある魔術の本がないことに気づく。それを読みたいマインは神官長に話すが、魔術は貴族院を出て一人前の貴族にならないと扱えない、図書室に置くつもりはない、と一蹴される。

ベンノへの献本と仮縫い

マインは完成した絵本を献本するためベンノのお店に行く。驚くベンノにマインは新しい絵本を作ると話す。その後、コリンナのお店に儀式用の衣装の仮縫いに行ったマインは、成長しても着られるように、布を袖などに織り込んで縫うようお願いする。

神官長への献本とシンデレラ

間もなく収穫祭に向かう神官長にフェシュピールの課題を披露するため呼ばれたマインは、完成した絵本を献本する。表紙の紙に花が挟まっていることや、手書きではなく印刷したことに神官長は驚く。マインは新しい絵本の題材をシンデレラにしようと相談するが、この世界では通用しない話だと思い知らされる。

このあたりまでが、テレビアニメ版第2クールの第23章「収穫祭のお留守番」におおむね対応する部分になっています。

冬支度についての話し合い

マインは神官長に冬支度について相談する。豚肉加工はほとんどの青色神官が出払っている収穫祭の間に行うことで許しが得られるが、冬は奉納式があるため、家族がマインの部屋に出入りするのを許すかわりに、冬の間は神殿にこもるよう言い渡される。マインは家族にそれを伝え、神殿で過ごすための冬支度を始める。

冬服を買いに

マインは、側仕えたちを連れて、冬服を買いに行く。急な出費に困るマインだったが、収益は半分に分けているのに初期投資は半分に分けてないことをベンノに指摘されたルッツがその分を援助し、冬服を揃える。

豚肉加工のお留守番

豚肉加工の日、マインとルッツの家族も手伝いにやってくる。ロジーナやヴィルマたちと孤児院で留守番をするマインは、新しい絵本の題材をシンデレラにしようと考えていたが、2人の意見で子供用聖典を作り直すことにする。

冬支度の終わり

豚肉加工の次の日、マインたちは、豚の皮を使った膠作りや蝋燭作りなどに取り掛かる。その帰り、マインはコリンナのお店ででき上がった儀式用の衣装を受け取りに行く。保存食や蝋燭、冬の手仕事に必要な道具などが揃えられ、冬支度がほぼ終わる。

騎士団からの要請

収穫祭から神官長が戻ってきて、マインが神官長の事務を手伝っていると、騎士団からの要請が入る。儀式用の衣装に着替えたマインが神官長についていくと、カルステッド率いる20人ほどの騎士団がいた。マインは神官長が乗る天馬に同乗し、森に向かうと、森の奥にクレーターのように穴が開いたところに、巨大なトロンベが枝を振り回していた。神官長は、騎士のダームエルとシキコーザにマインの護衛を命じ、騎士団とトロンベ討伐に向かう。

このあたりまでが、テレビアニメ版第2クールの第24章「騎士団からの要請」におおむね対応する部分になっています。

トロンベの討伐

騎士たちの戦いを見守るマインは、ダームエルの言葉で神官長がかつて騎士団にいたことを知る。しかし、平民が青い衣を着ていることを快く思わないシキコーザは、とマインに見下した態度をとり、マインを傷つけてしまう。すると、その血に反応したトロンベが地面から芽吹き、マインをぐるぐる巻きにしてしまう。

救済と叱責

駆け付けた神官長は魔法でマインの傷を一時的に塞ぎ、トロンベは勢いを失う。後から駆け付けた騎士団によってマインは助けられ、2人の護衛がしたことをカルステッドに詳細に告げる。救出後、怒りをにじませた神官長の問いに、シキコーザは、あれは平民、それだけで十分、と見下した態度をとるが、この中で最も身分の高い自分が護衛を命令したのだ、身分差を弁えれば優先すべきものが何かはわかるはず、とシキコーザを厳しく断罪し、厳しい処分が下るだろうと告げる。

このあたりまでが、テレビアニメ版第2クールの第25章「トロンベ討伐」におおむね対応する部分になっています。

癒しの儀式

シキコーザを叱責した後、マインや騎士団はトロンベに魔力を吸い尽くされた土地を回復させる癒しの儀式を行うため、巨大トロンベの跡に向かう。神官長はシキコーザに手本を見せるよう命ずるが、魔力の乏しいシキコーザはほんのわずかの範囲しか回復させることができない。青い衣をまとうのに相応しい存在であることを見せつけろ、と神官長に言われたマインが神具を手にして祈りを唱えると、クレーターとなっていた土地にあっという間に草が生え、その強大な魔力に騎士たちは愕然とする。儀式の後数日熱を出して寝込んだマインが神殿に行くと、神官長から呼び出しを受け、隠し部屋で不思議な薬を飲ませられる。

エピローグ

神官長は、マインが有害な人物なのか確認するために、マインに魔術具を付けさせ、マインの記憶の世界に入って意識を同調させる。マインは神官長とともに、図書館や画材店、本屋、高校での授業、自宅での食事など、本須麗乃の記憶をたどる。母親の愛情に気づいて涙するマインに、同調することに耐えられなくなった神官長は同調を止める。本のことしか考えていない本狂いだが、膨大な魔力と高い文化の知識を持ったマインは莫大な利益をもたらす存在になる、監視と手綱が取れる人間が必要だと考える。

ここまでが本編。テレビアニメ版の第2クールの最後、第26章「夢の世界」までにおおむね対応しています。

最後に番外編が2編。

青色巫女見習いの側仕え

マインに、孤児院に戻るか、クリスティーネとは違う環境を受け入れるかの選択を迫られ、相談したヴィルマの助言で、心を入れ替えてマインに仕えていくロジーナのエピソード。

神殿の料理人見習い

ベンノのレストランの料理人見習いとなり、神殿で料理をすることになったエラのエピソード。

(ここまで) 

 

これまでの巻と同様、楽しんで読み進めることができました。

本作とテレビアニメ版と比べてみると、アニメでもほぼ忠実に丁寧に描かれた部分と、ざっくりカットされていた部分があることが分かります。端的にいえば、その後の展開に大きく関連する部分は手厚く、それほどでもないエピソードはざっくりという感じ。当然といえば当然ですが…。

先に見たテレビアニメ版は、今のところ、ほぼ本巻で描かれた部分までで終わっています。はからずも、領主をも凌ごうかという強大な魔力を騎士団の貴族たちに見せつけることになったマインの利用価値から、その身に危険が及ぶことを危惧し、自分たちの側に取り込もうとする神官長・フェルディナンドによって、この先もいろいろなことが起きていくのでしょう。続きも読みたくなりました。