鷺の停車場

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香月美夜「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部 領主の養女Ⅱ」

香月美夜の小説「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~」の第三部「領主の養女Ⅱ」を読みました。

テレビアニメを見て読み始めたシリーズの第3部、第1巻「領主の養女Ⅰ」に続いて読んでみました。

単行本の表紙裏には、次のような紹介文があります。

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領主の養女となり、神殿長に就任したローゼマインは、慣れない権力者としての立場に翻弄されていた。収穫祭へ向けた準備、新しい孤児たちの面倒、近隣の町からの不満等、立場を手にしたことで課題が増えていく。おまけに、神官長フェルディナンドは常に厳しい。それでも、ローゼマインは諦めない!下町の家族や仲間との再会に励まされ、図書室での束の間の読書で元気満タン!そして、年に一度訪れる「シュツェーリアの夜」に、薬の素材採取へ向かうが…。

過去最大のアクションが待ち受けるビブリア・ファンタジー! 神殿長はつらいよ!?

書き下ろし番外編2本+椎名優描き下ろし「四コマ漫画」収録!

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本巻は、プロローグ・エピローグと見出しで区切られた17節からなり、紹介文にあるとおり、巻末に番外編2編、イラストを担当している椎名優による巻末おまけの四コマ漫画、人気キャラクター投票結果が収録されています。各節のおおまかな内容を紹介すると、次のようなあらすじです。

 

プロローグ

マインの母・エーファは、ベンノに頼み込んで、簪の職人としてルッツやトゥーリとローゼマインに会いに孤児院に連れていってもらう。家族としての会話は契約魔術で禁止されており、貴族に対する話し方で、ローゼマインに完成した簪を付けるエーファは、何気ない会話から、ローゼマインが触れ合いに飢えていることを感じ、貴族としてやっていけるのか、心配になる。

収穫祭の打ち合わせ

秋の洗礼式を終えたローゼマインは、次の日、フェルディナンドと収穫祭や固まった魔力を溶かす薬の素材となる魔木リュエルの実を採取しに行くための打ち合わせをする。

ハッセの小神殿

3人ずつの灰色神官と灰色巫女がハッセに出発した3日後、ローゼマインは魔力で作ったレッサーバスにブリギッテを同乗させてハッセの小神殿に向かい、準備が進む様子を確認する。3日後、ローゼマインは、今後はフラン、ギル、ニコラもレッサーバスに乗せて再びハッセに向かい、荷物を運びこみ、町長のもとに向かう。16人の孤児たちの意思を確認し、トール、ノーラ、リック、マルテの4人を引き取ることになる。

新しい孤児達

4人の孤児を引き取って小神殿に戻ったローゼマインたちだったが、態度の悪いトールたちにフランは怒りを露わにする。

孤児の扱いと町の調査

ローゼマインはフェルディナンドやフランたちと今後の孤児たちの扱いについて話し合い、町長がどの貴族とつながりがあるかなどを調べることにする。神殿に戻るとフェルディナンドはベンノを呼び出してハッセの町長の情報を聞き、前神殿長とのつながりが深いことなどを知る。

神殿の守り

冬にハッセの孤児たちを神殿の孤児院で生活させようと考えるローゼマインは、受け入れ余力があるかヴィルマに確認した後、フェルディナンドに聖典の絵本をお城で売りたいと相談していると、ハッセの小神殿に入ろうとする者がいることを魔力で感知する。農具を持った10人足らずの若い男が小神殿を襲うが、守りの魔力で跳ね飛ばされたことを確認したローゼマインに、前神殿長あての手紙を持ったモニカがやってくる。それはカントーナに売り渡す契約をした孤児を奪われた、などローゼマインたちの行いに異議を唱える内容だった。フェルディナンドに相談して、前神殿長は亡くなったと返事することにする。

新しい課題と冬支度の手配

フェルディナントに、孤児を守って町長を力ずくで退ければこちらが町民から憎まれることになる、町長を孤立させて排除しなさいと言われたローゼマインは寝不足になる。冬の衣装の採寸のために城に向かったローゼマインは、ジルヴェスターに面会に行くが、途中で会ったヴィルフリートにずるいと文句を言われ、苛立つローゼマインは、勉強もせずに逃げることばかり考えている卑怯者、と威圧しかけ、ダームエルに止められる。

イタリアンレストラン開店

ハッセの小神殿に様子を見に行くローゼマインは、孤児たちの笑顔を見て、領民と孤児の両方にとって良い結果になる方法を探したいと思う。料理人のフーゴがお城から戻り、イタリアンレストランの開店に向けた準備を進めるベンノたちに、ローゼマインはハッセのことを相談する。気持ちを切り替えることができて体調も回復したローゼマインは、イタリアンレストランの開店の日、大店の店主たちの前で挨拶する。レストランのスタートは大成功だったが、料理人のフーゴが、ジルヴェスターの誘いを受け、宮廷料理人になりたいと願い出る。

ハッセ改革の話し合い

イタリアンレストラン開店の課題が片付いたローゼマインは、ハッセのことをどうするかベンノたちと相談し、孤児を買おうとした文官に話を付け、町長には孤児の代金を払うことにし、商人を使って噂を流すことを考え、フェルディナンドにその案を話して了解を得る。ローゼマインは、ヴィルフリートの教育を優先した方がいいのではないかと話すが、ジルヴェスターに近付くなと言われていると断られる。

入れ替わり生活

ジルヴェスターに呼ばれてフェルディナンドとハッセのことなどを報告するためお城に行ったローゼマインは、ヴィルフリートに再びずるいと言われ、一日生活を入れ替えることを提案し、ヴィルフリートも喜んで受け入れる。昼食での打ち合わせの後、ヴィルフリートはランプレヒトの騎獣に乗って神殿に去っていく。ローゼマインはヴィルフリートの部屋に行き、そこに教師のモーリッツがやってくるが、勉強の進度の遅さを知って怒ったリヒャルダは側仕えや護衛騎士を集めて説教する。ローゼマインはヴィルフリートの教育について話し合うためジルヴェスターに面会を申し込む。フェルディナンドはヴィルフリートを跡継ぎ候補から外すよう主張するが、ローゼマインは環境を整えて更生させることを進言し、冬のお披露目までに文字を書く、簡単な計算ができる、フェシュピールで1曲弾けるようにならなければ廃嫡されることになる。

収穫祭の準備

ローゼマインは、フェルディナンドとエックハルト、リヒャルダの息子で徴税官のユクトクスと、収穫祭とリュエルの実を採取しに行く打ち合わせを行い、準備を進める。

ハッセの契約

フェルディナンドはハッセ担当の文官カントーナを呼び出し、町長との契約について話を聞き、違約金を払って契約書を買い取る。騎獣で神殿に戻ったローゼマインは、ヴィルフリートをその気にさせた頑張りに、側仕えたちを褒めちぎる。翌日、ローゼマインは、貴族間で供給される灰色巫女が減って、孤児院にもちょうど良い年頃の娘がいないか探しに行くようになっているとフェルディナンドに聞かされる。

商人の活動開始

フェルディナンドから許しを得たローゼマインは、ベンノたちと打ち合わせをして、ハッセに流す噂の内容などを決める。ハッセに向かったローゼマインは、町の事務を担っているリヒトに孤児を買い取ることを話し、契約を結ぶ。

ハッセの収穫祭

ローゼマインはフランたちを連れてハッセの収穫祭に向かう。洗礼式、成人式、結婚式を終えるが、変な目をした不審人物がいたため、すぐに小神殿に戻される。小神殿でエラ、モニカたちが準備した夕食を食べる。護衛のため来ていたギュンターたち兵士のテーブルを回ったローゼマインに家族での食事の思い出が蘇る。

収穫祭

翌日、小神殿を封鎖して神殿に戻るための準備が慌しく進み、神官と孤児は出発していく。ローゼマインは、護衛騎士のブリギッテに実家がどこか尋ね、木材が特産のイルクナーという場所だと知り、一度行ってみたいと話す。昼食後、ローゼマインたちも出発し、収穫祭の農村を回る。

シュツェーリアの夜

秋の素材リュエルが採れる場所に近いドールヴァンに着いたローゼマインは、収穫祭を終えて、2日間休息し、満月の夜、リュエルの採集に出発する。襲ってくる多くの魔獣をエックハルト、ブリギッテとダームエルが防ぎ、大きくなったリュエルの実に自分の魔力を注ぎ採集するが、その実を魔獣ザンツェが奪って逃げてしまう。

後始末

リュエルの実を食べたザンツェは、その魔力で10倍ほどの大きさのゴルツェに変身する。自分たちでは到底太刀打ちできそうもない大きさに、ユクトクスはフェルディナンドに騎士団の応援要請を出す。フェルディナンドの指示で、ローゼマインは魔力で風の楯を作り、ゴルツェを閉じ込め、やってきたフェルディナンドの一撃で、ゴルツェは倒れるが、リュエルの実は採り逃してしまう。

わたしの冬支度

ローゼマインは神殿に戻り、不在の間の状況について報告を受ける。ヴィルマからは神殿長、孤児院長、工房長と仕事が多いので側仕えを増やしてはと進言される。ローゼマインは、フェルディナンドにジルヴェスターの仕事を止めて仕事を減らし、後進を育てるよう進言する。

エピローグ

久しぶりに騎士寮に戻ってきたブリギッテを、同郷のイルクナーから連れてきた親戚の側仕え見習い・ナディーネが出迎える。イルクナーの領主の妹であるブリギッテが神殿に通うことを快く思わないナディーネだが、ローゼマインの護衛騎士となり、騎士団長のカルステッド一家と懇意となっていくことで、周囲の目が変わってきていた。シュツェーリアの夜から帰ったブリギッテは、カルステッドから恒例の質問が始まる。ブリギッテは、城でだけ護衛をするアンゲリカを見て志願する女性騎士がいることを報告し、カルステッドは、コルネリウスに志願を却下する理由も説明するよう言っておくことにする。

 

最後に番外編が3編。

ヴィルフリートの一日神殿長

ローゼマインと1日入れ替わり生活をすることになったヴィルフリートが、神殿でのローゼマインの努力ぶりとそれを支える側仕えに接し、自分の状態に危機感を覚えるエピソード。

ハッセの孤児

冬の間神殿で一緒に暮らすことになったハッセの孤児4人を描いたエピソード。

ユストクスの下町潜入大作戦

マインが神殿に入る前、マインについての情報収集を命じられたユストクスが、下町に潜入するも、情報集めに苦労するエピソード。

 

さらに、著者によるあとがきの後に、「巻末おまけ」(漫画:しいなゆう)「ゆるっとふわっと日常家族」と題して、「ほめてのばす」「成長途中」「エネルギー」の3本の四コマ漫画が収録されています。

 

領主ジルヴェスターの長男・ヴィルフリートは、自分と違って、勉強もせず、父親とも話をするローゼマインをずるいと羨みますが、入れ替わり生活をすることで、自分の甘さを痛感し、心を入れ替えて努力するようになります。ローゼマインは、獅子奮迅の活躍ぶりですが、前神殿長と懇意だったハッセの町長への対応に頭を悩ませます。次巻以降、このあたりも進展していくのだろうと思います。