鷺の停車場

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映画「世の中にたえて桜のなかりせば」

仕事帰り、丸の内TOEIで映画を観ました。

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有楽町近く、東映本社のある東映会館。

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チケット売り場。チケット売り場を挟んで左側がTOEI①、右側がTOEI②の入口です。

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この日の上映スケジュール。

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この日観たのは、「世の中にたえて桜のなかりせば」(4月1日(金)公開)。全国14館とかなり小規模での公開。

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上映は地下のTOEI②。

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350+2席、昔ながらの見上げるタイプのスクリーン。お客さんは20人ちょっとでした。

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3月14日に亡くなった俳優・宝田明の遺作となった、桜と「終活」をテーマにしたヒューマンドラマで、宝田企画が企画、宝田自身もエグゼクティブプロデューサーを務め、監督:三宅伸行、脚本:敦賀零・三宅伸行。

タイトルの「世の中にたえて桜のなかりせば」は、「古今和歌集」に収録されている在原業平の短歌「世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」から取られています。

公式サイトのストーリーによれば、

 

終活アドバイザーのバイトをしている不登校の女子高生・咲(岩本蓮加乃木坂46〉)は、一緒に働く老紳士・敬三(宝田明)と共に、様々な境遇の人々の「終活」の手助けをしていく。
咲は危険と隣り合わせの職業で、万が一のために家族に遺書を残そうとする者や余命わずかで思い出を残そうとする者たちに寄り添って「終活」のお手伝いをする日々を送っていた。

そんな最中、咲の担任でかつて国語教師であった南雲は生徒からのイジメに遭い、教師をやめ自暴自棄の生活をしていた。咲はひきこもりの彼女の様子を見に度々家を訪れ、様子をうかがっていた。一方で、イジメの張本人の女子生徒を待ち伏せして自分の気持ちをぶつけたりもするが、彼女の中のやるせない気持ちは消えることはなかった。

自身も不登校で行き場を求めている咲に、敬三は病気で老い先短い妻(吉行和子)とかつて見た桜の下での思い出を語る。咲は敬三たち夫婦を励まそうと、敬三がかつて見たという桜の木を探しに出かけるのだが・・・。

 

・・・というあらすじ。

 主要キャストは、

  • 吉岡咲【岩本蓮加乃木坂46)】:主人公。不登校の女子高生で「終活サポート ハレノヒ」で終活アドバイザーのアルバイトをしている。

  • 柴田敬三【宝田明】:終活アドバイザーの同僚。元司法書士第二次世界大戦で徴兵された兄を亡くし、終戦後、満州から引き揚げてきたが、学校になじめず不登校になった経験を持つ。

  • 南雲【土居志央梨】:咲の憧れの国語教師だったが、女子生徒のイジメに遭い、教師を辞めて引きこもり生活を送っている。

  • 陸斗【名村辰】:咲のクラスメイト。不登校の咲を何かと気づかっている。

  • 敬三の妻【吉行和子】:元国語教師。第二次世界大戦で空襲で家族を亡くした経験を持つ。

など。

バイト先の「ハレノヒ」では、死にたいわけではないが仕事上の事情から遺書を書かなくてはいけなくなった男性(郭智博)、自分がしてきた仕事を記録に残そうと暗渠や川の映像を撮影してもらう男性(徳井優)の2人のエピソードが描かれます。1人目の男性は、敬三の勧めで亡き父の荷物を母(伊東由美子)や妻(柊留美)とともに整理していく中で、自分の気持ちを整理していきます。一方、2人目の男性は、咲や陸斗が川だけでなく、そこで遊ぶ子どもなどの風景も撮っていくのを見て、大切なことに気づきます。この2人のエピソードに、イジメで教師を辞めた南雲のエピソード、それをきっかけに不登校になった咲の迷い、そして、敬三の妻との思い出の桜の木をめぐるエピソードが描かれ、希望を感じさせるエンディングで終わります。

物語のアウトラインは、エグゼクティブプロデューサーを兼任し、公開直前に急逝された宝田明さんの思いが込められたのだろうと思って観ました。回収されない伏線や、予定調和的な展開もありましたが、温かい余韻の残る佳作でした。