テレビアニメ「やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中」、前半の第6話までに続いて、11月20日(水)から12月25日(水)にかけて放送された、後半の第7話から最終話の第12話までを紹介します。
繰り返しになりますが、2019年11月から小説投稿サイト「小説家になろう」に連載され、2020年3月からKADOKAWAの角川ビーンズ文庫で文庫本化されている永瀬さらさの同名ライトノベルを原作にテレビアニメ化した作品で、2024年10月~12月の2024年秋クールにTOKYO MXなどで放送されました。主要スタッフは、監督:鈴木健太郎、シリーズ構成:イシノアツオ、キャラクターデザイン:小松沙奈、アニメーション制作:J.C.STAFFなど。
公式サイトでキャストが紹介されている主要キャラクター・キャストのうち、第7話から第12話までのエンドクレジットで名前が出ているのは、次のとおりです。<>内はその人物が登場(声優が出演)する放送回です。
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ジル・サーヴェル【内田 秀】:婚約者に裏切られ、死ぬ間際に 16歳から10歳へと時間が逆行した。 軍神令嬢と恐れられるほどの強い魔力を持つ。同じ過ちを繰り返すまいと、とっさに掴んだ男性、呪われし皇帝・ハディスに求婚してしまう。<第7~12話>
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ハディス・テオス・ラーヴェ【戸谷 菊之助】:ラーヴェ帝国の若き皇帝陛下。竜神ラーヴェの生まれ変わりで、 “竜帝”と呼ばれている。<第7~12話>
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ラーヴェ【井澤 詩織】:竜神。魔力が強い者でないと姿を見ることができない。<第7~12話>
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カミラ【日野 マリ】:本来の時間軸では死んでしまったジルの元部下。弓の名手。ジークと行動を共にしている。<第7~12話>
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ジーク【橘 龍丸】:本来の時間軸では死んでしまったジルの元部下。剣士。カミラと行動を共にしている。<第7~12話>
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ジェラルド(ジェラルド・デア・クレイトス)【土岐 隼一】:クレイトス王国の王太子。本来の時間軸では婚約者であるジルを裏切り、冤罪をかけて処刑を言い渡した。<第話>
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フェイリス(フェイリス・デア・クレイトス)【真野 あゆみ】:クレイトス王国第一王女。ジェラルドの妹。<第9・12話>
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スフィア(スフィア・デ・ベイル)【貫井 柚佳】:ハディスの婚約者候補。本来の時間軸では非業の死を遂げている。<第7・12話>
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リステアード(リステアード・テオス・ラーヴェ)【古川 慎】:ハディスの異母兄。ラーヴェ帝国第二皇子。<第8~12話>
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ロレンス・マートン【内田 修一】:本来の時間軸では、ジルの優秀な副官。転生後の世界では、竜騎士見習いとしてジルの前に現れる。<第7~12話>
以上のほかに、第7話から第12話までのエンドクレジットで名前が出ているキャラクターとしては、次の人たちがいます。<>内はその人物が登場(声優が出演)する放送回です。
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ゲオルグ・テオス・ラーヴェ【楠 大典】:ハディスの叔父。帝都に戻ってきたハディスたちを襲撃する。<第7・10~12話>
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ソテー【御堂 ダリア】:ジルが飼い始めたヒヨコ。<第7~8・10・11話>
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女神クレイトス【後藤 沙緒里】:元は竜神ラーヴェと夫婦神になるはずだった女神。今はクレイトス王家に代々受け継がれている女神の聖槍に封じ込められている。<第7話>
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試験官A【光富 崇雄】/試験官B【熊澤 玄徳】:竜騎士見習い試験の試験官。<第7話>
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受験者A【前田 弘喜】/受験者B【堀金 蒼平】:竜騎士見習い試験の受験者。<第7話>
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教官【村井 雄治】:ジルに街の警らに当たることを命じた竜騎士団の教官。<第8話>
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部下A【中村 和正】/部下B【佐原 誠】/部下C【石狩 勇気】:リステアード、カミル、ジークたちと行動をともにしていた部下。<第10話>
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帝国兵隊長【田渕 将平】:ハディスを護送する帝国兵の隊長。<第11話>
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帝国兵A【木村 太飛】/帝国兵B【小笠原 仁】:ハディスを護送する帝国兵。<第11話>
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帝国民【岡峯 雄登】:ハディスたちを讃える帝国民。<第12話>
各話のあらすじは、次のとおりで、< >内が公式サイトで紹介されている内容になります。
第7話 スローライフ生活を終わらせたいので、竜騎士団始めることにしました
<ベイルブルグを守ったジルたちのもとに、帝都ラーエルムから迎えの竜がやってきた。だが、一行は、ハディスの叔父・ゲオルグ率いる帝国軍に襲撃される。ゲオルグは、ハディスを「皇帝を騙るまがい者」と断罪し……。>
ハディスと同じベッドで眠っていたジルは、本来の時間軸でエリンツィアを捕虜にしていたことを夢に見て、ハッと目を覚ます。
帝都から迎えの竜がやってきて、ハディスとジル、カミラ、ジークはそれぞれ竜に乗り、スフィアたちに見送られ、帝都ラームエルに出発する。竜に乗りながら、ジルは自分は7人兄弟で、上に姉2人と兄1人、下に双子の弟2人と妹1人がいることをハディスに話し、ハディスも今は上に異母姉1人と兄ヴィッセル、同じ歳の異母兄、下に異母妹2人と異母弟1人の7人兄弟と話し、昔はもっといたが僕の呪いで死んだということになっている、自分は疎まれているからその嫌がらせがジルにも向かうかもしれないと話す。
帝都ラーエルムに近づくと、魔術障壁が現れ、突然襲撃される。ハディスによってジルの魔力は封じられ、ジルを守ったハディスは墜落してしまう。天剣を手にしたゲオルグは、ハディスは皇帝の名を騙るまがい者だと言い放つが、ハディスは残された魔力で隠れ家に転移して逃れる。魔力を封じられたジルは、竜妃の指輪を失い、ラーヴェの姿も見えなくなってしまう。
ジルが覚えている本来の時間軸では、前皇帝の弟であるゲオルグがベイル侯爵家への苛烈な粛清に、ハディスは偽帝だと断じて挙兵した「偽帝争乱」と呼ばれる反乱を起こしていた。ジルは自分が慎重に行動していればハディスまで魔力を封じられることはなかったと詫びるが、ハディスはジルの判断は的確だったが、ゲオルグの天剣は予想外だった、自分の力不足だと話す。
隠れ家は、クレイトス王国と国境を接した地域にあり、この地を治めるノイトラ―ル家は、三大侯爵家の1つで権力争いには中立的な立場をとることが多いが、ハディスの味方になることは期待薄だった。ハディスは半年もあれば自分の天剣やジルの魔力は元に戻るだろうし、ゲオルグの天剣はそのうち壊れるだろうと話し、安全な位置でおとなしくしていることを決め、カミラとジークも賛成する。
しかし、1か月が経ち、ジルは何もせずおとなしくしていることに耐えられなくなり、新聞で竜騎士見習いが募集されているのを知って、ジークを連れて隠れ家を出てノイトラール侯爵家のお膝元の街に入ると、街には、ハディスの似顔絵が描かれた手配書が貼られていた。
すると、竜騎士団は緊急の用件で出払っていて試験ができないと、受験者たちとトラブルとなっているのが目に入る。しかし、本来の試験開始時間になると、竜が突然街を襲ってくる。ジルはジークとともに剣を手にして竜に立ち向かうと、竜騎士の試験官がそこまで、と止める。実はすべて試験だったのだ。一方のハディスも、街の建物の屋根の上から、ジルの様子を望遠鏡で確認していた。ハディスはジルには内緒で竜を止めていた。カミラはハディスが竜を使えば帝都を奪還できるのではと言うが、ハディスは、それは理(ことわり)に反する、ラーヴェの神格が落ち、国への加護が薄まってしまう、できれば避けたいと話す。
一方、ジルとジークのもとには、ノイトラール竜騎士団長であるラーヴェ帝国第一皇女のエリンツィアが現れ、2人に合格を告げる。
その姿を見たジルは、本来の時間軸での記憶が蘇る。ハディスがクレイトス王国に侵攻し、捕虜のエリンツィアを連れて撤退することを決めたジルの目の前で、エリンツィアは自ら命を絶ったのだった。
ジルは、よろしくお願いします、と手を差し出すと、エリンツィアは、よろしく、とその手を握り握手する。
第8話 竜妃の私が竜に嫌われてしまったので、どうにか仲良くなりたいと思います
<愛〝夫〟弁当を携え、竜騎士団への潜入を開始したジル。だが「竜の洗礼」と呼ばれる適性試験で、隊長・エリンツィアの竜であるローザに威嚇されてしまう。「自分は役立たずだ」とふさぎ込むジルに、ハディスは……。>
竜騎士見習い試験に合格し、竜騎士団に入ったジルは、ハディスが作ってくれた弁当を持って、ジークと一緒に隠れ家を出発し、竜騎士団に向かう。
ノイトラールの街に着いたジルは、竜騎士団で、他の見習いとともに、「竜の洗礼」と呼ばれる適性試験を受けることになる。それは、隊長であるエリンツィアの竜・ローザと接触し、竜に頭を下げて挨拶してもらえるかを見て、相性を見極めるというものだった。そこに、赤い鱗、紫の目のローザが飛んできて、見習いたちの前に降り立つ。試験の前に、エリンツィアは、竜の階級は鱗の色で決まり、上から、白銀、黒、赤、橙、黄、緑、茶灰の順、鱗の色が同じ場合は目の色が金色が上位、紫が下位となっており、最上位である金色の目の白銀竜は竜神ラーヴェ以外いない、黒竜もほとんど姿を現さないので、ローザは現実的に最上級の竜だと説明し、竜騎士団の階級も鱗の色に準じており、見習いの腕章は竜にはない水色だが、上位の竜に認められれば自然と下位の竜にも認められる、ローザに認められれば出世コースだと話す。
前の訓練試合の結果順に「竜の洗礼」を受けていく見習いたち。ジークは鼻息で吹き倒され、他の見習いたちも挨拶はしてもらえずあしらわれる。そしてジルの順番がやってくるが、ジルはローザに威嚇され、その爪で軽い怪我をしてしまう。
竜妃なのに威嚇され落ち込んだジルは、隠れ家に帰ってきても、部屋に引きこもり、私は役立たずだ、竜に嫌われたら竜騎士になれない、少しもハディスの役に立てていないと自らを責めるが、ジークから経緯を聞いたハディスは、その竜を殺すと息巻き、ラーヴェと言い争いになる。その様子を見たジルは、気持ちを立て直し、ハディスを抑え、大丈夫だとなだめる。金目の黒竜がほしい、陛下と同じ色、応援してください、と言ってジルは部屋を飛び出していくが、それを聞いたハディスは真っ赤に照れて悶えてしまう。
次の日、ジルは街の警らに当たることを命ぜられ、街を歩いていると、同じ見習いの腕章をしたロレンスに声を掛けられる。ロレンスは、前の時間軸でジルの部隊の優秀な副官だった。ロレンスは、竜と相性のいい見習いは竜の世話から始め、相性の悪い見習いは街の警らをして土地になじませる、この街を守りたいという人間に竜は懐きやすいのだと説明し、ハディスが偽の竜帝だという騒ぎについては、諸侯は実際は日和見するだろう、ハディスの20歳の誕生日にゲオルグが死体になるか気にしているのだと話す。さらに、ノイトラール侯爵家が手配書が回っているハディスの捜索隊を出さないことには、ある噂があると話し出すが、ジルは耳を塞いでその話を聞くのを拒む。
するとそこに、赤色の竜が降りてきて、エリンツィアに至急取り次ぎを頼むと2人に声を掛ける。ジルが誰なのか尋ねると、乗っていたのは、第二皇子のリステアードだった。竜騎士団に戻ってリステアードをエリンツィアのところまで案内したジルとロレンスが退去しようとすると、エリンツィアはジルに後で話があると呼び止める。
ジルがいるのも構わず、義弟争乱などと騒がれているが、どちらに付くのかとエリンツィアに問いかけたリステアードは、自分の感性には合わない田舎者だが、ハディスは間違いなく竜帝だと話し、エリンツィアもそれに同意する。そのやり取りを聞くジルは、ちゃんと事情を話せば味方になってくれるのではと一瞬考えるが、エリンツィアは、ハディスの味方にはなってやれない、自分の母はノイトラール侯爵家の姫、リステアードのレールザッツ侯爵家の姫で、叔父のゲオルグが自分たちに安易に手を出せないのは両家の後ろ盾あってこそ、しかし、ノイトラール侯もレールザッツ侯もハディスを認めない、両家とも自分たちの兄である皇太子を亡くしている、と話す。リステアードは、僕たちは三侯の血を引く由緒正しいラーヴェ皇族だからこそゲオルグの暴挙を放っておけないと言い、ハディスが表舞台に出られるよう手助けすることを求めるが、エリンツィアは、敵にはならない、約束できるのはそこまでだ、と答える。
そして、エリンツィアはジルに対し、ローザが怪我をさせたことを謝罪し、勘違いしている者も多いが、ローザが威嚇したのは、ジルを同格、あるいは脅威とみなしたということ、研究部隊が検証したがっていると話す。それを聞いたリステアードは、自分がジルを預かって、自分の金目の赤竜・ブリュンヒルデの世話係を頼むと言い、ジルを連れていく。そして、ジルをブリュンヒルデの前に立たせ、挨拶させる。すると、ブリュンヒルデは突然空に飛び立ってしまう。驚愕したリステアードは、逃げたのだ、と言い、ブリュンヒルデが同じ反応をしたことが一度だけある、それはハディスと初めて会ったときだと言ってジルに迫り、ジルは慌てて逃げ出す。
再び落ち込んで隠れ家に帰ってきたジルは、ハディスに甘えて抱きつき、ハディスは照れる。そこに、ジルをつけてきたリステアードが姿を現し、ハディスをエリンツィアのところに連れて行こうとする。ハディスは拒んでもみ合いになるが、ジルはハディスを説得しようと決意する。
第9話 婚約相手と修羅場になりかけましたが、やっぱり修羅場になりそうです
<リステアードに居所を知られ、エリンツィアのもとに連れて来られたハディス。ジルは「2人とちゃんと話し合った方がいい」とハディスを諭しながらも、大胆な行動に出る。そんな中、帝国軍が罪のない村を焼き討ちし……。>
リステアードは、ジル、カミラ、ジークとともにハディスをエリンツィアのもとに連れてくる。私は放置しろと忠告したつもりだったのだが、と文句を言うエッリンツィアにリステアードは、赤竜がジルを対等に見るとしたら竜妃以外に理由が思い当たらないと言うが、それを聞くハディスは不満そうな顔をする。
ハディスは、どうせ何ができるわけでもない、エリンツィアの後ろ盾のノイトラール侯は自分を支持しておらず、リステアードも同じ状況、味方の顔で後ろから刺されたらたまらない、自分を始末したいなら好機だ、その前にゲオルグが自滅する可能性もある、が、放っておけば解決する、と言って帰ろうとする。ジルはそれを止め、2人と話をした方がいい、リステアードは心配して自分の足で探してくれた、と話し合いを勧める。
ジルと結婚したのは本当か、変な取引や脅しをかけたのか、と疑うリステアードに、ジルが、私は自分の意志で結婚を決めた、陛下を守るのも幸せにするのも妻である私の役目、と言い切ると、それを聞いたハディスは照れて胸の動悸が激しくなり横になってしまう。ジルは、エリンツィアとリステアードに力を貸してほしい、2人はハディスの異母姉兄であると同時にこの国の臣下、偽帝をのさばらせるのは本意ではないはず、と申し出て、カミラ、ジークとともに2人を制圧し、ハディスにつくかゲオルグにつくか選択を迫る。
そのとき、ゲオルグは村を焼き討ちにした、偽帝を隠していると情報があったとのことだ、と報告が入る。すると、窓の外には赤竜のローザとブリュンヒルデ、ハディスの緑竜がやってくる。ハディスはジルとともに竜に乗ってその村に向かい、エリンツィアとリステアードも自分の竜に乗って同行する。ハディスはその力で竜に水を吐かせて消火する。
村に降り立つと、リステアードは焼き討ちにした兵は皇帝直属軍の軍旗を掲げていた、死者は出ずに済んだとハディスとジルに伝え、自分の竜騎士団で良ければお前につく、帝国を守ってこその侯爵家、それに自分の兄が死んだのはお前のせいじゃない、と話す。そこにやってきたエリンツィアは、うちを頼ってきて滞在しているクレイトス第一王女のフェイリスに会ってほしい、和平の手段としてハディスと婚約したいと言っている、とハディスに伝える。それを聞いたハディスは、冷たい顔つきのまま、それは面白い冗談だ、と返す。
エリンツィアの屋敷に戻り、ハディスはエリンツィアに連れられてきたフェイリスと会う。フェイリスが乗る車椅子を押してきたのがロレンスだったことに、同席していたジルやリステアードは驚く。フェイリスは、ロレンスは私の従者だと言い、ロレンスはエリンツィアの好意で竜について学ばせてもらっていると話す。
ジル、エリンツィア、リステアードも同席の下、フェイリスと会ったハディスは、フェイリスが自分に嫁ぐことは絶対にあり得ない、女神クレイトスの末裔で、器となる可能性が最も高い女と竜帝が結婚すれば女神の思う壺、と婚約を拒否する。それを聞いたフェイリスは、自分は14歳になった時に操られるか自我を食われる運命にあるのだろう、残された時間はあと6年、その間にクレイトスとラーヴェの因縁に決着を付けたいのだ、ジェラルドがいない隙に国を出てきた、ゲオルグの背後にジェラルドが付いているとしたら、自分がハディスと婚約すれば即座に手を引く、これが全ての状況を解決する最善の手段、と話す。エリンツィアも、フェイリスの申し出を引き受けるならハディスの味方になってもいいと言うが、ハディスは、もう十分付き合った、馬鹿馬鹿しい、とジルを抱えて帰ろうとする。そこに、ロレンスが、帝国軍から今後の焼き討ちについて声明が出た、自領が対象になった諸侯は必死に捜索を始めるだろう、時間が経つほど向が有利になると言って翻意を促すが、ハディスは聞き入れようとしない。しかし、ジルは、犠牲を最小限に事態を打破するにはそれしかない、と申し出を受け入れることを進言する。ハディスは、自分をこの女に売るつもりか、と怒りの表情でジルに迫るが、ジルは、陛下が婚約を了承しなければいい、陛下を口説くことぐらい自由にさせてあげてはと言っているのだ、でも私は陛下を渡さない、と宣言する。
フェイリスはハディスのもとを出て行くが、その車椅子を押すロレンスは、ジルに不敵な笑みを見せて去っていく。
ハディスは身分を隠すため、竜騎士団の料理長として働くことになる。その厨房にやってきたエリンツィアは、兄のヴィッセルと連絡がついた、皇族は全員無事だ、後は水面下で準備をして決着をつける、ヴィッセルも協力してくれるはず、と話す。同席していたリステアードは、ヴィッセルはゲオルグの娘と婚約している、と不安を口にするが、ハディスもエリンツィアの話にうなずく。
一方、竜騎士団で見習いとして洗濯をするジルに、ロレンスがやってきて、ヴィッセル皇太子と連絡が取れた、兵が集まり次第皇帝とフェイリスの所在を明かし、ゲオルグに投降を促すそうだと伝える。ジルは、ヴィッセルが裏切れば全てが水の泡、と答える。それを聞いたロレンスは、ジルはエリンツィアもリステアードも裏切ることを知っているかのように見える、そこに興味があると話す。ジルが、私の部下になってくれるなら話すがそれはできないだろう、お互い詮索はなしだ、と答える。
家に帰ると、ロレンスと仲良くしているという噂を聞いたハディスが落ち込み、部屋に閉じこもってしまう。ジルは、ハディスの部屋に入り、謝って事情を説明し、2人は和解する。
第10話 人生やり直した結果、またもや人生詰みかけてしまいました
<ヴィッセル皇太子の援軍と合流すべく、動き出す一行。城に留まったエリンツィアは、2人の弟のことをジルに託す。ジルは「ハディスをひとりぼっちにさせないために、ここにいるのだ」と思いをあらたにするのだが……。>
エリンツィアは、ヴィッセルから連絡があった兵の引き渡し場所と日時をハディス、リステアードとジルに伝えるが、自分はここを動けないと言い、ハディスとリステアードが馬で2日ほどの引き渡し場所に向かうことになる。そして、2人のことを頼んだ、とジルに2人を託す。
カミラ、ジーク、ロレンスも連れて馬で出発した3人だが、ハディスはジルがロレンスを護衛に指名したことを根に持っていた。ジルはロレンスとの噂は牽制のための嘘だと話すが、ハディスはロレンスが気に入らない。カミラも、ロレンスは隙があればジルのことを見ていると指摘し、どんな関係なのかジルに問う。ジルは、記憶が確かならば、ロレンスはフェイリスの部下ではなくジェラルドの部下で、クレイトス国王の南の後宮に連れて行かれた姉がいる、ロレンスは出世して姉を後宮から出すためにジェラルドの部下になったと話す。カミラはフェイリスが和平のためにやってきたのだとしても、それはジェラルドの掌の上なのではないかと疑うが、ジルは、ロレンスはジェラルドの手の内を知っている可能性が高い、しがみついてでも巻き込んでおくべき、そうすればロレンスは生き残るために動く、と話す。
そしてジルはハディスに、私の判断が間違いだという不安はないのか尋ねると、ハディスは、ない、誰が裏切っても結局最後に立っているのは僕だ、と答える。それを聞いたジルは、ハディスは誰かが裏切ると思っている、この人を独りぼっちにしないために自分はここにいるのだ、と改めて自らに言い聞かせる。
途中で野営する一行。寝ずに番をしていたカミラとジークのところに、目が冴えてしまったとロレンスがやってくる。ロレンスは、罠かどうかは五分五分、ヴィッセルが味方でない、あるいは計画が看破されている可能性もあるが、飛び込むしかない、それに、ハディスが逃げ切る算段があるのなら、この編成は罠を見破り、損害を最小限に抑えられる手だと話す。
そうやって話していると、上空を3頭の竜が飛んでいくのに気が付く。カミラはラーヴェ皇族の竜騎士団がノイトラール城を攻めるかと警戒するが、ロレンスは、大丈夫、フェイリスがいる限り、誰だろうとひどい攻め方はできない、だからフェイリスを置いてきた、それにジルに借りを作りたくなかった、いずれ敵対するだろうから、と話し、合流地点は竜の巣の近い場所がベスト、竜を刺激しないために攻め込まれる心配はないと話す。
翌日、ロレンスは竜の巣ができて干上がった川の脇を竜の巣の方向に向かう。そこに、赤竜に乗ったエリンツィアが上空を飛んでいく。竜から下りたエリンツィアのところにジルが向かうと、エリンツィアはジルを捕らえて人質にし、ハディスたちも兵士に取り囲まれる。エリンツィアは裏切ってゲオルグと結託していたのだ。
そこにゲオルグが竜に乗ってやってきて、偽帝を捕らえろと兵士たちに命ずる。ハディスはリステアードたちに、自分を置いて逃げろと命じ、まだ制限のある魔力で反撃し、ジルを捕らえて赤竜に乗るエリンツィアを殺そうとするが、ジルは、まだ殺さなくて大丈夫、これ以上戦えばまた寝込んでしまう、大丈夫、私がいます、とハディスを止めるが、魔力が尽きたハディスを捕らえたゲオルグは、ジルを空に投げ捨て、偽帝を捕らえた、我々の勝利だ、と宣言する。それを横目に、リステアード、カミラ、ジーク、ロレンスたちはその場から逃げる。
第11話 婚約相手の叔父が無茶苦茶すぎたので、もはや黙って見過ごすわけにはいきません
<エリンツィアの裏切りによって、ハディスは幽囚の身となる。ジルは、ブリュンヒルデに「竜の巣」に転移されることで一命を取り留めた。だが、そこに棲まう黒竜は、魔力が封じられたままのジルを竜妃と認めず……。>
ハディスを捕らえて護送するゲオルグは、ジルは赤竜の炎によって焼かれた、残るは偽帝ハディスのみだ、と勝ち誇る。
しかし、ジルは死んでおらず、黒竜が棲む「竜の巣」で意識を取り戻す。姿を現れた黒竜はジルに、赤竜の申し出により転移させたと説明し、指輪も見えず、大した魔力も感じない、封じられているのか、不幸なことだ、と言うが、ジルを竜妃とは認めず、竜妃でない以上、生きて返すわけにはいかない、と言って攻撃してくる。ジルは、岩の陰に隠れて攻撃を避けながら、どうすればいいか考える。
そのころ、リステアード、カミラ、ジーク、ロレンスは、無事に敵の追手から逃れ、洞窟でこれからどうするかを考えるが、リステアードは、エリンツィアが裏切ったのであれば、もう味方はいない、ブリュンヒルデも処分されているかもしれないと言う。
一方、馬車で運ばれる牢に囚われたハディス。訪ねてきたエリンツィアは、ハディスが普通の人間として暮らせるよう、ヴィッセルとともにゲオルグを説得するつもりだと話すが、ハディスは、僕は竜帝だ、とそれを断る。
攻撃を避けるジルに黒竜は、女神に魔力を封じられるなど竜妃にあるまじき失態、ラーヴェ様はどこまで甘いのだ、と言うが、それを聞いたジルは、ゲオルグの剣が女神の聖槍から作られたものであることに気づいて高笑いし、陛下を助けに行く、そこをどけ、と黒竜に言い放つ。それを認めない黒竜は再び攻撃するが、ジルは腕を負傷しながら黒竜に一撃を加え、黒竜は倒れる。
ふと横に目をやったジルは、黒い竜の卵があるのに気づく。黒竜は、竜帝が生まれると必ず金目の黒竜の卵が現れる、竜帝の心を栄養分にして育ち、10年もすれば孵るのだが、見てのとおりだ、ラーヴェ様も知っている、卵が孵らぬまま竜帝が死ねばその心が栄養分となり化け物が生まれてしまう、自分が死んだ後も世界を呪うため、竜帝はそれを狙っているのかもしれない、と話す。それを聞いたジルは、卵のもとに向かって卵を優しくなで、大丈夫、私がいます、だから早く生まれてきてくださいね、と語り掛ける。すると、卵が光って動く。それを見た黒竜は、私は妻だ、金目の黒竜には必ず黒竜が番うと決まっている、300年待ち続けていると言い、孵らぬ卵の苛立ちに冷静さを失ったことを謝る。ジルは、一緒に行ってハディスを助けよう、と黒竜に声を掛け、黒竜はジルを背に乗せて飛び立つ。
ハディスが、どうしてジルはお前を殺すななどと言ったのだろうかと言うと、エリンツィアは、姉に裏切られて姉を殺すハディスが可哀そうだからだ、と答える。ハディスが、可哀そうじゃない、私は本気でお前を姉だと思ったことはない、と言うと、エリンツィアは、許されるとは思っていない、だがせめて、自分はジルに殺されるべきなのだろう、お前の姉でいられなかったことの贖罪だ、と口にする。
そして、黒竜に乗ったジルは、カミルたちのもとにやってくる。そしてその後ろには、黒竜が呼んだブリュンヒルデたちも付いてきていた。カミル、リステアード、ジーク、ロレンスと合流したジルは、黒竜に乗ってゲオルグたちの部隊を攻撃する。それを聞いたラーヴェが、黒竜に認められたな、と言うと、ハディスは、当然だ、彼女は竜妃、竜神ラーヴェの祝福を受けた僕の花嫁なのだから、と言う。
ハディスを救出するため、ロレンスの立てた作戦を実行するジルたち。しかし、ハディスを護送する馬車には竜殺しの魔術が掛けられる。エリンツィアと対決するジルだが、刃が折れてしまう。そこにリステアードが助けに入る。しかし、そこにゲオルグがやってくる。ゲオルグは、リステアードを天剣の一撃で弾き飛ばし、ハディスの護送が遅れたのはエリンツィアの悪知恵だろう、本当だったらとっくに帝都に着いているはず、敵の奇襲を許してこのざまだ、とエリンツィアを咎め、リステアードには、ハディスの母親はヴィッセルを産んだ後、護衛だった男と恋仲になっていた、ハディスは兄上の子ではないと告げる。ハディスと自分たちに血のつながりがないことを知ったリステアードは、自分たちは何百年もラーヴェ皇族だと民をだまし続けていたと膝を落とす。しかし、ゲオルグは、国の秩序を守ってきたのは我々のはず、これからも国を守り続ける、と真の竜帝であるハディスを殺そうとしていた。しかし、そこに、牢を打ち破り、不敵に笑うハディスが現れる。
第12話 やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中
<明らかになるラーヴェ皇族の真実。身勝手すぎる人間たちへの怒りを爆発させるハディスに、ジルの声は届かない。「殺してやる……全員だ!」――。憎しみと絶望に満ちたその形相は、ジルが知る未来のハディスと同じで……。>
ラーヴェ皇族の真実を知ったハディスは、呪われいるなんて言われてもいつかきっと分かり合えると思っていた、お前らはみんな薄汚い反逆者じゃないか、と怒りを爆発させる。ゲオルグが天剣で斬りかかっても届かず、ハディスは、処刑されるのは、国や民を理由に僕を亡き者にしようとしているお前らだ、と強大な魔力で威圧する。ジルが止めに入ろうとするが、その声は届かず、殺してやる…全員だ、生まれたことを後悔させてやる、とその威力はさらに増していく。必死のジルが、私が陛下の子どもを10人産みます、子どもをリステアードたちと結婚させれば、義理の息子や娘、それでみんな家族だ、それで完璧じゃないですか、道はきっとある、必ずやり直せる、陛下は私が幸せにすると説得する。
そこに、ラーヴェが姿を変えた天剣が現れる。ゲオルグは、女神の聖槍から作られた自らの天剣を手に、殺してやる、お前さえいなければ、となおもハディスを倒そうとするが、ハディスの天剣に弾かれる。リステアードとエリンツィアは、ハディスは自分たちを皇族として認めようとしてくれている、ハディスを信じるべきだ、自分たちのことばかり考えて先に保身に走ったのは私たちだ、それを許してくれたハディスは立派な皇帝だ、とゲオルグに訴える。孤立無援となって追い詰められたゲオルグ、天剣に身を食われて一つ目の竜のような化け物に姿を変え、竜帝を排除せねばならない、でなければ殺される、とハディスに襲い掛かる。黒竜がそれに立ち向かうが、ゲオルグは城に飛び立っていく。
ハディスは、黒竜にジルとともに民の救助に当たることを命じ、竜帝たる僕が始末をつける、と言って、ラーヴェが姿を変えた天剣を手に、魔力で転移し姿を消す。ゲオルグは帝都にいるフェイリスを見つけて殺そうとするが、そこに姿を現したハディスが立ち向かい、ハディスが放った天剣によって倒される。ハディスは、心配しなくていいよ叔父上、僕はいつかきっと…と心の中で思う。しかし、ゲオルグが手にしていた偽の天剣は、何者かによって持ち去られてしまう。
半月が経っても、まだジルやハディスの魔力は戻らない。魔力を封じていた偽の天剣はゲオルグと一緒に消滅したはずなのに、魔力が戻らないのはおかしい、とカミラたちは疑問に思う。一方のハディスは、ジルが11歳になっていたことを知って、誕生日を一緒に過ごすことができなかったことに激しく落ち込み、その日行われる凱旋パレードをキャンセルしようとするが、ジルが説得して思いとどまらせる。ロレンスがクレイトス王国に帰国するフェイリスの護衛に付いていると聞いたジルは、ラーヴェに頼み、フェイリスたちが帰国する船が出るベイルブルグに転移させてもらう。
ジルは、確かめたいことがあるとラーヴェに言って、見送りいう口実でフェイリスに話しかけ、ゲオルグを化け物にしたのは貴方ですね、魔力封じがまだ解けていないということは、媒体だった偽天剣はまだどこかにあるはず、それをごまかすためにゲオルグと偽天剣が同化した化け物になったように見せかけたのでは、と問う。素敵、正解です、と答えたフェイリスに、さらにジルは、何をしに来たと問う。フェイリスが、自分で正解を仰っていますよ、と答えると、その手に女神の聖槍が現れ、ジルによって海に沈められた聖槍を探すために同じ素材でできた偽天剣が必要だった、ジェラルドによってゲオルグの手の内に運ばれた、それを取り戻しにやってきたが、返せと言って返るものではない、自分から近づいて回収するのが一番早いと考えた、と語る。それを聞いたジルは、お前が敵だということがよく分かった、とラーヴェの天剣をフェイリスに向けるが、フェイリスは全く動じず、せっかく竜妃になったのだから、今度は処刑されないよう気を付けなさいな、と口にする。なぜそれを知っているのかと動揺し、何が目的だ、と問うジルに、フェイリスは、ジェラルドのためにハディスを私のものにすることだ、前は助けられなかった貴方に助ける覚悟はあるのか、竜帝の駒にすぎない貴方に、と言い、さらに、きっと貴方は前にジェラルドを捨てたように自分の意志で竜帝を捨てる、と言い放つ。ジルは、惑わされるな、と自らに言い聞かせ、受けて立つ、陛下は渡さない、また折ってやる、その槍も、お前のすまし顔も、傍迷惑な愛もだ、と言い切るが、フェイリスは微笑みを浮かべたすまし顔を変えず、愛を語る無礼者、出直せ、と聖槍をジルに向けて放つ。ジルは天剣でそれを受け止めるが、その強力な魔力に、持ちこたえられないと判断したラーヴェは、ジルを帝都に転移させ、なに無茶するんだ、と怒る。
そのころ、凱旋パレードを終えたハディスは、民衆に向かって、皇族と三侯の古くから続く婚姻関係を考慮し、ラーヴェ皇族は今の形で維持することになった、竜神ラーヴェに意向であり、竜帝たる私の決定だ、と宣言し、民衆は歓声を上げる。
一方、俺がいたから転移できたが、二度とあんな真似はするな、反省しろ、とジルを叱るラーヴェだが、未来を知っていると聞いた時から分かっていたが、女神と因縁があるみたいだな、ハディスには黙っているつもりだ、と言い、民衆がハディスを歓迎する光景を見ながら、あの光景を作ったのは間違いなくジル、あいつを選んでくれてありがとう、ジルがいる限りハディスはきっと立派な竜帝になるよ、と話す。
堅苦しいセレモニーに、やっぱり僕らしくない、とため息を吐いたハディスは、民衆の前で、11歳になったジルと結婚したことを発表し、民衆はどよめく。そして、やってきたジルを固く抱きしめる。ジルも、民衆の前で、生涯をかけてこの人と幸せになります、と宣言する。
そのころ、竜の巣では、黒竜の卵に割れ目が入り、孵化しようとしていた。
(ここまで)
最終話でのジルとフェイリスの対決は、ジルがラーヴェによって帝都に転移し、フェイリスの前から姿を消すことで途中打切りとなっているので、フェイリスの優勢勝ちといえます。フェイリスが未来の出来事である本来の時間軸でのジルの運命を知っているのかも描かれておらず、伏線が回収されないまま残っているので、ひとまず一段落はする終わり方ではあるものの、続編に含みを持たせていることは明らかでしょう。
本作が完結した時点では、続編の制作の有無については何らアナウンスされていませんが、いずれ第2期の制作決定が発表されるのかもしれません。個人的には楽しみに待ちたいと思います。