鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

雛鮨@西銀座

休日に高級寿司食べ放題が売りの「雛鮨」の西銀座店に行ってみました。

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お店は、丸ノ内線銀座駅の真上、東京高速道路の高架下の西銀座デパートの2階にあります。

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店頭に掲げられているお昼のメニュー。食べ放題のほかに通常のセットメニューもあります。 
11:30の開店と同時に入ったのですが、はとバスの団体さんも入ったりして、店内はすぐに満席に。

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店内のメニュー。やはり売りの食べ放題にしてみます。 

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食べ放題は、この注文票に食べたいネタを書いてスタッフに渡して注文する方式。定番ネタはあらかじめ印刷してあり、1度に20貫まで注文できます。 

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定番のネタのほかに、こうした季節限定のネタもあります。 こちらは注文票の「季節のおすすめ」欄に手書きして注文します。くえは1人当たり1貫限定でした。

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これが限定のくえ。白身ながら濃厚な感じ。 

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左奥から中とろ、恵比寿ぶり2、寒さわら2 、中段は焼サーモンはらす、えんがわ、蒸しかき、秋鮭2、下段は穴子一本にぎり。ぶり、秋鮭は特に良かった。穴子も悪くなかったですが、高級寿司という売り文句に期待した割には、という感じ 。

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上段は炙りいわし2、うに、いくら、いかゲソ、穴子 、下段はたい2、中とろ、あいなめ2。いわしなど光り物は魚臭さ?が苦手で回転寿司ではあまり食べませんが、まあまあの味。あいなめはあまり食べる機会ありませんがコリコリした食感。

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上段はあじ2、中段はあかいか、浜茹でつぶ貝2、きすの昆布〆2、下段は生赤えび、いさき2、まぐろ赤身2。あじといか、いさき、赤身あたりは良かった。

ほかにもう少し食べて、合わせて1人20~25貫くらいでお腹いっぱいになり終了。全体的には満足でしたが、冷静に考えると、食べ放題の料金は税込み4,300円程度なので、1貫当たり200円前後という計算になります。このくらいでは元は取れないのでしょうが、無理して食べても仕方ありませんし・・・

アニメ映画「時をかける少女」

最近になって、週1枚程度ですが、アニメ映画のDVDやBlu-rayを借りて家族で観ることが増えました。
今回観たのは、「時をかける少女」(2006年7月15日(土)公開)。

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以前に書いた「おおかみこどもの雨と雪」細田守監督の長編アニメ映画第2作。 

時をかける少女 [Blu-ray]

時をかける少女 [Blu-ray]

 

時をかける少女」というと、まだ子どものころ、大林宣彦監督、原田知世主演の角川映画(1983年)が話題になったなあ(観てはいませんが…)という印象しかありませんでした。以前テレビで放映されたのをちょっと見かけた時も、ちゃんと観てなかったせいもあってあまり印象に残らなかったのですが、その後、やはりテレビで観た「おおかみこどもの雨と雪」や、その前の監督作品である「サマーウォーズ」が印象深かったので、改めて観てみようとDVDを借りてみました。

大林監督の映画は、筒井康隆の小説「時をかける少女」を映画化した作品だそうですが、この作品は、そのアニメ化ということではなく、続編という位置付けになるのでしょうか、その約20年後を舞台に、大林作品の主人公だった和子の姪に当たる真琴とその友人たちの青春物語で、あらすじは次のような感じです。

主人公の真琴は東京の高校2年生。功介と、春に転校してきた千昭の2人の同級生男子が、一緒にグラウンドでキャッチボールやノックしたりして遊ぶ仲間になっている。
夏のある日、真琴は、下校中の下り坂で自転車のブレーキが故障し、暴走して電車の接近する踏切に突入してしまう。気が付くと、真琴は下り坂の途中にいた少し前の時間に戻っていた。
そのことを彼女が「魔女おばさん」と呼ぶおばの和子に話すと、和子はそれが「タイムリープ」であることを伝える。やがて真琴は、自らの意思でタイムリープをすることができるようになり、味を占めた真琴は、タイムリープを繰り返して、テストで好成績を収めたり、カラオケを何時間も続けたりする。
ある日、功介が後輩の果穂から告白され、真琴はその帰り道に千昭から告白される。告白を受け止めることができない真琴は、タイムリープで何度も戻ってやり直し、告白をなかったことにしてしまう。そんな中、トラブルで怪我をしそうになった千昭をタイムリープを使って救うが、そのせいで巻き込まれた友人の友梨が代わりに怪我をしてしまい、それがきっかけで友梨と千昭と交際することになる。
その後、果穂の思いを知った真琴は、功介との仲を取り持とうと、タイムリープできっかけを作ってあげるが、腕に現れる数字を見て、タイムリープが使えるのは残り1回であることに気付く。その直後、千昭と果穂はブレーキの壊れた自転車を借りて行ってしまう。真琴は走って2人を探すが、千昭から携帯電話でタイムリープしていることを指摘され、思わずタイムリープでその会話をなかったことにしてしまい、真琴のタイムリープ能力は失われてしまう。そのとき、真琴の自転車に乗る功介と果穂が通りかかり、目の前でブレーキが故障し、下り坂を暴走してあの踏切に突入していく。
真琴が気付くと、時間は静止しており、千昭がいた。千昭は、自分が未来から来た人間であること、真琴のタイムリープ能力が自分の持っていたものであること、功介たちを助けるために自分の最後のタイムリープ能力を使ったことを告げ、姿を消す。
しかし、真琴はタイムリープが1度だけ可能になっていることに気付く。千昭がタイムリープをしたことで能力が戻ったと察知した真琴は、千昭を助けるため、あの自転車のブレーキが壊れた日へ最後のタイムリープをする。
真琴は功介と果穂の仲を取り持ち、自分の自転車を使わないように伝え、千昭に会いに行く。千昭にタイムリープ能力が残っていることを確認した真琴は、千昭の秘密を知っていると告げる。未来に戻ることになった千昭は去り際、泣きじゃくる真琴に「未来で待ってる」と言葉を残し、真琴は「すぐ行く、走っていく」と伝える。 

(ここまで)

真琴は、自分を少し前の時間に戻すことができるタイムリープの能力を身に付けると、最初のうちは、家の夕食で鉄板焼きを食べたいがために数日前に戻ったり、カラオケボックスの使用時間終了が迫ると来店時に戻って歌い続けるなど、その能力を傍目には下らないささやかな欲望に浪費していくのですが、やがて、それを使える回数が残り少ないことに気付くと、千昭をトラブルから救ったり、功介と果穂の仲を取り持ったり、周囲の人のためにそれを使うようになります。一方、タイムリープで現実を変化させることにより、別の人に思わぬ影響を与えることにもなります。最初は和子にそれを指摘されてもピンとこなかった真琴も、タイムリープでトラブルを避けたがために別のトラブルが発生するのを目の当たりにしたりして、否応なしに気付かされることになります。こうした経験の中で、真琴は、映画冒頭は、ただのお調子者だったのが、内面的には大きく成長することになります。

言い方を変えると、選択が1つのテーマともいえそうです。真琴は、映画冒頭の頃は、将来の進路、文系コースに進むか理系コースに進むかを決められず、千昭から告白されても受けるか断るか決められず、何度もタイムリープを使って選択を迫られる局面を逃れます。告白されることになる帰り道、千昭ととも功介と別れるY字路、そしてそこに立っている道路標識も、その暗喩のように見えます。しかし、成長する中で、それを乗り越えた真琴は、千昭と別れた映画の最後、「私、やること決まったんだ」と功介に語ります。途中でタイムリープで何度もやり直す過程も、別の道を選んでいくという点で共通すると言うこともできます。

主人公をアクティブでどこかお調子者というキャラクターに設定したことは、こうしたテーマを重苦しくさせずに描く狙いもあったのかもしれません。ちょっとした笑いもありつつ、最後はしんみり、甘酸っぱい気持ちになる、そんな映画でした。 

ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第3・7・8番/ハーゲン弦楽四重奏団

今回は20世紀の弦楽四重奏曲のCDです。 

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ショスタコーヴィチ
1.弦楽四重奏曲 第3番 ヘ長調 op.73 [1946]
2.弦楽四重奏曲 第7番 嬰へ短調 op.108 [1960]
3.弦楽四重奏曲 第8番 ハ短調 op.110 [1960]
ハーゲン弦楽四重奏団
ルーカス・ハーゲン、ライナー・シュミット(ヴァイオリン)ヴェロニカ・ハーゲンヴィオラ)、クレメンス・ハーゲン(チェロ)
(録音:2005年11月、ザルツブルクザルツブルク大学大講堂)

ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第3番・第7番・第8番

ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第3番・第7番・第8番

 

ハーゲン弦楽四重奏団はもとは兄弟4人で結成されたそうですが、その後ヴァイオリンだった1人が抜け、CDなどで世界的に有名になった頃には今のシュミットに替わっていたようです。それにしても、兄弟みんなこんなにレベルの高い弦楽奏者に育てるなんて相当凄いことです。親の努力も相当あったんでしょうね、おそらく。

さて、本盤は、同団のショスタコーヴィチとしては2枚目の録音で、彼の弦楽四重奏曲の中では比較的有名な作品を取り上げたものといえます(なお、1枚目は本盤の10年前の1995年に録音した4・11・14番ですが、そちらは未聴です)。

ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲は、数は交響曲と同じ15曲であるものの、若くから書かれた交響曲とは異なり、第二次大戦後、特に1960年代以降の晩年に多く書かれています。作品番号(作曲年)でいうと、第1番も作曲されたのは交響曲第5番の後で、第3番は交響曲第9番の直後、第7・8番は交響曲第12番の直前に当たります。

第3番は、次の5楽章からなります。

1.Allegretto(ヘ長調
朗らかに始まり、全体的にも陽気な装いの曲ですが、少し進むとちょっと茶化したようなユーモアが混じってきて、一筋縄ではいかない感じの曲。直前の交響曲第9番の1楽章との共通点も感じさせます。

2.Moderato con moto(ホ短調
3拍子で突き進むヴィオラの分散和音の上で奏されるヴァイオリンの力強い旋律に始まり、途中は、甲高いスピッカートとグリッサンドが印象的。

3.Allegro non troppo(嬰ト短調
激しく叩きつけるようなトゥッティの和音に始まり、2拍子と3拍子が入り混じる激しいスケルツォ交響曲第8番の3楽章と曲調は違いますが、軍隊を思い起こさせる点は共通します。

4.Adagio(嬰ハ短調
冒頭にユニゾンで強奏される主題を繰り返しながら緊張を高め、そして静まっていくパッサカリア

5.Moderato(ヘ長調
ロンド・ソナタといえばいいのでしょうか、再び長調に戻ってきますが、1楽章のような軽快さはなく、より柔和になった感じです。途中、突如として緊張が高まり、4楽章のテーマをヴィオラとチェロがffで奏しますが、再び静まり、静かに終わります。

3~5楽章をはじめ、交響曲第8番との共通点が多く、両端の楽章は長調でありながら、悲劇的な深い音楽。

第7番は、次の3楽章からなりますが、全体がアタッカで演奏されます。

1.Allegretto(嬰へ短調
転げ落ちるようなヴァイオリンに始まるスタッカート主体の曲。

2.Lento(ニ短調
2番ヴァイオリンの分散和音の上で1番ヴァイオリンが高音域で静かに歌う短い楽章。夜想曲という印象を受けます。

3.Allegro(嬰へ短調
速く、激しいフーガに始まり、クライマックスで1楽章冒頭の転げ落ちるメロディが突然出てくると、フーガ主題の変奏のようなワルツに変わり、最後は嬰ヘ長調の和音で静かに終わります。

第8番は、ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲では最も有名な曲ではないかと思います。後にルドルフ・バルシャイによって弦楽合奏に編曲され、「室内交響曲」(op.110a)として演奏されています。
ファシズムと戦争の犠牲者の思い出に捧ぐ」とされ、たった3日間で一気に書き上げられたといわれます。交響曲第10番の3・4楽章に出てくる、ショスタコーヴィチのイニシャルと言わるれD-S(Es)-C-H(ドイツ語読みの場合)のモチーフが全体を通じたテーマとして、各楽章に出てきます。この曲も、全体がアタッカで演奏されますが、次の5楽章からなります。

1.Largo(ハ短調
チェロが弱奏するDSCHモチーフに始まり、フーガの形で発展した後、ヴァイオリンが半音階的に動くメロディが始まりますが、節目節目にDSCHモチーフが出てきます。最後に静まったと思ったところで、ユニゾンロングトーンが猛烈にクレッシェンドして、2楽章になだれ込みます。

2.Allegro molto(嬰ト短調
激しく打ち込まれる和声と絶え間なく動き続ける4分音符の細かい動きが強烈な、緊張度の高いスケルツォ。描き方は違えど第3番の3楽章に共通するものがあります。
「4分音符の細かい動き」と書きましたが、実際に聴くと16分音符のように聞こえます。それもそのはず、楽章冒頭のスコアを見てください。

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2/2拍子ですが、全音符=120という尋常ではない速いテンポが指定されています。結果、耳で聴くと1小節が1拍の4拍子のように聞こえることになります。上で引用したのは冒頭の18小節ですが、これをたった9秒ほどで通り過ぎることになります。
この激しい動きの中で次第に音程を高めていき、緊張が極限に高まると、1番ヴァイオリンとヴィオラが激情的なメロディを歌う下で、2番ヴァイオリンとチェロが4分音符の3連符(=1小節に6音)で飛躍の大きい分散和音を弾くクライマックスに達します。ここでもDSCHモチーフが効果的に出現します。後半は圧縮された形で前半のテーマが繰り返され、2度目のクライマックスの途中で突然音楽が断ち切られ、3楽章に移ります。

3.Allegretto(ト短調
一瞬の間隙の後、ヴァイオリンが変形されたDSCHモチーフを高音で強奏し、それを受けたヴィオラが音域を下げながら緊張を和らげて、主部に入ります。スタッカートが主体のDSCHモチーフを奏する主部に入ります。軽やかでありながら、寂寥感の漂う楽章です。

4.Largo(嬰ハ短調
「タ・タ・タ」と打ち込まれる和音の強奏で始まり、途中では力強いメロディがトゥッティで奏されます。これまで表出を禁じられていた熱い思いを顕わにしたような曲。

5.Largo(ハ短調
1楽章と同様に、チェロがDSCHモチーフを奏し、順次他の楽器も重なってくるフーガ風の動きで始まりますが、やがて1楽章と違う形で発展していき、心揺さぶられるようなクライマックスを迎え、最後は静かに曲を閉じます。

ハーゲン弦楽四重奏団の演奏は、表現主義的といっていいのでしょうか、個々の音が短めでパキパキと鋭いということではなく、むしろ音自体は気持ち長めなのかもしれませんが、ショスタコーヴィチの音楽の持つ鋭利さを際立たせるかのような表現が印象に残ります。

手元にある他の演奏と比べてみました。

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ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲全集、ピアノ五重奏曲op.57、弦楽八重奏のための2つの小品op.11
ボロディン弦楽四重奏団スヴャトスラフ・リヒテル(Pf:op.57)、プロコフィエフ弦楽四重奏団(op.11)(録音:1978年~1983年、1968年(op.11))

ボロディン弦楽四重奏団の演奏は、ハーゲンの演奏と比べ、個々の音の立ち上がりなどより鋭いですが、表現自体は、より素直な感じがします。といっても、大人しい演奏ということでは全くなく、楽譜を素直に音にすることで、もともと曲が持っている鋭利さ、悲劇性といったものが自ずと身に迫ってくるような演奏で、個人的には、聴き慣れていることもあって、こちらの方が好み。

こちらの全集版は既に廃盤のようですが、上記の3曲を含めた選集であれば、まだ入手が可能なようです。