鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

新型コロナ⑧

緊急事態宣言が5月25日に全面的に解除されてから25日ほどが過ぎました。一時よりも新規感染者数は増えているように思いますが、1日50人を超えるような日は少なくなっており、今のところ急激な再拡大の兆しはみられていません。19日には首都圏でも県境をまたぐ移動の自粛要請が解除、休業要請もほとんどが解除され、プロ野球も3か月遅れで開幕するなど、新型コロナウイルスとの共存ともいうべき新たな段階に入ってきた印象を受けます。

ただ、諸外国の動向をみると、前回書いた6月6日までの後も、中南米や南アジア、中東などでは拡大が続いており、感染者の増加ペースは、むしろ5月よりも大きくなっています。

  • 6月7日(日):国内の新規感染者数が38人、累計感染者数が17,174人に。世界全体の死亡者数が40万人を、アメリカの死亡者数が11万人を、サウジアラビアの感染者数が10万人を、アフガニスタンの感染者数が2万人を超える。

  • 6月8日(月):国内の新規感染者数が21人、累計感染者数が17,210人に。世界全体の感染者数が700万人を、ブラジルの感染者数が70万人を、インドの感染者数が25万人を、パキスタンの感染者数が10万人を、カタールの感染者数が7万人を、南アフリカの感染者数が5万人を、ドミニカ共和国の感染者数が2万人を超える。政府が二次補正予算を国会に提出。

  • 6月9日(火):国内の新規感染者数が45人、累計感染者数が17,251人に。ペルーの感染者数が20万人を、バングラデシュの感染者数が7万人を、ベラルーシの感染者数が5万人を、ガーナ・モルドバの感染者数が1万人を超える。

  • 6月10日(水):国内の新規感染者数が38人、累計感染者数が17,292人に。高野連が春の選抜高校野球の出場予定校32校を招待して甲子園で8月に交流試合を開催することを発表。

  • 6月11日(木):国内の新規感染者数が41人、累計感染者数が17,332人に。アメリカの感染者数が200万人を、ブラジルの感染者数が80万人、死亡者数が4万人を、ロシアの感染者数が50万人を、イランの感染者数が18万人を、チリの感染者数が15万人を超える。東京都が2日に発動した独自の「東京アラート」を解除し、12日から休業要請緩和の「ステップ3」に移行することを決定。

  • 6月12日(金):国内の新規感染者数が62人、累計感染者数が17,382人に。二次補正予算が成立。世界全体の感染者数が750万人を、ウクライナの感染者数が3万人を、オマーンの感染者数が2万人を超える。

  • 6月13日(土):国内の新規感染者数が46人、累計感染者数が17,429人に。インドの感染者数が30万人を、スウェーデンの感染者数が5万人を超える。

  • 6月14日(日):国内の新規感染者数が76人、累計感染者数が17,502人に。南アフリカの感染者数が7万人を、イラクの感染者数が2万人を、チェコの感染者数が1万人を超える。スペインが21日からのEU域内向けの国境開放を発表。

  • 6月15日(月):国内の新規感染者数が72人、累計感染者数が17,569人に。アメリカの感染者数が210万人を、メキシコの感染者数が15万人を、コロンビアの感染者数が5万人を、グアテマラアゼルバイジャンの感染者数が1万人を超える。宝塚歌劇が7月17日からの公演再開を発表。来年2月開催予定だった米アカデミー賞授賞式が約2か月延期に。

  • 6月16日(火):国内の新規感染者数が44人、累計感染者数が17,628人に。世界全体の感染者数が800万人を、ブラジルの感染者数が90万人を、チリ・トルコの感染者数が18万人を、ポーランドの感染者数が3万人を超える。埼玉県が休業要請を17日に全面解除することを発表。

  • 6月17日(水):国内の新規感染者数が46人、累計感染者数が17,668人に。世界全体の1日の新規感染者数が18万人を、インドの感染者数が35万人を、チリの感染者数が20万人を、パキスタンの感染者数が15万人を、インドの死亡者数が1万人を超える。千葉県が休業要請を19日に全面解除することを発表。

  • 6月18日(木):国内の新規感染者数が71人、累計感染者数が17,740人に。世界全体の死亡者数が45万人を、イギリスの感染者数が30万人を、バングラデシュ・カナダの感染者数が10万人を、エジプトの感染者数が5万人を、ボリビアバーレーンイスラエルの感染者数が2万人を、ホンジュラスの感染者数が1万人を超える。政府が19日から首都圏などを含む県をまたぐ移動の自粛要請の全面解除など制限を緩和することを決定。東京都・神奈川県も19日から休業要請を全面解除することを発表。

  • 6月19日(金):国内の新規感染者数が57人、累計感染者数が17,799人に。世界全体の感染者数が850万人を、アメリカの感染者数が220万人を、ブラジルの感染者数が100万人を、イランの感染者数が20万人を、サウジアラビアの感染者数が15万人を、カメルーンの感染者数が1万人を、メキシコの死亡者数が2万人を超える。政府が接触確認アプリをリリースし運用を開始。プロ野球のセ・パ両リーグが無観客で開幕。

  • 6月20日(土):国内の新規感染者数が65人、累計感染者数が17,864人に。ペルーの感染者数が25万人を超える。

 (注)感染者数などのデータは、基本的に翌日発表の厚生労働省資料に基づいています。

 

全国的に移動自粛の要請が解除されたことで、この週末は、これまでよりもさらに人出が増えてきているようです。

19日にリリースされた接触確認アプリを早速インストールしてみたのですが、調べてみると、接触記録はそれぞれのスマホの中に保存されるだけで、サーバでは各ユーザーの位置情報や接触記録は全く扱わない仕組みになっているようです。諸外国で導入されているアプリの詳細は知りませんが、ニュースで聞く限りではもっと監視っぽい印象もあったので、日本のアプリは、ナーバスすぎるくらいに個人情報の保護に気を使っているなあと個人的には思います。役所への不信感が強い日本のお国柄もあるのでしょう、不安をあおるようなニュースも一部にはありますが、これからしばらくは、新型コロナウイルスと共存しながら経済活動を行っていくことになるので、このアプリが広く使われるようになってほしいなあと思います。

アニメ映画「劇場版 響け!ユーフォニアム」3作品を観る

新型コロナウイルス感染症の拡大により4月8日から緊急事態宣言が発令され、映画館も臨時休業を余儀なくされていましたが、5月25日に緊急事態宣言が全面的に解除されて以降、首都圏でも営業再開の動きが広がり、6月最初の週末には、ほとんどの映画館で営業が再開されるようになりました。

多くの作品が公開延期となっていることもあって、旧作の再上映も多くなっていますが、イオンシネマで「劇場版 響け!ユーフォニアム」の再上映が始まると知って、休校期間中に配信でテレビアニメシリーズを見て「響け!ユーフォニアム」がかなり気に入ったらしい子どもを連れて、週末にイオンシネマ千葉ニュータウンに行ってみました。

スクリーンで映画を観るのは、およそ3か月ぶり。

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「特別ラインナップ」と題して、大ヒットした作品を中心に、いろんな作品が再上映されています。「響け!ユーフォニアム」の劇場版3作品は、6月12日(金)から2週間の上映です。

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この日の上映スケジュール。上映作品の半分以上が旧作の再上映です。

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ロビーの入口には、スタッフが待機していて、来るお客さんに手のアルコール消毒をしてもらった後、サーモグラフィーによる検温を行った上で、ロビーの中に入れる形になっていました。

ロビーに入り、インターネットで予約していたチケットを発券して入場。なお、スクリーンの座席は、1席ずつ間を開けて座る形になっていましたし、トイレの便器やシンクも1台おきに使用停止としていたり、密接回避の対策がかなり念入りにとられていました。

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上映は、この映画館では最大、366+2席のスクリーン4です。

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最初は、劇場版第1作の「劇場版 響け!ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~」(2016年4月23日(土)公開)。スクリーンに入ると、私たちを含めて、お客さんは10人ほどで、閑散としています。営業を再開したとはいえ、まだまだ客足は戻っていないのでしょう。そういえば、ロビーのスタッフもかなり少なめのようでした。

テレビアニメの第1シリーズは以前に見ていましたし、その原作である武田綾乃さんの小説「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」も読んでいますが、この劇場版を観るのは初めて。監督:石原立也、脚本:花田十輝など、主要スタッフはテレビアニメシリーズと共通です。

テレビアニメ第1シリーズの内容を比較的忠実にまとめた総集編という感じで、劇場版オリジナルのシーンはほとんどないように思えましたが、それでも、映画館の大画面&音響で観ると、また新鮮な感じがしました。

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35分ほどのインターバルの後、同じスクリーン4で「劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~」(2017年9月30日(土)公開)を観ます。この回は、お客さんが少なく、私たちのほかは、1人しかお客さんがいませんでした。

こちらは、以前にDVDで家で観たことがありますが、スクリーンでは初めて。本作では、総監督:石原立也、監督:小川太一と、テレビシリーズとは少しスタッフに変化があります。

テレビアニメの第2シリーズの総集編的な立ち位置の作品ですが、映画の本編は関西大会の当日から始まり、基本的には関西大会後全国大会までの描写がメインなので、テレビアニメ第2シリーズとの関係でいうと、おおむね第5話以降の部分が中心、原作小説との関係でいうと、第2作の「響け! ユーフォニアム2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏」で描かれた部分はおおむねカットされており、第3作の「響け! ユーフォニアム3 北宇治高校吹奏楽部、最大の危機」で描かれた部分がほとんどになっています。

こちらは、テレビアニメシリーズを素直に総集編にしたということではなく、ユーフォニアム1年生の主人公・黄前久美子と、同じパートの3年生で副部長の田中あすかとの関係に焦点を当てて描かれています。冒頭の田中あすかの小学生時代のシーンや、関西大会での課題曲の演奏シーン、全国大会での自由曲の演奏シーンなど、劇場版オリジナルのシーンもけっこうあるので、テレビアニメ第2シリーズとはまた違う印象です。劇場版第1作では、コンクール本番の演奏シーンは抜粋でしたが、本作では冒頭に関西大会での課題曲の演奏が、終盤に全国大会での自由曲の演奏が、それぞれカットなしで全曲聴けるので、映画館の音響で観るのはまたひとしおでした。

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さらに30分ほどのインターバルの後、三度同じスクリーン4で、最新作の「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」(2019年4月19日(金)公開)を鑑賞。この回は、私たちを含めて5人ほどのお客さんでした。

本作は、主人公の黄前久美子が2年生となった春から関西大会が終わる夏までを描いており、原作小説の関係でいうと「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」(前編・後編)に当たります。

この作品は、私自身は昨年何度もスクリーンで観ていますし、このブログでも紹介しているので、内容はもはや書きませんが、第1作・第2作から続けて観ると、またすこし印象が違って見えるところもあり、また、テレビアニメの総集編ではない劇場オリジナルということもあって、作画が前2作よりさらに繊細になっていることが分かりました。テレビアニメシリーズでも十分すごい作画なのですが、より細かいところまで意識されている感じがありました。

本作が終わるころには、第1作を見始めてから6時間半以上が経っていました。うち1時間半ほどは、インターバルや予告編だったわけですが、それを除いても5時間くらいずっと「響け!ユーフォニアム」の世界に浸っていた計算になります。劇場版を観るのは初めてな子どもも、かなり満足した様子で、特に、テレビアニメシリーズの後を描いた「誓いのフィナーレ」が面白かったようでした。

初野晴「退出ゲーム」

初野晴さんの小説「退出ゲーム」を読んでみました。 その紹介と感想です。

退出ゲーム (角川文庫)

退出ゲーム (角川文庫)

  • 作者:初野 晴
  • 発売日: 2010/07/24
  • メディア: 文庫
 

テレビアニメ「ハルチカハルタとチカは青春する~」を見ていました。その原作となる〈ハルチカ〉シリーズの第1作ということで、手に取ってみた作品。

角川文庫サイトには、次のような紹介文が掲載されています。

【廃部寸前の弱小吹奏楽部で、吹奏楽の甲子園普門館」を目指す、幼なじみ同士のチカとハルタ。だが、さまざまな謎が持ち上がり……各界の絶賛を浴びた青春ミステリの決定版、”ハルチカ”シリーズ第1弾!】

 

作品は、次の4編から構成されています。ネタバレになりますが、各編のおおまかなあらすじを紹介します。

 

結晶泥棒

清水南高校で、文化祭を目前に、化学部が持っていた劇薬の硫酸銅の結晶が盗まれる。見つからなければ文化祭の中止に追い込まれる危機に、文化祭実行委員でもあるチカ(穂村千夏)は、あるトラブルが原因で家に引きこもっていたハルタ(上条春太)を引きずり出し、ハルタはその謎を解決する。それは、予算が少ない中で部活動に打ち込む文化部の生徒の思いから起きたことだった。

本編は、シリーズの導入に当たる部分ですが、テレビアニメ「ハルチカ」の第1話「メロディアスな暗号」とは全く別の話になっています。

クロスキューブ

オーボエの経験者で中学時代に全国大会にも行っている同じ1年生の成島美代子を吹奏楽部に入れようと、チカとハルタは熱心に勧誘するが、美代子は冷たく拒む。美代子は全国大会の日に病気の弟が急変して亡くなったことで、自分を責め、オーボエを止めていた。ハルタたちは美代子の弟が残した全面が白のルービックキューブの謎に挑む。そこには弟から美代子へのメッセージが込められていた。

本編は、テレビアニメ「ハルチカ」の第2話「クロスキューブ」に当たる部分になっています。

退出ゲーム

ハルタたちは、サックスの経験者の中国系アメリカ人のマレン・セイを入部させようとするが、マレンは既に演劇部に幽霊部員として入部していた。マレンをめぐって、演劇部と吹奏楽部は、特定のメンバーをステージから退出させたら勝ち、という即興劇で対決する。

本編は、テレビアニメ版「ハルチカ」の第3話「退出ゲーム」に当たる部分になっています。

エレファンツ・ブレス

萩本兄弟の発明部が販売した「オモイデマクラ」を回収しようとする生徒会長の日野原秀一を手伝うことになったチカ。その購入者の1人は、春に清水南高校に入学してくるバストロンボーン吹きの後藤朱里で、かつて愛する祖母を見捨ててアメリカに行ったが、当時の記憶を失っている祖父が見たという「エレファンツ・ブレス」を思い出させて謝らせようという。ハルタたちは、祖父の断片的な記憶と、当時の出来事などから真相を推理する。それは、祖父がアメリカで不条理に遭遇した壮絶なものだった。

本編は、テレビアニメ「ハルチカ」の第5話「エレファンツ・ブレス」に当たる部分になっていますが、アニメには前半の「オモイデマクラ」の部分は描かれていません。

 

(ここまで)

文庫版の表紙は、ホルンを吹く高校生なので、ハルタこと上条春太ということですね。

これまで読んだ日常系ミステリーとしては、米澤穂信氷菓」や三上延ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズがありました。それらと比べると、吹奏楽部を舞台としていることもあって、青春ものという感じが強く出ています。ノリのいい会話などテンポのいい文体で、謎の設定もやや日常から離れた部分があって、ラノベっぽいと言うと怒られるかもしれませんが、同じく高校1年生が主人公になっている「氷菓」とはかなりテイストが違っています。でも、これはこれで面白いところ。続きも読んでみようと思います。