鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

カンパーニャ本店@取手

休日の昼、取手のカンパーニャ本店でお昼を食べました。


お店は、取手駅西口を出て、国道6号線を越えて「常総ふれあい道路」を直進し、3kmちょっと先、江戸川学園取手小学校のすぐそばにあります。車でないと行きにくい場所だと思います。

このお店は3回目だと思います。前回来たのが2022年の秋だったので、およそ1年半ぶりの訪問です。


店頭の営業時間などの案内。

店頭には、以前と同じくグランドメニューが掲示されていました。


耳の薄いローマピッツァ。


パスタとリゾット。


ドリア・グラタンと肉料理。


耳の厚いナポリピッツァ。

店内のメニューには、これらのほかに、サラダ、前菜、デザート、ドリンクなどのページもありました。

この日は12時30分ちょっと前に着きましたが、たまたま運が良かったのか、他に入店待ちのお客さんはおらず、5分も待たずに席に案内されました。


タッチパネルで注文する方式に変わっていました。


この日のおすすめメニュー。


注文して15分ほどして、漁師風(1,749円)大盛り(+330円)が到着。前回来たときより1割ちょっと値段が上がっている感じです。トマトの風味に魚介のダシも効いていて、なかなか美味しかったです。


連れが注文したスモークサーモンとオニオンのピッツァ(1,639円)のナポリ(+330円)。


サーモンのクリームパスタ(1,639円)。ちょっと味見しましたが、かなりクリームの風味が強く、個人的にはあまり好みではありませんでした。


サラダピッツァ(1,639円)。こちらは生地が薄いローマピッツァ。かなり野菜がたっぷりです。


渡り蟹のトマトクリームパスタ(1,749円)大盛り(+330円)。最初はクリームの風味がかなり強いですが、後から蟹の風味がやってくる感じでした。

単品のパスタもほとんどが1,500円を超えるので、値段的にはちょっと高めです。以前に来たときよりも混雑していなかったのは、全体に値段が上がったからかもしれませんが、味は以前と変わらず良かったと思います。


薪窯焼き田舎ピッツァとパスタ カンパーニャ 本店
茨城県取手市野々井1582-3(Tel:0297-78-7689)
営業時間:11:00 ~15:00(ラストオーダー14:30)/17:00 ~ 21:00(ラストオーダー20:00)
定休日:火曜日・水曜日

町田そのこ「52ヘルツのクジラたち」

町田そのこ「52ヘルツのクジラたち」を読みました。

前に、本作を原作に実写映画化した同タイトルの映画を観て、なかなか良かったので、原作も読んでみようと思い、手に取ってみた作品。

reiherbahnhof.hatenablog.com

本作は、書き下ろしで2020年4月に単行本が刊行され、2021年の本屋大賞を受賞した作品で、2023年5月に文庫本化されています。

 

文庫本の背表紙には、次のような紹介文が記されています。

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52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。そのためこの世で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴湖(きこ)と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、魂の物語が生まれる。

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主な登場人物は、次のとおりです。

  • 三島 貴瑚(みしま きこ)大分県の海辺の町の祖母の住んでいた家に移住してきた26歳の女性。実母と義父から虐待を受け、高校卒業後はALSとなった義父の介護を押し付けられ、疲弊していた21歳のときに岡田安吾に出会う。安吾からは「キナコ」と呼ばれていた。

  • 少年【52/愛(いとし)】:貴瑚が移住した町で出会った13歳の少年。母親から「ムシ」と呼ばれ虐待を受け、言葉を話せなくなっていた。貴瑚からは「52」と呼ばれる。

  • 岡田 安吾(おかだ あんご):通称「アンさん」。学習塾で小学生に算数を教える美晴の職場の先輩で、貴湖に親身に接し貴瑚を救う。トランスジェンダーで、本名は杏子(あんず)

  • 牧岡 美晴(まきおか みはる):貴瑚の高校時代からの友人。学習塾で経理として働いている。

  • 村中 眞帆(むらなか まほろ:貴瑚が移住してきた家を修理にきた職人の男性。貴湖に惹かれている。

  • 新名 主税(にいな ちから):貴瑚が勤めていた会社の専務。貴湖と恋人の関係になり、貴湖を束縛するようになるが、別に婚約者がいた。

  • 琴美(ことみ):少年の母。定食屋「めし処よし屋」でパートで働いている。

  • 品城(しなぎ):琴美の父で、少年の祖父。老人会会長。かつて村中が通った中学校の校長先生だった。

  • サチゑ:村中の祖母。貴瑚の祖母を知る人物。

  • 生島 昌子(いくしま まさこ):琴美の母。品城と離婚して、今は別府で暮らしている。

  • 生島 秀治(いくしま しゅうじ):昌子の再婚相手。
  • 末長 真紀子(すえなが まきこ):少年の父方の祖母。

  • 末長 千穂(すえなが ちほ):少年の叔母。交通事故で亡くなる。

  • 武彦(たけひこ):少年の父で千穂の兄。働きもせず女遊びばかりしていた。

  • 美音子(みねこ):美晴の友人で、実家を出た貴瑚が1年ほどルームシェアをした女性。

  • 藤江(ふじえ):真紀子の家の近くに住んでいるおばあさん。

  • (たくみ):美晴の恋人。学習塾近くの美容室で働く。

  • 真樹:貴湖の異父弟。両親から溺愛を受ける。

  • ケンタ:村中の部下。

 

本編は、次の8章で構成されています。

1 最果ての街に雨

3週間ほど前から、大分の海沿いの町の祖母がかつて暮らした家に住み始めた貴瑚は、部屋の床板が腐って家の修繕を依頼した業者の村中から、町のばあさんたちから、東京から逃げて来た風俗嬢だと噂されていると聞かされる。気分が悪くなって修繕が終わるまで外に出た貴湖は、アンさんのことを思い浮かべる。雨が降り出し、雨宿りしていると、中学生くらいの女の子を見かける。

雨が降り出して5日が過ぎ、買い物に出かけた貴湖は、その帰り、かつて包丁が突き刺さったお腹の傷が刺すように痛み、雨の中座り込んでしまう。そこに、前に見かけた女の子が傘を差しかけてくれる。その子を半ば無理やり家に連れ帰り、風呂に入れようとしてTシャツを脱がせると、その子は少年で、身体には痣があり、貴湖は虐待を確信するが、少年は逃げ出してしまう。

2 夜空に溶ける声

少年がいないかと思って朝にラジオ体操をする集団を見に行った貴湖は、老人会の会長の品城と会うが、一刻も早く仕事を見つけなさい、と嫌味を言われ、その場を後にする。その日の午後、家を村中が訪ねてきて、祖父のアルバムにあった貴湖の祖母の写真をくれる。村中に少年のことを尋ねると、高校を中退していなくなって、数か月前に子連れで戻ってきた中学の同級生の琴美の子どもではないか、障害があって喋れない、と話す。

幼い頃の夢を見た貴湖は、この家を自分名義にするために何年かぶりに母親と会ったからではないかと思い、自分を救ってくれたアンさんのことを思い出す。祈るように、アンさん、と繰り返し呼び涙する貴湖。

そこに、少年が訪ねてくる。家には入りたがらない少年に、貴湖は縁側で一緒にカレーを食べる。その様子を見て、ご飯を与えられていないのではないか、祖父の品城が暴力を振るっているかもしれず、喋れない少年は誰にも助けを求められない、と考える。それから少年は毎日訪ねてくるようになる。

貴湖が村中に連れられて定食屋に行くと、琴美がそこで働いていた。貴湖は、小学校4年生のとき自分の服にアイロンがかけられてないことを担任教師から指摘された母親から迷惑をかけられたと殴られ、食事を与えられなくなったことを思い出し、少年を救うためにどうすればいいのか考える。

やってきた少年にMP3プレーヤーで52ヘルツのクジラの声を聴かせ、そのクジラの話をすると、少年は、聞きながら全身を震わせ涙する。母親から「ムシ」と呼ばれ、本名が分からない少年を、貴湖は「52」と呼ぶことにする。

3 ドアの向こうの世界

貴瑚が高校3年生のとき、養父がALSを発症して、交通事故で右足を切断し、貴湖は内定が出ていた製菓会社に勤めることなく、養父の介護に明け暮れる日々が始まる。3年が過ぎ、嚥下機能が低下した養父が、誤嚥性肺炎で入院することになると、母親は、貴湖を殴り、あの人じゃなく、こいつが病気になればよかった。こいつが死ねばいいのに、と罵る。絶望した貴湖がうつろな表情で街をふらふら歩いていると、貴湖を見つけた牧岡美晴が声をかける。美晴は同僚の岡田安吾と貴湖を飲みに連れて行き、事情を聞く。事情を聞いた安吾(アンさん)は、呪いから抜け出す方法を考えよう、新しい人生にいこう、と励ます。

美晴の部屋に泊まった翌日、アンさんは介護サービスの資料を持ってやってきて、家族から離れるべきだと忠告する。アンさんは、病院や行政をまわって父の今後について相談した後、貴湖と一緒に実家に帰り、母親にもう介護はできないと通告する。荷物を持って実家を出た貴湖は、涙が溢れ、嗚咽が漏れる。母親に愛されたかった思いを吐き出す貴湖に、アンさんは、貴湖を抱きしめ、第二の人生ではキナコは魂の番(つがい)と会うよ、キナコはしあわせになれる、それまではぼくが守ってあげる、と言い、その言葉に、貴湖の心は温かくなっていった。

4 再会と懺悔

少年と筆談して、暴力を振るっているのは母親の琴美で、祖父の品城は見て見ぬふりをしていること、学校にも行っていないことを知った貴湖は、定食屋に行って琴美から話を聞こうとするが、自分こそ被害者だと思っている、足手まといになるばかりの子どもなんていらない、と平然と言い放つ琴美に、当面自分が世話する、と告げて後にする。

家に帰った貴湖は、少年からどうして52ヘルツのクジラを知ったのか聞かれ、実家を出た直後、自分をうまくコントロールできなかった時期に、ルームシェアをしていた美音子ちゃんがくれたこと、今でも眠れない晩や寂しくて死にそうな時には聴いていることを話す。少年は、父親の妹のちほちゃんに会いたいとノートに書き、貴湖はその人を探しに行くことを決める。

そのとき、黙って姿を消した貴湖を探して実家で居場所を聞き出した美晴が訪ねてくる。美晴は、貴湖の頬を叩いて思いのたけをぶちまけた後、仕事を辞めたと明かし、納得できるまで一緒に暮らすと言う。貴湖から少年のことを聞いた美晴は、警察に通報した方がいい、誘拐されたと騒いだら貴湖が不利になる、と言い、警察に渡して終わりにはできないと言う貴湖に、5日間だけなら黙っている、その間に行き先をどうにかして、無駄に時間を過ごすことは貴湖にも少年にも意味がない、と告げる。

少年が書いた地名を手掛かりに、小倉にやってきた3人は、少年の父方の祖母の家を見つけるが、誰も住んでいなかった。そこに声を掛けた隣人のおばちゃん・藤江は、叔母の千穂が前年に交通事故で亡くなり、祖母の真紀子もさらにその前年に病気で亡くなったこと、少年の父親・武彦は女遊びばかりして少年が2歳のときに帰ってこなくなったこと、琴美も最初は仲が良かったが、水商売に行ってから滅多に家に帰ってこなくなり、真紀子と千穂が少年を育てていたこと、少年が3歳のときに初めて発した言葉が「ばあば」だったことに腹を立てた琴美が煙草の火を舌に押し付けたことで少年がしゃべれなくなったこと、少年の名は愛(いとし)であることなどを話し、真紀子、千穂と少年が映った写真を渡してくれる。

ホテルに戻ると、美晴は、アンさんが亡くなっていたこと知ってた?と貴湖に問う。貴湖は、美晴はこれを訊くために自分に会いに来たのだと悟り、知ってた、発見したのは自分だから、と話し始める。

5 償えない過ち

実家を出て3年ほど経ち、電子部品をハンダ付けする工場の工員として働いていた貴湖は、社長の息子で専務の新名主税と出会い、食事に誘われるようになる。次第に関係は深まり、やがて体を重ねる関係となる。貴湖は初めての恋に幸福感を感じるが、新名はアンさんと一度会って男性だったと知ると、敵愾心を露わにし、別れた後、貴湖にあまり会わないよう求める。

アンさんも、それをきっかけに貴湖を避けるようになっていたが、久しぶりに貴湖に電話をすると、新名はキナコを泣かせるかもしれない、と言う。貴湖が、新名はいいひとだと言うと、アンさんは一方的に通話を終え、それ以来、連絡が取れなくなってしまう。しばらくして、アンさんが勤めていた学習塾を辞め、住んでいたマンションも引き払っていたことがわかる。

そして貴湖は、新名が社長の知り合いの娘と婚約しているという噂を聞く。頭が真っ白になって部屋で呆然とする貴湖に、やってきた新名は愛人となることを求め、貴湖は数日考えるが、新名を失いたくない思いから、それを受け入れ、新名が用意した部屋に引っ越す。

しかし、新名の父親に、アンさんから新名と貴湖の関係を暴露する手紙が届く。新名はアンさんを警戒して、貴湖に部屋から出ないよう指示する。

6 届かぬ声の行方

そこまで話したところで、52ヘルツのクジラの声を聴いていた少年がくしゃみをする。貴湖たちは話を中断し、街に出て、藤江が渡してくれた写真に写っていた観覧車に3人で乗り、豪勢に飲み食いする。

ホテルに戻って少年が寝入った後、美晴の求めで、貴湖は昼間の話の続きをする。

初対面で新名を良く思わなかったアンさんはおそらく新名の周囲を調べ、婚約者がいることを知ったのだろう。望む反応が得られなかったアンさんは、会社宛てに、さらに婚約者側にも同様の手紙を送り、父親である社長はいったん別れろと新名を怒鳴りつけるが、新名は別れようとはしなかった。そして、興信所にアンさんを調べさせ、アンさんがトランスジェンダーであることを掴んだ新名は、アンさんの母親に連絡をとり、それを明かしてアンさんを諫めるよう要求する。新名は、別れないことに腹を立てた父親によって現場の仕事に回されるが、それでも新名が別れようとしなかったのは、アンさんに対する憎しみが大きかった。軟禁状態になっていた貴湖が気晴らしに出かけたいと言うと、新名は貴湖の頬を殴り、ひとが変わってしまった新名とは別れなければいけないと感じる。

新名が鞄に入れていた興信所の調査結果から、アンさんの住所を把握した貴湖は、新名の仕事中にこっそりアンさんに会い行くと、上京していたアンさんの母親とばったり会う。今日一緒に長崎に帰ることになっていると言う母親が部屋に入り、貴湖もその後に部屋に入るが、母親が浴室で血を流して亡くなっているアンさんを発見する。

部屋には、母親宛てと新名宛ての2通の遺書が残されていた。母親宛ての遺書にはお詫びの言葉が、新名宛ての遺書には貴湖への思いが綴られていた。アンさんも必死に声を上げていたはずなのに、貴湖はその声を聴けなかった。

そこまで話した貴湖は、泣き叫びたくなるのを堪えて、声を殺して泣く。

抜け殻のような母親を助けて葬儀を終えた貴湖が部屋に帰ると、部屋にいた新名は貴湖に殴りかかってくる。新名宛ての遺書を渡すと、受け取ったとたんにコンロで火を付けて燃やし、すっきりした、と笑う。それを見て、もう殺さなきゃと思った貴湖は、包丁を抜いて新名に斬りかかるが、もみ合いとなり、貴湖のお腹に刺さる。

新名は自分が刺したと言って警察に連行され、父親は意識を取り戻した貴湖に示談を持ち掛け、巨額の示談金を提示してその金で遠くに移り住んでほしいと頭を下げる。新名への愛情が消えていた貴湖は、示談金を受け取り、祖母が住んでいた大分に移り住んだのだった。

話を終えた貴湖を、美晴は、辛かったね、でも、話してくれてありがとう、と言って強く抱きしめる。

7 最果てでの出会い

翌日、小倉を出て大分に戻る3人。貴湖は、美晴に全てを告白したことで、破裂しそうになっていた思いがほどよく抜け、どこかすっきりしていた。家に帰ると、村中から至急連絡するようメモが入っていた。電話を掛けると、品城が孫が誘拐されたと言っていると聞かされる。信用してほしいと言う村中に、貴湖は見つからないように家に来るよう頼む。やってきた村中に貴湖は事情を話すと、村中は、自分の祖母なら離婚した琴美の母親のことも知っていると言い、貴湖たちは村中の祖母に会いに行くことにする。

村中の祖母・サチゑに事情を話すと、サチゑは琴美の母親・昌子が離縁することになった経緯を話し、昌子が今は別府に住んでいると教えてくれる。そこに、顔を真っ赤にした品城が、うちの孫を返せ、と飛び込んでくる。村中たちが落ち着かせると、品城は力なく琴美が家じゅうの金をかき集めて男の車に乗って行ったことを話し、品城は村中やその祖母に説得されて帰っていく。品城のおかしな様子を訝る美晴に、サチゑは、惚けてきていたと話す。

3人で家に帰り、布団に入った貴湖は、昌子と会ってからどうすればいいか考えて眠れなくなり、52ヘルツのクジラを聴いて眠る。クジラの夢を見る貴湖が、たすけて、と言う声を聞いて飛び起きると、少年の姿がなかった。胸騒ぎを感じた貴湖は玄関を飛び出して海に向かうと、堤防の上に少年が立っていた。海に飛び込もうとする少年に貴湖は、わたしと一緒に暮らそう、わたしはあんたの傍にいたい、わたしと帰ろう、愛、とその名を呼ぶと、少年は溢れる涙をぬぐって、キナコ、とはっきり呼んで抱きついてくる。貴湖はそれを全身で受け止め、強く抱きしめる。すると、飛沫をあげながら海に沈んでいくクジラに気づく。

8 52ヘルツのクジラたち

美晴、村中とともに愛を連れて昌子に会いに行った貴湖は、昌子から、貴湖が愛と一緒に住むのは現状ではとても難しいことを順序だてて説明される。貴湖が、ではどうしたらいいのか、と尋ねると、秀治は、まずは昌子が愛の未成年後見人となるべき、15歳になったら自分が後見人の選任を申し立てることができる、2年後に今と同じように一緒に暮らしたいならそれを手伝う、しかし、貴湖も受け入れ態勢を整えていかなくてはいけない、と提案する。昌子は、問題を先延ばしにするだけと厳しい顔をするが、美晴はその提案に賛成し、昌子もそれを受け入れる。

それから、何度か別府にいる昌子夫妻に会いに行ったりしながら、愛と美晴と3人で夏を過ごし、愛は少しずつしゃべるようになっていく。一方で、琴美がいなくなってから、品城は急激に認知症が進んでしまう。

夏が終わるころ、昌子夫妻から受け入れ準備が整ったと連絡が入り、別れる前日、3人は誘われて村中家の庭でのバーベキューに参加する。サチゑは貴湖に祖母の思い出話をし、貴湖を励ます。明日東京に帰る、と話す美晴に、貴湖が感謝の言葉を伝えると、美晴は、何があっても私はあんたを助ける、と言い、2人は抱き合って泣く。そこに、杖を握った品城がふらふらと近寄ってきて、お前のせいで琴美がいなくなったんだ、琴美を返せ、と杖を振り回す。村中はよけきれずに殴られ、貴湖は動けなくなってしまうが、愛が品城を突き飛ばし、事なきを得る。

警察も来ての大騒ぎが落ち着いてから、愛と堤防に腰かけた貴湖は、ここに来る前に大好きなひとを死なせてしまった、わたしは愛と関わることで救われていた、わたしを見つけてくれてありがとう、と愛に話し、愛も、キナコに会えてよかった、と言う。愛の手を握って、これから頑張ろうね、と繰り返す貴湖は、クジラの鳴き声を聞こえた気がするのだった。

 

(ここまで)

虐待の描写は読むのが辛く、また、引っ掛かりを覚える部分もありましたが、虐待され、誰にも心の声を聞いてもらえず孤独だった主人公と少年が出会い、深く結びついていく物語は、心に響きました。

なお、映画版を観たときには、貴湖がどうして大分の祖母の家にやってきて、仕事もしないで暮らせているのかは説明がなく、どうしてなのか疑問が残ったのですが、本作を読んで、そういうことだったのかと合点がいきました。そのほかにも、映画では、品城や昌子が出てこないなど、本作からのアレンジはあり、2時間程度の枠に収めるためには仕方ない選択だったろうと思いますが、この部分だけは、端的にでも、触れられていた方が良かったように思いました。

「ガールズ&パンツァー劇場版」ライブ音響上映

週末の夜、MOVIX柏の葉に行きました。

この日は、4月3日(水)~4月7日(日)の5日間開催されていた「音で楽しむ!MOVIX柏の葉映画祭 ライブ音響上映」に来てみました。


「ライブ音響上映」とは、

映画館にライブ・コンサート向けの大規模かつ高品質な音響機材をセッティングし、映画の”音”の臨場感を、大迫力&ライブ感覚で楽しむ上映スタイル。

とのこと。各地のMOVIXで開催されているようですが、柏の葉では初開催だそうです。一部の上映を除いて2,500円の特別料金、5日間に全11作品が上映されます。


ロビーにも立て看板がありました。

観るのは、この日の最終上映となる「ガールズ&パンツァー 劇場版」(2015年11月21日(土)公開)。

立川シネマシティで本作が「極上爆音上映」で上映されて人気を博したことが、いわゆる爆音上映や今回のライブ音響上映など、音響をレベルアップして行う上映が広まるきっかけになったと聞いたことがあります。今回のイベント上映にガルパンが入っているのも、そうした経緯あってのことでしょう。
(なお、私自身、立川シネマシティの極上爆音上映は、ガルパンのテレビシリーズの劇場用総集編である「ガールズ&パンツァー総集編 第63回戦車道全国高校生大会総集編」(2018年9月29日(土)公開)、「劇場版 幼女戦記」(2019年2月8日(金)公開)を観たことがありますが、確かに素晴らしい音響で、機会があれば本作も一度観てみたいです)

私自身、ガルパンの劇場版は、2017年の秋にキネマ旬報シアターで行われた「ラスト センシャラウンド6.1ch音感上映」、2020年の冬、コロナ禍直前にユナイテッド・シネマ アクアシティお台場で行われた「爆音映画祭」、昨年のゴールデンウィークに同じくキネマ旬報シアターで行われた「音感上映」と、音響にこだわった上映で何回か観てきましたが、中には音量が大きいだけと思える残念な上映もあったので、今回がどうなるのか、期待と不安が相半ばといった感じです。


この日の残りの上映スケジュール。ガルパンがこの日の最終上映、その前は20時半上映開始のゴーストバスターズでした。なお、この日は、ライブ音響上映で6作品が上映されることもあって、合計29作品・31種類の上映が行われていました。


他の作品はもう最終上映が始まっている時間で、ロビーは閑散としていました。ロビーにいたお客さんはみなガルパンを観に来た人だったのだろうと思います。


上映は、この映画館では最大の470+3席のシアター10。


スクリーンに入ると、中央と左右の端に、コンサートで使うようなスピーカーがセッティングされています。

お客さんは100人弱という感じ。8年以上前の旧作、夜遅めの時間帯ということを考えると、かなりの入りだと思います。実際、このライブ音響上映の違う作品では、ここまでお客さんが入った上映回はそれほど多くはなかったようで、この手のイベントでの本作の人気ぶりがうかがえます。

 

上映時間になると、ライブ音響上映の紹介が流れた後、予告編は全くなく、すぐに本編の上映が始まりました。本作の公開当時には本編の前に流されていた、劇場版の前提となるテレビアニメ編のおさらいで、戦車道全国高校生大会の優勝までの道のりを簡単に紹介する「3分ちょっとでわかる!!ガールズ&パンツァー」もありませんでした。もっとも、この上映を観に来た人に、テレビアニメ編を観ていない一見さんはまずいないだろうと思いますが・・・。


(ポスタービジュアル)

改めて作品について紹介すると、2012年10月~12月と2013年3月にTOKYO MXなどで放送されたテレビアニメの劇場版として2015年11月に公開された作品で、主要スタッフは、監督:水島努、脚本:吉田玲子、キャラクター原案:島田フミカネ、キャラクターデザイン・総作画監督:杉本功、音響監督:岩浪美和、音楽:浜口史郎、アニメーション制作:アクタスなど。

 

若干ネタバレですが、あらすじを紹介すると、

 

大洗女子学園の全国高校生大会優勝を記念して、知波単学園聖グロリアーナ女学院プラウダ高校を招いてのエキシビションマッチが行われ、聖グロリアーナ女学院プラウダ高校チームが勝利を収める。
終了後、温泉で交流するメンバーだったが、生徒会長の角谷が呼び出され、文部科学省学園艦教育局の役人から廃校が告げられる。
大洗女子学園のメンバーたちは、他の生徒たちと同様、学園艦を下りて転校先が決まるまで集団生活を送ることになるが、生徒会長が交渉を重ねて、大学選抜チームとの対戦に勝利すれば廃校を撤回するとの約束を取り付け、戦車の数など様々のハンデの中、大学選抜チームとの対戦に臨むことになる。
しかし、試合当日、高校生大会で出会った有力校のライバル達が、窮地を救うため一時転校という形でチームに加わって参戦、実質的に、高校選抜vs大学選抜の対決となる。想定外の戦車も登場し、劣勢に追い込まれる大洗女子だったが、熾烈な戦闘を経て、最後は大学選抜チームの隊長・島田愛里寿とみほ・まほとの勝負となり、2人のチームプレーで劣勢を覆して勝利を収め、廃校の危機を救う。

 

・・・というもの。

 

改めて観ても、よくできた作品です。非現実的なもともとの舞台設定もあって、細部にはリアリティを無視して単純化している部分もあるのですが、そうした部分とリアルに描く部分のバランスがいい塩梅で、本筋の展開に引き込まれ、ユーモラスなシーンをはさみながら、ホロっとくるシーンもあり、観終わった後には爽やかな余韻が残りました。

お目当ての音響ですが、冒頭の砲撃のシーンから音圧の振動が身体に伝わる迫力ある音で、もっとうまく調整できていればと思う部分は各所にありましたが、音のヌケも良く、全体的には、特別料金を払う価値のある満足できる音響でした。ただ、個人的な印象としては、2017年の秋にキネマ旬報シアターで観た、本作の音響監督の岩浪美和さんが直々に音響調整した「ラスト センシャラウンド6.1ch音感上映」の素晴らしさには及ばず、改めてあの音響は凄かったのだと思いました。

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なお、昨年観た時の記事でも紹介しましたが、登場人物は非常にたくさんいます。公式サイトと本作のエンドクレジットでともに名前入りで明示的に紹介されている人物だけでも、以下のとおりです。

  • あんこうチーム(大洗女子学園):主人公・みほが車長を務め、大洗女子学園の中心となっている2年生5人によるチーム。

    • 西住 みほ【渕上 舞】:主人公。西住流戦車道の家元の次女。黒森峰学園の副隊長を務めた前年の全国高校生大会での出来事から、戦車道から離れるために大洗女子学園に転校したが、生徒会から半ば強要されて再び戦車道を行うことになり、隊長を務めることになる。優しい性格の高校2年生。

    • 武部 沙織【茅野 愛衣】:通信手。転校してきたみほに最初に声をかけて友人となり、ともに戦車道を行うことになったクラスメイト。恋愛に憧れている。

    • 五十鈴 華【尾崎 真実】:砲手。華道の家元の家に生まれたが、自分の生ける花に物足りなさを感じ、戦車道を選んだ生粋のお嬢様。

    • 秋山 優花里【中上 育実】:装填手。戦車好きの高校2年生で、みほに憧れてチームに戦車道に参加した。

    • 冷泉 麻子【井口 裕香】:操縦手。成績学年トップの天才だが、朝に弱い。単位取得のために戦車道に参加することになる。操縦技術は抜群。

  • カメさんチーム(大洗女子学園):3年生の生徒会の中心メンバー3人によるチーム。

    • 角谷 杏【福圓 美里】:車長兼砲手。生徒会長。

    • 小山 柚子【高橋 美佳子】:操縦手。おっとりとした生徒会副会長。

    • 河嶋 桃【植田 佳奈】:装填手。生徒会広報。副隊長を務める。

  • ヒルさんチーム(大洗女子学園):部員不足で廃部となったバレー部メンバーによるチーム。バレー部復活を目指している。

    • 磯辺 典子【菊地 美香】:リーダーで車長兼装填手の2年生。バレー部ではセッターを務める。

    • 近藤 妙子【吉岡 麻耶】:通信手の1年生。バレー部のエース。

    • 河西 忍【桐村 まり】:操縦手の1年生。バレー部ではアタッカーを務める。

    • 佐々木 あけび【中村 桜】:砲手の1年生。おっとりとした性格で我慢強い。

  • カバさんチーム(大洗女子学園):2年生の歴女4人によるチーム。

    • カエサル【仙台 エリ】:リーダーで装填手。歴史好きな「歴女」チームを率いるリーダー。ローマ史に詳しい。

    • エルヴィン【森谷 里美】:車長兼通信手。欧州史に詳しく、中でもドイツびいき。

    • 左衛門佐【井上 優佳】:砲手。日本の戦国時代の知識については右に出るものがいない。

    • おりょう【大橋 歩夕】:操縦手。幕末史に関しては他の追随を許さない。

  • ウサギさんチーム(大洗女子学園):1年生6人によるチーム。意外と研究熱心。

    • 澤 梓【竹内 仁美】:リーダーで車長兼通信手。面倒見がよい。

    • 山郷 あゆみ【中里 望】:砲手。ボーイッシュでさっぱりした性格。

    • 阪口 桂利奈【多田 このみ】:操縦手。考えるよりも先に行動してしまう積極派。

    • 宇津木 優季【山岡 ゆり】:通信手兼装填手。辛抱強いタイプ。

    • 大野 あや【秋奈】:砲手。底抜けに明るい。

    • 丸山 紗希【小松 未可子】:装填手。ぼんやりしていることも多く、おとなしい。

  • カモさんチーム(大洗女子学園):学園の規律を守る風紀委員のチーム。廃校が決まった直後は、自分たちの存在意義を見失い、自暴自棄になっていた。

    • 園 みどり子(そど子)【井澤 詩織】:車長兼副砲手兼装填手の3年生。風紀委員長。おかっぱの長さはミディアム。

    • 後藤 モヨ子(ごも代)【井澤 詩織】:操縦手の2年生。おかっぱの長さはロング。

    • 金春 希美(パゾ美)【井澤 詩織】:砲手兼通信手の2年生。おかっぱの長さはショート。

  • レオポンさんチーム(大洗女子学園):自動車部メンバーのチーム。大洗女子学園の車両の修理・整備を担当する。

    • ナカジマ【山本 希望】:自動車部のリーダーの3年生。

    • スズキ【石原 舞】:3年生。

    • ホシノ【金元 寿子】:3年生。運転がうまい。

    • ツチヤ【喜多村 英梨】:2年生。

  • アリクイさんチーム(大洗女子学園):ネット戦車ゲームで知り合ったメンバーによるチーム。

    • ねこにゃー【葉山 いくみ】:車長兼通信手の2年生。長身だが猫背でおとなしい。

    • ももがー【倉田 雅世】:操縦手の1年生。右目に眼帯をしている。

    • ぴよたん【上坂 すみれ】:砲手兼装填手の3年生。

  • 聖グロリアーナ女学院:横浜港を母校とする強豪で、英国の学校と提携している名門女学院。

  • サンダース大学付属高校:佐世保港を母港とする裕福なアメリカ系の学校。

    • ケイ【川澄 綾子】:サンダース大付属高の隊長。開放的で明るい性格。

    • ナオミ【伊瀬 茉莉也】:副隊長で、全国でも指折りの実力を持つ砲手。口数は少ないが戦車を巧みに操る。

    • アリサ【平野 綾】:もう1人の副隊長で、策士。

  • アンツィオ高校:栃木県にあり、清水港を母港とするイタリア系の学校。

  •  プラウダ高校大湊港・青森港を寄港地とするロシア系の学校。

    • カチューシャ【金元 寿子】:プラウダ高校チーム隊長。身長は低いが発言はいつも上から目線。

    • ノンナ【上坂 すみれ】:副隊長。公私にわたりカチューシャの行動をいろいろフォローする。

    • クラーラ【ジェーニャ】:プラウダ高校に短期留学中のロシア人。カチューシャを慕っている。ノンナとは主にロシア語で会話をするが、実は日本語が達者。T-34/85の車長。

    • ニーナ【小笠原 早紀】:KV-2の装填手。
    • アリーナ【佐藤 奏美】:KV-2の装填手。
  • 黒森峰女学園:みほが転校前に在籍していた、熊本港を母港とするドイツ系の強豪校。

    • 西住 まほ【田中 理恵】:若くして西住流戦車道の後継者として頭角を現している、みほの姉。黒森峰女学園チームの隊長。

    • 逸見 エリカ【生天目 仁美】:黒森峰女学園チーム副隊長の2年生。まほを尊敬し、かつて副隊長だったみほに対して批判的な態度を取る。

  • 知波単学園習志野市にあり、千葉港を寄港地とする高校。日本の旧陸軍の戦車を使う。

    • 西 絹代【瀬戸 麻沙美】:知波単学園戦車道チーム隊長。知波単学園伝統の突撃に対して、疑問を感じ始めている。九七式中戦車の車長も務める。

    • 福田【大空 直美】:九五式軽戦車の車長。突撃に傾倒する先輩たちの中にあって、大洗女子学園のアヒルさんチームの戦い方から何かを感じ取る。

    • 玉田【米澤 円】:九七式中戦車の車長。

    • 細見【七瀬 亜深】:九七式中戦車の車長。

    • 池田【多田 このみ】:旧チハ車長。

    • 寺本【葉山 いくみ】:旧チハ(細見車)の通信手。知波単戦車道の広報担当。

    • 名倉【石上 美帆】:新チハ車長。

    • 久保田【大地 葉】:旧チハ車長。
  • 継続高校:金沢港を母港とするフィンランド系の学校。

    • ミカ【能登 麻美子】:継続高校戦車道チームの隊長とBT-42の車長を務める。

    • アキ【下地 紫野】:BT-42の乗員で砲塔内での役割を殆ど一人でこなしている。

    • ミッコ【石上 美帆】:BT-42の操縦手を務める。天才的な操縦テクニックで、大学選抜チームのM26パーシングを翻弄する。

  • 大学選抜チーム:大洗女子学園が廃校撤回を賭けて戦う。社会人チームにも勝利するほどの高い実力を持つ。

    • 島田 愛里寿【竹達 彩奈】:大学選抜チーム隊長。大学まで飛び級した天才少女。戦車道流派のひとつ島田流家元の娘で、戦車道の指揮に天性の素質を持つ。ボコの大ファンで、試合前にボコミュージアムでみほと出会う。A41センチュリオンの車長を務める。

    • メグミ【藤村 歩】:大学選抜チームの三人の中隊長のひとり。M26パーシングに搭乗。

    • アズミ【飯田 友子】:大学選抜チームの三人の中隊長のひとり。M26パーシングに搭乗。

    • ルミ【中原 麻衣】:大学選抜チームの三人の中隊長のひとり。M26パーシングに搭乗。

  • その他

    • 日本戦車道連盟理事長【飛田 展男】:大洗女子学園の境遇に同情を示しつつも、文科省の顔色も窺う弱気な一面を持つが、角谷の交渉を後押しする。

    • 西住 しほ【冬馬 由美】:みほとまほの母親であり、西住流家元。高校戦車道連盟理事長。

    • 島田 千代【ゆきの さつき】:島田愛里寿の母で、島田流家元。大学戦車道連盟の理事長。

    • 蝶野 亜美【椎名 へきる】:陸上自衛隊に所属する日本戦車道連盟の強化委員で、試合の審判長を務める。かつて大洗女子学園の戦車道教官に派遣されたことがある。

    • 五十嵐 百合【倉田 雅世】:華の母親で華道の家元。

    • 秋山 淳五郎【川原 慶久】:優花里の父親で、理髪店を営む。

    • 秋山 好子【仙台 エリ】:優花里の母親。

    • 役人【景浦 大輔】:文部科学省学園艦教育局長。大洗女子学園を廃校に追い込もうとする。

    • 篠川 香音【山岡 ゆり】/高島 レミ【秋奈】/稲富 ひびき:試合の審判を務めた日本戦車道連盟審判員。

    • ボコ【藤村 歩】:みほが大好きな熊のキャラクター。心意気は高いがめっぽう弱く、強い相手に挑んではボコボコにされる。

といったところ。最初のテレビアニメシリーズの放送からは10年以上が経っていますので、今になって見ると、この人がこんな役をやっていたんだ、というところもあって、面白いところです。