鷺の停車場

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「たまこラブストーリー」

たまこラブストーリー」(2014年4月26日(土)公開)をDVDを借りて観ました。

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山田尚子監督の長編映画としては「映画けいおん!」に続く作品。

大まかなあらすじです。

京都の餅屋の長女で高校3年生のたまこ。母を亡くし、祖父と父、小学校6年生の妹のあんこの4人家族。幼なじみで向かいのライバル餅屋の息子のもち蔵に無意識に好意を抱いているが、ある日、映画を学びに東京の大学に行くことを決めたもち蔵から告白されたたまこは激しく動揺する。しかし、ある出来事をきっかけに、自分がもち蔵を好きであることに気付き、友人の粋な計らいもあって、大学見学に東京に向かう新幹線に乗ろうとするもち蔵に「大好き」と伝える。(ここまで)

前作の「映画けいおん!」に続いて、テレビアニメシリーズのその後を描いた劇場版。元のテレビアニメ「たまこまーけっと」は視ていませんが、前作とは異なり、初見でも、ぼおっとしてどこか抜けたところのあるたまこが、もち蔵からの告白をきっかけに、自分の気持ちと向き合い、一皮むけて少し大人になる、青春ラブストーリーとして、消化不良感なく観ることができました。

本作品で、山田尚子監督の長編映画の4作品を一通り観たことになります。いずれも元となるテレビアニメシリーズやマンガがあるので、単純に比較できない部分もありますが、作を重ねるごとに、より強く人物の内面に眼差しが向けられ、主人公たちの心の動きを深く掘り下げるような作品になってきています。監督としての仕事は映画よりもテレビの方が多いのだろうと思いますが、この変化の大きさは驚くほど。劇場公開中の最新作「リズと青い鳥」での希美やみぞれを覗き見るような眼差しは、普通のアニメではあり得ないほどひそやかで、作品全体に静謐な雰囲気を与えています。

次は雰囲気をまたガラッと変えた作品になるのかもしれませんが、さらにどういう変化を見せるのでしょうか。