今年は、スクリーンに観に行った映画のほか、DVDを借りたりして家で観た映画もけっこうありました。もれなく記録してはいませんが、およそ40本くらいあったのではないかと思います。
そうした中で、今年初めて観た映画のうちから、大まかに印象が強い順に作品を挙げてみたいと思います。(以下、◇は実写映画、◆はアニメ映画)
◇海街diary(2015年6月13日(土)公開)
同じ屋根の下で暮らすかなり性格が違う3姉妹が、影を抱えながらも純真な腹違いの妹と一緒に暮らすようになり、次第に溶け込み絆を深めていくさまを、妹の淡い恋模様も交えながら描いた作品。表面上は劇的な出来事が起きるわけではなく、日々のちょっとした出来事をとらえる中で描かれる4姉妹の心の揺れ動きは、じんわり心にしみました。
◆心が叫びたがってるんだ。(アニメ版)(2015年9月19日(土)公開)
不器用だけど、純粋に他人と、そして自分と向き合い、もがく中で、それぞれが自分の殻を少しずつ打ち破り、互いに成長していく物語で、不器用だけど必死にもがく主人公の懸命さが、周囲を動かしていくという展開に心を打たれました。
◇君の膵臓をたべたい(実写版)(2017年7月28日(金)公開)
今年公開のアニメ版を観て、比べてみようと借りて観た作品。いつも一人の高校生の「僕」と、膵臓の病気で余命わずかな同じクラスの女子高生との、わずか半年弱の間の、儚い、切ない恋物語。アニメ版や原作にはない、現代の大人になった「僕」や彼女の親友、高校時代の「僕」を彷彿とさせる図書委員の男子高生と彼に思いを寄せる女子高生、といった人間関係を重ね、物語にうまく引き込んで、最後は涙なしでは見られない、いい作品でした。
◆聲の形(2016年9月17日(土)公開)
耳に障害を持つ女子高生と小学生時代に彼女をいじめた経験から孤立する男子校生が、昔・今のクラスメートたちと交流する中で、お互い、そして自分と向き合い、それを変えようともがき、最後には乗り越えていく物語。重たいテーマをはらみながらも、自らを変えていく勇気を持って、努力していく姿に、心を動かされました。
◇岸辺の旅(2015年10月1日(木)公開)
生者である女性が、死者である夫とともに旅をし、生の世界に執着が残っている死者の執着を解き、送り出すという作品。行間に語らせる的な描写で、これはどういう意図、意味…なのだろうと思いを巡らせながら観ましたが、そのぶん後に残る余韻が大きい、そんな映画でした。
◇ぼくは明日、昨日の君とデートする(2016年12月17日(土)公開)
タイトルに象徴的に示されているように、日単位での時間の流れが逆の世界から来た女性との切ない恋物語。突飛な設定ですが、伏線をうまく使って、違和感をうまく抑え、あまり不自然さを感じさせずに見事にまとめた、良質なラブストーリー。最後、2人の最初の出会いの場面が今度は女性の視点で描かれると、最初に見たのと全く見え方が異なるのが特に印象的でした。
◆きみの声をとどけたい(2017年8月25日(金)公開)
一生懸命に、損得を考えずに打ち込むことの尊さ、友達と過ごす他愛のない時間の貴重さなど、高校時代が遠い昔となってしまった眼で観ると、かつてあった(かもしれない)甘酸っぱい青春時代を思い起こさせる、心温まる映画でした。
◇夜のピクニック(2006年9月30日(土)公開)
丸一日かけて80キロを歩く高校の伝統行事、歩いて、休憩して、また歩いて、を繰り返してゴールするまでの、女子高生とその異母兄弟であるクラスメイトとの秘密、すれ違い交錯する片思いの恋愛感情などが描かれた作品、その過程で交わされる会話、振舞いににじみ出る青春のきらめきや熱量に、懐かしい、甘酸っぱいような気持ちになる映画でした。
◆あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(2013年8月31日(土)公開)
テレビ版を視てから観た方が、いろんなところがよく見えて、理解できる作品だとは思いますが、テレビ版の名シーンであろうシーンがふんだんに盛り込まれ、その断片的なエピソードの積み重ねがクライマックスに収斂していく作品の流れは、初めて観ても、心を打つに十分な内容でした。
◇湯を沸かすほどの熱い愛(2016年10月29日(土)公開)
親との絆を断ち切られた子どもたちが、一緒に暮らす中で主人公の女性の強い愛のおかげ家族の絆を深めていく過程は、現代の童話のようなメルヘンも感じますが、全てを見通しているかのような主人公の、思慮深くもあり、かつ行動力のある生き方が強く印象に残る、いい映画でした。
◇バースデーカード(2016年10月22日(土)公開)
10代後半の娘に、10歳の時に亡くなったママから、誕生日に贈られるバースデーカード。ママのバースデーカードに対し複雑な感情を抱き、葛藤する時期もあるけれど、最後は、亡き母の思いを知り、成長していく女性の物語。現実のお話と思って見ると、うまく運びすぎの部分もありますが、ほろっと涙するシーンが各所にあって、観終わった後は、清々しい、あったかい気持ちになる映画でした。
◆イヴの時間 劇場版(2010年3月6日(土)公開)
アンドロイドが主人である人間に持つ思いと、主人である人間がアンドロイドに持つ思いが、かつては、ねじれの位置にあるかのようにすれ違っていたものが、交わるようになっていくまでを描いた作品。万人受けはしなさそうですが、予想以上に感動的な作品でした。
◇彼女の人生は間違いじゃない(2017年7月15日(土)公開)
震災、そして原発事故で生活が狂わされ、心に傷を負った人たちが、それぞれ五里霧中の中で未来を探し求める姿を描いた作品。特に前半は、観ていて辛くなる場面も多くありましたが、後半、現実を少しずつ動かす種が芽を出すように、最後はほのかに希望を感じさせる映画で、印象に残りました。
◆茄子 アンダルシアの夏(2003年7月26日(土)公開)
現在公開中の劇場版「若おかみは小学生!」の高坂希太郎監督の初監督作品。
スペイン一周レースに参加する自転車ロードレースチームのアシスト選手が、故郷近くを通るステージで、エースのために逃げを打つが、アクシデントでステージ勝利を目指して疾走する、という物語。時間も短く、大きな展開があるわけではありませんが、その間に去来する主人公の様々な思い、周りの人たちとの関係などをテンポよく描き、ちょっとしんみりする佳作でした。
そのほかに印象に残った作品もありましたが、このくらいにとどめておきます。来年はどのくらい映画を観ることになるのかわかりませんが、またいい映画に出会えるといいなと思います。