鷺の停車場

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映画「夜明け」

MOVIX柏の葉に映画「夜明け」(1月18日(金)公開)を観に行きました。

スクリーンで映画を観るのは、今年になってこれが初めて。

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この週の上映スケジュール。

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221+2席のスクリーン8での上映。公開最初の週末なのでまあまあ大きめのスクリーンだったのだと思いますが、お客さんは20人くらい。

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(以前もらったチラシ)

是枝裕和監督などの下で撮影助手を務めた広瀬奈々子の初監督作品というので、少し気になって観てみました。

涌井哲郎(小林薫)は、ある日川岸に青年(柳楽優弥)が倒れているのを見つけ、助けて自宅で介抱する。青年は「ヨシダ シンイチ」と名乗り、渋谷から来たという。シンイチは涌井の誘いで、涌井の息子が使っていた部屋に住み込み、涌井が営む木工所で働くようになる。その部屋で、「シンイチ」は涌井の息子が「涌井真一」であることを知る。涌井は8年前に交通事故で妻と息子を亡くしていたのだった。涌井をはじめ、優しく接する木工所の人たちにも少しずつ溶けこんでいくシンイチ。しかし、シンイチには秘められた過去があり、本当の名前も違うのだった。シンイチを息子の代わりのように思う涌井は、その秘密を知っても、過去を捨てここでシンイチとして生きていけばいいと言うのだった。しかしシンイチは・・・というあらすじ。

率直に感想を言うと、私には観るのが辛い映画でした。

最初はシンイチも涌井も謎めいた存在で、この人はどんな人物なんだろうと手探りだったのですが、その謎が少しずつ明らかになってきても、シンイチがいつか暴発してしまう気がして、観ている間、不安に駆られていました。

生きることに意味を見い出せず、また、過去の秘密がトラウマになって葛藤するシンイチの心の痛み。亡き息子に対して十分な父親になれなかったことを悔いている涌井。お互いの欠損感を埋め合わせるかのように、ほのかに親子のような関係になっていくのですが、その関係は薄皮一枚で繋がっているかのように儚い。そして、最後は、観ながら抱いていた不安が的中して、その関係は壊れてしまう。

シンイチにとっては、無意識に距離を詰めてくる涌井との関係に耐えられなくなって、そうするしかなかったのだろうと思いますが、この先、シンイチ、また残された涌井たちがどうなっていくのか、不安を残す着地は、やりきれない気持ちになりました。