「パンとバスと2度目のハツコイ」に続いて、映画「世界でいちばん長い写真」(2018年6月23日(土)公開)を観ました。
「パンとバスと2度目のハツコイ」と同じく、昨年全国のイオンシネマを中心に上映された作品。といっても全国30数館という規模だったみたいで、上映中には迂闊にも気付きませんでした。
実話を基にした誉田哲也の同名小説を映画化した作品だそうで、監督・脚本は草野翔吾。
高校の写真部に所属する宏伸(高杉真宙)は、引っ込み思案で消極的のため部長の奈々恵(松本穂香)に怒られてばかり。そんな彼が、従姉の温子(武田梨奈)が働くリサイクルショップで、珍しいカメラに出会う。それがカメラが回りながら360度の写真が撮れるように改造したパノラマカメラであることを知った宏伸は、夢中になって撮りたい景色を探し回る。その写真を見た奈々恵たちの発案で、高校の卒業記念イベントとして、文化祭の後、校庭に全部活を集めてのパノラマ集合写真、13回転・全長145mにも及ぶ世界で一番長い写真を撮ることになる・・・というあらすじ。
これはスクリーンで観ておけば良かった、しまったなあ、というのが率直な感想。
パッとしない高校生だった主人公が、夢中になれるものを見つけ、それに打ち込むうちに、ついにはすごいことを成し遂げてしまう、青春のきらめきに心ひかれます。とりわけ、ラストの写真撮影のシーンは、爽やかな感動を覚えました。
挙動不審と見られても仕方ないくらい、周りも目に入らずのめりこむ宏伸の姿は、それまでのやる気の見えない冴えない姿との対象が鮮やか。その宏伸をマイペースで振り回しつつ心配している温子の優しさ。宏伸に厳しい言葉を投げつけても気に掛けている奈々恵の思いやり(ほのかな恋心?)など、それぞれの人間像もうまく描かれています。ラストの写真撮影シーンで駆け出す奈々恵の姿は、月並みな演出なのかもしれないけど、ちょっとじーんときました。