鷺の停車場

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映画「洗骨」

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映画「洗骨」(2月9日(土)公開)を観ました。

お笑いコンビ「ガレッジセール」のゴリこと照屋年之監督の長編映画第2作で、土葬・風葬した遺体の骨を洗い再度埋葬する風習「洗骨」を題材とした、コメディーを交えたヒューマンドラマということのようで、映画情報サイトなど口コミ評価も高いようなので、行ってみた次第。

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行ったのはTOHOシネマズ流山おおたかの森。この映画館、立地のせいなのか、全国数十館といった小規模上映作品もよく上映されています。この作品も全国35館での公開で、他のTOHOシネマズで上映しているのは3館だけ。そういえば、後に300館以上に拡大したものの公開時の上映館は63館に過ぎなかった「この世界の片隅に」も、この映画館は公開当初の上映館63館に入っていて、私がこの作品を最初に観たのはこの映画館だったのでした。

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上映は106席のスクリーン10。世間的には平日の朝、お客さんは20人くらいでした。

沖縄の離島、粟国島粟国村に住む新城家。長男の新城剛(筒井道隆)は、母・恵美子(筒井真理子)の“洗骨”のために、4 年ぶりに故郷・粟国島に戻ってきた。実家には、剛の父・信綱(奥田瑛二)がひとりで住んでいる。生活は荒れており、恵美子の死をきっかけにやめたはずのお酒も隠れて飲んでいる始末。そこへ、名古屋で美容師として活躍している長女・優子(水崎綾女)も帰って来るが、優子の様子に家族一同驚きを隠せない。様々な人生の苦労とそれぞれの思いを抱え、家族が一つになるはずの“洗骨”の儀式まであと数日、果たして 彼らは家族の絆を取り戻せるのだろうか?・・・というあらすじ。

心に沁みるいい映画でした。ゴリってこんなにいい映画作る人なんだと驚きでした。

優子は美容室の店長(鈴木Q太郎)の間にできた子どもをお腹に宿し臨月間近の姿で帰ってきて、一人で育てると言って皆を驚かせる。兄の剛はそんな優子に厳しく当たるが、剛も家庭内のトラブルを抱えている。そして妻の死をいまだに乗り越えることができない父の信綱。それぞれ問題を抱えた家族が、風葬でした母の骨を洗う洗骨の儀式に向かうまでの日々を通して、和解し、家族の絆を取り戻していく過程を、時折コメディ的なシーンも織り交ぜつつも、全体としては穏やかな語り口で描いていきます。

コメディシーンの挟み方や中ほどの部分の描写など、個人的にはしっくりこないところもありましたが、洗骨の前夜、優子が剛や信綱の髪を切ってあげる場面、その後遺影の前で並んで座る場面、そして洗骨の描写など、終盤のシーンはとても印象深かった。最後の余韻が深くて、本編が終わってエンドロールが流れる間にも涙がこぼれました。

俳優陣も総じて好演。鈴木Q太郎は監督の狙いは分かるものの私のツボにははまらずやはり違和感ありましたが、新城家の3人は良かった。信綱の姉の信子おばさん役の大島蓉子もいい味を出して存在感がありました。

地味めな映画ですが、もっと上映が広がっていい作品だと思いました。