鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「ぬけろ、メビウス!!」

平日の仕事帰り、新宿駅前のシネマカリテに行きました。


夜に新宿に来るのはとても久しぶり。およそ1年半ぶりだと思います。


シネマカリテは、JR新宿駅の東口を出て右手に少し進んだところにある新宿NOWAビルの地下1Fにあります。この映画館に来たのは、3年ちょっと前に「幸福路のチー」を見て以来だと思います。


この日の上映スケジュール。


観るのは、「ぬけろ、メビウス!!」(2月3日(金)公開)。劇場ロビーには主要キャストなどがサインしたポスターが飾られていました。公開当初の上映館はこの映画館のみ、その後上映館が増えましたが、2月中の上映は、ここを含めて全国で6館だけと、かなり小規模な公開です。この映画館では、当初の予定から上映が延長されたようですが、2月22日(水)に上映終了予定になっていました。


劇場入口脇には大きなタペストリーもありました。


作品に関連した展示もありました。


事前にインターネットで予約していたので、チケット発券機でチケットを発券します。


上映は、78席のスクリーン2。お客さんは40人くらい入っていたのではないかと思います。


(チラシの表裏)

24歳にして大学受験に挑戦する女性の姿を描いたオリジナルの青春ドラマで、主要スタッフは、監督:加藤慶吾、脚本:村上かのん、クリエイティブディレクター:真鍋光輔など。

 

公式サイトのストーリーによれば、

 

建築会社の契約社員として働く櫻川優子は、通称「5年ルール」が原因で正社員になる前に雇い止めを宣告される。優子はかつて諦めた教員になる夢を叶えるべく、24歳にして大学進学に向けて突っ走り始める。

 

・・・というあらすじ。

 

公式サイトで紹介されている主要登場人物・キャストは、

  • 櫻川 優子【坂ノ上 茜】:主人公。24歳。専門学校を出て、今は建設会社で契約社員をしている。

  • 櫻川 久美子【藤田 朋子】:優子の母。7年前に夫を亡くし、今はおでん屋を営んでいる。

  • 佐藤 太一【細田 善彦】:優子の婚約者の会社員。久美子とも仲がいい。

  • 木下 奈月【松原 菜野花】:優子と小学校から高校まで一緒だった親友で、優子は「ナッチ」と呼んでいる。短大を出て、優子と同じ建設会社で働いている。

  • 三島【棚橋 ナッツ】:優子が勤めている建設会社の部長。

  • 水谷【吉岡 そんれい】:久美子の店の常連客。

  • 青山 瑛斗【田中 偉登】:優子が暮らす街にある親の別荘にバカンスにやってきた青年。海外で生まれ、海外を飛び回る仕事をしている。

  • 瑛斗パパ【寺脇 康文】:瑛斗の父。

  • 瑛斗ママ【加藤 貴子】:瑛斗の母。

というもの。(登場人物の説明は加筆しました)

 

ネタバレですが、記憶の範囲でもう少しあらすじを紹介すると、

 

優子は、東京の大学に行きたかったが、母・久美子に反対されて専門学校に行き、今は上村建設工業という建設会社で契約社員として働いている。優子には、久美子がお気に入りの恋人の太一がおり、久美子は優子を太一と早く結婚させようと、常連客の水谷に結婚式場を安く手配するよう依頼したりしているが、優子は結婚を迫る久美子をはた迷惑に思っている。
ある日、優子は会社で部長の三島から呼び出しを受け、契約社員が働いて5年を超えると無期雇用に転換しなければならない「契約社員の5年ルール」があると話を切り出される。契約社員として働いて4年半になっており、正社員になれるとぬか喜びする優子だったが、それは雇い止めの通告だった。
宅建の資格を取ろうと勉強を始める奈月に、どういう人生にしたいの?と聞かれた優子は、自分が大学に行って教員になることを夢見ていたことを思い出す。優子は大学に入ろうと心に決め、勉強を始めるが、久美子も太一も最初は笑い話だと思って真面目に受け取らない。
勉強は始めたものの、模試の成績が芳しくなく、コンビニでやけ酒を購入する優子の前に、別荘への行き方を店員に尋ねる瑛斗が現れる。都会人の雰囲気を漂わせる瑛斗に一目惚れした優子は、車で来ているので送ると声をかける。優子は、名前を「優奈」とごまかし、自分が大学卒ではないことを隠して瑛斗に話を合わせ、3週間滞在するという瑛斗とまた会えることになって浮かれる。
瑛斗と交流を深める優子は、瑛斗の誘いで、瑛斗の両親とのバーベキューに奈月を連れて別荘に行く。服も奮発し、手土産に高級なメロンを持っていく優子だったが、奈月は瑛斗やその両親の、自分たちとは住んでいる世界が違う雰囲気や話の内容に気を悪くして、途中で帰っていく。
そして、ついに優子は、瑛斗から結婚を前提につき合ってほしいと告白される。勉強しなくなった優子を諫める奈月の忠告には耳を貸さず、有頂天になる優子だったが、育ちが悪い奈月とは付き合わないよう求める瑛斗に違和感を感じ、さらに、違う男性と付き合っていると察した太一に、瑛斗と食事しているところに踏み込まれる。優子が婚約者がいることを隠していたことに、瑛斗は「You're sick!」(最低!)と捨て台詞を吐いて立ち去り、太一も、こんなことする子じゃないと思ってたんだけどな、と言って去っていく。
優子は、再び大学受験に向けて勉強に打ち込む。そんな中、三島から、産休に入る職員が出ることにより、雇用延長を打診されるが、優子は、何かあると専門学校卒であることを理由にしてしまう、と断り、辞表を提出する。久美子は、久しぶりに店にやってきた三島に、優子に謝らせようと連れていこうとするが、優子は、このままでは人生をお母さんのせいにしてしまうと頑なに拒み、久美子は勝手にしなさい、と諦めて部屋を出ていく。
優子は、太一がかつて大学受験で失敗した「聖アボンリー学院大学」を受けることを決める。受験が近づく中、久しぶりに太一から連絡が入り、優子は太一と会う。合額祈願のお守りなどを渡してくれた太一に、大学に合格したら、付き合ってほしい、と優子は告白するが、太一は、応援はしているけど、まだ許せていない、と話し、優子もそれを受け入れる。
受験間近となったある日、優子は、久美子に話したいことがあると声を掛けるが、部屋の中の久美子の返事はない。優子は、扉の外から自分の今の思いを語り、部屋の中でそれをじっと聞いていた久美子は涙する。
そして迎えた受験の日、優子はいつものように父の遺影に手を合わせ、久美子にいってきますと声をかけ、出かけていく。

・・・というもの。

 

公式サイトには、本作が描くテーマは「敷かれたレールを歩いている途中で、そこから降りることの難しさ」だと紹介されています。タイトルにある「メビウス」とは、瑛斗との破局の直前のシーンで瑛斗が話す「メビウスの輪」にちなんだもの。それまで母が敷いたレールを歩んできた優子と、いくらたどっても元の場所に戻ってしまうメビウスの輪が重ね合わされています。

前半から中盤にかけて、瑛斗と出会って胸ときめく優子が、一度始めた受験勉強を放り出してシンデレラのように瑛斗に夢中になる姿は、いずれ破滅が訪れることが予想できるだけに、見続けていくのが辛いところがありましたが、後半、これまで歩んできたレールから抜け出そうと、再び受験に向き合っていく姿は、胸に響きました。主役の坂ノ上茜の雰囲気はいいと思いましたし、母親役の藤田朋子も好演でした。