鷺の停車場

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香月美夜「本好きの下克上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部 貴族院の自称図書委員Ⅶ」

香月美夜の小説「本好きの下克上~司書になるためには手段を選んでいられません~」の第四部「貴族院の自称図書委員Ⅶ」を読みました。

ローゼマインが貴族院に進んでからを描く第4部の第7巻。第6巻に続いて読んでみました。

 

単行本の表紙裏には、次のような紹介文があります。

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本好きのお茶会で昏倒したローゼマインはエーレンフェストに強制送還された。下町の面々との再会もあり、神殿での読書三昧に心はうきうき。冬の日々は穏やかに過ぎるように思えたが、聖典から謎の言葉と魔法陣が浮かび、引き籠もり生活は一変!貴族院二年生の終わりに向かって尋問会、聖典検証会議が続く上、見習いの名捧げ問題に直面。初参加の領地対抗戦を観覧中には、ダンケルフェルガーとのディッター勝負へ挑むことになるばかりか、表彰式をテロが強襲!

卒業式を前に、ローゼマインはフェルディナンドと共に貴族院の騒乱を止められるのか!?領地間の不穏な緊張感が高まるビブリア・ファンタジー最新刊!

書き下ろしSSは卒業生二人の恋物語×2本、椎名優描き下ろし「四コマ漫画」収録!

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本巻は、プロローグ・エピローグと見出しで区切られた18節からなり、紹介文にあるとおり、巻末に番外編が2編、イラストを担当している椎名優による巻末おまけの四コマ漫画が収録されています。各節のおおまかな内容を紹介すると、次のようなあらすじです。

プロローグ

ローゼマイン(エーレンフェストの領主候補生2年生)が倒れて強制終了となったお茶会。ハンネローネ(ダンケルフェルガーの領主候補生2年生)は、寮に戻り、兄のレスティラウト(領主候補生5年生)に、ローゼマインから渡されたダンケルフェルガー(順位2位の大領地)の歴史書の現代語訳を渡そうとするが、お茶会に同行していたクラリッサ(上級文官見習い5年生)がその紙束を抱え込んで拒否する。ハンネローネの筆頭側仕えのコンドゥラは、本を半分に分けて、前半を領地に送り、後半を寮に残してハンネローネ達に読ませることにする。クラリッサはローゼマインの側近に求婚し、課題を達成したと語る。数日後、ローゼマインの意識が戻った報告と領地帰還の挨拶がハンネローネに届く。

帰還後のお話し合い

エーレンフェスト(順位10位の中領地)に帰還したローゼマインは、領主執務室に向かい、領主ジルヴェスター(ローゼマインの養父)とフェルディナンド(ジルヴェスターの異母弟の神官長。ローゼマインの後見人)、カルステッド(エーレンフェストの騎士団長で、貴族としてのローゼマインの父)の尋問を受ける。3人は、報告書の書き方、ヒンデブラント王子(中央の第三王子)との関わり方などについて注意を受け、貴族院に戻った後に行われる尋問会の対策について話し合う。

夕食とお茶会

フェルディナンドの指示で、再生した採集場所の素材採集を側近のハルトムート(上級文官見習い6年生)に依頼する手紙を送るローゼマイン。フェルディナンド達も同席した夕食、ローゼマインはボニファティウス(カルステッドの父)にターニスベファレン討伐の様子を話すと、フェルディナンドはローゼマインが使った「ミズデッポウ」に興味を示す。数日後、エルヴィーラ(カルステッドの妻で、貴族としてのローゼマインの母)やフロレンツィア(ジルヴェスターの妻)とのお茶会でローゼマインは、ランプレヒト(カルステッドの次男でヴィルフリート(ローゼマインの義兄の領主候補生2年生)の護衛騎士)の妻アウレーリア(アーレンスバッハ出身)が懐妊したこと、コルネリウス(ローゼマインの兄で側近の上級護衛騎士見習い6年生)の結婚相手が同じく側近のレオノーレ(上級護衛騎士見習い5年生)であること、ハルデンツェルで奇跡を起こしたことで多くのギーベ(地方の領主)からローゼマインに面会依頼などが殺到していることなどを聞かされる。

養父様の命令

ジルヴェスターの仕事を手伝うローゼマインは、ジギスヴァルド(中央の第一王子)がアドルフィー(ジギスヴァルドの第一夫人になる予定のドレヴァンヒェルの領主候補生6年生)に贈る髪飾りの注文を受け、聖典を研究して儀式に使う舞台に関する記述を探すよう命じられ、神殿に向かう。

聖典を調べる

ジルヴェスターの命を受け、フェルディナンドに気付かれないように神殿に戻ったローゼマインは、聖典を調べる。すると、表紙を開いたところに魔法陣が浮かび上がり、これまでのインクで書かれた文字の上に、魔力で書かれた別の文字が浮かび上がる。それは、王となることを望む者に神に祈りを捧げて魔力を増やすことを示唆する内容だった。聖典を調べた後、ローゼマインはソランジュ(中級貴族で貴族院図書館の司書)から借りた図書館の司書の報告書を楽しく読むが、そこにフェルディナンドから連絡が入り、新事実が発覚したとフェルディナンドを呼び出す。フェルディナンドは、今の王は王となるための条件を満たしていないと語り、関わったら碌なことがない、この聖典のことは忘れろと指示する。

冬の神殿生活

貴族院からギルベルタ商会への注文書とシャルロッテからの質問書が届き、ローゼマインはギルベルタ商会を呼ぶ。追加の図書委員の腕章や髪飾りを購入し、髪飾りに合わせて衣装を誂える。持ってきた布を選ぶローゼマインは、トゥーリ(ローゼマインの実の姉)の目で、エーファ(ローゼマインの実の母)の作った布を選び、ルネッサンス(染色の専属職人)の称号を与えるが、オットー(ギルベルタ商会の旦那)からプランタン商会にクラッセンブルク(順位1位の大領地)の商人の娘・カーリンが見習いとして入ってきて、旦那のベンノに嫁ごうとしていると聞かされる。

城でのあれこれ

奉納式を終えて城に戻ったローゼマインは、コルネリウスたちから貴族院の様子を聞き、騎士の訓練場で新しく作った武器を披露する。フェルディナンドはそれを真似してより強力な武器を作り出す。ユストクス(フェルディナンドの文官兼側仕え)からは、ローデリヒ(ローゼマインへの名捧げを望む中級文官見習い2年生)が名捧げをしたら本人が望むなら親と離すよう助言され、騎士寮の一室を与えることを決める。冬の主の討伐が終わり、ローゼマインは貴族院に戻る。

ターニスベファレルの事情聴取

貴族院に戻ったローゼマインは、フィリーネ(側近で下級文官見習い2年生)達が集めたお話を読んで査定したりして数日を過ごすが、ヒルシュール貴族院の教師でエーレンフェストの寮監)から事情聴取の呼び出しがかかる。事情聴取は、ルーフェン(ダンケルフェルガーの寮監)、フラウレルム(アーレンスバッハの寮監)、グンドルフ(ドレヴァンヒェルの寮監)たち貴族院の教師のほか、ヒルデブラント、中央の騎士団長ラオブルート、中央神殿の神官長イマヌエルも隣席していた。ローゼマインはフェルディナンドの助言を踏まえて、尋問に答えていくが、イマヌエルは中央の聖典にはない闇の神の祝福を得る祝詞がエーレンフェストの聖典にあることにこだわり、中央神殿とエーレンフェストの聖典を比較する検証会議が開かれることになり、フェルディナンドも呼び出されることになる。

聖典検証会議

会議前日、フェルディナンドが貴族院にやってくる。ローゼマインは魔法陣が見えてしまうのではないかと心配するが、フェルディナンドは見えないふりをすればいいと助言する。会議には、ラオブルート、イマヌエルなどのほか、中央神殿の神殿長レリギオンも出席していた。ラオブルートは中央神殿の聖典が欠損していないか確認すると述べるが、フェルディナンドは招待状にはエーレンフェストが王の定めを破ったわけではないことを証明するための会議だと記載があった、と牽制する。ローゼマインはヒルデブラントや神殿関係者に聖典の閲覧を許すが、中央の関係者にはローゼマインには見える魔法陣が見えていないようだった。中央神殿の聖典を閲覧するが、書かれている文字は同じだが、浮かび上がる魔法陣や文字はなかった。ローゼマインは闇の神の祝福の祝詞が乗っているページを見せるが、中央神殿の二人は途中までしか読めず、魔力の属性や量で閲覧できる上限があるらしいことがわかり、エーレンフェストが黒の武器をしようしたことについてはお咎めなしとなる。

お茶会対策

会議の後、フェルディナンドはユストクスと共に文官たちの領地対抗戦の進捗を確認して指示を出した後、領主候補生とその側仕えを集めてローゼマインのお茶会参加に向けた対策会議を開き、魔力の放出量がわかるネックレスをローゼマインに与える。フェルディナンドがエーレンフェストに戻った後、ローゼマインはシャルロッテ(ローゼマインの義妹の領主候補生1年生)と一緒にハンネローネとのお茶会に出席し、ネックレスの色が変わったところで退席し、倒れずに終えることができる。

ドレヴァンヒェルとのお茶会

エーレンフェストからアドルフィーネのための髪飾りが届き、ローゼマインはドレヴァンヒェル(順位3位の大領地)に連絡を入れると、クラッセンブルク、ダンケルフェルガー、ドレヴァンヒェル、ギレッセンマイアー(順位4位の大領地)、ハウフレッツェ(順位5位の大領地)、アーレンスバッハ(順位6位の大領地)の6位までの上位領地の領主候補生や上級貴族が集まるお茶会に出席することになる。ローゼマインは新しい菓子のミルクレープを用意して、シャルロッテと共にお茶会に臨む。ジギスヴァルド王子から注文された髪飾りをアドルフィーネに渡すと、シャルロッテたちの従姉に当たるディートリンデ(アーレンスバッハの領主候補生5年生)が髪飾りを得ようとゴリ押しするが、アドルフィーネのきつい一言で引き下がる。

ローデリヒの名捧げ

エーレンフェストにお茶会の報告書を書いたローゼマインは、図書委員の腕章を贈るためにヒルデブラントに手紙を出し、ヴィルフリートやシャルロッテと相談し、領地対抗戦に向けて騎士、側仕え、文官に担当を分けて準備を進めることにする。物語と名捧げの石を準備したローデリヒに、ローゼマインはリヒャルダ(ローゼマインの筆頭側仕えの上級貴族でユストクスの母)とハルトムートを立会人として名捧げの儀式を行う。

領地対抗戦の始まり(二年)

文官コースの担当として領主対抗戦の準備を進めるローゼマインは、指示を出すハルトムートの仕事ぶりを見て来年に役立てるためメモを取る。領主対抗戦の当日を迎え、ジルヴェスターやフェルディナンドたちもやってくる。エーレンフェストのカトルカールを目当てに集まる貴族に対応するローゼマインだが、そこにエグランティー(前年に貴族院を卒業したクラッセンブルクの領主一族)とアナスタージウス王子(エグランティーヌと婚約した中央の第二王子)が、さらにダンケルフェルガーの領主がやってきて、ダンケルフェルガーの歴史書を現代語訳した本を販売する権利などをかけて、フェルディナンドとダンケルフェルガーの騎士ハイスヒッツェとでディッター勝負を行うことになる。

ディッター勝負

ダンケルフェルガーの訓練場に移り、フェルディナンドとハイスヒッツェは互いの領主候補生を守るディッター勝負を始める。一時はハイスヒッツェに追い詰められるフェルディナンドだったが、奇策や新しい武器も使って、勝利を収める。

領地対抗戦 ディッター

ディッター勝負の後、ローゼマインたちは急いで昼食を食べ、領地対抗戦のディッターを観戦に行く。エーレンフェストの順番がやってくるが、魔法陣で魔物を出す教師が運悪くローゼマインを目の敵にしているフラウレルムになってしまい、見たことがない魔物フランデルトタイレンを出される。魔物の資料をよく読んで知っているレオノーレの指示でエーレンフェストの騎士見習い達は戦い、訓練の成果を見せてフンデルトタイレンを討伐するが、期待されたほど順位を伸ばすことができない。

ハルトムートの結婚相手

フェルディナンドと共に席についたローゼマインのもとに、ハルトムートが結婚相手を紹介しに連れてくる。それは、ダンケルフェルガーのクラリッサだった。クラリッサは青い目を輝かせてハルトムートとの馴れ初めを語り、ローゼマインにお仕えしたいと自己アピールする。ローゼマインは、結婚してエーレンフェストに移ったら側近として召し上げると約束する。そこに、ライムント(アーレンスバッハの中級文官見習い3年生でヒルシュールの弟子)がフェルディナンドから出された課題を提出しにやって来る。図書館の魔術具の資料を元に新しい課題を出すフェルディナンドに、クラリッサが自分にも課題をとせがみ、ローゼマインは図書館で役立つ魔術具について課題を出す。表彰式のため競技場に向かうローゼマインに攻撃があり、エーレンフェストに順位を抜かれたインメルディンクの上級貴族の犯行が判明する。

強襲

王の挨拶から始まった競技場での表彰式。そこに数カ所で大きな爆発音が起き、ターニスベファレンが出現する。王から黒い武器を使う許可を得たダンケルフェルガーなどの騎士達が応戦し、フェルディナンドたちも加勢して、全てのターニスベファレンが倒される。防御のために魔力を使ったローゼマインはフェルディナンドに寮に戻され、再び最優秀ながら表彰式に出ることができない。

卒業式

ローゼマインは、ジルヴェスターが王族に呼び出されて翌日の成人式の祝詞をローゼマインにと打診があったが体調を理由に断ったこと、テロリストの主張が「グリトリスハイトを持たぬ王は退け」というものだあったため、中央神殿の聖典原理主義者が活気づくことになるとローゼマインは聞かされる。翌日の卒業式、フェルディナンドの指示で、午前と午後のどちらかだけ出られることになり、剣舞と奉納舞を見るために午前だけ出席するローゼマイン。奉納舞の舞台に浮かび上がった魔法陣が、聖典に浮かび上がったものと同じだと気付く。

図書館と帰還

奉納舞の後、ローゼマインは気分が悪くなったことにして寮に戻る。帰還を前に、フェルディナントと一緒に久しぶりに図書館を訪れたローゼマインは、シュバルツとヴァイスに魔力を供給し、不在の間の図書館の様子をソランジュから聞く。フェルディナンドは動きを止めた魔術具を研究用に貸してほしいとソランジュに頼む。そこにラオブルートが現れ、開かずの書庫についてソランジュやローゼマインに尋ね、アダルジーザの実とフェルディナンドに話しかけるが、フェルディナンドは厳しい顔になりローゼマインたちを連れて退出する。

エピローグ

アナスタージウスから緊急の呼び出しを受けたエグランティーヌは、表彰式で起きた襲撃について王族の間で話し合われている内容を話す。テロリストたちは廃領地の者ばかりだったこと、ターニスベファレンの移動に旧ベルケシュトック寮の転移陣が使われた可能性が高く、首謀者が旧ベルケシュトックに属する者だとの意見が強いこと、再発防止のため中央騎士団が動き出していることなど。エグランティーヌは、10年以上前の政変の際に自身が受けた夜襲を思い出して寝れなかったこと、グリトリスハイトを得た正当な王の誕生で政変が二度と起こらない平穏を望むと話し、アナスタージウスは何を犠牲にしても守り、グリトリスハイトを探そう、とエグランティーヌに寄り添う。

 

ここまでが本編。その後に、番外編の書き下ろしが2編。

東屋での語らい

ローゼマインが帰還した直後に行われた上位領地の上級文官見習いの情報交換会で、ハルトムートはローゼマインが命令で帰還したことを報告する。ローゼマインの詳細を知りたいクラリッサは、情報交換会の終了後、ハルトムートに報告したいことがあると呼び出される。求婚の課題に合格を得ていたクラリッサは、場所を恋人同士が過ごす場所である東屋に指定する。約束の日、ローゼマインへのお見舞い品を持って東屋に向かったクラリッサは、ハルトムートからフィリーネとローデリヒを紹介され、来年の貴族院での情報収集を頼まれる。ローゼマインは側近を召し上げる基準が縁故ではない、またフェルディナンドに認められる必要があると聞いたクラリッサは、困難は全て打ち破ってみせると闘志が燃え上がる。用件が済んだ後、クラリッサはハルトムートを呼び止め、ローゼマインを賞賛するハルトムートの語りを聞く。

東屋での逢瀬

ローゼマインの帰還を見送ったレオノーレ。コルネリウスに誘われて東屋に向かう。レオノーレは夏の終わり、コルネリウスから思いがけない言葉をかけられたときのことを回想する。東屋で、レオノーレは恋物語を読んで憧れていた、恋人の魔力を受け入れるという行為に息を呑む。

 

さらに、著者によるあとがきの後に、「毎度おなじみ 巻末おまけ」(漫画:しいなゆう)「ゆるっとふわっと日常家族」と題して、「無言圧力」「筋肉少女」「恋の暴走列車」の3本の四コマ漫画が収録されています。

 

聖典をめぐって、中央神殿との関わりも出てきたローゼマイン。中央神殿の神官たちには見えない魔法陣が見えるなど、理由・背景はまだ分かりませんが、ローゼマインの類稀な能力も明らかになってきます。これは、今後中央との関わりの中で大きな要素になってくるのでしょう。