鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「川っぺりムコリッタ」

休日の朝、MOVIX柏の葉に行きました。


朝9時半近くの時間帯、最初の上映が始まっていたスクリーンも多く、人は少なめでした。


この日の上映スケジュールの一部。23作品・25種類の上映が行われていました。

私が観たのは、「川っぺりムコリッタ」(9月16日(金)公開)。


上映は139+2席のシアター3。お客さんは10人ちょっとという感じでした。


チラシの表裏。


もともとは、昨年の11月3日の公開予定でしたが、コロナ禍の影響で、公開が延期されていました。

荻上直子監督のオリジナル脚本作品で、全国128館と中規模での上映。

 

公式サイトのストーリーによれば、

 

山田は、北陸の名もなき町にある「イカの塩辛」工場で働き始め、社長から紹介された「ハイツムコリッタ」という安アパートで暮らし始めた。できるだけ人と関わらず生きていこうと決めていた山田のささやかな楽しみは、風呂上がりの冷えた牛乳と、炊き立ての白いごはん。山田は、念願の米を買い、ホカホカ炊き立てご飯を茶碗によそい、イカの塩辛をご飯に乗せた瞬間、部屋のドアがノックされる。ドアを開けると、そこには隣の部屋の住人・島田が風呂を貸してほしいと立っている。ぼさぼさ頭で汗だくの男は、庭で野菜を育てているという。

以来、毎日のように山田の家にやってくるようになったことから、山田の静かな日々は一変する。このアパートの住人はみな、社会からは少しはみ出した感じの人たちばかりだった。無論、みな貧乏だ。夫を亡くした大家さんはなんだか訳アリの雰囲気だし、墓石売りの溝口さんは息子を連れて訪問販売しているし、ひっそりと生きたいと思っていた山田だったが、なぜだか住人たちと関わりを持ってしまっている。

ある日、子供のころに自分を捨てた父の孤独死の知らせが入る。なぜ、とうに縁が切れた父親の死後の面倒をみなければならないのか?反発しながらも、島田に説得され、山田は遺骨を引き取りに行く。父が残した携帯電話には「いのちの電話」への着信履歴が残っていた。自分を捨てたと思っていた父の死因は自殺だったのだろうか?母に捨てられて以来、「自分なんか生まれてこなければよかった」という思いと戦ってきた山田は、腹立たしいような、「やっぱりそうだったのか」と落胆するような複雑な感情にかられる。そんな山田を、島田は不器用に、かつ優しく励ます。少しずつ友情のような関係が芽生え始める山田と島田。溝口の墓石が破格の値段で売れたときは、ハイツムコリッタの皆で食卓を囲む。山田の心に光が灯り始めた頃、山田が北陸の町にやってきた「秘密」が、島田に知られてしまい―。

 

・・・というあらすじ。

 

公式サイトで紹介されている主要キャスト・登場人物は、

  • 山田 たけし【松山 ケンイチ】:刑務所を出所して水産加工工場で働き始めた若い男性。会社の紹介でハイツムコリッタに引っ越してくる。

  • 島田 幸三【ムロツヨシ】:山田の隣の部屋に暮らす男性。ミニマリストを自称し、庭で野菜を育てている。部屋の風呂が故障したが直すお金がなく、山田の部屋に入りにやってくる。

  • 南 詩織【満島 ひかり】:ハイツムコリッタの大家さん。5年ほど前に夫をガンで亡くし、小学生の娘と二人暮らし。

  • 溝口 健一【吉岡 秀隆】:山田の向かいの部屋に暮らす男性。就学前の息子を連れて墓石のセールスに回っているが、なかなか売れず、家賃を半年滞納している。

  • 中島【江口 のりこ】:水産加工工場で働く女性。社長の信頼が厚い。

  • 堤下 靖男【柄本 佑】:父の遺骨を引き取りに来た山田に対応した市役所の社会福祉課の職員。

  • 大橋【田中 美佐子】:溝口が墓石のセールスに訪問した夫人。愛犬のために高価な墓石を購入する。

  • 沢田【緒形 直人】:水産加工会社の社長。こつこつ働き続けるよう山田を励ます。

という感じ(登場人物の説明は加筆しました)。

 

親から捨てられ、自分が生きていく意味を見い出せなかった山田が、ハイツムコリッタの住人たちとの交流を通じて、少しずつそれを見い出していく自分探しの物語。観る前は、ほのぼのとした心温まるお話なのかと思っていたのですが、始まってすぐに、幼い頃に別れたきりの父親の孤独死、携帯の通話履歴に残るいのちの電話と、死の重い雰囲気が漂ってきます。そこに、ズカズカと山田の生活に踏み込んでくる島田とのやりとりのユーモラスな描写が交錯して、何とも不思議な空気感の作品でした。