鷺の停車場

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映画「いちばん逢いたいひと」

久しぶりにMOVIX三郷に行きました。


ホームセンターのスーパービバホームイトーヨーカドーなどのお店が集まったエリア。MOVIXは写真の左端の建物にあります。


映画館の入口。なお、スーパービバホームは写真左手をさらに奥に進んだところにあります。


全体の案内板。


建物の入口を入ってエスカレーターを上がったところが映画館です。ここに来るのは、およそ2年ぶりです。世間的には平日の午後16時過ぎ、ロビーは閑散としていました。


上映スケジュールの一部。この日は、31作品・32種類の上映が行われていました。30以上の作品を上映しているというのは、シネコンでもかなり多い作品数ではないかと思います。この日観たのは「いちばん逢いたいひと」(2月24日(金)公開)。気になっていたのですが、全国23館と小規模での上映。近くの映画館では上映しておらず、ここが最寄りの映画館らしかったので、やや遠いですが、やって来た次第。


上映は131+2席のシアター5。ちょうど予告編が始まるころに入ってみると、他に誰もお客さんがいない貸切り状態でしたが、予告編の間に1人入ってきました。それでも私を含めてたった2人だけ、とても寂しい入りです。


自身の娘が白血病にかかり病気と闘った経験をもつ堀ともこをプロデューサーに、「白血病と骨髄移植」をテーマに、白血病を乗り越えた少女と、そのドナーになった男の人生を描いたオリジナル作品で、監督・脚本は丈。 

 

公式サイトのストーリーによれば、 

 

11歳の女の子、楓は、ある日突然授業中に倒れてしまい、検査の結果「急性骨髄性白血病」と診断され、辛く長い闘病生活が始まった。幼い楓にとって、抗がん剤治療や放射線治療は過酷でしかなかったが、隣のベッドで同じ病気と闘っている与志だけが唯一の心の支えだった。
同じ頃、IT企業を経営する柳井健吾は最愛の娘を白血病で亡くしてしまう。経営者の健吾は仕事を優先せざるを得なかったが、娘を失ったことで、幸せだと思っていた家庭は崩壊へと向かってしまう。家族を失ってしまった健吾にとって、今や骨髄ドナーになれたことだけが人生で唯一の誇れることだった。

幼くして白血病となった少女
11歳の女の子、楓は、ある日突然授業中に倒れてしまい、検査の結果「急性骨髄性白血病」と診断され、辛く長い闘病生活が始まった。

そして白血病を乗り越えた少女
癒しきれないほどの大きな悲しみを乗り越え、今は元気になった少女は、自分の命を救ってくれたドナーからの絵葉書を手に旅に出る。

娘を失った男
IT企業を経営する柳井健吾は最愛の娘を白血病で亡くしてしまう。失意の彼であったが、仕事を優先していたことを妻に責められてしまう。

かけがえのない人を失いながら、それでも懸命に生きていこうとする一人の男と一人の少女。 異なる人生を歩みながら探し求めた、それぞれの「いちばん逢いたいひと」とは。。。

 

というあらすじ。

 

公式サイトで紹介されている主要登場人物・キャストは、

  • 笹川 楓【倉野 尾成美(AKB48)】:主人公。11歳の時に急性白血病になってしまうが骨髄移植を受けて克服し、その後大学まで進み、第一希望の会社の内定を得る。入社を前にドナーからの絵葉書を頼りに、憧れの一人旅に出る。

  • 笹川 佳澄【高島 礼子】:楓の母親。白血病と闘う楓を看病する。

  • 笹川 祐樹【大森 ヒロシ】:楓の父親。

  • 笹川 源蔵【不破 万作】:楓の祖父。

  • 柳井 健吾【崔 哲浩】:IT会社の共同経営者だったが、息子を白血病で亡くして家族は壊れ、横領で逮捕されてしまう。出所後は故郷に戻り飲食店を営むが、軌道に乗ったと思った矢先に、過去の犯罪が明るみに出たことで客は離れ、閉店を余儀なくされる。

  • 柳井 祥子【中村 玉緒】:健吾の母親。飲食店を営んでいた。

  • 田畑 康代【田中 真弓】:楓が旅先で出会った上下駅に隣接する土産物店のおばちゃん。

  • 薬師寺 勝【三浦 浩一】:楓の主治医。

というもの。(それぞれの登場人物の説明は加筆しました)

そのほか、映画情報サイトなどで確認できた登場人物・キャストは、

  • 橘高 康介【丈】:健吾の故郷の友人で、理容師。

  • 笹川 楓(小学生時代)【田中 千空】:11歳のときに授業中に突然倒れ、検査の結果、急性骨髄性白血病と診断され、ドナーが現れるのを待ちながら闘病生活を送る。

  • 笹川 隼人【中田 瑛仁】:楓の兄。

  • 高橋 与志【海津 陽】:入院中の楓と同室となった同い年の男の子で、ウマが合い、互いに恋心を抱くようになる。楓より先にドナーが現れるが、理由は不明だが移植は延期となり、結果亡くなってしまう。

  • 高橋 夏江【夏井 世以子】:与志の母親。

  • 真奈美【近藤 玲音】:入院した楓が最初に同室となった女の子。骨髄移植を受けることなく亡くなってしまう。

  • 神保 吉住【細川 学】:健吾の共同経営者。業務上横領で健吾を告発し、民事訴訟も起こすが、億単位で残った借金を回収するため、テレビクルーを引き連れて健吾の店にやってくる。

  • 柳井 美佳【町本 絵里】:健吾の妻。息子が亡くなったのをきっかけに、仕事中心の健吾から心が離れていき、横領事件の発覚後、離婚を突きつける。

  • 池田 太一【内藤 典彦】:小児がん担当医。

というあたり。

 

ネタバレになりますが、記憶の範囲で、より詳しくあらすじを記すと、

 

切石山に登り、絵葉書と同じ風景を見つけて喜ぶ楓。
遡ること10年前、11歳の楓は、朝、自宅で突然倒れる。大丈夫、と学校に行くが、授業中に再び突然倒れ、保健室に運ばれてしまう。
一方、仕事に打ち込む柳井健吾は、会社を出て車で白血病の娘・アユミが入院する病院に向かい、医師と話をするが、ドナーは見つからないことに立腹して出て行く。
心配になった楓の母親は、楓を病院に連れていき、検査を受けさせると、大学病院での検査を勧められ、タクシーで大学病院に向かう。
一方、柳井の娘は、ドナーが見つからないまま、亡くなってしまう。
検査の結果、楓は急性骨髄性白血病であることが判明し、入院生活が始まる。同室となった真奈美は、治療は死ぬほど辛いと話し、楓は不安になる。インターンの看護師・藍川みのりが担当になる。
一方、最愛の娘を失い、妻・美佳は仕事優先だった柳井を責める。二人の関係は冷え込んでいき、生きる希望を失った妻の美佳は自殺を図るまでに至る。会社では、共同経営者の神保が、柳井が何か隠しているのではないかと疑い始める。
骨髄移植のドナーを探す楓の両親は、親戚中に頼んで検査を受けてもらうが、完全に適合する型は見つからない。父親は、骨髄バンクにドナー登録をしてもらおうと、祖父の協力を得てチラシを作り、街頭で配布する。たまたまそれを受け取った柳井は、ドナー登録をする。
楓と同室だった真奈美は亡くなってしまい、同じ病室に同い年の高橋与志が入ってくる。二人は意気投合して仲良くなり、病院の屋上でデートするようになる。
柳井の元に通知が届き、ドナーとなるための検査が始まる。そんな中、神保に突然会議室に呼び出された柳井は、臨時の取締役会で解雇を通告される。不正経理で億単位の金を横領したことが発覚し、逮捕令状を突きつけられた柳井は、会社から逃走する。
ドナーが見つからないことに苛立ちを募らせる楓と与志の母親は、医師に詰め寄るが、そんな中、与志にドナーが見つかり、与志とその母親は大喜びする。一方、楓の母親に、医師はドナーが見つかった、と話し出すと、母親はその続きを聞かず喜んで飛び出していき楓にそれを伝えるが、追ってきた医師は、ドナーと連絡が取れなくなり、移植は難しいと告げる。
楓はすっかり落ちこんでしまい、医師は気分転換に一時帰宅することを勧める。希望を失った楓は、一瞬のスキをみて病院の屋上に向かい、飛び降りようとするが、見つけて追ってきた与志がそれを止める。命は親からの贈り物、今、生きていることに、全て意味がある、大切にしなければいけない、最後まで諦めちゃダメだ、と与志は諭すが、楓は与志はドナーが見つかったからそんなことが言えるんだと言い、涙する。一時帰宅した楓は、自宅で再び倒れてしまい、病院に戻る。
その頃、逃亡する柳井は、病院を訪ねる。みのりは、同僚から与志の移植が延期になったこと、楓にドナーが見つかったことを聞かされる。そして、医師は、楓とその家族に、ドナーが見つかったことを伝える。柳井は、移植手術が終わったら自首すると自ら警察に連絡していた。
移植手術は無事に成功し、柳井は病院からそのまま警察に連行される。国選弁護人となった田所は、美佳からの離婚届を出し、10年程度の懲役で済むよう頑張るが、神保の会社から民事訴訟も起こされており、自宅などの財産は差し押さえられることなどを話す。
移植手術を受けた楓と家族は、ドナーに手紙を書く。退院を迎え、出る前に与志に謝りたいと家族に話す楓は、与志が亡くなっていたことを知らされ、号泣する。家族とともにその墓にお参りする楓。
柳井に面会に来た母親は、家に帰ってこいと話し、故郷の景色が写った絵葉書などを渡し、柳井はその絵葉書で楓への返事を書き、母親には、息子に海外で移植手術を受けさせようとして詐欺に遭い、横領を働いたことを手紙で打ち明ける。それらの事情が考慮され、柳井は懲役8年の判決を受けて服役する。
出所した柳井は、母親の家に電話をするが、つながらない。前の会社があったビルに行くと違う会社が入っており、かつての自宅も他の人の家になっていた。新幹線とローカル線を乗り継いで故郷の上下駅に降り立った柳井が実家に行くと、母親は2階の寝室で孤独死していた。
全うになると決意した柳井は、料理店を開き、一度は軌道に乗るが、そこにまだ億単位で残る借金を取り立てようと、神保がテレビクルーを連れて踏み込んでくる。テレビで過去の犯罪が報じられたことで、客はみるみる減っていき、閉店に追い込まれる。
一方、中学生、高校生と成長し、大学生となっていた楓は、就職活動に臨み、見事に第一志望の会社への就職を決める。
自宅に引きこもる柳井のもとに、神保から依頼された取り立て屋がやってくる。柳井はもう無理、と首つり自殺を図る。首つりは失敗するが、偶然に母親が残していたお金が出てくる。骨髄ドナーになれたことだけが人生で唯一の誇れることとなっていた柳井は、自分がドナーとなった女の子に会って、生きている意味を感じたいと、そのお金で新幹線に乗り、東京に出る。
与志の墓に花を手向ける楓は、就職を前に、憧れだった一人旅に出かけることにし、ドナーからの返事でもらった絵葉書に写っていた景色を探して、瀬戸内に行くことにする。出発を前に、今はチーフとなっていたみのりと会った楓は、もじゃもじゃ髪のホームレスのような男性が、自分が骨髄を提供した女の子に会わせてくれと小児がんの移植手術を行う病院を回っていると聞かされる。それは自分のドナーなのではないかと直感した楓は、ある病院に行ってみるが、柳井とニアミスするものの、会うことはできない。
目的を果たせなかった柳井は、通りかかった洋服店に入ってスーツを買い揃え、家に帰るため新幹線に乗る。同じ新幹線には、一人旅に出た楓も乗っていた。ローカル線に乗り換え上下駅に降り立った楓。一方、柳井は昔友人だった橘高が営む理容室を訪ね、もじゃもじゃだった髪を綺麗にしてもらう。
「町家天領上下」に宿まった楓は、翁座などの観光地を観て回った後、お土産を買いに土産物店を訪ねる。その店のおばちゃんに髪がもじゃもじゃでホームレスのような男性がいないか尋ねると、おばちゃんは楓をある男性のところに連れていくが、それは別人だった。
整髪を終えた柳井に、橘高はカットは1,000円にするから、必ず来いよ、と声を掛ける。
翌日、柳井は、母親の骨壺に手を合わせ、スーツに着替える。その頃、おばちゃんを訪ねた楓は、橘高のもとに連れられ、橘高は楓を柳井の家まで案内するが、既に柳井は家を出た後だった。柳井は切石山に登っていた。楓は、夕方に家に行けば柳井に会えるだろうと考え、それまでの間、観光地を巡った後、切石山に登る。
母親の骨壺を持って山に登った柳井は、ワシの人生何じゃったんだろう、とつぶやき、飛び降り自殺を図ろうとする。まさに身を投げようかとしたとき、柳井に気付いた楓が駆け付け、必死に止める。楓は、命は親からの贈り物、今、生きていることに、全て意味がある、と涙ながらに柳井を説得する。
柳井と山を下りてきた楓は、おじさん、人生捨てたもんじゃないよ、と語りかけ、別れる。そして、柳井に会おうと家の前に待つ楓のもとに、柳井が姿を現す

・・・というもの。

 

耐え難い困難に直面して挫折しながらも、会いたい人への想いを原動力に、前に進もうとする姿を描き、心に響く作品でした。ところどころ挿入されているユーモラスなシーンでの、クサさを感じる安っぽい演出は残念なところで、テーマの重苦しさを和らげる狙いだったのだろうと思いますが、そうした描写は抑えて、もっと淡々と描いた方が、より深く刺さる作品になったのではないかという気がしました。