鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「水は海に向かって流れる」

週末の夕方、ユナイテッド・シネマズ テラスモール松戸に行きました。


この映画館に来るのはおよそ1年4か月ぶりです。夕方17時半ごろ、ロビーのお客さんは少なめでした。


この日の残りの上映スケジュール。既に上映が終わった回も含めると、この日は20作品・33種類の上映が行われていました。

この日観るのは「水は海に向かって流れる」(6月9日(金)公開)。全国267館と、大規模での公開ですが、この映画館を含め、少なくない映画館で、公開2週目で早くも上映が1日1回のみとなってしまっていたので、公開直後の客足が伸びなかったのだろうと思います。


エスカレーターで4階に上がってスクリーンへ。


上映は198席のスクリーン5。お客さんは10人いないくらいで、かなり寂しい感じでした。


(チラシの表裏)


(チラシの中見開き)


別冊少年マガジン」に2018年9月号から2020年8月号まで連載された田島列島さんの同名コミックスを原作に実写映画化された作品で、主要スタッフは、監督:前田哲、脚本:大島里美など。

 

公式サイトのストーリーによれば、次のようなあらすじです。

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この雨の日の出会いが、世界を変えた

通学のため、叔父・茂道の家に居候することになった高校生の直達。だが、どしゃぶりの雨の中、最寄りの駅に迎えにきたのは見知らぬ大人の女性、榊さんだった。案内されたのはまさかのシェアハウス。いつも不機嫌そうにしているが、気まぐれに美味しいご飯を振る舞う26 歳の OL ・榊さんを始めとし、脱サラしたマンガ家の叔父・茂道(通称:ニゲミチ)、女装の占い師・泉谷、海外を放浪する大学教授・成瀬・・・と、いずれも曲者揃いの男女5人、さらには、拾った猫・ミスタームーンライト(愛称:ムー)をきっかけにシェアハウスを訪れるようになった直達の同級生で泉谷の妹・楓も混ざり、想定外の共同生活が始まっていく。そして、日々を淡々と過ごす榊さんに淡い想いを抱き始める直達だったが、「恋愛はしない」と宣言する彼女との間には、過去に思いも寄らぬ因縁が・・・・・・。榊さんが恋愛を止めてしまった《本当の理由》とは・・・・・・?

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公式サイトで紹介されている登場人物は、次のとおりです。

  • 榊 千紗(さかき ちさ)【広瀬 すず】:いつも不機嫌で日々を淡々と生きる26歳のOL。気まぐれにおいしいご飯を振る舞う。

  • 熊沢 直達(くまざわ なおたつ)【大西 利空】:シェハウスに引っ越してきた高校生。茂道の甥。ちょっぴり恋に鈍感な高校生。

  • 歌川 茂道(うたがわ しげみち)【高良 健吾】:直達の叔父(母親の弟)で脱サラした漫画家。通称:ニゲミチ先生。

  • 泉谷 颯(いずみや はやて)【戸塚 純貴】:楓の兄で女装の占い師。

  • 泉谷 楓(いずみや かえで)【當真 あみ】:颯の妹で直達の同級生。陸上部。直達に想いを寄せる。

  • 榊 謹悟(さかき きんご)【勝村 政信】:榊の父。

  • 熊沢 達夫(くまざわ たつお)【北村 有起哉】:直達の父。

  • 高島 紗苗(たかしま さなえ)【坂井 真紀】:榊の母。

  • 成瀬 賢三(なるせ けんぞう)【生瀬 勝久】:世界中を旅する大学教授。

  • ミスタームーンライト:直達に拾われシェアハウスの一員になった猫。愛称:ムー。

 

ネタバレになりますが、記憶の範囲で、より詳しくあらすじを紹介すると、次のような感じです(多少の記憶違いはあるかもしれません)。

 

ローカル線の部妻川駅に着いた高校生の熊沢直達(大西利空)は、あいにくの雨に晒されていた。直達は、実家から高校が遠いため高校から近い叔父・茂道高良健吾の家に住まわせてもらうことになっていた。
そこに、傘を持って彼を迎えに来たのは見知らぬ女性・榊千紗広瀬すずで、茂道が手が離せないため代わりに迎えに来たという。茂道の家に着いた直達に、千紗は、おなか減ってる?と聞き、はいと答えると、玉ねぎを切り、めんつゆ、牛肉を入れて牛丼(パパラッチ丼)を作って直達にふるまう。テーブルに座って缶ビールを開ける千紗に直達は思わず「茂道おじさんの彼女さんですか?」と聞いてしまうが、「違います」と即答される。そこに同居人の泉谷颯(戸塚純貴)が姿を現す。直達は茂道の一軒家だと思っていたが、そこはシェアハウスだった。

茂道は、脱サラをして「ニゲミチ」というペンネームで漫画を描いており、同居人たちから「ニゲミチ先生」と呼ばれていた。茂道は脱サラしてお金がなくなってシェアハウスに住むようになったと話し、脱サラして漫画家になっていること、シェアハウスに住んでいることは家族には内緒にするよう直達に伝える。

翌日、学校に向かう直達は河川敷で段ボール箱に入った捨て猫を見つける。その猫の写真を撮って登校した直達は捨て猫の飼い主を見つけようとクラスメイトたちに聞きまわるが、いい返事をする人はいない。そこに通りかかった鞄に猫のマスコットを付けていた泉谷楓(當真あみ)に話しかけると、母親が猫アレルギーで飼えないが探すのを手伝うと直達の撮った写真を送ってほしいとお願いする。直達の友人は2人の男子生徒から告白されて断ったばかりの楓に話しかける直達に驚く。
その帰り、直達が捨て猫のいる河川敷に行くと、段ボール箱の中に猫はいなかった。直達が周囲を探すと、女装占い師の姿をした颯が猫をいじめる高校生から猫を助けていた。颯は妹の楓から聞いたと話し、2人はその猫をシェアハウスに連れて帰る。それがきっかけで、楓もシェアハウスを訪れるようになる。

しばらくして、留守にしていた東京大学文化人類学を教えているという大学教授・成瀬生瀬勝久ボリビアへの調査から帰ってくる。シェアハウスでは、直達の歓迎も兼ねてバーベキューパーティが開かれる。直達と茂道が10年前に一緒に住んでいたという話を聞いて、千紗は複雑な表情をする。
宴が進み、茂道や颯がすっかり酔っ払ったころ、成瀬と話す千紗は、直達を迎えに行った際に茂道から借りた直達一家からの写真入り年賀状を見て、直達の父が10年前に自分の母とW不倫して駆け落ちした相手であることが分かったこと、自分はそれ以来母親と会っていないことなどを話す。成瀬は、嫌なら嫌がらせして追いだせばと言うが、千紗は、子どもは悪くない、なかったことにしてこれまで通り暮らせればいいと話す。しかし、直達と楓は偶然その話を盗み聞きしてしまう。

そんなある日、帰省しようとした直達が駅から母親に電話すると、茂道を訪ねる父北村有起哉と入れ違いだね、と聞かされ、直達は走ってシェアハウスに戻ろうと急ぐ。しかし、直達が帰り着く前に、父・達夫がシェアハウスを訪ねる。玄関に出た千紗に、達夫は不倫のことで千紗に詫びるが、千紗は怒りをぶつけるようにお盆を父に投げつけ、外に出ていく。遅れてシェアハウスにたどり着いた直達は、お盆が当たって鼻を怪我し、転んだと言って包帯でぐるぐる巻きになった達夫と一緒に実家に帰る。
翌朝、何事もなかったかのように振る舞う両親の姿に違和感を感じる直達。何かいいたいことはないか、と尋ねる達夫に、直達は遊ぶ金がほしい、とお金を巻き上げ、大量の卵を買ってシェアハウスに戻る。

恋人はいないのか尋ねる直達に、千紗は「いらない」と答える。直達はそのことを楓に話して、どういう意味か確かめる。直達が気になっている楓は、千紗の話をする直達に複雑な思いを抱える。

そんな中、千紗が「私恋愛しないので」と言い、あれから母親と会っていないと聞いた達夫は、久しぶりにかつての不倫相手と連絡を取ることを思い立ち、当時使っていた携帯電話を押し入れから探し出し、アダプターを繋いで電源を入れるが、それを目撃した母親は、アダプターを振り回して自ら怪我してしまい、病院に運ばれる。
達夫からその一報が入り、病院に向かった直達に、母は平静を装う。達夫から怪我した経緯を聞いた直達は、全部裏目に出ているじゃないかと指摘するが、達夫は、こんな自分でも普通の人間だと思いたいんだ、と語る。

シェアハウスに戻った直達に、千紗は突然カレーを振る舞う。直達は、バーベキューの日に千紗と成瀬の会話を聞いてしまったことを打ち明け、達夫がケガしたのは千紗がお盆を投げたからではと疑う茂道に本当のことを話した方がいいのではと話す。
中華料理屋に行った千紗と直達は、茂道に達夫と千紗の母がW不倫で駆け落ちした過去があることを話す。知らなかったとはいえ、自分がその一端を担っていたことにショックを受ける茂道。一方、楓は、直達が打ち明けたことで、2人だけの秘密がなくなってしまったことを残念に思う。

千紗が恋愛しないなら自分も恋愛しないと言い出す直達に、千紗は、直達を好きになる人もいるのだから、と窘める。
さらに別の日、千紗は朝から大量のゆで卵を作る。競うようにゆで卵を食べる直達。学校に行き朝から食べ過ぎて机に崩れている直達に、楓が声をかける。直達は、千紗が恋愛しないと言うので、自分も恋愛しない、と言い、楓は、直達が好きな本心を押し隠して、それはいいね!と賛同する。
しかし、楓の内心は穏やかでない。陸上部の練習の最中に、楓はグラウンドを抜け出しシェアハウスに駆けていき、千紗が恋愛しないと言うから直達も恋愛しないと言っている、と千紗をなじる。千紗は、直達には再度強く言っておくが、自分の恋愛がうまくいかないのを他人のせいにするようなヤツになるな、と言い、楓の目から涙が流れる。

翌日、千紗からそのことを聞かされた直達は、昼休みに楓を呼び出す。なんで千紗にそんなことを言ったのか尋ねる直達に、楓は直達のことを好きな子はここにいる、このハートドロボウ!と言って去っていく。
その帰り、河川敷で物思いにふける直達に、仕事帰りの千紗が声をかける。直達は飲みに行きましょう、と千紗を誘い、中華料理店に行く。その帰り、酔った千紗は、駆け落ちした後に、実は母親が一度会いに来たこと、千紗が嫌いになったわけじゃないという母親に、出ていったのは嫌いになったのと同じ、と言い、誰かを好きになったらわかる、という母親に、そんなのわかりたくない、私は一生恋愛しない、と厳しい言葉をぶつけたことを話し、厳しい言葉を投げてなければ、母親も戻ってきたのかもしれないと漏らす。

そして、直達のもとに達夫から突然、千紗の母親がみつかったと連絡が入る。探偵社から千紗に母親の現在について調査した報告書が速達で届き、直達はそれは父がやったことを話すと、千紗はそれを持って自分の部屋に戻っていく。千紗の部屋を訪れた直達は、榊さんは怒っていい、自分は怒っている、と自分の思いを打ち明け、涙を流す。

千紗は直達と一緒にバスで母が現在住む家に向かう。そこは千葉県の海辺の一軒家で、再婚相手とその連れ子の女の子と3人暮らしだった。家を見た千紗は母には会わずに帰ろうとするが、直達は呼び鈴を押そうと玄関に向かい、千紗がそれを止めているその時に、外出していた母・高島紗苗(坂井真紀)が車で帰ってくる。
家の中に招かれた2人。紗苗は、今の幸せをぶち壊しに来たのならやったらいい、自分もこんなに幸せになってはいけなかったのではと思う気持ちがある、千紗には幸せになってもらいたい、と言い。千紗は怒りを抑えることができず、厳しい言葉をぶつけるが、涙を流す紗苗に、幼稚園児の娘が2人に反抗し、それに追い立てられるように2人は早苗の家を出る。

そのころ、達夫は、街角でミカン箱を引いて歩く男性からトーテムポールがある家がどこにあるか尋ねられる。それが直達たちが住むシェアハウスだと分かった達夫は、その男性をシェアハウスの前まで案内する。別れ際、その男性はお礼に箱からミカンを何個か出して達夫に渡し、娘がここに住んでいると話す。父は、それが千紗の父親だと気づき、シェアハウスに向かう男性の背中で、静かに頭を下げる。
一方、紗苗の家を出た千紗に、シェアハウスに着いた父・謹悟勝村政信から電話がかかってくる。成瀬と旧知の仲の父親は、成瀬が帰国したと知って、自分が育てたミカンを持ってシェアハウスを訪れたのだった。千紗は、父親に10年前のことをどう思っているか尋ねると、父親は、母親を直接責めず、全く気付かなかった自分も悪いところがあったのだろう、母親が好きだった千紗には苦労をかけたと話す。

2人は、いいものを食べて元気を出そうと海沿いのレストランで食事するが、そこに紗苗と現在の夫、娘が家族連れで来店し、居心地の悪くなった千紗はお金を置いて先に出る。直達は食べかけの料理をお持ち帰りにしてもらい、その店を出るが、紗苗が直達を呼び止めて詫びる。直達は金があるかと言い、紗苗が慌てて財布から3万円を出して渡すと、直達はそれをそのまま店の入口にあった募金箱に突っ込んで、店を出る。
直達がバス停で待つ千紗に追いつくと、千紗は最終のバスがもう行ってしまったと言い、2人は宿で一泊することになる。お風呂に入った後、持ち帰った料理で部屋で飲み直す2人。満腹になって横になる千紗に、直達は千紗が怒っていたことは自分がちゃんと覚えておくから、と話すと、千紗も、直達が怒っていると泣いたことは覚えておく、と話す。

翌朝、早起きした千紗は海辺に行き、波打ち際で一人たたずむ。起きて千紗がいないことに気づいた直達は慌てて千紗を探す。直達が波打ち際に千紗を見つけて駆け寄ると、千紗はふざけて直達に蹴りを入れて倒し、2人はずぶ濡れになりながら海辺で戯れる。

シェアハウスに戻ってきた2人。直達が学校に行っている間に、千紗は引越しの準備を進めていた。それを知った茂道は、直達が通う学校に行き、校庭からスケッチブックに描いた絵で、千紗が引っ越そうとしていることを伝える。
それを見た直達は、授業を抜け出してシェアハウスに急ぎ、その途中で畳んだ段ボール箱を抱えて歩く千紗を見つけて呼び止める。直達は、千紗と一緒にいたい、千紗が好きだと思いを伝えるが、千紗は、表情を緩めながらも、「バッカじゃないの」と返すのだった。

(ここまで)

 

ストーリー自体はいい展開で、ほど良い余韻の残る作品でした。正直に書くと、熊沢直達役の大西利空の演技はだいぶがっかりで、そこが違えばかなり作品の印象が違ったのではないかという気がしました。主人公・榊千紗役の広瀬すずは、これまで演じてきた役柄とはちょっと違う、翳のあるクールな大人の女性をうまく演じていたと思いますし、直達に思いを寄せる楓役の當真あみやそれらの脇を固めるベテラン俳優陣も良かったので、もったいない感じがしました。