鷺の停車場

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劇場版アニメ「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」

久しぶりにMOVIX亀有に行きました。


この日は世間的には平日、通勤途上らしき方も多く見かけました。


観に来たのは「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」(6月23日(金)公開)。前作「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」(2019年6月15日(土)公開)は、全国31館と小規模な公開でしたが、今回は、全国104館と3倍以上の規模での公開です。映画館の手前の壁には、大きなタペストリーが飾られていました。


ロビーは、売店に多くの行列ができていました。「青春ブタ野郎」のパンフレットかグッズを買い求める人の行列のようでした。


この日の上映スケジュールの一部。この日は、25作品・30種類の上映が行われていました。


シアター入口を入った廊下にも、このような展示がありました。


上映は225+2席のシアター6。世間的には平日午前ですが、公開初日の最初の上映回ということもあって、100人以上はお客さんが入っていました。


(チラシの表裏)


(公開日アナウンス前に配布されていたチラシ)

 

鴨志田一さんのライトノベル青春ブタ野郎」シリーズの第8巻「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」を原作にアニメ化した作品で、主要スタッフは、監督:増井壮一、構成・脚本:横谷昌宏、キャラクターデザイン・総作画監督:田村里美、アニメーション制作:CloverWorks など。

 

映画情報サイトでの紹介によると、

藤沢で暮らしている梓川咲太は、峰ヶ原高校2年生の3学期を迎え、先輩で恋人の桜島麻衣と共に過ごせる時間が残り少なくなっていた。そんな折、長年家が大好きだった妹の花楓が、胸の中に秘めてきた思いを咲太に打ち明ける。それは兄と同じ高校に通いたいというもので、咲太は困難を承知で妹を応援する。

・・・という物語。

 

私は、もう4年ほど前になりますが、前作の劇場版アニメ「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」が公開されていた頃、原作小説も読んでいました。

reiherbahnhof.hatenablog.com

これまでのテレビアニメ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」や前作の劇場版アニメ「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」は、基本的に原作に沿った展開になっていたので、今回もおそらく原作どおりの展開なのだろうと思って観ました。

 

主な登場人物は、

  • 梓川 咲太【石川 界人】:主人公の峰ヶ原高校2年生。人気女優である1学年上の先輩の麻衣の思春期症候群を解決したことがきっかけで、麻衣と交際するようになった。横浜に住む親元を離れ、藤沢で妹の花楓と2人で暮らしている。

  • 桜島 麻衣【瀬戸 麻沙美】:咲太の恋人の峰ヶ原高校3年生。人気女優として活躍しながら、大学受験も間近に控えている。

  • 梓川 花楓【久保 ユリカ】:咲太の妹で中学3年生。中学校で受けたネットでのいじめによる心的ストレスで解離性障害を発症して記憶を失い、「かえで」という別人格で2年間家でお留守番をしていたが、最近になって記憶が戻り、学校に通おうと努力している。

  • 古賀 朋絵【東山 奈央】:咲太のファミレスでのバイト仲間の峰ヶ原高校1年生。自身の思春期症候群を通じて咲太と知り合い、仲の良い先輩後輩の関係になっている。

  • 双葉 理央【種﨑 敦美】:咲太の数少ない友人の峰ヶ原高校2年生で、咲太が思春期症候群について相談する相手となっている。科学部に所属し、物理実験室で1人で活動している。

  • 豊浜 のどか【内田 真礼】:麻衣の母違いの妹。アイドルグループ「スイートバレット」のメンバー。麻衣が大好きなシスコン。

  • 広川 卯月【雨宮 天】:「スイートバレット」のリーダーで、愛称は「づっきー」。天然でマイペースだが、明るく快活な性格。

公式サイトで紹介されているのはこれらの7人ですが、そのほかの主な登場人物は、

  • 友部 美和子【遠藤 綾】:花楓の中学校のスクールカウンセラー

  • 花輪 涼子【相川 奈都姫】:麻衣のマネージャー。
  • 牧之原 翔子【水瀬 いのり】:咲太の初恋の相手。実は、中学1年生の少女・牧之原翔子の思春期症候群によって姿を現した未来の翔子の姿だった。

  • 国見 佑真【内田 雄馬】:咲太と理央の数少ない友人の峰ヶ原高校2年生。咲太の悪評を気にせず接する友人で、咲太のファミレスのバイト仲間でもある。

  • 上里 沙希【茜屋 日海夏】:咲太のクラスメイトの峰ヶ原高校2年生で、佑真の彼女。

  • 鹿野 琴美【岡咲 美保】:花楓の幼稚園時代からの幼なじみ。咲太とかえでが藤沢に引っ越した後も横浜に住んでいる。

  • 咲太の父親【志村 知幸】:咲太と花楓の父親。花楓の変化を受け止めきれず、精神を病んでしまった母親を看病している。

  • 卯月の母親【京花 優希】:18歳で卯月を産んだ。

といったあたり。

 

まずは、ネタバレにならない範囲で印象などを書くと、予想に違わず、原作にかなり忠実にアニメ化されている印象で、ほとんと原作のラノベ青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」のとおりの展開になっていました。セリフなどの細部は別として、原作からまとまったシーンごとカットされているのは、おそらく、沖縄に引っ越すことになった中学1年生の翔子ちゃんと会う部分くらいではなかったかと思います。

原作のとおり、前作の「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」のような劇的な仕掛けはないので、前作ほどの感動的な展開はありませんが、2年間を生きてきた別人格の「かえで」の願いを叶えようと努力し、そして自分の道を見つけていく一生懸命な思いが心に響く作品でした。

ただ、登場人物や背景事情の改めての説明は特にないので、原作のライトノベル青春ブタ野郎」シリーズを読んで、あるいは、テレビアニメ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」シリーズと前作の劇場版アニメ「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」を見ていない初見の人だと、物語についていけなさそうです。
全部フォローするのは難しい場合でも、これまでの物語でかえでが中心に描かれていたテレビアニメ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」の第11話~第13話を見るか、あるいは、その部分に相当する原作のラノベ青春ブタ野郎はおるすばん妹の夢を見ない」を読んでおくことを強くお勧めします。

 

 

ここから先は思い切りネタバレになりますが、自分の備忘を兼ねて、記憶の範囲でより詳しくあらすじを書いてみます(多少記憶違いはあるかもしれません)。

 

1月16日(金)、英語の授業中に居眠りした咲太は、七里ガ浜でランドセルを背負った小学生の麻衣と会う夢を見る。先生に指されて起きるが、答えられず、代わりに上里が指されて答える。学校から麻衣と一緒に帰る咲太は、その夢のことを麻衣に話す。いろんなことを経験して、麻衣と一緒にいる時間が大切なものに思える咲太。自宅マンションの前まで帰ってきた咲太たちは、中学校から帰ってきた花楓に会う。花楓は、日曜日に時間があるかを尋ね、スクールカウンセラーの美和子先生に、土日に進路について相談したいと言われたと話す。咲太は麻衣とデートする気満々だったが、麻衣は土日とも仕事が入っていると言い、迎えに来た涼子の車で仕事に向かう。

1月18日(日)、咲太の家に、美和子先生がやってきて、父親、花楓と3人で話を聞く。美和子先生は、偏差値の点では入れる学校はあるが、全日制はお勧めできない、中学で不登校になった子が高校でも不登校になってしまうケースは非常に多い、通信制高校で3年かけてゆっくり慣れるのもいいのでは、と提案する。花楓は、お兄ちゃんと同じところに行きたいと言う。美和子先生はそれを否定せず、学校のパンフレットを渡して帰っていく。
美和子先生を送った後、自宅に帰ってきた咲太は、ちょうど横浜の家に帰るため咲太の家の玄関を出た父親と会い、進路について尋ねられる。大学に行きたい、学費は自分で稼ぐが、足りない分は助けてほしいと言うと、父親の顔がほころぶ。

1月19日(月)、学校でお弁当を作ってきてくれた麻衣とお昼デートをする咲太は、麻衣から週末にセンター試験を受けたと聞かされる。浪人して自分と一緒に大学受験をすると思っていた咲太は驚くが、今年受験して休学することにした、その方が咲太が頑張って勉強するだろうから、と麻衣は言う。
夕方、バイト先のファミレスBenny’sにやってきた咲太。この日シフトに入っており、店の前を掃除していた国見に進路を尋ねると、消防士試験を受けることにしたと話す。そこに待ち合わせていた美和子先生がやってきて、2人は店に入る。
咲太が家に帰ってくると、麻衣とのどかが来ていた。麻衣に背中を押され、花楓は、お兄ちゃんが行っている高校に行きたい、勉強を教えてほしいと自分の思いを伝える。咲太はそれを受け入れ、美和子先生にもらってきた峰ヶ原高校の願書を花楓に渡す。

1/20(火)、放課後に物理実験室にやってきた咲太は、高校受験の参考書を開く。咲太は双葉に麻衣の夢を見たことを話し、思春期症候群ではないかと相談する。双葉は真面目に取り合わないが、思春期症候群だったとしても咲太は何とかすると思うと話す。

1/23(金)、夕方、咲太がバイト先のファミレスで古賀をいつものように他愛のない会話でからかっていると、そこに花楓と麻衣がやってくる。願書は自分で出しに行かなければならないので外に出る練習と話し、ファミレスで麻衣に勉強を教えてもらい、夕食を食べる。食べる花楓を眺める咲太は、ふと「かえで」が脳裏に蘇る。遠い目になる咲太に気づき、花楓は何かを勘付く。

1/25(日)、咲太は、バイトが入っていると花楓や麻衣に嘘をついて、美和子先生に同行してもらって通信制の青星高等学校の説明会に向かう。美和子先生に尋ねられた咲太は、峰ヶ原高校に入るのが難しいことは花楓自身も分かっているはず、結果を突き付けられないと諦められないのではないか、その時は慰めの言葉をかけてあげたいと話す。美和子先生は、妹思いの咲太を褒め、先生が向いているのでは、と咲太に言う。
説明会が始まり、校長先生の説明の後、生徒のインタビュー動画が流される。それを見る咲太は、登場する生徒の1人が卯月であることに気づく。
咲太が帰宅すると、麻衣が花楓に勉強を教えてくれていたが、花楓は疲れて眠っていた。麻衣は、前日遅くまで勉強していたみたいと話し、着替えるため自室に入った咲太に、本当はどこに行っていたのか問い詰める。咲太は正直に白状し、花楓に自分だけがのけ者にされたと思わせたくないので、麻衣にも黙っていたと話す。

1/28(水)、咲太は、花楓が無事に受験願書を提出しに来ることができるか心配になり、授業途中にトイレと嘘をついて教室を抜け出し、花楓が来るのを待つ。花楓は何とか学校事務室に願書を出すことができるが、咲太がその手袋を取ると、手首には思春期症候群の痣が広がっていた。それに気づかれて動揺する花楓は、試験もちゃんと受けられる…だからダメって言わないで、私だってがんばれるからと必死に訴える。咲太は止めないから体調について正直に話すようにいたわる。その後は花楓の勉強は順調に進み、内申点があれば普通に合格できるラインにまで到達する。

2/16、峰ヶ原高校の受験当日。咲太は花楓のためにお弁当と朝食を作り、江ノ電藤沢駅まで送る。「わたしも頑張るから」と言って改札に入っていく花楓。咲太は何かひっかかる。
自宅でお昼を食べようとする頃、麻衣が撮影のロケ先から花楓を心配して電話をかけてくる。咲太は、花楓がちゃんと行けたことを報告し、バレンタインデーのおねだりをする咲太。その電話を切った直後、今度は峰ヶ原高校から電話が入り、花楓が体調が悪くなって保健室で休んでいると聞かされ、咲太は急いで学校に向かう。
保健室で咲太が花楓に声をかけると、花楓は、午前中の3科目は良くできたが、昼休み、トイレの帰りに廊下で同じ制服の女の子と目が合って、見られてると思った瞬間、体中に痣が広がって動けなくなった、と体を震わせて泣き、みんながやさしいのは、もうひとりの自分がずっと頑張ってきてくれたからなのに、私は何もお返しできない、と自分を責める。
先生に呼ばれ、教室に花楓の荷物を取りに行った咲太は、鞄の中に、「かえで」の日記があるのに気付く。その最後に「お兄ちゃんと同じ学校に行きたいです。それが、かえでの夢です。」と書かれているのを見た咲太は、花楓が「かえで」の願いを叶えるために、峰ヶ原高校に入ることにこだわっていたのだと悟る。咲太は、のどかに電話をかけ、あることをお願いする。

2/20(金)、図書室にいた麻衣に咲太が声をかけると、麻衣は最近流行っているという霧島透子の歌を聞いており、それを咲太にも聞かせる。
家に帰った咲太。花楓の部屋は閉ざされていたが、青星高校のパンフレットを見た形跡があった。

2/21(土)、咲太は花楓をショッピングモールのイベントステージで行われる「スイートバレット」のライブに連れていく。センターに立つ広川卯月を目で追う花楓に、咲太は、通信制高校の説明会で見たインタビューに卯月が出ていたことを話し、花楓自身が峰ヶ原高校に通いたいわけじゃないなら、無理して通いたいと思う必要はない、きっとみんなも、「かえで」もそれを望んではいないと話す。
ライブの終了後、咲太は、「かえで」は一生懸命に僕の妹になろうとしてくれた、だから、いなくなったときはとても悲しかった、でも、花楓が戻ってきてくれて、それと同じだけうれしかった、と話しに、花楓は、お兄ちゃんはもうひとりの自分の方が好きなんだから、自分が代わりにならないと、と思ってた、と本心を明かし、笑顔を見せる。
のどかとの待ち合わせ場所に向かった咲太と花楓は、卯月、のどかとともに卯月の母が運転する車に乗せてもらって移動する。卯月の母は、何も考えずに峰ヶ原高校の裏手の七里ガ浜で車を停めるが、花楓は大丈夫だと話す。砂浜に出た4人。卯月は、最初普通の高校に入ったが不登校になり通信制高校に通うことになった経緯を話す。みんなちゃんとやっているのに、できない自分が悪い、と息苦しさを感じていたが、通信制高校の説明会で、そうじゃなくていいと言ってくれた、卯月の幸せはみんなに決めてもらうもんじゃなくて、卯月が決めるんだよ、という母親の言葉で入学を決心した、そして、メンバーやファン、お母さん、みんながまだいるかもしれないと思えたから入った、という卯月の言葉に、花楓は勇気づけられる。

2/28(土)、横浜に住む幼なじみの鹿野琴美が家にやってくる。花楓は麻衣からもらったお下がりのパソコンで通信制の青星高校について琴美に熱心に説明する。そこに美和子先生から電話が入り、峰ヶ原高校が定員割れになり、花楓が合格したと連絡が入るが、花楓は、峰ヶ原高校にはいかない、自分の道は自分で見つける、と自分の決意を伝える。バイトのため出かける咲太と一緒に家を出た琴美は、咲太と一緒に歩きながら、学校を自分で選ぶ花楓はすごい、と話す。咲太は、琴美と花楓のやり取りから、花楓の成長を感じるのだった。

3/1、峰ヶ原高校の卒業式の後、七里ガ浜の砂浜に行った咲太の前に、ランドセルを背負った小学生の麻衣の姿があった。彼女は、咲太が以前に見た夢と同じく、「おじさん、だれ?」と質問するのだった。

(ここまで)

 


なお、入場者特典として、原作者である鴨志田一の書き下ろし短編「青春ブタ野郎はアニマルランドの夢を見る」をいただきました。後で読んでみると、咲太が「かえで」としての最後の日に連れてきた上野の動物園に、咲太、花楓、麻衣、のどかの4人で行ったエピソードでした。