鷺の停車場

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映画「オレンジ・ランプ」

休日の朝、MOVIX柏の葉に行きました。


9時過ぎの時間帯、既に朝イチの上映が始まったスクリーンも多いのか、ロビーのお客さんは少なめでした。


この日の上映スケジュールの一部。この日は25作品・28種類の上映が行われていました。


観るのは、「オレンジ・ランプ」(6月30日(金)公開)。全国104館と中規模での公開です。スクリーンに向かう廊下の壁には大きなタペストリーが飾られていました。


上映は292+2席のシアター9。中に入ってみると、お客さんは15人ほどでした。


(チラシの表裏)


若年性認知症と診断されながら、会社勤務を続けつつ、相談窓口の活動や自身の経験を語る講演などを行っている丹野智文さんの実話を基に、39歳で若年性認知症と診断された夫とその妻の姿を描いた作品で、主要スタッフは、監督:三原光尋、企画・脚本・プロデュース・原作:山国秀幸、脚本:金杉弘子など。

 

公式サイトのストーリーによれば、あらすじは次のようなもの。

 

妻・真央や二人の娘と暮らす39歳の只野晃一は、充実した日々を送るカーディーラーのトップ営業マン。そんな彼に、顧客の名前を忘れるなどの異変が訪れる。下された診断は、「若年性アルツハイマー認知症」。驚き、戸惑い、不安に押しつぶされていく晃一は、とうとう退社も決意する。心配のあまり何でもしてあげようとする真央。しかし、ある出会いがきっかけで二人の意識が変わる。「人生を諦めなくていい」と気づいた彼ら夫婦を取り巻く世界が変わっていく・・・。

 

主な登場人物・キャストは、

  • 只野 真央【貫地谷 しほり】:主人公。夫・娘2人と暮らす専業主婦。

  • 只野 晃一【和田 正人】:真央の夫。勤務先のカーディーラーで営業成績トップの営業マンだったが、39歳で若年性認知症と診断されてしまう。

  • 只野 穂花【安山 夢子】:真央と晃一の長女。晃一の認知症診断時は中学2年生。

  • 只野 朱音【平尾菜々花】:真央と晃一の次女。晃一の認知症診断時は小学5年生。
  • 島崎社長【赤井 英和】:晃一が勤める会社の社長。母親を認知症で亡くした経験がある。

  • 佐山 隆裕【伊嵜 充則】:晃一の幼なじみで、フットサル仲間。

  • 加藤 光雄【山田 雅人】:認知症本人ミーティングで知り合った若年性認知症の先輩。認知症になった後も営業マンを続けている。

  • 藤本 和子【赤間 麻里子】:真央の勧めで晃一が参加した認知症本人ミーティングの進行役。

  • 飯塚 さゆり【中尾 ミエ】:真央と晃一が加藤に誘われて行った認知症患者のサーフィンの集まりで出会った認知症のサーファーの夫を持つ老婦人。

という感じ。

 

チラシには「夫婦の9年間の軌跡」とありましたが、9年間全体を通して描かれているのではなく、若年性アルツハイマー認知症と診断されてから、夫婦が互いに悩み、ぶつかりながら、自分たちのペースを掴むまで、映画中では明示されませんが、おそらく最初の1年足らずの間と、現在の姿が描かれています。

細部の演出には泣かせにくるようなところもあって、興ざめに感じる部分もありましたが、全体としては、突然の若年性認知症の診断という、青天の霹靂のような出来事に直面し、悩み、苦しみながらも、認知症本人ミーティングに参加したことが転機となり、前に進んでいく夫婦の姿が心を打つ作品でした。

 

ここから先は思い切りネタバレになりますが、自分の備忘を兼ねて、より詳しいあらすじを紹介します。

 

現在、認知症をテーマにしたテレビ番組の取材でインタビューを受ける真央・晃一夫婦。インタビュアーやプロデューサーは「認知症っぽい」トラブルなどのエピソードを期待するが、晃一は他の人たちと一緒、と語り、取材後、紋切り型のエピソードを求める取材陣に不満を漏らす。

9年前、病院で検査を受ける晃一。勤務先のカーディーラーでは連続して営業トップの成績を上げる営業マンだったが、朝に洗車した家の車をその日に再び洗車したり、前日にお土産を買ってきたのを忘れて次の日にまた同じお土産を買ってきたりと、おかしな兆候が目立つようになってくる。職場でも顧客の名前や仕事の約束を忘れたりするようになり、仕事に不安を感じ始めていた。
検査の結果、「若年性アルツハイマー認知症」との診断を告げられる。真央はすぐにはそれを受け入れることができないが、真央は図書館で認知症についての本を借りてきて読み、晃一を気遣いながらの生活が始まる。娘たちに迷惑が掛かるのではないかと、娘2人には隠しながらの生活、真央は先回りしていろいろ気を配るが、過度に心配する真央に晃一は不満を募らせていく。
ある日、会社の定休日を忘れて出勤しようとした晃一を真央が止めると、ついに晃一の不満が爆発する。自室に戻って反省する晃一は、自分の掌に「怒らない!」と書いて、自分を戒める。夕方、真央の誘いで二人は散歩に出かけ、お互いに朝のことを詫びるが、スーパーに立ち寄るという晃一に、真央は夕食の支度のため先に家に帰るが、そのころ晃一は、家への帰り道を思い出せなくなっていた。晃一が帰ってこないことに気づいた真央は慌てて家を飛び出して晃一を探し回る。項垂れて階段で座り込んでいる晃一を見つけて駆け寄ると、晃一は真央に抱きつき、涙する。
真央は晃一の両親に晃一が認知症であることを話すと、両親は晃一は自分たちで介護すると申し出る。真央はそれは断るが、父親から紹介された本人ミーティングを晃一に勧める。
認知症本人ミーティングに参加した晃一は、認知症になっても営業を続けている加藤の話を聞き、興味を抱く。発言を求められた晃一は、妻への感謝とともに、自分の苦しい気持ちを打ち明ける。進行役の藤本は、その気持ちを妻に伝えるよう勧める。ミーティングが終わって真央が会場に迎えに行くと、晃一は加藤が営業を続けるために作っているノートを見せてもらい、話が弾んでいた。
次の週末、加藤の誘いで、認知症の本人がサーフィンをする集まりに参加した2人は、サーフィンを楽しむ高齢男性の妻の話を聞き、気持ちが前向きになる。
晃一は会社に認知症であることを伝え、自分なりに工夫しながら仕事を続けていく。一度は退職を覚悟したが、社長は温かい言葉を掛け、周囲の同僚も励ましてくれる。一方、真央は2人の娘に晃一が認知症であることを伝え、最初は私も全部やってあげようとしてしまったが、できることは自分でしてもらう、困ったときだけ助けてあげればいい、晃一はそれを望んでいると話し、娘たちもうなずく。
晃一は久しぶりに休日に楽しんでいたフットサルに顔を出し、幼なじみの佐山などフットサル仲間にも認知症であることを打ち明けるが、仲間たちは温かく受け入れる。

そして現在、晃一は営業は離れたものの、引き続き会社で人事などの仕事をしながら、全国各地から講演に呼ばれ、また相談窓口のボランティアも行うようになっていた。認知症の人と一緒に進んでほしいと聴衆に呼び掛ける晃一の言葉に、真央は思いを馳せるのだった。

 

・・・という感じ。(多少の記憶違いはあるだろうと思います。)