鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「MY (K)NIGHT マイ・ナイト」

平日の夜、MOVIX亀有に行きました。


先日もここで「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」を観たばかり。夜まだそれほど遅くない時間帯ですが、この日は、ロビーの人は少なかったです。


上映スケジュールの一部。この日は、既に上映が終わったものも含め、22作品・24種類の上映が行われていました。


この日観るのは「MY (K)NIGHT マイ・ナイト」(12月1日(金)公開)。全国90館と、中規模での公開作品です。公開初日、トリプル主演の川村壱馬・RIKU・吉野北人(ともにTHE RAMPAGE)の3人が舞台挨拶に来られたようで、ロビーにはサイン入りのポスターが展示されていました。


上映は170+2席のシアター5。お客さんは15人ほどでした。THE RAMPAGEのファンの人でもっと入っているだろうと思っていたので、予想外に少ないです。


(チラシの表裏)


(別バージョンのチラシ)

 

EXILE HIRO が企画プロデュースを務めた、夜の横浜を舞台に、デートセラピストたちが一夜限りの恋人役を務めつつさまざまな悩みを抱える3人の女性の心を癒やしていくオリジナルドラマで、監督・脚本は中川龍太郎

一般的には、3人のデータセラピストをそれぞれ演じているTHE RAMPAGEのファンがメインターゲットということかもしれませんが、私自身は、以前に観てとても印象に残った「四月の永い夢」の中川監督の最新作ということで、観に行くことにしました。


公式サイトで紹介されている登場人物・キャストは、次のとおりです。

  • 刹那【川村 壱馬】:「MY KNIGHT」のデートセラピスト。母親から逃れ、大阪から横浜に出てきた。本名はカズキ。

  • イチヤ【RIKU】:「MY KNIGHT」のデートセラピスト。本名は青山。

  • 刻【吉野 北人】:「MY KNIGHT」のデートセラピスト。本名はケンタロウ。

  • 宮地 沙都子【安達 祐実】:42歳の主婦。夫が浮気している。タワーマンションに住んでいる。

  • MIYUPO【夏子】:24歳の人気インスタグラマー。かつてバレエを習っていた。

  • 稲本 灯【穂志 もえか】:25歳の高校教師。

  • 稲本 佳津子【坂井 真紀】:入院している灯の母親。

  • 弘毅【村上 淳】:「MY KNIGHT」の経営者。

このほか、わかる範囲では、次のような人物も出てきていました。

  • 茉麻【織田 梨沙】:刻と同棲している恋人。同じ業界で働いている。

  • 善友 トモアキ【中山 求一郎】:写真家。イチヤのかつての写真仲間。

  • 北條【松本 妃代】:イチヤのかつての写真仲間。

3人のデートセラピストと客であるそれぞれの女性の物語が、最初は同じホテルのレストランで始まり、枝分かれして交錯しながら描かれ、最後にそれぞれ仕事を終えた3人のデートセラピストが集合することで合流するという展開は、よくある手法だろうとは思いますが、なかなかうまい構成です。イチヤとmiyupoの物語は、癒されたのは客のmiyupoよりイチヤだったように思いますが、沙都子と灯の物語は、ある意味で行き詰っていた女性の心を解きほぐして、前に進めるよう送り出してあげる、ちょっといい話で、心地よい余韻が残りました。

横浜の街を映すシーンでは、スローシャッターやブレた画像、動き回るカメラなどが多く使われ、裏通りの猥雑な雰囲気などもうまく映し出されていました。落ち着いた雰囲気の映像が多かったこれまでの中川監督の作品とはだいぶ印象が違いますが、それまでの自身の作品と異なるタイプの物語なので、あえてこれまでと違う撮り方を面白がってチャレンジしたのでは、と勝手ながら想像しました。

 

以下は、ネタバレになりますが、備忘も兼ねて、以下、作品のあらすじを紹介します。< >内が公式サイトで紹介されているストーリーです。

<夜の横浜で交錯する、3組の男女の想い
刹那(川村壱馬)、イチヤ(RIKU)、刻(吉野北人)は、弘毅(村上淳)が経営する[MY KNIGHT]で働く“デートセラピスト”。女性たちを癒やし、救いを与えるKNIGHT、いわば“王子様”だ。今夜も、3人は横浜のとあるホテルでそれぞれの客と会う。>

ビルのベランダで空き缶を灰皿代わりに煙草を吸い、スマホに入った母親からの留守電を聞く刹那。そこに、弘毅がやってきて、車のキーを持っていないか尋ねる。刹那はポケットの中を探して自分じゃないと答え、「MY KNIGHT」の事務所に戻る。

事務所では、「MY KNIGHT」のデートセラピストの同僚のイチヤと刻もいた。3人は軽口を叩きながら着替えなど準備をして、今夜も世界を救ってこい、と弘毅に送り出される。

 

ここから、3人のそれぞれの客と過ごす夜が、入れ替わりながら少しずつ描かれていきます。ここでは、便宜上、それぞれの客ごとに、まとめて紹介します。

 

まず、刻と沙都子の話。

<42歳の主婦・沙都子(安達祐実)は、夫の浮気を知りながらそれを追及することもできず、せめてもの憂さ晴らしに若い男とデートをしようと、刻とともに時間を過ごすことにした。しかしふと我に返って、そんな自分に嫌気がさし、帰ろうとする沙都子。そんな彼女を呼び止め、刻は微笑む。「さっちゃんが本当に今したいこと、俺が叶えるよ」
煙草を吸う、立ちションを観察する、ニンニク増しまし大盛りラーメンを食べる──やってみたかったことを刻と一緒に実現させ、2人の時間を楽しむ沙都子。そして彼女がつぶやく。
「刻くんの日常、もっと見たい」>

緊張のためか、遠慮がちな態度で刻との時間を過ごす沙都子。レストランでの食事の後、横浜港クルーズに乗るが、沙都子の表情は晴れない。その最中には、夫からの電話が入るが、それが、今日も帰れない、という連絡だと分かっている沙都子は電話に出ない。

沙都子は刻に、夫が自分より一回り以上年下の女性と浮気していること、自分も若い男とデートしたら気持ちが晴れるかもと刻と過ごすことにしたことを話すが、我に返って自分に嫌気が差した沙都子は、刻に代金を渡して帰ろうとする。刻は歩き出した沙都子を呼び止め、、さっちゃんが本当にしたいことをやろうと声を掛ける。自分のしたいことが分からない、と言う沙都子に刻は、昔してみたかったことを尋ねると、沙都子は、刻になりたいと答える。

それから、沙都子は、刻が日ごろしていることを一緒に体験して回る。喫煙所で煙草を吸い、場末のラーメン屋で全部入りラーメン大盛・ニンニク増しましを食べ、刻が立ちションするのを観察する沙都子。

そして、刻の家に行ってみたいという沙都子に、刻は沙都子を自分が住むアパートに連れていく。刻の家で沙都子は、刻が同棲する恋人の茉麻、遊びに来た水商売で働く近所の外国人女性の息子の男の子とテレビゲームをしたり、腹を空かせた茉麻と男の子に夜食を作ってあげたりして、楽しい時間を過ごす。沙都子がタワーマンションで暮らしていることを羨む茉麻に、沙都子は、塔の上でひとりぼっち、とつぶやく。沙都子の夫が浮気していると聞いた茉麻は、一発殴ってみればいい、と言って、その場で沙都子にパンチの打ち方を教え始める。

そうしているうちに、アパートの廊下で男の子の母親の悲鳴が聞こえ、刻の部屋に逃げ込んでくる。その後ろから、母親の客である大柄な男が、金は払ってるんだ、と凄みを利かせて追ってくる。止めようとした刻や茉麻も男を止めることができないが、沙都子が男にパンチを打ち込むと、男は倒れて意識を失ってしまう。実は、沙都子は小さい頃に空手を習っていたことがあったのだ。

朝が近づき、刻の家を出た沙都子は、晴れやかな顔で、夫ときちんと話をしてみる、と刻に語り、刻は沙都子の肩を叩いて送り出す。

 

次に、miyupoとイチヤの話。

<24歳のmiyupo(夏子)はフォロワー7万人の人気インスタグラマー。イチヤを伴って中華街の人気店を巡っては料理や自分の写真をSNSにアップしていく。だが頼んだ料理には一切手を付けず、すべてイチヤに食べてもらう。そんな彼女をけげんに思いながらも、彼女に言われるがまま写真を撮り続けるイチヤ。
「プロじゃん。なんでこんなに写真うまいの?」
「よく頼まれるから」
次に2人が向かった先は、とある写真展。しかしイチヤはそこで思わぬ再会を果たす。>

刻と沙都子が食事するレストランの窓側の席で、スマホをいじるmiyupo。料理やワインの写真をイチヤに撮ってもらっては、イチヤが撮った写真を見て、どうしてこんなにうまいの?と驚くmiyupoだが、自分は料理には手を付けず、イチヤに食べてもらう。

レストランを出ても、中華街で小籠包を買い、イチヤに写真を撮ってもらい、その写真の見事さに、プロじゃん、と驚くmiyupo。よく頼まれるから、と答えるイチヤが、なんで自分を連れていくのか尋ねると、miyupoは、ひとりで食べ歩きはしづらいけど友達といくのは気まずい、と答える。そこに、miyupoを見つけて、インスタのフォロワーである女子高生が、写真撮ってください、と寄ってくる。一緒に記念撮影をするなど親切に対応するmiyupo。

イチヤが小籠包を食べ終わるのを待てずに歩き出したmiyupoが次にやってきたのは、ある写真展の会場だった。有名なインフルエンサーが話していて話題だからと言って、miyupoは会場に入っていくが、そのポスターを見たイチヤは、外で待っていてもいいか、と入りたくなさそうにする。その受付で、今日はオープニングだから招待状がないと断られ、miyupoは入れてもらおうと食い下がるが、そこに姿を見せたイチヤを見て、北條が懐かしそうに声を掛け、会場の中に引き入れる。

その写真展は、今は写真をやめたイチヤのかつての写真仲間の善友の受賞を記念して開かれたものだった。オープニングパーティで、集まった関係者の前でスピーチをする善友。SNSでいいねをもらうための写真があふれていることを批判し、写真を解体し再構築する意義を熱く語る善友に、miyupoはちょっといいですか、と手を挙げて、それを批判し、いい写真はいいねでいいと思います、と宣言する。会場の空気はすっかり興ざめし、慌てたイチヤはmiyupoを捕まえて会場から逃げ出す。

そして、イチヤはmiyupoをひとりになりたい時によく来るというビルの屋上に連れてくる。そこでコンビニで買ったお弁当を食べるmiyupoは、かつてバレエを習っていたが楽しくなくなって辞めた、投稿していいねが付いて嬉しかった、と自分がどうしてインスタをやっているのか話す。その話を聞いて、イチヤは挫折して写真の道を諦めた自分の中でモヤモヤしていた思いが吹っ切れる。

そしてmiyupoは、突然ビルの屋上から出て行き、イチヤは、なんであの人やったらやりっぱなしなんだよ、と呆れながらその後を追う。そして、運送会社の作業場のような場所で、miyupoはバレエを踊り、イチヤは吹っ切れた表情で、その姿を次々とスマホのカメラで撮影していく。

 

最後に、灯と刹那の話。

<灯(穂志もえか)は25歳の高校教師。彼女が刹那に求めるのは、「同じ高校の先生として出会い、付き合い始めて2年。結婚を意識している」28歳の恋人・高橋宏役。その“設定”で灯の入院中の母親・佳津子(坂井真紀)に会ってほしいという。聞けば、彼女の母は病気で余命わずかなのだそうだ。洋品店で母親好みのネクタイを買い、モノレールに乗って、言葉少なに母親の病院へ向かう2人。だが、病室に入り、“宏”を紹介しようとした灯に佳津子が冷たく言い放つ。「久しぶりに顔出したと思ったら、私を捨てるって話ね」
その言葉にショックを受け、灯は部屋を飛び出してしまう──。
一夜限りの夜を過ごした彼らは、どんな朝を迎えるのか…?>

刻やイチヤと同じレストランで対面した刹那と灯。刹那はジントニックを頼もうとするが、灯はそれを取り消してジンジャーエールを頼み、刹那の水の飲み方に、母親はそういうのが嫌い、と注文を付ける。

灯は、刹那に、婚約者で同僚の高校教師の高橋宏を演じてもらい、余命わずかな母親に会わせようとしていた。刹那は、その設定を何とか頭に入れ、高校教師風の服装を着ていたが、街を歩いて服飾店を通りかかった灯は、ネクタイだけ替えてください、とその店に入り、迷いに迷って母親に気に入ってもらえそうなネクタイを品定めする。

電車に乗ったところで、灯はその事情を刹那に話し、病院に向かう。シスターが出迎える病院に着き、緊張して母親の病室に入った灯は、刹那を婚約者として紹介するが、母親は、久しぶりに顔出したと思ったら、私を捨てるって話ね、と冷たく言い放ち、母親の想定外の反応にショックを受けた灯は、病室を出て行ってしまう。

その後を追って病室を出た刹那は、建物の外のベンチで涙している灯に声を掛ける。灯は子どものころから母親の言いなりに育ってきたこと、自分の好きなものを買おうとしても母親がどう思うかと考えてしまうことなどを打ち明ける。それを聞いた刹那は、俺は親が嫌いだけど、と言い、俺は婚約者なんだろう、俺に任せて、と言って、母親の病室に戻っていく。

ひとりで灯の母親の病室に戻った刹那に、母親は、ちょっと付き合ってよ、と言って病室を出て、廊下の消火栓の中に隠していた煙草を取り出し、廊下の窓を開けて煙草を吸い始める。そして、あの子は親離れしなければいけない、自分が結婚を認めたらまた親から逃げられなくなる、もう時間がない、と冷たい反応をした理由を明かす。そして、母親から逃げてきたと話す刹那に、出て行った夫にそっくりだ、母親にはちゃんと会ってあげな、と言う。

灯のもとに戻ってきた刹那は、お母さんが煙草を吸うって知ってた?と尋ねると、灯は、知らなかったような顔をし、それはダメでしょ、とつぶやく。刹那は、母親としっかり向き合うよう灯を励まし、肩を叩いて送り出す。

灯と別れ、明け方近く、海辺で母親に電話を掛ける刹那。留守電に切り替わると、また電話する、とメッセージを残す。

 

(ここまで)


なお、入場者プレゼントをいただきました。3種からランダム配布の名刺風カードです。


帰宅後に開けてみると、イチヤ(RIKU)の名刺を模したカードでした。