週末の朝、MOVIX柏の葉に行きました。
9時ちょっと前の時間帯ですが、ロビーのお客さんはわずかでした。
この日の上映スケジュールの一部。この日は、27作品・29種類の上映が行われていました。
観るのは「からかい上手の高木さん」(5月31日(金)公開)。全国251館と大規模での公開です。
ロビーの壁に大きなタペストリーが飾られていました。
上映は93+2席のシアター7。
中に入ると、お客さんは5人くらいでした。公開2週目の週末、1日4回の上映だったので、お客さんが多いのかと思っていましたが、意外に寂しい入りでした。
(チラシの表裏)
(その前に配布されていた別バージョンのチラシ)
「ゲッサン」2023年11月号まで連載されていた山本崇一朗の同名マンガを原作に、実写映画化した作品で、監督は今泉力哉、脚本は金沢知樹・萩森淳・今泉力哉。とはいえ、本作で描かれた時間軸の物語は原作では描かれておらず、実質的には映画オリジナルのストーリーのようです。
主な登場人物・キャストは、次のとおりです。
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高木さん【永野 芽郁】:中学生時代、いつも隣の席の西片をからかって楽しんでいた。西片には内緒にしたまま、10年ぶりに島に戻り、美術の教育実習生として西片の前に現れる。
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西片【高橋 文哉】:中学生時代、いつも隣の席の高木さんにからかわれ、からかい返そうとするも失敗していた。いまは母校で体育教師として奮闘し、2年3組の担任を務めている。
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中井【鈴木 仁】:高木さんと西片の中学校の同級生で、西片の友人。いまは母校で教師として働く、同僚でもある。中学生時代から付き合っていた、真野と婚約している。
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真野【平 祐奈】:高木さんと西片の中学校の同級生で、高木さんの友人。中学生時代から付き合っていた、中井と婚約している。
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浜口【前田 旺志郎】:高木さんと西片の中学校の同級生。中学生時代から片思いしていた北条と付き合うも、いまは破局中。
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北条【志田 彩良】:高木さんと西片の中学校の同級生。幼馴染である浜口と付き合うも、破局中。いまも復縁を申し込まれているが断っている。
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大関 みき【白鳥 玉季】:西片が担任を務める2年3組の生徒。クラスメイトの町田に片思いしている。
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町田 涼【齋藤 潤】:西片が担任を務める2年3組の生徒。とあることから学校を休んでいるが、教育実習生の高木さんと出会い変わっていく。
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田辺先生【江口 洋介】:高木さんと西片の中学生時代の元担任教師。現在は教頭先生。陰ながら二人の関係を見守っている。
公式サイトのストーリーによれば、
10年の時を越えて紡がれる、最高に愛おしい、初恋〈からかい〉の物語。
とある島の中学校。隣の席になった女の子・高木さんに、何かとからかわれてしまう男の子・西片。
どうにかしてからかい返そうと策を練るも、いつも見透かされてしまい失敗…。そんなかけがえのない毎日を過ごしていた二人だったが、ある日離ればなれになってしまう…。
それから10年―—、高木さんが島に帰ってきた!
「西片、ただいま。」
母校で体育教師として奮闘する西片の前に、教育実習生として突然、現れたのだった!
10年ぶりに再会した二人の、止まっていた時間と、止まっていた「からかい」の日々が、再び動き出す―—。
・・・というあらすじ。
宣伝文句のとおり、淡すぎて、ピュアすぎて、現実には、25歳前後の男女に、こんな関係はとうていあり得ないだろうと思いますが、主役2人を演じた、永野芽郁と高橋文哉のいい雰囲気・演技もあって、初々しい恋愛物語として、素直に観ることができ、清々しい余韻が残る作品でした。
私自身は、ネットなどで作品紹介をちょっと読んだ程度で、原作コミック、テレビアニメ、劇場アニメ、テレビアニメのどれも未見の一見さん状態でしたが、冒頭に、テレビドラマの映像からの編集だと思いますが、中学生時代の2人の関係について簡単に紹介され、最低限の基本設定は分かるようになっていたので、特に消化不良感を抱くことなく観ることができました。ただ、冒頭やエンディングなど、中学生時代の描写がシンクロするので、テレビドラマ版などで中学生時代の物語に触れていた方が、より心に沁みたのかもしれないと思いました。
以下はネタバレになりますが、備忘も兼ねて、より詳しめにあらすじを記してみます。(本編中で描かれた順番を含め、多少の記憶違いはあるだろうと思います。)
島の中学校で隣の席になった、からかい上手の高木さんと、いつもからかわれている西片。西片は高木さんにからかい返そうと試みるものの、いつも高木さんに見破られて失敗していた。そんな日々は、中学3年生の夏、高木さんがパリに引っ越すことになって終わりを迎える。高木さんが島を離れる日、西片は船に乗った高木さんをいつまでも手を振って見送ったのだった。
その10年後、自室でスマホでアニメ「100%片想い」を見ていた西片。そこに、久しぶりに高木さんから電話がかかってくる。どぎまぎしながら電話に出た西片に、高木さんは、西片は「100%片想い」を見ていたのではと言い、図星だった西片はそれを否定しながら、出していた少女マンガ「100%片想い」の単行本を本棚にしまう。そして、高木さんは、3週間くらい、もう一度行きたい場所に戻ることにしたと話す。
翌日、地元の島の中学校で体育教師をしている西片は職員室で、同僚で元同級生の中井と話す。中井は自身の結婚式の出席者の席をどうするか考えたりしていた。そんなところに、かつて自分の担任で今は教頭をしている田辺がやってきて、翌日から来る教育実習生は西片に担当してもらうと告げる。
その後、西片が自分が担任をしている2年3組の教室に行くと、ホウキが出しっぱなしになっていた。西片がそれを掃除用具入れに片付けようとすると、そこに隠れていた高木さんが飛び出し、西片はびっくりして倒れてしまう。高木さんは、教育実習生は自分であること、田辺や中井には西片には内緒にするようお願いしていたことを打ち明ける。
中学校を出た2人は、歩いて海辺に出る。岸壁で、高木さんはかつて中学生の時にしたように、1つのイヤホンで西片と一緒に音楽を聴く。スマホから流れる音楽は、「100%片想い」の「キュン♡せっきん!!」で、高木さんは楽しそうに頭を動かしながら音楽を聴く。
その夜、高木さんが帰ってきたことを受けて、中学生時代の同窓会が開かれる。結婚が決まっている中井と真野はのろけ、北条にフラれたばかりヤケ酒をあおる浜口は北条に復縁しようと迫ったりする。
その帰り道、家の方角が違うみんなと別れた西片に、教育実習の期間中、かつての家の近くの民宿に泊まるという高木さんが付いてくる。橋の上で、高木さんは突然西片に、目をつぶって、と言い、西片はソワソワしながら目をつぶるが、それは高木さんのからかいで、高木さんは、また明日ね、と言って帰っていく。
翌日から、高木さんが美術の教育実習生として中学校にやってくる。美術の授業で、2人1組になってお互いの顔をスケッチするのを見て回り、的確にアドバイスする高木さんだったが、生徒のリクエストで、自分もスケッチしてみせることになり、教育実習生担当として同伴していた西片をモデルに指名する。ソワソワしながらモデルになる西片だったが、生徒たちは高木さんのスケッチを見て上手いと感心する。
学校からの帰り、西片は担任するクラスの生徒である町田の家を訪問し、町田に学校のプリントなどを渡す。その後、西片は高木さんに、町田が学校に来ていないこと、他の先生たちは学校に来させようと思っているが、自分はそうは思えないこと、町田の絵が好きであることなどを話す。それを聞いた高木さんは、西片もちゃんと先生やってるんだ、と言い、それを聞いた西片はソワソワして照れる。
ある日、クラスの生徒から学校帰りに駄菓子屋で買い食いしている生徒に注意してほしいとお願いされた西片は、高木さんと一緒にその駄菓子屋に行くと、カップルの生徒が駄菓子屋の前のベンチに並んで腰かけて、買ったお菓子を仲良く食べており、キスするのを目撃して、隠れて覗き見ていた西片と高木さんはびっくりする。
そんな折、中井と真野の結婚式が行われる。ブーケトスで、真野が投げたブーケは、高木さんの手に収まる。しかし、その後のパーティで、浜口がそのブーケをプールに落としてしまう。それを見た西片は迷わずにプールに飛び込んでブーケを回収するが、その西片を見た高木さんも後を追うようにプールに飛び込み、西片の行動に感激しながらも、バカ、と言うのだった。
濡れた衣装からラフな格好に着替えての帰り道、高木さんに彼女がいるか聞かれた西片がいないと答えると、高木さんは自分から彼氏がいないと話す。それを聞いた西片は、パトロールと照れ隠しをしながら、高木さんを花火大会に誘う。
学校の帰り、高木さんはひとり岸壁に座って絵を描いている町田を見かけて声をかける。少し離れて座った高木さんが町田に西片をどう思うか尋ねると、変わった人だが嫌いじゃないと話す。高木さんは、自分がパリに引っ越して寂しかったが、絵を描いているときは寂しさを忘れられたこと、それで絵を学ぶための学校に進んだが、絵を描いて楽しいと思えなくなってしまったこと、それを見つけるためにここに来たが、授業でスケッチして久しぶりに絵を描くのが楽しいと思えたことなどを話す。その2人の様子を、西片のクラスの女子生徒の大関が複雑な表情で見つめていた。
翌日、高木さんは町田を海がきれいに見える高台に連れていく。一方、西片は大関に呼ばれ、教室でその話を聞く。大関は、町田が学校に来なくなったのは、自分が町田が好きで、その思いを本人に伝えたことが原因ではないかと西片に話す。西片は、本人じゃないからよくわからないが、町田の中にはいろいろあるんじゃないか、と言い、どうしてほしいみたいなことってある?と尋ねる。大関が特にないと答えるが、西片は話してくれたことに感謝の気持ちを伝える。
その頃、高木さんは島の高台で町田と話していた。町田は、大関から告白されたことを高木さんに話すが、高木さんから返事したのか尋ねられると、告白してすぐに走り去ってしまってその暇もなかったことを明かし、だから人と接するのは嫌なんだ、殴った方も痛いのかもしれないが、思いを伝えるのは暴力だと吐き捨てるように言う。それを聞いた高木さんは、町田が絵を描いている途中なのも構わず、突然駄菓子屋に行くと言い出し、町田を連れていく。そして、駄菓子屋でラムネを買った高木さんは、西片も呼び出し、3人でラムネを飲むが、高木さんのからかいがここでも炸裂する。
翌日、大関からの話を聞いて職員室で思い悩んでいる西片に、教頭の田辺が声をかけ、人と人とが関われば、どうしても傷つけるし、傷つけられてしまうものだが、思いは伝えた方がいいとアドバイスする。
一方、教室で合唱の練習をしていた2年3組。指揮をする大関がふざける男子生徒に注意しているところに、久しぶりに登校した町田が姿を現す。その後2人で話をする大関と町田。大関は、自分への返事は分かっている、町田は高木さんが好きでそのために学校に来たのだろうと話すが、町田は大関のために学校に来たのだと明かし、意外な答えに大関はきょとんとする。
花火大会の日、神社の鳥居の前で西片が高木さんを待っていると、以前駄菓子屋でデートしていたカップルの男子生徒も待ち合わせしていた。彼女の女子生徒が姿を現すと、西片も待ち合わせだと話しながら歩き去っていく。そこに、パトロールにもかかわらず浴衣姿の高木さんがやってくる。露店でかき氷を買い、並んで座って花火を見る2人。花火を見る高木さんの顔を見てきれいだと思う西片だったが、高木さん、きれいだね、花火、としか言えない。そんな高木さんも、空を見上げて花火をみる西片の顔を見つめるのだった。
教育実習の最終日の前日、高木さんを廊下で呼び止めたのは、町田だった。2人は校舎の屋上で話す。自分の気持ちを伝えないで去るのか、と言う町田に高木さんは、西片にはもう何度も好きだと伝えているが、へなちょこパンチで本人は気づかないみたいだと話す。そして、高木さんにとってからかうとはどういうことなのか、と問われ、からかいは好きのもっと好き、と答えるのだった。
町田に後押しされた高木さんは、西片がひとりベランダで佇んでいた2年3組の教室を訪れる。かつて中学生時代に座っていた席に座り、教育実習のお礼から始まった2人の会話だったが、西片が、高木さんを好きなのか自分の気持ちはよく分からないが、付き合ってほしい、と告白すると、高木さんは、自分が西片をずっと好きだったことを明かし、付き合ってほしいと自分からも告白する。それを聞いた西片は、ずっとそばにいてほしい、結婚してほしい、とさらに告白し、高木さんもそれにうなずき、結婚しよう、と返すのだった。
そして、手をつないで帰る2人。高木さんが、自転車は?と尋ねると、西片は、高木さんと手を繋いで帰りたかったから自転車置いてきた、と答える。高木さんは、付き合っているとからかいにくい、と漏らすと、西片は、絶対に分かれない、と宣言する。そして、西片が、高木さんにとってからかうとはどういうことなのか尋ねるが、高木さんは、内緒、とごまかすのだった。
教育実習の最終日、西片に連れられて高木さんが教室に入ると、2年3組の生徒たちが合唱をプレゼントする。それは、高木さんと西片も卒業式で歌った「変わらないもの」だった。
そして、高木さんと西片は結婚式を迎える。牧師から夫婦の誓いの問いかけを聞く高木さんは、心の中で、西片をからかい続けることを誓うのだった。
さらに年月が経ち、西片と(元)高木さんは、愛娘を連れて、かつて2人で来た高台に上り、美しい景色を眺めるのだった。
(ここまで)
なお、冒頭の西片の自室のシーンで流れた「100%片想い」のアニメの男女を演じたのは、テレビアニメ版「からかい上手の高木さん」で高木さんと西片を演じた高橋李依・梶裕貴なのだそうです。こういうリンケージもちょっと気が利いていると思いました。