週末の午後、MOVIX柏の葉に行きました。

時間は15時ごろ、ロビーのお客さんは意外にまばらでした。

この日の上映スケジュールの一部。この日は、34作品・35種類の上映が行われていました。
この日観るのは、「おいしくて泣くとき」(4月4日(金)公開)。全国253館と大規模な公開です。


上映は93+2席と、この映画館では一番小さいシアター7。お客さんは20人くらいでした。


(チラシの表裏)
森沢明夫の小説「おいしくて泣くとき」を原作に実写映画化したラブストーリーで、監督は横尾初喜、脚本はいとう菜のは。
公式サイトのイントロダクションでは、
孤独な二人の密やかな初恋、交わした約束、生涯忘れられない短い夏の夜。突然訪れた別れ。
それから30年の月日を経て、明かされる彼女の秘密とは――。
“互いの幸せを願う純粋な想い”をまっすぐに描き、多くの読者を心震わせた「おいしくて泣くとき」(森沢明夫著)が、実写映画化。
主演は本作が劇場映画初主演となる長尾謙杜。若い世代を中心に絶大な人気を誇る長尾が、亡き母との思い出の“四つ葉のクローバー”を今も大事にしている、高校生・風間心也を瑞々しく演じ切り、俳優としての新たな一歩を踏み出す。心也の同級生でどこか影のある新井夕花には、映画、ドラマ、CMにひっぱりだこの新進俳優、當間あみ。フレッシュかつ強烈に“今”を感じさせる2人が、一生に一度の切ないラブストーリーを紡いでいく。
また様々な事情を抱えた子供たちのために“子ども食堂”を経営する愛情深い心也の父、風間耕平役に、実力派俳優の安田顕。心也の亡き母、風間南役に美村里江、そして夕花への想いを胸に抱えながら、父の想いを受け継ぎ食堂を守る、30年後の心也をディーン・フジオカが演じる。監督には繊細な人間ドラマには定評のある横尾初喜。
「会えなくても、姿が見えなくても、誰かが誰かを想う気持ちは決してなくならない」
この春、一途な想いが起こす奇跡に、あなたもきっと涙する。
・・・と紹介されています。
主な登場人物・キャストは、次のようなもの。
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風間 心也【長尾 謙杜/ディーン・フジオカ(30年後)】:主人公。30年後の現在は、父の店を継いで「カフェレストラン ミナミ」を営んでいる。
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新井 夕花【當間 あみ/尾野 真千子(30年後)】:心也のクラスメイト。
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風間 南【美村 里江】:心也の母。心也が小学生のときに病気で亡くなった。
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風間 耕平【安田 顕】:心也の父。「かざま食堂」を営み、「子どもごはん」として子供たちに無償で食事を提供している。
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心也の妻【篠原 ゆき子】:心也とともに「カフェレストラン ミナミ」を切り盛りする妻。
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高梨 萌香【芋生 悠】:高梨工務店で営業を担当する女性で、夕花の娘。
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石村【水沢 林太郎】:心也の同級生で「かざま食堂」の子どもごはんの常連。
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女性【安藤 玉恵】:電車に乗った心也と夕花が出会った礼服姿の女性。
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夕花の父親【池田 良】:夕花の父親。夕花の母親の再婚相手で、夕花と血のつながりはない。
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幸太【矢崎 滉/田村 健太郎(30年後)】:夕花の弟。夕花の父親の連れ子で、夕花と血のつながりはない。
公式サイトのストーリーでは、次のようにあらすじが紹介されています。
幼いころに母親を亡くした心也と、家に居場所がない夕花。同級生の二人はひょんなことから「ひま部」を結成、孤独だった二人が互いに距離を縮めていく。しかし、ある事件をきっかけに夕花は姿を消してしまう。行き場のない想いを抱えたまま、交わした約束を胸に彼女を待つ心也。突然の別れから30年、明かされる彼女の秘密。その秘密を知った時、あなたもきっと涙する――。
夕花に理不尽な暴力を振るう父親、子ども食堂を偽善者だと心也をつるし上げる同級生など、直視するのが辛い描写もありましたが、伏線が次第に回収されていく展開も良く、15歳の2人のまっすぐな思いや、最後に記憶がつながった夕花の姿に、思わず涙がこぼれました。俳優陣については、主演の長尾謙杜の演技は正直感心しませんでしたが、夕花を演じた當間あみは魅力的で、30年後の夕花役の尾野真千子は、出番こそ少ないものの、素晴らしい演技だったと思います。
ここから先はネタバレになりますが、自身の備忘を兼ねて、より詳しいあらすじを記してみます(細部には記憶違いもありだろうと思います。)。なお、本編は、現在の「カフェレストラン ミナミ」が暴走車の突入で大破するまでのエピソードで始まり、その後は、30年前の回想と現在の描写が交互に描かれる形で進んでいきますが、ここでは、便宜上、本編での登場順ではなく、エピソードの時系列順に記載することにします。
高校1年生の心也は、「かざま食堂」の一人息子。サッカー部だったが、左膝のじん帯を切る怪我でサッカーができなくなり、放課後はまっすぐ家に帰る生活を送っていた。ある日、家に帰ると、同じクラスの夕花が弟の幸太を連れて、父の耕平が貧しい家庭の子どもに無償でご飯を提供している「子どもごはん」を食べに来ているのが目に留まる。
そんなある日、心也のクラスで学級新聞コンクールの係を決めることになり、部活に入っていない夕花と、怪我で部活をしていない心也が押し付けられる。
図書室でどうやって新聞を作るか相談を始めた2人。夕花は、暇な2人で「ひま部」を作ろうと言い出し、心也を部長と呼び始める。一緒の時間を過ごす間に、2人は次第に距離を縮めていく。
しかし、夕花は、働きづめの母親は家におらず、帰ってきては自分に暴力を振るう母の再婚相手の父親に怯える日々を送っていた。
その頃、心也は、同級生の石村から、自分が「かざま食堂」に行っているのをバラしただろうと詰め寄られ、別の同級生からは、貧しい子どもたちに食事を提供する心也の父親は偽善者だと罵られる。そして、ついにはクラスの机に黒マジックで「偽善者のムスコ」と落書きをされてしまう。気になった心也が石村のクラスに行くと、案の定、石村の机には「ビンボー野郎」と落書きされていた。心也は職員室でシンナーを借り、石村の机の落書きを落とそうと雑巾で拭き始め、そこにやってきた夕花もそれを手伝うのだった。
家に帰った心也は、学校で辛い目に遭ったことは押し隠して、子どもご飯を止めるよう耕平に訴えるが、心也が学校で嫌なことを言われたことを察した耕平は、心也の母親の南は生前に人の幸せは学歴や収入で決まるのではなく自分の意志で生きているかどうかだと言っていた、俺は自分の意志で子どもご飯をやっている、と話すが、心也が不幸になれば自分も不幸になる、心也が不幸になるなら止める、それが自分の意志だと話す。
学校は夏休みを迎える。心也は夕花に、夏休みの間、ひま部の活動はどうするのか相談しようとするが、夕花は、後で連絡する、と言葉少なに帰っていく。
夏休みとなり、心也は「かざま食堂」で耕平を手伝う日々を送るが、耕平は、最近夕花がかざま食堂に来ていないことを気に掛ける心也に声を掛け、和菓子店にお使いに出し、おつりが出るから映画にでも行ってこい、と送り出す。
お使いに行く途中、ちょっと寄り道して夕花のアパートに向かおうとすると、殴られて目を腫らした様子の石村に出くわす。これから「かざま食堂」に食べに行くところだと言う石村は、かつて落書きをした同級生はもっとボコボコだと話し、以前に心也を疑ったことを謝る。その時、怒鳴り声とともにアパートの一室のドアが開き、父親に暴力を振るわれる夕花が転がり出てくる。父親は外に出てさらに夕花に暴力を振るおうとするが、石村が父親を取り押さえ、心也に夕花を連れて逃げ出すよう叫ぶ石村の言葉に、心也は夕花の手を取って走り出す。
逃げ切った2人が電車の高架下で立ち止まると、夕花は、遠くに逃げたい、と助けを求めるように訴え、それを聞いた心也は、耕平から預かったお金で電車に乗り、以前家族で行ったことがある海岸に向かう。ボックス席で夕花と向かい合って座った心也は、夕花から、何かあったら守って、とお願いされるが、守れるか分からない約束は簡単にすることはできない、かえって傷つけてしまうからと話す。心也には、かつて入院中の母に授業参観に来てと言って約束してもらったが、その前に母が亡くなり、約束が守られなかったことが深い傷となっていた。
その途中、心也と夕花が座るボックス席に、礼服姿の中年女性が座ってくる。2人は、いとこ同士で祖父の家に行くとごまかすが、2人が15歳だと知った女性は、15歳で亡くなった姪の四十九日にこれから行くのだと話し、生きてさえいればいいことがあったのに、とこぼす。それを聞いた夕花が、生きてればいいことがありますか?と真剣な面持ちで尋ねると、女性は、あると言い、その言葉に夕花は勇気づけられる。
駅に着いた心也は、夕花をトイレに行かせ、その間に駅前の公衆電話で耕平に電話をかける。遠くに来ていて今日は帰れない、明日戻ったら全部話すから信じてほしい、と訴える心也に、夕花と一緒にいることを察した耕平は、守ってやれ、信じてる、と背中を押すのだった。
駅を出て歩く2人。その途中で大きなバルコニーがある家の脇を通りかかると、夕花は、大きなバルコニーがある家に住むのが夢だと話す。心也がそんな家に住んでどうするのかと尋ねると、夕花は、普通に住むの、と言って笑う。海岸に出ると、夕花は波打ち際ではしゃぎ、2人並んで防波堤に座ると、夕花は、夏休みにやりたいことをいろいろ考えていた、部長と2人で遠くに行ったりとか。でもかなっちゃった、と笑う。そこに夕立ちが降り始め、2人が雨宿りをする。
雨が止んだ後、心也は幼いころに家族で訪れ、亡き母のために四つ葉のクローバーを探した場所を見つける。夕花がそこで四つ葉のクローバーを探し始め、心也も夕花のために探し始めるが、見つからない。すると、心也は財布の中に大事にしまっていた、かつて来たときに見つけた四つ葉のクローバーを挟んだ栞を取り出し、夕花に差し出す。大事なものなんでしょ?と言う夕花に心也は、大事なものだから夕花に持っていてほしいと言って手渡し、夕花を抱きしめ、夕花が好きだ、と告白する。
夜が明け、最寄り駅に戻り、ベンチに座ってうたた寝をする2人。先に目覚めた夕花は、眠る心也の頬にキスをして、別れを告げ、駅前の公衆電話で自ら警察に電話を掛ける。
心也が目覚めると、夕花が警察官に保護され、車に乗り込もうとするところだった。夕花に必死に呼びかける心也は、絶対幸せになれる、また会える、約束する、と叫ぶ。心也の叫びに涙を溜める夕花は、心也君は私の居場所だった、と叫び、パトカーに乗るのだった。
自宅に戻った心也は、夕花を守れなかった、守れない約束をしてしまった、と落ち込む。それを見た耕平は、亡くなった南が書いていた日記を取り出して心也に手渡し、腹減ったろう、何か作ってやる、と厨房に向かう。日記をめくり始めた心也は、かつて母親が授業参観に来る約束をした日のページに目が留まる。そこには、守れないかもしれないことと知りながら、心也と約束した母親の想い、そして、会えなくても、姿が見えなくても、誰かが誰かを想う気持ちは決してなくならない、と綴られていた。それを読んだ心也は涙を流し、そして、父親が出したバター醤油焼うどんを、美味しい、と涙しながら食べ、やっぱり子どもご飯続けてよ、と父親に言うのだった。
それからしばらく経って、夕花からの手紙が届く。そこには、家族と離れてアルバイトしながら頑張っていること、そして、心也とのあの1日が自分を変えてくれたと感謝するメッセージが綴られていた。
しかし、夕花のもとには、幸太を奪われた父親が現れ、幸太の居場所を聞き出そうとする。それを拒む夕花を父親は押し倒し、夕花は石に頭を強打してしまう。
それから30年後、父親の店を継いだ心也は、かざま食堂の建物を建て直した「カフェレストラン ミナミ」を妻と2人で切り盛りし、こども食堂も続けていた。近くの子どもが食べに来ているところに、幸太がおよそ1年ぶりにやってきて、300円のミナミブレンドを頼む。ミナミブレンドは100円を子ども食堂のために寄付するメニューだった。そして幸太は、夕花の足取りが未だにつかめていないことを心也に報告する。
そんなとき、無免許の若者が運転する乗用車が暴走して店に突っ込み、店の道に面した窓や壁が大破してしまう。テレビの報道番組の取材もやってきて、今の心情を尋ねるリポーターに、心也は店にやってくる子どもたちへの思いを語る。
家の2階の自室に上がった心也は、衝突の衝撃で床に散らばった古いアルバムを手に取り、ある少女の写真に目を留めると、あの頃彼女は俺の居場所だった、15歳のあの日、俺は大切な人を守れなかった、という思いが去来する。
夏までには営業を再開したいと、修繕工事のため銀行に融資を申し込む心也だったが、審査が通らない。困った心也のもとに、ある日、高梨工務店の高梨萌香という女性が、テレビで見たと言って訪れ、無償で工事をさせていただきたい、その代わり、修復が終わったら私のお願いを聞いてほしい、と申し出る。資金がない心也はその申出を受け入れる。
やがて修繕工事が終わり、「カフェレストラン ミナミ」は営業を再開する。萌香は心也に、母親は子どもの頃の記憶を失っているが、建築士になりたいという夢は覚えていて、高梨工務店を立ち上げたことを話し、母親が大事そうなものだからと大切に取っていたという、四つ葉のクローバーの栞を心也に見せる。それは、かつて心也が夕花に手渡した栞だった。萌香の母親が夕花だと分かった心也は、母親に会ってほしいという萌香のお願いを受け入れる。
そして、萌香が運転する工務店の営業車に乗って、夕花が「カフェレストラン ミナミ」にやってくる。カウンター席に座った夕花は、店内を見回すが、昔のかざま食堂とは一変した店内に、心也を見ても何も気づかない。夕花は、ゆり子がお勧めだと言うバター醤油焼うどんを注文し、心也が調理して提供した焼うどんを食べ始める。萌香とゆり子が少し離れたテーブル席で見守る中、焼うどんを食べる夕花には涙が浮かび、当時の記憶が蘇ってくる。それを見守る心也は、大きなバルコニーのある家に住んでいますか?と尋ねると、心也の記憶も蘇った夕花は、涙しながらうなずくのだった。
(ここまで)