鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

NHKスペシャル「"駅の子”の闘い~語り始めた戦争孤児~」

NHKスペシャル「"駅の子”の闘い~語り始めた戦争孤児~」を視ました。

www6.nhk.or.jp

空襲で亡くしたりして、親と離別して上野や大阪、名古屋などの駅で寝泊まりし、「駅の子」とも呼ばれた戦争孤児の実像に迫ったドキュメンタリー。

駅では毎日のように子どもたちが餓死していく。働き口があるわけでもなく、生きるために盗みなど犯罪をせざるをえない子どももいました。

社会から見捨てられた思い。孤児の中には、かつては親しくしてくれた親戚に身を寄せたものの、手の平を返すような冷たい仕打ちに耐えられず、その下を飛び出して放浪した末に駅に寝泊まりする子もいました。やさしい言葉をかけてくれる大人はおらず、差別や偏見から過去を隠してきた人々。取材に応じた老婦人は、長年連れ沿った夫にも「駅の子」であった過去を話すことはできなかったと告白します。また別の男性は、自分が具合が悪くなった時に労り励ましてくれた仲間が、孤独感を深めて生気を失っていき、山手線に飛び込み自殺したことを涙ながらに語ります。

終戦後しばらくして、遅まきながら施設の整備など支援の動きが少しずつ出てきますが、施設を飛び出し駅に戻る孤児も出るなど必ずしも十分な措置とはいえず、また、学校に通うようになっても差別や偏見に直面します。

占領体制に移行し、外地から多数の引き揚げ者が帰ってくるなど、社会全体が混乱する中、戦争孤児に対する国や自治体の措置が後回しになったのは、実情としては仕方がなかった面が強かったようにも思いますが、そうした結果、社会的な弱者である戦争孤児に混乱がしわ寄せされ、全く社会的なケアを受けることなく放置されたことも確かで、見ていて居たたまれない気持ちになりました。